#26 1万キロの旅(前編 2005年の走り初め) 
Monster 800S i.e.の走行距離が、もうすぐ10,000kmになる。
9,500kmを超えた頃から、10,000kmめをどこで迎えるか、いろいろ考えるようになった。
あと224km、というところでちょっと他の方の意見を伺ってみたところ
・ひたすら伊豆方面へ走れば下田辺りで達成(帰りが辛そうである)
・お台場(10往復ぐらいでしょうか、とのことだが…)
自分としては、大洗に行ってみたいなあ、などど思っていたが、まとまった時間が取れず、近場に外出を繰り返すうち、あと150km、というところまで来てしまった。
そして2005年の年明け…これは走り初めで10,000kmを達成するしかない。
大晦日の雪もほぼ解けたと思われる朝、私は夫(今回は「9R」のおっちゃん)と共に三浦を目指して出発した。
往路は、箱根駅伝のルートを横目に見ながら、国道16号から134号へ。
城ヶ島へ行く時に通るのと同じルート。
走り初めと思しき、何台ものバイクと出会いながら、暖かい日射しの中を走る。
分厚い真冬用のグローブや、革パンよりちょっとシート上ですべるオーバーパンツの使い勝手を思い出すように、丁寧に運転してみる。
風は強く、いろいろなものが飛んでくるし、停止するたびに横から煽られて転倒しそうだしでちょっと怖い。
冬の海は、色とりどりのウィンドサーフィンを浮かべて輝いている。
ゆっくり眺めることはできないけれど、海岸線を走るのは大好き。
しかし、気を抜くと、9Rはさっさと視界から消えてしまう。
潮の香りを感じながら、ちょっと気合いを入れて走る。
でも、なんだかおかしい。
ろうそくの燃えるニオイがするのだ。
この辺りでは、お正月に海岸でろうそくを灯す風習でもあるんだろうか?
でも、真っ昼間に?
走っても走ってもろうそくの匂い、というか、パラフィンの臭いが離れない。
信号待ちで、夫の隣に停車し、パラフィンの臭いがするんだけど、私、どこか燃えてる?と聞いてみた。
しげしげと私(とモンスター)を眺め回した夫に、ちょっと停めよう、と言われ、路肩でエンジンを切って、バイクを歩道に寄せた。
「ビニール袋が張り付いてる。」
え?
のぞき込むと、ビニール袋がエキゾーストパイプにからみつき、溶けていた。
ビニール袋は透明なのだが、エキパイは黄色がかった粘膜に覆われたみたいになっている。…はっきり言って、オカルトである。
強風で、いつの間にか巻き込んでしまったのだ。
取り合えずビニール袋をはぎ取り、つまんで取れる粘膜(泣笑)は取り除いてみたが、根本的な解決策にはならない。
「引き返そう。家で、取れるだけ取って、後はバイクショップ行って、溶剤でふき取ってもらうしかない。」
「走ってるうちに燃え尽きるかもしれんしな。」
おっちゃんは意外と気楽である。
そんな訳で、10,000kmを達成するはずの走り初めは、大変不本意な形で中断となった。
帰路は第三京浜に乗ったが、都筑P.A.で見てみると、ビニール袋はあらかた燃えて、「おこげ」になっていた。
夫がアイスクリームのへらでおこげをこそぎ落としていると、998が隣に停車した。
降り立ったライダーは、気の毒に、と言った表情で夫を見ていた。
頭上に広がる新春の夕焼けは、とても美しく、切なかった。
エキパイにおこげの跡を残して、家にたどり着く。
走行距離は9,986kmになっていた。
ウチから14km位の所というと…教習所行って、帰ってくるとちょうどそんなもんか!?
でも、それだと家の前で記念写真を撮ることになってしまう。
そうだ、今度の週末は連休だから、天気のいい日を選んで、ふらりと走り出してみよう。
10,000kmめを迎えるのは、高速の上よりも、どこかの町の片隅がいい。
週末に夢を託して、2005年の走り初めは無事終了、したのだろうか…。
(後編に続く!はず)
エイリアン?

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