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「少子化の進行とこれからの保育施策」
(川崎市児童福祉審議会意見具申、平成12年10月23日)


平成 12年 10月 23日  

  川崎市長 高橋 清  様


川崎市児童福祉審議会 

委員長 中島 忠三  


少子化の進行とこれからの保育施策

(意 見 具 申)
 

   近年の都市化や核家族化の進展などにより、子どもを取り巻く環境が大きく変化してお

  ります。

   女性の就労機会の増大や育児休業制度の整備などにより出産後も保育所等を利用して就

  労を継続する傾向が強くなっており、本市においても出生率が低下し、子どもの人口が減

  少しているにもかかわらず、保育需要は増大してきております。

   そこで、本審議会は、子どもの数の減少と多様化する保育ニーズへの対応について、審議

  を重ね、別紙のとおり意見を取りまとめましたので、児童福祉法第8条第4項の規定に基づき

   意見を具申いたします。

   本審議会が述べる意見について、速やかに実現されるよう強く要望いたします。 











目 次


    はじめに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1 
    1 川崎市の少子化の現状・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2 
      (1) 少子化の進行状況・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2 
      (2) 就学前児童の状況・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2 
      (3) 女性の終了状況・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3
    2 最近の保育行政の動向・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3 
      (1) 児童福祉法の改正と保育所の役割・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3 
      (2) 少子化対策推進基本方針と新エンゼルプラン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4
      (3) 現在求められている保育サービス・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4 
      (4) 保育所の規制緩和の動向・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6
      (1) 川崎市の保育の現状・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6 
      (2) 待機児童の現状と課題・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8 
      (3) 多様な保育サービスの充実・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9 
      (4) 利用しやすい保育所の整備・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 11 
      (5) 保育所運営の現状と課題・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 13
      (1) 多様な保育ニーズへの対応・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 15 
      (2) 利用しやすい保育所・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 16 
      (3) 幼稚園との連携・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 16
      (4) 認可外保育施設への支援と指導について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 16 
      (5) 公立保育所の弾力的運用と民間施設の拡充・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 16 
      (6) 保育所の評価システムの構築・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17

    はじめに

     川崎市児童福祉審議会は、平成9年6月に市長の諮問を受けて、「川崎市における総合的な子育て支援施策について検討を重ねて来た。
    その結果、「育つ力、育てる力を育むまち川崎をめざして」を基本目標に、少子化社会の子育て支援のあり方について、一定の考え方を答申した。その計画の一つひとつが施策に生かされることを願って、川崎市子育て支援施策の進行管理に当審議会が当たることを提言した。支援施策の進行管理に当審議会が当たることを提言した。その趣旨に沿って、平成11年度には、川崎市の児童虐待問題を取り上げ平成12年3月に「かけがえのない命と心を守るために」と題して、児童虐待の防止にむけた施策の提言をした。

     本年は、昨年末から国の緊急課題となっている新エンゼルプランによる少子化対策に沿って、川崎市の「少子化の進行とこれからの保育施策」をテーマに進行管理することとした。わが国の少子高齢化は、加速度的に進行し、人口の将来推計によれば、今後も児童人口は減り続け、まさに国の存亡をかけた事態にいたっている。このような事態に対応して、国は平成11年末に新エンゼルプランを発表し、緊急5ヵ年計画を、さらに平成16年度まで延長することとなった。平成6年の「エンゼルプラン」発表後、労働サイドでは、育児休業制度の充実・強化を、福祉サイドでは、保育所での受入れ促進や、地域の子育て支援の充実を重点とする施策を図ってきたが、平成11年の合計特殊出生率は過去制定の記録を更新するという結果になった。もとより、少子化対策は、児童福祉の領域だけで解決できる問題ではない。子どもを育てることへの価値観や社会全体の役割分業、とりわけ育児を容易にする労働環境の整備など総合的な取り組みが不可欠である。保育が果たす役割はその一部だが、国の少子化対策のうち、保育に関する重点施策である、低年齢児保育の受け入れ(待機児童の解消)、多様な保育ニーズへの対応及び地域の子育て支援を中心に現状と課題をさぐりながら、それらを包括する川崎市の保育行政のあり方を検討することとした。


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1 川崎市の少子化の現状

    (1) 少子化の進行状況

     川崎市の合計特殊出生率は、昭和55年以来全国平均を下回りつづけており、平成10年は川崎1.31、全国1.38、平成11年は川崎1.28、全国1.34である。
     出生率低下の直接的要因は、晩婚化、非婚化の進行といわれ、その背景については、種々の調査等で指摘されているところでもある。なかでも、女性の意識変化は著しく、育児の負担が個人に帰せられ、仕事と育児の両立等、個人の自己実現の妨げとなる状況が続くならば、少子化の傾向はさらに進むものと思われる。
     少子化の進行は、社会、経済に広く深く影響を及ぼす。少子化の進行に伴う少子・高齢社会の進行は川崎市にも見られる。川崎市の総人口は増加しているが、年少人口比(0〜14歳)は、平成10年13.9%、平成11年13.8%と減少し、反対に、老年人口比(65歳以上)は、11.4%、11.9%と増加している。
     少子・高齢化社会面、経済面で、子育ての負担を増やす環境を生み出し、それがまた少子化を促進するという「少子化スパイラル」 現象が、川崎市にも起きつつあるといえよう。この悪循環を断ち切るためにも、子育ての負担感を軽減し、安心して楽しく子育てのできる環境の整備が必要である。

