debatr9.htm デベートでGO! 2001年
新春「ガニマタ」考 「ガニマタ」と「てん足」 イベリアの理髪師 ここに、スペインのタルゴと、マドリッド近郊を走る通勤電車の写真がある。 これは今では、もうふた昔ほどむかし、イベリア半島を貧乏旅行した折の写真 である。これに限らず、イベリア半島の車輌は、実に堂々として安定感がある。![]()
当時は古い車輌もたくさん残っていて、グラナダ−マドリッド間でお世話になっ た寝台列車など、1930年代の車輌ばかりの古めかしい編成で、台車などゲルリ ッツ式の軸緩衝装置に板バネを採用した旧式なものだった。 もちろん空気まくら バネだの、オイルダンパーなどという結構なものは付いていなかった。 乗り心地はいかに? と思ったが、金属バネだし、昔の日本の鉄道の様につなぎ 目の多いレールから来るカタンカタンというリズミカルな響きはあったが、不快な ものではない。 螺旋式連結器とバッファ採用だから、出発停車時にガチャガチャ、 ゴーンなどという旅客も貨物も一緒くたに取り扱う、どこかの国の低サービス車輌 の様な衝撃が無いのは当然だが、 驚異的なのは車体の揺れが圧倒的に少ない事だ った。 これはもう日本の誇る(戦前の軍部の様に、世界の基準から隔絶孤立した狭い 世界で、勝手に誇っているだけと云う感じもするが)20系だの12系の寝台車 等(寝台電車5**系なぞは、ありゃ論外)は、わざと何か、乗客揺り起こし装置 でも付けて、走っているのでは無いかと思ったぐらいだ。 日本のJR以下、多数の私鉄が採用している1067mm軌間の車輌限界いっぱ いのデカイ車体に狭い軌間の車輌と,単純に比較して言っているわけではない。 同じ年代で、他の欧州諸国の同じ条件の車輌と比較しても揺れは少ない。理由は 簡単。 御存知のようにイベリア半島の鉄道は、一部のナローゲージの鉄道を除け ば1667mmの広軌鉄道を採用しており、他の欧州諸国の標準軌とほとんど同じ サイズの車体に 1667mmの広軌を採用しているのだから、揺れが少ない安定 した走りをするのは、しごく当然な話といえる。 これは、ナポレオンの侵略に懲りたイベリアの2国が、国防安全上の見地か ら他の欧州各国とは異なったゲージを採用したのだと言われているためで、同じ 理由からだろうか、ロシアの鉄道のゲージも標準軌道ではない。 なお、電化区間の架線電圧も直流3000Vと変わっている。 ここで話は突然日本へ飛ぶ 私がよく利用する京浜急行は標準軌1435mmで、ここの特急は東京の下町を縫う ように曲がりくねった路線をしばしば120Km/hぐらいで軽快に飛ばす。 鈍重な感 じのJR電車より加速も良く揺れも断然少ない。 それに上回りと、しっかりした 下回りのスタイルのバランスは軽快そのものだ。 関西の、例えば近鉄や阪神の車 輌を見てもそう思う。 手持ちの資料から、各国の軌間幅と車体幅の比のリストを作ってみた。 このリストは少ない資料で、貨車や特殊な車輌は除いた大体の目安という事を お断りしておく。 日本の標準軌1435mm車輌の車輌幅と軌道幅の比は 約1.9ー2.0位 スペイン等の広軌鉄道ではこの比は 約1.8ー2.0位 これに比べ1067mm軌間の私鉄、旧国鉄、JRでは 約2.5ー2.7位 ちなみに欧州や旧満鉄、ロシアなどではこの比は 約2.1ー2.3位 北米(アメリカやカナダ)の鉄道は少し大柄で 約2.2ー2.4位 日本の標準軌の私鉄車輌の軌間:車体幅の比率は、イベリア諸国の鉄道とほぼ 同じことが解ります。 本来なら、標準軌で対応しなければならなかった、高い人口密度と高度産業化 社会の日本で要求されてきた大きな輸送力。 その上、更に最近のJRのスーパ何 とかという特急電車で見られるような、より広い居住性と、変な「見てくれ」を狭 い軌道幅の上で車輌限界いっぱいに押し込まざるを得ない現実があるのだろう。 旧中国の清朝時代の因習である女性の「てん足」みたいで、痛々しい。 おことわり:だから、永久に赤字が約束さている、土建業者救済の馬鹿げた整備新幹線 を作ろう、なんて主張しているわけではありません。 あの丸々と太った豚みたいな車体に、病み上がりみたいな貧弱な下回りがアンバ ランスの「スーパーひたち」、だの「スーパーあずさ」なんて車輌を前からみると 転けてしまうんじゃないかと、乗る度にとても心配デス。 それに高々130Km/h位 の速度でヨチヨチ走ったぐらいで、左右にグラグラ揺れのひどいこと。
