レガーミ戦記(再公開)

公開日:2008.7.9

レガーミ戦記と言っても剣と魔法の世界のお話、ではなく、 とあるキャッチセールスに引っかかってから撃退するまでの経緯です。 よしひでさん曰く「徹底抗戦バトルテキスト」 (←自分にとってはとても嬉しい褒め言葉です)の復活です。 自分がどうやって宝石売りとやりとりしたかの顛末が記されています。

1.縛捕

またまた迂闊にも引っかかってしまいましたよ。キャッチセールスに。 この前は ジョージハウス(リンク切れです)というところで、 高額な教材(英会話と心理学。何と49万円!)を セミナーとか旅行の優待権といった使わなさそうな おまけを付けて売っている会社でした。 さてさて、今回はさらなる強敵、株式会社レガーミです。 大阪の街を歩いていたところ、 よりによって捕まってしまいました。 真面目で従順そうな風貌で「これは行ける」と思われたのでしょう。 キャッチセールスには良く捕まるのですけど、 ぼちぼち、 わたしをブラックリスト(まず契約を断りそうな人リスト)に入れて欲しい次第。

2.威嚇

例によって女性の方が親しげに話かけてきてアンケートを行います。 彼女たちは「個性的だね」とか「真面目そうですね」とか言って、 底の浅い褒め方しかしないので、生返事で対処。 しかし、自分自身は嘘を付けない性格なので、 うっかりと携帯電話の番号を教えてしまいます。 もうすぐ解約するからいいのですが。

帰宅してお風呂から上がった9時30分、 アンケートをしたお姉さんから威嚇射撃が。 電話越しにマシンガントークを展開して来ます。 「ご趣味は何ですか?」とか「わたしも独りで暮らしているんですよ」とか、 頑張ってわたしを引き留めようとします。 一方でわたしは「レガーミ」についてインターネット調査を開始。 そしたら出るわ出るわ。不審な情報が。 結局わたしにアポイントメントを取りたかったらしく、 「明日の午前9時」という約束の話を1時間後に切り出しました。 出てきた資料の中には「何度も執拗に勧誘する」とあったので、 「せっかくだから決着をつけよう」と承諾。

3.準備

3.1 google様への相談

己を知り敵を知らば百戦危うからずとは良く言った物です。 googleを用いてレガーミをキーワードにひたすら情報を漁ります。 googleの検索結果 を上から覗いてみます。

1発目はあの会社のホームページだろうと思いきや、 レガーミ掲示板(注:リンク切れです) と、 大阪駅前第3ビルの写真 でした。 いずれも かずりん’sウエーブサイトの コンテンツです。

2発目に ウェルカムページ(注:リンク切れです) です。 会社概要を見ると宝石販売が主で、 旅行手配はおまけであることがわかります。

3.2 旅行業者と言えば

旅行手配と言われると、旅行業者の種類を調べなければなりません。 ざっと旅行業の種別について調べてみます。

つまり第3種は、 それより上位の等級の旅行業者が作った企画を販売したり、 宿泊地や交通手段の手配だけ行います。 日本旅行業協会 によるとレガーミは第3種。 これを踏まえて ウェブサイト(注:リンク切れです) を見ると‥‥‥事業内容のちょい下当たりですね。
「海外及び国内パッケージツアーの企画、販売」
です。 あ、あのですね、 パッケージツアー(いわゆるパック旅行)の企画は第1種しかできないのですけど。 この時点で「絶対怪しい」です。羊頭狗肉とはまさにこのこと。 旅行業務、どうも、判断するのがきわめて難しいです。

3.3 宝石をどう売るか?

アンケート、電話でアポイントメント、事務所で勧誘。 この流れは以下の内容から知ることができます。 「LEGAMI」と「マリアージュ」でgoogleに打ち込むと出てきます。 主に参考にしたサイトは以下の通りです。

以上の結果から手口は至って単純です。 ひたすら賛辞を連発して、 どさくさに紛れて、 宝石購入の弾も撃ち込んじゃうという撹乱戦法です。 ちなみにジョージハウス と同様に、 「契約は今日のうちに決めてね」と言うはずですので、 それだけは牽制しておく必要があります。

3.4 登録商標はどうしたの?