    (2) 就学前児童の状況

     川崎市は、都市化や核家族化が進み、子育てする親が、血縁、地縁の支援を得ることが用意ではなく、孤立して不安な子育てをしていることが少なくない。特に、就学前の児童にあっては、親の地域における人間関係も希薄であり、育児不安が、過保護、過干渉、あるいは放任、虐待等を生み出している。母親が仕事を持つ持たないにかかわらず、0歳児からの、多様で柔軟な子育て支援が必要とされている。
     川崎市の0〜5歳児の人口の推移を見ると、平成2年の76,284人から、平成7年の70,411人と緩やかに現象していたが、以後増加を続け平成11年には74,069となっている。
     しかし、平成12年3月の「川崎市保育事業基礎調査報告書」(以下「報告書」という。)」によると、少子化傾向及び若い夫婦世代の転出入等の社会移動を反映し、平成13年の74,250人をピークに長期減少傾向を示し、平成25年には、57,850人と22%減を予測している
     また、保育需要率(子ども人口に対する保育を希望する児童数の割合)を考えると、平成11年は15.3%であるが、子どもを持つ母親の仕事を続ける意欲の高まりなどによって、年々上昇して平成20年には17.1%となり、それ以降も緩やかに上昇すると見込んでいる。
     これを、保育を希望する児童数に置き換えると、子どもの数の減少により、平成15年をピークとして横ばいから微減傾向になると見込んでいる。

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    (3) 女性の就労状況

     平成9年度の川崎市の調査では、15歳以上の女性人口 498,000人のうち 251,000人が有業者であり、50%強の女性が様々な形で就労している。
     これを年齢別労働力率で見ると、20〜24歳がピークとなり、30〜34歳の子育て期に最低になり、45〜49歳の子育て終了機に二つ目のピークを作り、以降徐々に下降するという、M字カーブがくっきりと描かれる。M字の最低位置の数値は、全国平均53.3%(平成7年)に対し、川崎市49.5%(平成7年)である。
     平成9年の国立社会保障・人口問題研究所の調査によると、未婚女性の27.2%は、「結婚し子どもを持つが、仕事も一生続ける」と子育てと仕事の両立を理想としているが、実際では15.5%と減少する。この理想と実際の差は、家事・育児は女性、仕事は男性というジェンダーが根強く存在し、「女性が望んでも不可能」「負担が大きすぎる」などの現実認識からのあきらめを示しているといえよう。
     こうした、家庭、地域、職場の現実が、個人の意識の変化のスピードに追いつかぬまま、未婚率は上昇し、晩婚化が進行する。このような状況は、全国的なもので、川崎市も同様と考えられる。このまま手をこまねいていれば、少子化の進行はますます加速すると思われる。
     しかし、平成12年2月の総理府の「少子化に関する世論調査」によれば、「結婚したら子どもを持つべきだ」と考える人が、男性87.4%、女性82.0%もあり、「結婚・出産を阻む要因を取り除くような環境整備をし、結果的に少子化の解消を期待すべきである」とする人が、男性55.5%、女性58.11%であることを受け止め、子育て環境整備のための保育施策の拡充が望まれる。

2 最近の保育行政の動向

     このように少子化が進行している現状から、地域の身近な子育て資源である保育所を有効活用し、子育てに対する社会的支援が求められている。保育施策においても「少子化社会にふさわしい保育システム」を目標として、児童福祉法の改正、エンゼルプラン、新エンゼルプランなどの施策が策定され、少子社会に対応する多様な保育サービスの提供に取り組むことが求められている。 

    (1) 児童福祉法の改正と保育所の役割

     平成10年4月1日、児童福祉法が一部改正され、保育制度においても、情報提供と利用者の選択、子育て家庭支援が強調されることとなった。こうした保育所制度の改正の意義と今後の課題について整理する。

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      @ 情報提供と利用者選択の保障(利用者主体の保育サービス)

       市町村の保育の実施責任を残しながら、保育所の情報をもとに保護者が保育所を選択できるとしたことは、利用者の選択する権利を確保するものとして、その意義は大きい。また、情報提供により、保育所の公表する保育内容に基づき、利用者が保育所を選択することから、今後各保育所の自己点検・自己評価を進める必要が高まると考えられる。

      A 子育て支援の拡充

       家庭や地域の子育て機能の低下等、児童や家庭を取り巻く環境は大きく変化し、保育需要の多様化が進行していることから、保育所の持つ保育資源を活用し、保育に関する情報提供や、乳幼児等の保育に関する相談・助言を行い、地域の子育て支援を行うよう努めることなった。

      B 保育における「利用者」の明確化

       保育所は、「保育に欠ける乳幼児を保育する」児童福祉施設であり、一義的利用者はその子どもである。同時に、保育所は、保護者の子育てと仕事の両立を支援する役割を担っていることから、保護者も利用者であると考えられる。こうした保護者と乳幼児の権利と利益が反するケースも存在している。そのため、エンゼルプラン推進の留意事項にみられるように、まず、子どもの利益を最大限に尊重されなければならない。

