クラス人数の保育への影響について
(「ちいさいなかま」98年10月号より、りくパパが編集)

 
 

国の少子化対策特例金により、川崎市では、認可保育園3園の新設及び私立認可保育園の定員増などにより待機児童解消をめざす方針としています。私立認可保育園の定員増加では、工事期間のみの一時かもしれませんが、クラス規模が大きくなるところがあるようで、保育の質が低下するのでは、との不安の声が寄せられています。

ここでは、「ちいさいなかま98年10月号」「保育の質とは何か 7」(福島大学 大宮勇雄氏)「保育条件は子どもの発達条件」より,クラス人数の保育の質への影響をりくパパなりに抜粋してまとめましたので、紹介します。



この小論では、保育の人的条件と質との関係を明らかにした代表的研究であるアメリカの全国規模の調査結果(「保育センターの子どもたち−保育園全国調査最終レポート」1979年)(以下,「レポート」という)の中のクラス人数に対する調査結果が紹介されています。

この調査では、3歳児と4歳児のクラスを対象に、1クラスの子ども数として好条件の園として1クラス12人前後,悪条件の園として24人前後で比較しています。保育者と子どもの比率は,どちらも1対6から1対9程度です。(日本よりも恵まれている!)

(結果1)規模が大きくなると保育者と子どものやりとりが減る

 規模が大きいほど,保育者が子どもとやりとりする行動が減ることが分かったと言います。そして,保育者が子どもを観察している時間は,逆にクラス規模が小さくなるほど短くなるということです。
 「レポート」では,「『子どもの観察』は保育に欠かせないものだが・・・・・ここで認められた『子どもを見ている』行動の大半は,次の働きかけを効果的にするための意図的な観察ではなく,子どもの行動のあと追い的なものであった」としています。

これはクラスの人数が増えるほど,全体の子どもたちを把握し,安全を確保することに気を使うことになり,その分働きかけが減少することになると大宮氏は指摘しています。

(結果2)規模が小さいと活動に集中できる

 クラス規模が小さいほど,「考えたり工夫する活動」と「協力する行動」が増え,「課題的活動への不参加」「めあてのない行動」が減ったとの結果が出ています。また,子供同士の言い争いやけんかもクラス人数が少ないほど減っていました。
つまり,クラス人数が増加すると,落ちつきがなくなり,子どもの集中度が低下すると大宮氏は指摘しています。

(結果3)知能テストに規模の差が見られた

 言葉の理解力のテスト,図形/空間認知を調べるテストでも,クラス規模が小さいほうが保育期間による得点の上昇が大きいという結果が出ているとのことです。
これに対し,レポートでは「クラス規模の小さいことが自動的に子どもの得点を上昇させるのではなく,(図形認知の上昇は)子どもたちが能動的で,何かに熱中している時間の長いクラスで生じること,(言葉の理解の上昇は)子どもと多くの時間保育者が係わっているクラスで大きな得点上昇が生じることが明らかになった」と結論づけているとのことです。

(結論)

子どもが集中して行動できること,保育者が豊かなやりとりをすること,という2つの保育の質のためにクラス規模が大きいことは大きな妨害要因となってしまうと述べています。
 そしてレポートは「クラス16〜18人に保育者2人」という配置基準の法制化を提言したとのことです。(これに比べて,日本の20人に1人とはなんと低レベルなことか!)

最後に「『人的条件』が子どもの発達に及ぼす影響の大きさを物語るものです。いまの日本の最低基準の抜本的な改善,これは私たち大人の子どもに対する責任です。」と大宮氏は述べています。

 
 

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