例のウェブサイトの 事業内容(注:リンク切れです) を見るとこんなことが。

LEGAMI は株式会社レガーミの登録商標です。

登録商標は工業所有権です。 工業所有権と言えば 特許電子図書館 の出番です。 商標登録状況を「レガーミ」で検索した結果 には1件の登録が。 権利者の項目を見ると「東新株式会社」という名前が。意味不明です。 帝国データバンク から「東新株式会社」を調べてみても全く手がかりが得られません。 これは「既に消えた」と考えた方が良さそうです。

以上により「LEGAMI は株式会社レガーミの登録商標です」の記述は、 本当であると判断するには無理があり過ぎるということになります。 先ほど羊頭狗肉とか書きましたけど、羊頭の部分も違ってましたね。 狗頭狗肉に訂正しなければなりません。

ちなみに「絆レガーミ」や「絆LEGAMI」も商標登録されていません。 商標登録って会社が商品を大切にしている意志表示であり、 他社の不正使用から守る手段でもあるのになぁ。

4 決戦

4.1 作戦

準備の過程で出てきた事実を整理すると以下の作戦で臨むことにしました。

結局は商標登録が最大の切札になります。 自社商品を大切にしない会社は到底信用できません。 旅行の件と、宝石の件がなくなると、 どうでもいいものを高額で売り付けるだけになります。 この結論にどう導くかが重要なポイントです。

4.2 突入

休日の朝の9時。 いよいよ決戦の火蓋が切って落とされました。 こちらは知識武装して万全の体制、と言うか、インターネットは本当に凄いです。 たったの1時間ちょっとでこれだけの情報が集まるのですからね。

前哨戦は例によってマシンガンの如く放たれるお世辞の連発です。 「真面目そうな方ですね」「そうですか。真面目って、ある意味、残酷ですよ」 「話していて楽しいです」「楽しいと感じる基準は人によって異なりますよ」とか。 このまま勢いで本題に入るというところで、 わたしは話を遮りました。第1の作戦の展開です。

まずは会社説明を受ける前に、話合いの進め方について、 レガーミのお姉さんと相談です。 わたしが最初に約束させた内容は以下の通りです。

最初の2つを常識として取り上げて互いに了承し、 最後の本命(締結判断の時期の決定権)も通します。 はっとして、 レガーミのお姉さんは「説明を聞いて今の気持ちを大事に」とか、 お茶をにごしつつ、感情に訴えるような弁解をしようとします。 しかし、 「貴方の会社はいささか信用できないので、 この約束していただかないと引き取らせていただきます」 で強硬路線を貫きます。 そして、お姉さんが折れる形で話を進めることになりました。 わたしはペンとノートを出してこの三箇条要求を書き留めて、 了承の確認も兼ねて握手もします。 とりあえず退路の確保を終了。

4.3 陽動

まずは会社説明から。ざっと並べてみるとこんな感じ。

と、言う具合に、見事に空振りです。 南アフリカ共和国って人種隔離政策で有色人種を蔑ろにしていた国だったはずでは。 この国名を聞いた瞬間、一瞬、とある懸念が頭をよぎります。

いよいよ旅行業務の話になりました。 宝石を購入して会員になると、各地の宿泊費が安くなるとのこと。 自分自身はインドア派なので旅行はほとんど行きません。 従って、 「宿泊費を安くできる権利(オプション)」を買う気持ちはさらさらなく、 このオプションは事実上空っぽとして判断しました。 それではせっかく旅行事業の話が台無しになるので、 「企画とかしているのですか?」と質問をすることに。 第3種では許可されていない業務を行っているか、 あぶり出して見ることにしました。 さすがにレガーミのお姉さんも 「うちは企画はしていないんですよ」以上の情報は出さず、 旅行業違反という落とし穴にははまりません。残念。

4.3 発射

本丸の宝石販売の話です。 いきなり「月々2万円の4年の分割払いにしてます」と言い出します。 わたしはすかさず合計を計算しました。2 * 12 * 4 = 96万円。 エンゲージリングともなるとサラリーマンの月収の3ヶ月分が相場で、 結婚適齢期の平均月収は22万円とすると、22 * 3 = 66万円。 役職による誤差を考えても50万円から75万円に落ち着きます。 宝石販売業者がまじめにマーケティングする際、 当然、 結婚適齢期のサラリーマンの月収には敏感になるはずです。 そうしないと誰も買えませんから。 だから96万円は高過ぎです。

そこで「仮に高く見積もって75万円とすると96万円との差のおよそ20万円は何を意味しているのですか?」 と尋ねました。 レガーミのお姉さんはわたしと違って 数学が不得手(おそらく文系なのでしょう)なので、 いっしょに手計算して20万円の差異を確認しました。 すると「4年分割だからです」という返答が。 このご時世、普通の銀行の金利は、決して高いとは言えません。 現在は2.5%という有り様ですから、 利率が3%としても80万にもなりません。 相場と比較してもやはり高いです。 すると、レガーミのお姉さん、「電卓を取ってくる」と言って事務室に退きました。 わたしは「30秒ね」と許可。 もちろん30秒以内に戻りませんでした。