    (2) 少子化対策推進基本方針と新エンゼルプラン

     平成6年の「緊急保育対策第5ヵ年事業」が推進されたが、少子化は依然急速に進行している。こうした状況に対し、平成11年12月に少子化対策推進基本方針が決定された。この方針では、@結婚や出産の自由選択、A男女共同参画社会の形成及びB子育て家庭の支援等々を掲げている。さらに、具体的な広範にわたる少子化対策関連施策を、男女雇用機会均等を実現するための企業風土の是正、雇用環境の整備、安心して出産しゆとりをもって健やかに子育てできる家庭や地域環境の整備、利用者の多様な需要に応じた保育サービスの整備、教育の改革及び住宅対策の項目に分けて整理している。
     また、この基本方針に基づく具体的な実施計画として策定された新エンゼルプランは、平成16年度までの具体的な実施計画として数値目標を定めている。

    (3) 現在求められている保育サービス

     ここでは、これらの少子化対策推進基本方針や新エンゼルプランでとりあげられた施策を中心に、現在求められている保育サービスについて見ていく。

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      @ 乳児保育(0〜2歳の低年齢児保育)

       今日、女性の社会進出が進み、また核家族化が固定し家族構成員が減少している事実が示すように、働く母親の多くは、0歳から保育所に預けざるを得ない状況にある。
       昭和56年に「ベビーホテル問題」が浮上した後、保育所の乳児受け入れが拡充された。
       さらに、新エンゼルプランでは、平成12年度の0〜2歳の保育所受入れ枠を現状の58万人から、平成16年度に10万人増の68万人の目標値を掲げている。特に、都市部でみられるよう待機児童対策として、「少子化対策臨時特例交付金」の活用、保育所の設置主体制限の撤廃などの規制緩和、応急策として家庭的保育の導入を掲げている。今後、産休・育休明けから保育を推進する施策の強化が求められている。

      A 延長保育・夜間保育

       延長保育は通常の11時間を越える保育を、夜間保育は午後2時頃から午後10時までのおおむね8時間の保育をさすとしている。
       就労形態によっては、現状の延長保育や夜間保育での対応が困難な場合があり、より一層の保育ニーズに対応した対策を講じる必要がある。
       また、夜間保育所は、平成11年度に整理・統合された「特別保育事業」の保育所地域活動事業のなかに、その推進が含まれている。新エンゼルプランでは延長保育の推進として、平成11年度の7,000ヵ所から平成16年度には10,000ヵ所を目標値として掲げている。

      B 乳幼児健康支援一時預かり事業

       いわゆる「病後児保育」は、乳幼児健康支援デイサービス事業として緊急保育対策5か年事業のなかに数値目標(平成6年の30ヵ所から平成11年度の500ヵ所)が盛り込まれた。さらに、事業名は乳幼児健康支援一時預かり事業となり、新エンゼルプランでは平成16年度で500市町村への拡大を目指している。

      C 休日保育

       サービス業などは日曜日や祝日などにも勤務のある利用者に対応した休日保育も、そのニーズは高い。新エンゼルプランでは、平成11年度 100ヵ所であるものを拡大し平成16年度には 300ヵ所の目標値があげられている。

      D 多機能保育所等の整備

       充実した多様なサービスを提供できる多機能保育所の整備も、平成12年度までに、2,000ヵ所を目指し、新エンゼルプランに掲げられている。また、平成10年度から都市部の待機児童対策にも有効であると考えられる保育所分園方式が認められた。


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      E 在宅児も含めた子育て支援の推進

       保育サービスは、従来の保育に欠けるとされる利用者層だけでなく、社会的公平性の点からも、専業主婦層に対する子育てメニューの拡大が求められている。例えば、不定形の雇用形態に合わせた非提携保育の拡充が求められ、これは現行の保育所内でも空き定員分を活用することなどによって、直ちに行えるサービスの1つである。
       また、新エンゼルプランにも取り上げられている、緊急一時保育やリフレッシュ保育等の一時保育は、現状では無認可保育施設などが担っている部分が大きく、認可保育所での安定したサービスの供給が求められている。その他、新エンゼルプランでは、育児相談や育児サークル支援などを行う「地域子育て支援センター」(平成16年度に3,000ヵ所)、地域において子育ての相互援助活動を行う会員制の組織としての「ファミリー・サポート・センター」(平成16年度に180ヵ所)の整備、保護者が日中家庭にいない小学校低学年児童の放課後対策として「放課後児童クラブの推進」(平成16年度に11,500ヵ所)が掲げられている。

    (4) 保育所の規制緩和の動向

     平成10年度には行政改革推進本部の下に規制緩和委員会が設置され、平成10年度から平成12年度までに措置されるべき事項として「規制緩和推進3か年計画」が閣議決定された。保育施策関連では、福祉サービスの民間企業導入などが盛り込まれた。この3ヵ年計画はその後毎年改定されており、民間企業の参入のほか、認可保育所の賃貸方式の許容及び夜間保育所の推進(平成11年度措置)などが実施されてきている。
     さらに、平成12年7月26日には、行政改革推進本部・規制改革委員会から、「規制改革に関する論点公開」がなされ、保育所においても、以下の内容の論点が公開された。この論点は、@保育サービスの形態の多様化について、A民間企業の認可保育所参入条件の見直しについて、B保育サービスの質の確保について、の3点があげられている。
     また、保育所と幼稚園の関係のあり方についても、規制緩和の方向性がみられている。平成12年3月に「規制緩和推進3か年計画(再改定)」の閣議決定に呼応し、保育所と幼稚園が双方向で現状の業務を行うことが可能となっている。