日本の1067mm軌間の車輌は、このような奇形的形態を宿命的に負っている 事を日本人フアンの気持では、実のところ納得し難い。 しかし、残念ながら歴然 とした事実である。 しかし、それを「キュとしまった足まわり!」だの、「狭軌間のリアルな表現」 などと、喜ぶ方々も多いらしく、労してわざわざ13mmに縮めたり、超高価でも HOjが結構商売になるらしい。 まあ13mmでもHOjでも、はたまた奇怪 なTT9mmでも、自由にやって悪いことは、むろん何も無い。 中国の清朝時代の因習だった女性の「てん足」も、清朝の時代は美人の 条件で あり、それが善でもあり、それが無いと嫁のもらい手もなかった、とか言われてい たそうだ。 しかし、16番ゲージや日本式0番ゲージが「ガニマタ車輌」ウンヌンとか 「スケールから見ておかしい」とか何とか、どこかの本に書いてあった事を、馬鹿 の一つ覚みたいにエラソーに講釈をされるのは真っ平御免ですな。 まして、HOjとは世界基準の1/87であり、1/80なんて・・云々等と、 ありふれた事を付け加えたりすると「こいつらバッカじなかゃろか」と思いますね。 正直なところ、日本の狭い閉じられた世界で完結してしまい、その中で自分が 関わる、JR中心の鉄道模型だけしか見えない人達なのだろう。 また、大量に売れる見込みのある日本型は、既に出尽くした飽食のこの時代でも、 何か目先の変わった物を出せば売れるという模型業界の生き残り宣伝戦略でもあ る。 鉄道模型に世界規格なんてありません。 パソコンと同じで先に作って、たく さん売った奴の決めた事が、いわゆる規格らしき物なって、それをみんなが規格と 信じているだけ。 その程度の物を金科玉条にしてありがたがるこの世界を、以前 クラブ・ジョーダンのP氏が、鉄道模型界の「権威主義」,「たこつぼ主義」と 喝破したら物議をかもしたとか。 私みたいに日本の車輌の模型化は1/80車体に16.5mmの組み合わせが、 バランスがとれて美しいと思うし、畳敷き仮設レールでも走行安定性にも優れて いると思っている。 これは事実でもある。(Nゲージも1/150と9mmの組 み合わせが良い) それを何故、わざわざ実物にまねて、醜い、奇形の「てん足」 的車輌にしなければならないのか。 そんな物は博物館の展示用か、「ガニマタ」 嫌いのあなた方の鑑賞用、あるいはコレクター用で十分ですヨ。 それに何も、わたしら日本の(それもJR中心の)鉄道模型だけを作ったり、走 らせて、楽しんでいるわけではないのでネ。 世界の鉄道には、南北アメリカ大陸 も、欧州も、アフリカも、インドも、ベトナムも、ブータンも(おっとブータンに は鉄道はないか)あるのです。 これらの世界の鉄道が、みんな模型車輌となって ”同じ線路を走れる”なんて16番ゲージとは、なんとおおらかで凡世界的な 規格(?)なのでありましょうか。 これを作った先人は、さすがにエライ! 最後に、わたしの16番ゲージは正真正銘のHOゲージです。 ”いわゆる” なんて言葉がが付く、HOゲージではアリマセン。 すなわちHOゲージ= Hontoni Omoroi ゲージと申します。 尚、ビジネス特許などはありませんので、だれでもご自由にどうぞ。 01年1月1日 何故に蒸し返すようなことを? 田舎野 久六 イベリアの理髪師なる訳のわからぬ変なおじさんが「ガニマタ…」なる記事 (反論を求めてのエサ撒きにも思えるのだが…)を書いておられたので敵の予想 どうり私が乗ってみた次第です。 