そうやって2分ぐらいが経過したのでしょうか。 やっと事務室から出てきました。 顔を真っ赤にしてつじつまを合わせるのに必死だったでしょう。 その渾身の回答が「原価が66万、消費税が5%、金利が1.38です」。 うわっ、金利が38%って消費者金融並ですよ。 「38%ということは信販会社は消費者金融並の利息を取っていることになります」 と切り出し、 「この数字は回収のリスクが極めて高い証拠。 すなわち、貴方の会社が消費者金融の顧客並に信用されていないことになります。 4人に1人は債務不履行になって自己破産する可能性がありますね。」 と続けました。 そして以下の立論をレガーミのお姉さんに提出しました。 一発の大砲がマシンガンを粉砕する瞬間です。

  1. 宝石の代金を自社で回収するにはリスクがある。
  2. だから信販会社に委託する。
  3. 信販会社もレガーミを厳しく評価するので高い金利を要求する。
  4. その回収リスクが消費者価格に反映される。
  5. それが20万ないしは30万という数字に現れる。
この立論に対してお姉さんは批判も反駁もしません。 これまでに第3種旅行業者に関する知識、 価値のあるダイアモンドの色を教えました。 この立論を補強するべく、 日本の国債と金利の相場、 消費者金融のべらぼうに高い金利の設定、 結婚適齢期のサラリーマンの月収、 エンゲージリングの価格の設定の方法についても教えました。 営業なら知っているはずのことを全然言えなかったからです。 だから「営業の仕事を始めて3年と言ってましたね。大丈夫ですか?」と なだめる様に言いました。 「自分の業務や商品に関する知識に欠けているのは仕方がありません。 でも、仕事に対する関心の持ち方とか、疑問の抱き方とか、 行動の仕方とか、プロとして本当に大丈夫ですか」と 憐れみの眼差しで問いかけました。 ついでに会社の社員教育も大丈夫かなぁ?

レガーミのお姉さん、とうとう目に涙を浮かべて泣き出してしまいました。 どこかでポキリと、心の折れる音が聞こえたような気がします。 「わたしはあなたの感情で話がしたかった」とか詭弁に終始。 その中には「どうして数字の話ばかりするんですか?」 という泣きながらの訴えもありました。 最初に500万とか600万とか数字の話をしたのはあんたやがな。 でも、わたしはこう答えました。 「真面目なビジネス(取り引き)だからです。 だから言ったでしょう。真面目は残酷だって‥‥‥」

4.4 焦土

戦闘終了。所要時間2時間。登録商標の切札を出す前に決着。 作戦は大成功で、おそらくは、勧誘の電話も二度とかかって来ないでしょう。 ついでにキャッチをやっている業者の方々には、 ぜひともブラックリストに載せて下さいね。 そして、 「レガーミ戦記をご存知ですか?」と問返したら、 「結構です」とか言って追い返して下さいね。 お互いの身のためです。

しかし、 勝利した訳でも誰かが喜んだ訳でもないので、 ただ虚しさだけが込み上げてきます。 ただ取引先の会社について本当のことを知りたい。 その顛末がこれで、わたしの不審感は、 最後の最後まで拭い去られることはありませんでした。 オフィスから出て行く際に「縁が無かったのですね」と言われましたけど、 わたしは「顔を洗って襟を正して下さい。縁とかを持ち出す以前の問題ですよ」 と呆れた口調で返しました。 ビルの外へ出てわたしは虚空に向かってつぶやきました。 「どうしてこの人はこんな仕事をしているのだろう‥‥‥」 すさんだ世の中のひとかけらが見えたような気がしました。

5. 戦果?

最近は世界の歴史の勉強をしていて、 このレガーミの件で、 南アフリカ共和国に対する関心が芽生え始めました。

南アフリカ共和国ではアパルトヘイトという 人種隔離政策が行われていたのは周知の事実です。 小数の白人が有色人種を弾圧するためには武器が必要で、 その購入資金をダイアモンド採掘で賄っていたのではないか、 という疑問が出てきました。 もしこのことが本当で、白人の監督の下で他の人に苛酷な鉱山労働を強いていたら、 誰も南アフリカ産のダイアモンドは買わないでしょう。 自分がダイアモンドの指輪を買うと、世界の誰かが不幸になるのです。 これはあくまでも憶測なので詳しく調べて見ようと思います。

6. 加筆

キャッチセールスから不当に高いものを掴まされないように、 以下のことを心得ておくと良いと思います。

6.1 「道路使用許可証」の不携帯を理由にアンケート自体を断る

街角でアンケートを実施するには 道路使用許可証が必要です。 このことについては、 香川県 が良くまとまっています。 自治体によって手数量が異なるので対応している都道府県の サイトを探して下さい。 わたしが縛捕されたのは 大阪府 です。