3 川崎市の保育行政の現状と課題



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    (1) 川崎市の保育の現状

      @ 認可保育所

       川崎市の認可保育所の数は、平成12年4月現在公立88か所、市立21か所、合わせて109か所である。市立保育所の増改築による定員増を図り、現在、定員は10,215員を210人増やす計画があり、今年度中に定員は10,425人となる。
       また、平成13年度中に、定員150人の市立保育所を2か所建設することと、公設民営による定員120人の多機能型保育所(幼児教育センタ-と合築)1か所の計画が進行している。これらの完成により、定員はさらに420人増え、当初より630人の増になる。「かわさき子ども総合プラン」の定員を500人増やす計画は平成14年度で達成されることになる。平成12年4月1日現在の入所児童数は、公私あわせて10,109人である。定員に対する入所児童の割合は年々上昇し、ほぼ、100%の入所状況になっており、年度途中の育児休業明けや産休明け児童には対応しきれない事情が今日もある。

      A 認可外保育施設

        ア 地域保育園

         平成12年度4月現在、援護対象は、施設25園、児童は801人である。年齢の内訳は3歳児未満445人、3歳以上児356人であり、およそ6対4の割合で3歳未満児が多くなっている。
         この他、平成12年4月1日現在把握している援護対象外の保育施設が38か所。企業内保育施設は28か所(うち医療機関内保育施設の数や、そこを利用している児童数は流動的でもあり、把握されていない保育施設もあることが予想される。施設設備や保育者、保育サービスを含めて、認可外の保育施設の実態把握と指導に関しては、国を初めとして現在の課題となっている。
         地域保育園は認可保育所の定員枠からはみ出したために利用されている場合もあるが、利用者のニーズに対応している面から積極的に選択されている場合もある。低年齢児保育や長時間保育のように認可保育所が対応しきれない部分を、地域保育園がカバーしている面がある。一方、生活空間等の狭さや、調査結果にはみられない保育費用の問題その他の問題も含んでいる。

        イ 赤ちゃん安心おなかま保育室

         低年齢児(0歳〜2歳児)を対象に、家庭的な雰囲気の中で小グループによる保育を実施する、おなかま保育室は、平成12年4月現在、18室、定員261人である。今後、利用しやすい保育室として増設が望まれる。
         当初計画では保育需要の推移を見ながら13年度以降に段階的に縮小する方向であるが、依然として利用希望者がいる状況であり、保育需要の動向を見極めながら今後の方向性を検討する必要があると考える。


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        ウ 家庭保育福祉員(保育ママ)

         自宅で保護者に代わって保育する保育ママは、平成12年に11人であり、委託児童の定員は33人である。認可保育所並みの保育料で、家庭的な雰囲気の保育サービスが受けられるということは、幼い乳幼児にとって利点が多いと考えられる。今後も子育て家庭に対して、保育の選択肢のひとつとして保育ママの情報も広く伝えていくことが必要である。

    (2) 待機児童の現状と課題

      @ 待機児童の現状

       川崎市の待機児童数は平成12年4月で約870人であり、継続して統計がとれる、平成8年以降、入所児童数に占める割合を見ると、6%(602人)から8%(866人)へと微増傾向にある。
       年齢別に見ると、0歳、1歳など低年齢の待機児童が多い。また、地域別にみると、南部に比べ、東京都内への通勤者が多い新興住宅地として発展している北部で待機児童が多い。
       川崎市は平成8年から12年にかけて、緊急的施策として小規模の委託保育室「おなかま保育室」を18か所設置するなど、約450名の新た保育枠を作ったが、こうした努力にもかかわらず、待機児童は250名程度増加した。このことは、潜在的な保育需要が多いことを示している。
       これに対して、平成12年から13年にかけて保育所7か所の増築、川崎市北部に3か所の新設など、定員枠630名の増加を予定し、待機児童の解消を目指している。「かわさき子ども総合プラン」の定員を500人増やす計画は14年度で達成されることになり、保育所待機児童の解消に向けた市の努力は評価できる。
       ただし、現状の待機児童は、入所申請をしていて、保育に欠ける状態にあり、保育所の定員不足から保育所入所待ち状態である児童であるが、この外、入所申請をしていないが、保育に欠ける状態にあって、認可外保育施設(特に、援護対象外の地域保育園)に入園している児童についても入所児童と同様の配慮が望まれる。

      A 認可外保育施設(地域保育園)入園者の増加

       認可保育所の入所が難しいなかで、認可外保育施設(地域保育園)の入園者は、この4年間に急増している。平成7年以降、育児休業法が中小企業にも及んだといった影響もあるだろう。


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       川崎市は、一定の福祉的な基準を満たす認可外保育施設に対しては、独自の補助をしており、平成12年4月1日現在の援護対象の地域保育園に通園している児童数は801名である。また援護対象施設をこの4年間に7施設増やしている。
       しかし、より多く増えているのは、援護対象外の施設であり、この4年間に22施設から38施設に増えている。援護のない認可外保育施設に入園する児童の数は、市が把握している限りの数字であるが約1,100人、認可保育所入所児童定員を父母とすると、平成8年の6%から平成11年には11%にと大きく増えている。
       認可外保育施設入園者の3割は、認可保育所の空きがなかったため、認可外保育施設を選択したとしている(報告書)。また、その一方で、援護対象でない認可外保育施設(地域保育園)は、市の援助がないばかりでなく、保育士比率など、最低限のルールも不明確で、また監視体制も弱い。認可外保育施設が急増しているなか、現行の支援や監視体制の確立が望まれるところである。