縮尺とゲージの話しは過去にTMSを中心とする模型雑誌で何度も論議されて おり、それを踏まえた上で今の1/80 13mm、1/87 12mm,1/45 24mm が存在しているのですよ。ゲージを云々…挙句の果てはてん足、否、奇形だと公言 されるのであれば、イベリアの散発屋さんはもはや独善的、唯我的だと言わざる を得ないでしょう。 あるがままに縮小して模型を作って「何が悪い!」…正直な気持ちと言うより、 当たり前のことではないでしょうか。日本には昔から1/80という模型化に最適 なスケールがあり、この16.5mmのガニマタに飽き足らない人々がかって白鳥氏 の提唱された13mmゲージを採用しているのです。 「あるがままの見たままの姿 を模型化したい」と思うのは万人共通の思いだと思います。但し、あくまでも抽象 画的に表現したいと望まれるのであれば話は別ですよ。 アメリカ型1/87 16.5mmに合わせて、日本型1/87 12mmを採用するの も結構なことですが、アメリカの大型機と日本の9600を並べて、「アメリカと日本 の車両限界は大きさがこんなに違うことを実感出来る。」等の必然性はどこにある のか。自分のレイアウトに日本線と米国線を日常的に併走させようとでも思ってい るのでしょうか。大きさの比較なら店でも出来るし、一回見れば十分でしょう。 13mm(日本の1067mmゲージの車体縮尺1/80と同じ縮尺です)を採用され ている方は外国の鉄道車両限界にも当然のごとく精通しているのです。散発屋さ んの言われる「狭くて可哀想!」なんて思っておりません。慣れ親しんだ対象こ そ我々の脳裏に焼き付けられた極自然の形なのですから。むしろ、この狭いゲー ジでよくぞここまで大きな車両を作れるようになったものだ!!と感歎の声さえ 挙げたいくらいですぞ! 私もイギリスで彼地の客車等見ておりますがイギリスでは車体寸法は日本国鉄 の20系より一回りも小さいのです。但し、車体の乗っている位置(高さ)は30cm も高いのです。我々スケールモデラーも大きな車体に狭い下回りということは十分 承知しております。そして、低いトラックの上に載っているナローだということも 十分承知の上で車体、ゲージともにありのまま正しい縮尺で作ったり、狭めたりし ているのです。とても自然な気持ちで。 散発屋さんは1672mmのスペインも1000mmのタイも同じ16.5のレールの上に 載せたいらしいのですが、1/80としても実質672mmの差はどうするねん? 672mmあれば、ナローの一つも乗ってまうでえ!まして氏の好きなスペイン国 鉄の車両はみんな纏足になってしまうではないか? 19mmを採用してこそ氏の 言う実に堂々とした姿になるのではないのでしょうか。これは13mm採用と同じ 発想ですよ。氏がジョーダンの会員か否かは知りませんが、おおらかに楽しむの であれば、ガニマタを許容するご自分も含め、正しいスケールの鉄道模型をおお らかに楽しんでいる我々の考え方を柔軟に受容する心を求めたいものです。 「こ いつバッカじゃなかろうか」に至ってはまさに蛸壺的排他的独善的としか言い様 がありません。まさに旧日本陸軍的発想でしょう。 「よく揺れる」…これはゲージのせいではありません。狭いながらも強度狭軌 を目指さなかったからで、軸重15トンチョイでは致し方ない所以です。せめて 狭軌ながらも軌道負担力22トンを許していれば、揺れも少なく、200Km/h走行だ って可能だったのですが…。 まあ、実物の出来えなかった夢は置いといて模型に戻って、ローカル線の終点 の農業倉庫側線にポツンとたたずむたった一両の「ワ」、このレイアウトセクショ ンを作るとなると狭軌表現をしないと一枚の完成した「絵」にならないのですよ ねえ。 風景さえも縮尺の中にあるのです。 もう一度、我々は申し上げます。「ありのままの姿を模型化したい。」…と。 01年1月16日投稿 <目次にもどる>