この道路使用許可証を持っていない場合は、 それを理由にアンケート自体を断ることができます。 ただし、 レガーミの事務所は大阪駅前第3ビルなので、 その敷地内ではこの手は使えないかも知れません。

ちなみにジョージハウス(注:リンク切れです) は許可証を持っています。 と言っても、 許可証の手数料を払える程度ですので、 油断は禁物です。

6.2 やばいと思ったら逃げる

この戦いは生き残るか、斬られて死ぬかのいずれかです。 購買意欲が無い限り勝ちはありません。 だから逃げましょう。 相手の不備を論破できる自信が無ければ、 勧誘は断るに限ります。

参考:今井 登茂子,「うまく言えない」がなくなる本,講談社,2005年

今井さん曰く「忙しい」はお断りの常套手段だとか。 さらに扉を開けない、電話を切る、話を聞かないとか、 強硬手段を取ることを奨めています。

6.3 いつ返事するかは自分が決めることを了解させる

契約を迫られても冷静になりましょう。 契約を承諾するあるいは拒否する権利は客である自分に権利があります。 当然、承諾あるいは拒否のタイミングを決める権利も、自分にあります。 「話を聞いてその日のうちに決めなければならない」と言われても 慌てないようにしましょう。 常識を駆使すれば容易です。

例えばこのように受け流せるはずです。 「話を聞いてその時に決めて下さいね」には、 「後日商品を買いたくて参られたお客様を追い返すのでしょうか」を。 それでも 「とても品薄でお値打ち物だからです」と返されれば、 「それだけの物でしたら外で勧誘しなくても買い手は多いはずですよ」を。 買い手が多いのなら下らないお世辞でご機嫌取りなどする必要はないはずです。 お昼の書き入れ時というのに割引券を配っている マクドナルドの定員は見たことがありません。 店の中だけで精一杯ですからね。

もし契約を結ぶ気が無いのなら以下のいずれかで対処しましょう。 自分なりに簡単にアレンジできるはずです。

6.4 金利込みのトータルで考える

「月々2万円ですよ」という言葉にだまされないで下さい。 毎月2万円節約するのは至難の技です。 「たったの2万円」のように見えます。 でも、トータルでは、 3〜4年かけて総額にして100万円ぐらい搾り取られてしまいますよ。 車でも買った方がまだましです。

また、分割ですので、金利の相場も覚えて置きましょう。 みずほ銀行のローン金利 とかを見たらすぐにわかります。 2005年6月現在の相場は変動で2.57%程度です。

金利の低さは「どれだけお客様を信用しているか」を現します。 自分のお友達なら金利は0%にするはずです。 大手銀行は審査付きで返してくれそうな客だけに3%弱の金利でお金を貸しています。 一方で、 消費者金融(例えば武富士) では30%ぐらい平気で取って来ます。 免許書程度の個人情報だけしか担保にしておらず、 しかも連体保証人もいないので回収できない可能性が高くなります。 そのため金利が高くなります。

ちなみにレガーミのお姉さんが自ら指し示した金利は38%。 どういうことなのでしょうね。

6.5 商品の相場を知る

無色透明で無蛍光の0.5カラットのダイアモンドで25万程度が相場です。 大きいほど希少ですので、価格は重さに比例せず、1カラットにもなると100万程します。 ここまでは普通のお話です。

さて、 後で調べて「へぇ」と思ったことが、ファンシーダイアモンドについてです。 レガーミのお姉さんが言っていた 「ダイアモンドは無色透明が価値が高いです」と言うのはやっぱり嘘でした。 わたしも幼少に青白、赤、ピンク、 濃い黄色のダイアモンドを図鑑で目にしたことがあります。 実はこの種のダイアモンドはファンシーダイアモンドと呼ばれ、 普通の無色透明のダイアモンドに比べて極めて稀です。 従って街角の店頭に並ぶことはまず無く、 むしろ博物館や展示会の方が見つかりそうです。 もちろん流通量はごく少数で、しかもその価格は1000万以上。 オークションを通じて好事家しか手にしない代物になっています。

6.6 知識武装して攻める

加筆前の情報は全てインターネットで入手した物で、 たったの1時間で収集できてしまいます。 レガーミのお姉さんは1時間ぐらいかけて、 じっくりと話をしてくれるので、 この間に収集すると良い感じです。

相手はお得意のマシンガントークで地上戦を仕掛けて来ますから、 信用できるかどうか徹底的に調べて、 情報と常識と論理を駆使して空中から攻めてあげましょう。 会社説明の前にお話の方法について釘を刺しておく、 宝石と貸出金利の相場を知る、 分割支払ではなく総額で考えるだけでも十分に吟味できます。

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Last modified: Wed Jul 9 05:00:24 JST 2008