    (3) 多様な保育サービスの充実

      @ 多様な需要に応える保育サービスの推進

        ア 延長保育

         平成12年4月現在で、公立保育所の80園(90.9%)、私立保育所の17園(81.0%)とほぼ前年で実施している。
         延長保育はかなり充実してきたとはいえ、利用者の要望に応えるためには一層の充実が望まれる。19:00以降の更なる延長保育を望む保護者の声は、今後大きくなることが予測される。この要望に応える努力の一方で、むやみに子どもの保育所での生活時間を長くするばかりでなく、子どもが親に保育される権利も保障されるように、親の勤務する企業の勤務時間等に配慮がなされるよう、関係機関に要望していくことは欠かせないと考える。

        イ 夜間保育

         川崎市には、通常保育時間を11:00〜22:00(延長保育は9:00から)とする夜間保育所が1か所ある。定員は30人であり平成12年5月1日現在、在籍は31人、待機児童が3人である。平成12年6月5日を例に利用時間をみると、登園は9:00台から始まり、降園は17:00台から始まって20:00台の在園は9名、21:30までに全員が降園していた。
         今後は、子どもの最善の利益を尊重し、夜間保育所を増設するよりも、利用しやすい地域の既存の保育所が、延長保育の更なる延長で対応していくことも考えられる。


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        ウ 休日保育

         親の職業によっては日曜・祝日が保護者の休日にならない場合もあり、認可保育所の改善希望として「夜間・休日保育の実施」を挙げる者が25%程度ある。子どもの保護者に養育される権利を守ることを含みつつ、認可保育所における休日保育の実施は前向きに検討する必要があろう。

        エ 乳幼児健康支援一時預かり

         川崎市では、乳幼児健康支援一時預かり事業を1か所で実施している。病後の乳幼児は不安な気持ちでいる場合もあり、病後の経過を丁寧に看ることも必要である。従って、職場の育児休暇制度の発展により、保護者によって健康回復まで世話をされることも含めて、親族や知人、保育サポート、乳幼児健康支援一時預かりなど、この時期の保育の選択に幅があることは必要である。特に乳幼児健康支援一時預かりの派遣方式の検討も考えられる。

      A 子育て支援の推進

       子育て支援の対象は、家庭で、また共同で、その他さまざまな子育てをしていこうとする子育て家庭に広がっている。川崎市でも多様な子育て支援を展開している。

        ア 保育所の地域子育て支援

         地域の子育て支援として、保育相談、園庭解放、園行事への参加、育児講座、絵本の貸し出し、子育て情報の提供、地域の子育てサークルや母親クラブとの交流や支援などを実施している。

        イ 地域子育て支援センター

         地域の子育て家庭に対する育児不安等の相談や子育てに関する情報の提供、更に子育てサークルなどの育成・支援の拠点として、平成10年4月、川崎区の夜間保育所に地域子育て支援センターを設置した。利用率が高く、平成16年度までに更に2か所を整備する予定である。
         また、地域子育て支援センターの中には、出産や病気、冠婚葬祭、急な残業の時などに、市民相互で子育ての援助をする「ふれあい子育てサポート事業」を、平成12年1月、川崎区、幸区を対象としてモデル実施している。これは、支援をしたい子育てヘルパー会員と利用会員である市民が相互で育児援助しあう活動を支援するシステムであり、今後の展開を期待したい事業である。


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        ウ 子育て自主グループへの助成

         地域の子育て支援機能を充実させるために、孤立しがちといわれる子育て中の保護者が、情報交換や仲間づくりができる子育て自主グループを育成するために、平成11年度より自主保育グループへの活動費を助成している。

      B その他の地域の子育て支援

        ア 一時保育

         保護者の都合により、週3日程度(非定型)又は緊急・一時的(緊急一時)に乳幼児を保育所で預かる一時保育を、平成12年4月現在2か所で実施している。両者の年間の利用者は全体で、5,254人であった。
         親の職業やその勤務形態は今後ますます多様化する傾向にある。従って、非定型の一時保育の増設への期待は大きい。利用する子どもにとっても、定期的に同一の保育所に通所できることは利点が多いと考えられる。保護者の疾病や出産、冠婚葬祭など、緊急・一時的保育が必要な状況は子どもにとっても不安な状況が推測される。従って、認可保育所の一時保育ばかりでなく、より家庭的なケアの可能性が高い、子育てヘルパーや保育ママ、赤ちゃん安心おなかま保育室などが利用できるシステムにしておくことは有効であると考えられる。

        イ 幼稚園

         幼稚園において、1日あたり2時間以上実施の「預かり保育」という地域の子育て支援が推進されている。平成12年5月1日現在では、全幼稚園108園の中の44園の実施となっている。各幼稚園の1日あたりの平均利用者数は12人である。幼稚園の設備や保育プログラムは、幼児が長時間生活することに対応していない。従って、今後預かり保育を推進していくにあたっての課題は、長時間の保育に対応する設備の整備と、保育者と保育の質の確保である。それには、長時間保育のノウハウに関する蓄積がある保育所の協力は有効と考えられる。
         また、その他の地域子育て支援としては、幼稚園における幼児教育で蓄積された資源を生かした地域の子育て相談や、地域の子ども数の減少によりゆとりのできた保育室の有効活用となる定型的な一時保育や、自主保育グループへの活動の場の提供など、期待されることは多くある。

    (4) 利用しやすい保育所の整備

     保育所は保護者の就労等で保育に欠ける子どもが、日中を中心に家庭の代わりに生活する場である。すなわち、保育所の一義的利用者は子どもである。子どもにとって利用しやすい、すなわち生活しやすい保育所を整備することが最も重視されるべき事項である。


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     保護者は自分たちの子どもにとって、家庭に変わる最善の生活の場を選択し、子どもに提供することを尊重しながら、親自身にとっての利用しやすさを求める。子育てと、就労、その他大人としての社会生活とを両立させようとする親にとって、利用しやすい保育所を整備することも重要である。

      @ 利用者は子どもであるという視点から

       利用しやすい保育所とは、本来子どもにとって利用しやすい保育所ということになる。子どもが自らの言葉で利用しやすい保育所の条件を挙げることは困難であるが、一般的にいえば、「子どもが大切にされ、安心して、心地よく過ごすことができ、成長・発達に必要な経験をのびのびとすることが保障されている」ということになる。
       親の保育所選びの基準の第1位は「保育内容が充実している」ことである(報告書)。子どもの生活を大切に考え、保育内容の質の良さを求めている親の意識をはっきりとみることができる。認可保育所の良さを生かしつつ、一層の改善と工夫が求められるところである。

      A 必要な時に利用できる保育所受入れ枠の整備

       川崎市の保育所の利用率は非常に高く、年度途中で育休又は産休が明ける、その他保育に欠ける状況が発生した場合に、その時点で入所できる可能性が低い。一方で保育所入所希望待機児の数も多い。今年度及び来年度の大幅な定員増が予定されているが、入所希望待機児童が解消されるとともに、年度途中の入所が可能となる受入れ枠が整備されることが望まれる。

      B 保育所の立地条件

       保育所を整備する条件として親たちが強く望んでいることに、「近くに公園があること」「交通量が少ない道路に面していること」と「通勤に便利な駅周辺」ということである。これらは、利用しやすさに通じるものであり、今後の保育所の整備には参考となる。

      C 保育サービスに関する情報提供

       川崎市では保育所や幼稚園等の子どもが利用する施設について、利用や選択がしやすくなるよう、平成10年度に「保育所入所案内」を作成し、福祉事務所に配布しており、平成12年3月からは、市のホームページにより、保育所の情報を提供し、市民の利便を図っている。
       その他、子育てに関する行政情報や子育てグループの情報、イベント、育児講座情報など、地域に密着した情報を総合的かつ即時に提供できるよう、平成11年6月から地域子育て支援センターにおいて、インターネットによる子育て情報の提供を実施している。


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     一方、平成12年度には、利用しやすさを考慮して、情報の内容を改善した「子育てガイドブック」を作成し、子どもを出産する家庭に各区保健所・ブランチを通して配布している。
     これらの子育て情報を、公共施設ばかりでなく商業施設等でも提供できる方策を検討する必要がある。インターネットを利用できる者は現時点では限られている。従って、広報や公共施設はもとより、誰でも利用できる商業施設等における提供も早急に始めることを求めたい。

    (5) 保育所運営の現状と課題

      @ 運営形態の問題

       川崎市の認可保育所は現在、公立88か所、民間21か所、計109か所である。これに家庭保育福祉員や認可外保育施設の地域保育園などが、保育を必要とする子どもの保育に当たっているが、保育をになう中核は認可保育所である。川崎市の場合公立保育所は80.7%、民間保育所は19.3%で、公立の占める割合は極めて高いといえる。
       国の報告によれば、平成11年4月1日現在の都道府県、指定都市、中核市における保育所設置状況は次の通りである。
      公立保育所 80%台 私立保育所 20%以下 8自治体
      70%台 30%以下16自治体
      60%台 40%以下14自治体
      50%台 50%以下 9自治体
      40%台 60%以下12自治体
      30%台 70%以下12自治体
      20%台 80%以下 4自治体
      10%台 90%以下 7自治体
      9%台 91%以下 2自治体

       公立保育所の割合が10%台又はそれ以下の自治体は、九州方面に多いようであるが、全国的な傾向としては公立60%〜50%、民間40%〜50%と思われる。公立80%以上の8自治体の中には川崎市以外、指定都市は含まれていない。
       川崎市の0歳児の受入れ率は、全国の自治体中2位という高い率である。1〜2歳児の受け入れも上位(84自治体中15位以内、平成11年4月現在の厚生省報告)にあり、さらに産休明け保育も他都市より進んでいる。これは川崎市が他都市に先駆けて公立施設を次々と建設し、乳児保育を実践してきた成果であるともいえる。しかし、今日、川崎市は保育所待機児童を多く抱えた自治体のうちに入り、少子化対策の重点施策である待機児童の解消には、今以上の低年齢児受入れを促進しなければならない状況にある。


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      A 川崎市の公立保育所の課題

       川崎市は、昭和48年から54年にかけて、年平均5か所以上の公立保育所を建設してきたため、施設の老朽化も急ピッチで進んでいる。古い保育所の建て替えと需要に見合う新しい保育所の建設を同時進行させていくにあたり、川崎市の保育所が抱えている大きな課題がある。それは保育所運営費の市負担金が他の指定都市に比べて非常に多く、市の財政を圧迫していることである。平成9年にはその状況を改善するために保護者の保育料軽減率を引き下げたが、当時から「児童の処遇向上のため市が負担する費用」の約9割が人件費であることが問題となっていた。
       公立保育所の職員配置基準については、産休明け保育、年休代替要員、休憩休息要員が国基準よりも多く配置されているほか、国基準にはない用務員、栄養士の配置もなされており、各交代要員は国はパートで算出しているが、川崎市の公立保育所はフルタイムの要員を配置している。さらに私立保育所と比較してみると公立保育所は産休明け保育に保育士の配置が厚く、保育士以外の職種の職員配置も厚いことがわかる。
       私立保育所においても、川崎市の基準に準じて、国基準を上回る保育士等の職員配置がなされている。
       保育所運営費の公私比較をすると、120名定員の保育所で年間約7千万円、公立保育所の総運営費が多くかかるという資産がある。理由としては、公立保育所の保育士の年齢が、私立保育所と比較して高いため、人件費に係わる経費が多くなっている。

      B 保育士職の公私の比率と課題

       下表は平成11年の川崎市保育士職の年齢別職員数(全職員における比率)を整理したものである。
      公立保育所私立保育所
      20歳代344名26.3%211名64.3%
      20〜24歳123名 9.3%113名34.5%
      30歳代331名25.2% 81名24.7%
      40歳代467名35.5% 25名 7.6%
      50歳代172名13.0% 11名 3.4%


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       30歳代は公立、私立ともにほぼ同じ比率であるが、公立は40歳以上の保育士が約半数近く、私立は約65%を20歳代の保育士が占めていることがわかる。特に20〜24歳の若い保育士の比率の差が顕著であり、公立保育所は主として30歳以上の保育士が私立保育所は主として30歳以下の保育士が保育をしている状況がうかがえる。
       平均年齢は公私で10歳の差があり、このような実態から、公立保育所の人権費は増大する一方で、今後の保育施策に多大な影響をおよぼすことも考えられる。
       現行体制では、人件費を負担することに追われ、待機児童解消に向けた保育所の増設をはじめ、子育て支援センター、一時保育、夜間保育など多様な保育ニーズへの柔軟な対応が困難となる。

4 川崎市の今後の保育施策のあり方

 川崎市の保育行政の主流は、公立保育所の充実といった、他都市と比べても誇れる形で行われてきた。一方で、公立では保育士をはじめ保育に関わる人材すべてが、「公務員」という形で身分保障され、リストラ等の対応で経費の節減をはじめ、各種改革に手をつけている民間と比較した場合、その身分保障された人件費が、川崎市の保育行政を圧迫していることは否めない。もちろん、身分保障は働く人にとっては大切なものであり、「保障をなくせ」という立場にはないが、なんらかの方向を探し出すことが必要である。
 こうした状況のなか、現在直面している待機児童解消策をはじめ、少子化社会に対応する保育施策をたてることは、困難な作業である。一般には、公民を問わず、施設の拡充が解消の決め手になり得るが、少子化により、今後子どもが減少することが予想されている今、単に施設を増やすことだけで対処することは、好ましい将来設計とは言いがたい。
 特に、昨今の児童虐待や認可外保育施設でのさまざまな問題が表面化するに至っては、「施設を増やせば」「補助金を増やせば」といった施策だけで事足りるといった安易な方法での解決策は、川崎市の保育行政に汚点を残すことになりかねない。
 こうした諸問題を含め、これまで1〜4章で多角的に保育行政を研究、検討を重ねてきたが、以下の点について施策に反映することが望まれる。

    (1) 多様な保育ニーズへの対応

     保育に関しては、入所児童の保護者の職業・生活環境などにより、そのニーズは多様で、行き着く先は「24時間、いつでも、なんでもあり」となる可能性があり、すべてを満たすことは不可能であり、行政サービスの範疇を超えるものといえる。しかし、延長保育一時預かり、休日保育などについては、一歩進んだ取り組みを必要としていることも事実である。


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     これらのニーズに応えるべく、特に公立での改善が今後の課題となる。加えて、民間の認可保育所との連携を深め、いわゆる「多機能型保育センター(仮名)」を拠点に設置することで、多様な保育ニーズに応えることも必要となる。

    (2) 利用しやすい保育所

     子どもを預けやすく、受け取りやすい、通勤途上にあり交通の利便性のよい保育所の設置が望まれている。
     しかし、駅前の一等地での運営となると、その設置費等が多大になる。まして、公立保育所で、この要望に応えるためには、その規模と運営両面での柔軟な対応が必要となる。
     公立の場合、その性格上、運営や保育内容が画一的になり易く、柔軟な施策を展開するためには、民間活力の導入も検討する必要がある。運営などにも幅ができ、(1)で述べた「多様な保育ニーズ」にも応えやすくなるとともに、待機児童解消への道も開け、保育行政の新しい一面での展開が可能になると思われる。

    (3) 幼稚園との連携

     少子化が進むことが見通されている現在、将来は幼稚園の縮小といったことも考えられる。幼稚園が文部省、保育所が厚生省と管轄省庁が異なるが、最近では、幼保が連携する兆しが見えている。その中で、川崎市でも検討委員会を設置して、積極的な展開を図り、既存施設の有効利用の道を開くことが必要である。

    (4) 認可外保育施設への支援と指導について

     認可外保育施設の利用者は、認可保育所に入れなかったために利用している場合もあり、また、利用者のニーズにあった柔軟なサービスを提供していることなどから、利用者が自ら選択し入所している面もある。
     広く子どもの保育という視点に立てば「どの立場の保育施設でも」十分な手当てと指導を行えることが、肝心であり、川崎市独自の政策を模索することが急がれる。

    (5) 公立保育所の弾力的運用と民間施設の拡充

     公立の運営費がかさむ事情は、前文の公立保育所の課題のなかでも触れたが、職員配置、人件費の増大等の面から保育行政に係わる運営総費用の再配分の検討も必要に迫られている。
     また、配置分の見直しの途上では、運営形式そのものの見直しも可能となり、再配分の形式を採る採らないに係わらず、全体像の見直しに直結、弾力的な運営への第一歩と考え、規制緩和が進むなか、公立も民間も新しい方向に求められている。


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     今後は、保育需要に対応した適性な保育所の再配置を図るとともに、少子化社会における多様な保育需要に対応するため

    1 新たに保育所を設置する場合は民間運営によるものとする。
    1 弾力的な運営の手法として、公立保育所の民営化の推進を検討する。
    1 公立保育所の職員を活用して、地域保育園をはじめ、民営化した園の助言・指導を行うシステムを構築する。

     システムの改革には痛みがつきものだが、社会の仕組みが様変わりするなか、公立保育所だけが旧態依然のまま推移することは不可能である。少子・高齢化に伴い、女性の社会参加が一般と進む社会情勢にある今、「子ども権利条例」を持とうとしている川崎市としては、公私の保育所が協力しあい、全国の保育行政の範となる保育行政システムを作りあげ、保育をより活用あるものとする。

    (6) 保育所の評価システムの構築

     これからの保育所運営には、机上では捕らえられない諸問題の発生なども予想され、さらにより良いシステム模索のためにも、保育所の評価システムの構築が急がれる。
     保育所の真の利用者は子どもであって、親は必ずしも子どもの代弁者ではなく、保育士も子どもの代弁者とは言いがたい。まして、保育が利益を生じがたい事業という観点に立てば、保育システムの障害から生ずる不利益を子どもが被ることは絶対に回避しなければならない。よって、各保育所の自己点検、自己評価に加え、被保育児童、保護者、第三者による総合評価が必要となっている。
     総合評価が日常化されることにより、児童虐待や怠慢保育などの問題点も併せてチェックできるシステムを持つことで、公立、私立、認可、認可外を問わず保育の質の向上にもつながると考える。
     安全で質の高い保育行政を求めるためにも、評価システム導入を検討、実施するために、プロジェクトなどの設置が急務となっている。


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児童福祉審議会での審議経過

平成12年6月9日(総会・第2部会) かわさき子ども総合プランの進行管理の一環として、少子化の進行と保育施策をテーマとして取り上げ、審議してい
くことを決議した。
平成12年 6月30日(第2部会) 川崎市における保育の現状と課題、保育事業基礎調査報告書の概要等の報告
平成12年 7月18日(第2部会) 待機児の状況と解消の考え方、保育所申請・入所児童の見込等について
平成12年 7月26日(第2部会) 保育事業基礎調査から求められている保育サービス、少子化社会において求められている保育サービスについて
平成12年 8月 2日(第2部会) 保育施策と財政負担について
平成12年 8月31日(第2部会) 少子化の進行と保育施策に関する意見具申(案)の取りまとめについて
平成12年 9月 5日(第2部会) 少子化の進行と保育施策に関する意見具申(案)の取りまとめについて
平成12年 9月26日(第2部会) 少子化の進行と保育施策に関する意見具申(案)の取りまとめについて
平成12年10月 3日(第2部会) 少子化の進行とこれからの保育施策に関する意見具申について




川崎市児童福祉審議会委員名簿

   氏 名           職  名  等 部会
 委員長  中島 忠三   川崎市子ども会連盟連盟長 2
 委 員  秋山 薫   川崎市PTA連絡協議会副会長 1
 委 員  岩崎 隆久   神奈川新聞社川崎支局総局長 2
 委 員  海野恵美子   (財)川崎市母子寡婦福祉協議会理事長 1
 委 員  太田黒昔生   太田黒昔生法律事務所弁護士 3
 委 員  金井 剛   横浜市立大学医学部付属病院小児精神科医  1
 委 員  栗山 覚  (社)川崎市医師会会長 1
 委 員  小林 育子  聖セシリア女子短期大学幼児教育学科教授  2
 委 員  齋藤 俊一  横浜家庭裁判所家事調停委員 3
 委 員  柴田 頼子  フリーライター 2
 委 員  島田 武三  児童養護施設新日本学園長 1
 委 員  庄司 順一  青山学院大学文学部教育学科教授 3
 委 員  鈴木 力  聖徳大学短期大学部保育科専任講師 2
 委 員  瀧口 桂子  東海大学健康科学部教授 3
 委 員  永瀬 伸子  お茶の水女子大学生活科学部助教授 2
 委 員  中村 美津子   和泉短期大学児童福祉学科教授 2
 委 員  萩原 保夫  川崎市民生・児童委員協議会副会長 1
 委 員  松田 滋充  川崎市中学校校長会副会長 3
 委 員  宮田 進  川崎市小学校校長会顧問 1



川崎市児童福祉審議会第2部会委員名簿

    氏  名
 部 会 長  小 林 育 子 
 副 部 会 長  柴 田 頼 子 
 委   員  岩 崎 隆 久 
 委   員  鈴 木  力  
 委   員  中 島 忠 三 
 委   員  永 瀬 伸 子 
 委   員  中 村 美 津 子 



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