#35 富士五湖ツーリング本番とほほ編
どんくさいツアーリーダー
とうとうツーリング当日となった。
天気予報は曇り、神奈川県内は降水確率10%、雨具はお守り代わりだ。
今回の企画者、つまりツアーリーダーということで、私が先頭になり、東名高速の海老名SAを出発する。
メンバーは、ETさん、えちご屋さん、はぐさん、こやひろさん、こやひろさんの師匠、師匠の職場仲間のT嬢、ビーマーのおっちゃんこと夫、そして私。
初めての体験にちょっとナーバス?になりつつも、気合いを入れてみた。
が、最初の休憩で早くも「もっとペースあげていいと思います。」というコメントが…。
バックミラーと速度計を見ながら、さらに必死で走る。
御殿場ICで高速を降り、予定通り富士山スカイラインへ。
水が塚PAまではフリーで、ということしたら、こやひろさんの400SSや師匠の「スーパーバンディット」(元の状態がわからないほどカスタマイズされたバンディット)、T嬢のZZR250、ビーマーのおっちゃんのBMWがあっという間にすっ飛んでいってしまった。
取り残されるツアーリーダーと数人…。
別れの水が塚
時折ぱらつく小雨の中、水が塚で再集合してみると、師匠が弟子のこやひろさんに、何やら指摘している。
「またリアタイヤ空気抜けてる。」
来る途中でGSでチェックしたら、空気圧が1.2しかなかったんだよ、と師匠は海老名でも言っていたが、また抜けたらしい。
ふわふわして転びそう、というこやひろさん、どうもタイヤに問題があるようだ。
「タイヤは命乗っけてるからなあ。」
師匠の忠告もあって、こやひろさんはここで下山することになってしまった。
うわ、どうしよう、内心頼りにしてたのに…と動揺するツアーリーダー。
でも、そんなこと、おくびにも出すわけにはいかない。
全員で、せめてもの記念撮影をして、こやひろさんを送り出した後、水が塚を後にした。

水が塚

ミルクランドは右!
このルートは、去年、こやひろさん主催のツーリングで走ったし、今回のための下見もしたし、大丈夫なはず!
と思ったのは間違いだった。
富士山スカイラインから県道72号に出るところはうまくいったが、Y字路で右の県道71号に入るのを間違えて、左の国道139号の方へ行ってしまった。
「すみません、間違えました。」
素直に謝ったが、恐ろしいことに、元のルートに戻る方法がわからない。
結局、この辺りの道に精通している師匠に引っ張って行ってもらい、さっきのY字路まで戻る。
Y字路での修正は、当然、ヘアピンカーブになってしまう。
必死だったせいか、何とか曲がることができた。
しばらく走って、無事、ミルクランドでの昼食会となった。
鳴沢の苦闘
ミルクランドを出て鳴沢へ、ここまで来れば大丈夫!
と思ったのがまた間違いだった。
確信犯で違う道に突っ込み、後続のみなさんに制止されてしまった。
「下見したんやろ〜?」
ビーマーのおっちゃんの視線が冷たい。
延々続く樹海は、たぶん正しいルートなのだが、不慣れなツアーリーダーを限りなく不安にさせる。
正直言って、景色や道を楽しむ余裕はゼロである。
それでも鳴沢を通過し、給油して山中湖をめざしていく。
…河口湖手前は想定以上の渋滞だし、雨は降るしで、私は結構緊張していた。
山中湖の通り雨
山中湖にたどりつくと、雨はかなり強くなっていた。
合羽着用タイムを取ろうかと思ったが、いい頃合いなのでファミレスでティータイムにした。
「最近は、小さいバイクが楽しいんだ。250なら、峠でアクセル戻す必要ないし。ビッグバイクだと、開けたとたんに戻さなきゃなんないだろ?小さいと、開けたまんま走れるんだ。」
それぞれ好みのドリンクをすすりつつ、師匠の話にみんな引き込まれてしまう。
「モンキーとゴリラばっかりのクラブもあるんだよ。元はビッグバイクのクラブだったのが、みんなして乗り換えたんだな。そこまで極端に小さくなんなくても、とは思うんだけど。」
小さいバイクを存分に乗り回す楽しさ…知っているようで知らない。
私もバイクは250CCからで、原付や二種原付にはオーナーとして乗ったことがない。
でも、師匠の話を聞いていると、大型二輪も経験した上で、ちっちゃなバイクの楽しさを理解している大人、というイメージがかっこよく浮かんでくる。
ファミレスを後にする頃には、雨はすっかり止んでいた。
道志みち
山中湖を後に、いよいよ道志みちへ、あとはもう大丈夫!
と思ったのも間違いだった。
私は案の定、パノラマ台に向かう道に飛び込んでしまい、後続の皆さんから、クラクションの大ブーイングがわき起こる。
「下見に時期が早すぎて、既に記憶が薄いんやろ。」
夫のフォローは、フォローになっていない気がした。
起伏に富む道志みちでは、こんな私でさえ、スピードの誘惑を感じずにはいられない。
でも、ツアーリーダーの責任は、先頭切ってスピードを出すことじゃなく、みんなを無事におうちへ帰すこと。
スピードではなく、モンスターとの一体感を大事にしながら、ワインディングを駆け抜ける。
ミラーの中に、すぐ後の、はぐさんのRVFが見える。
はぐさんのミラーには、その後の、ETさんのゼファーが見えているはずだ。
…と書くと、かなりかっこいいのだが、実際には、走行ラインがヨレまくり、こんな先頭でごめんなさい!!なのだった。

雨は山中湖でやり過ごせたようで、道志みちはウェットな所もあったが、降られることはなかった。
道の駅どうしで、とうもろこしをかじりつつ、宮ヶ瀬への道をチェックした。
「最後の難関です〜。」
走る前に言い訳してみたりして。
宮ヶ瀬
宮ヶ瀬への最後の難関は、梶野交差点で県道64号に入り、その後右折→左折して、バイクを止められる広場に辿り着くことだった。
今度こそ大丈夫!と思ったのが(以下略)
気を取り直し、最後は全員の力を結集したような状態で、宮ヶ瀬の「ふれあい広場」をめざす。
そして…そして、だいぶ涼しくなった宮ヶ瀬に、私が先頭のままゴールした。
最後まで来られたのだ。
参加者みんなが、ただ前車についていくのではなく、それぞれルートを確認しながら走った成果だった。
…そうならざるを得ない、情けないツアーリーダーだった、とも言うが。

さて、宮ヶ瀬を目前に、師匠のスーパーバンディットが一人飛び出して行ったので、間違いやすい交差点で待っててくれるのかな、と思ったが、そうではなかった。
ゴールで再会した師匠曰く
「いやあ、ガス欠になっちゃって。リザーブでガススタまで行って来た。」
最後に楽しいオチをつけてくれたのだった。

ダムと花時計を見下ろす見晴台で、ツーリングは解散となった。
こやひろさんのことが気になったが、師匠が電話で無事を確認していた。
いろいろあったけど、いいツーリングだったな、と少しでも思ってもらえたら、私はとてもうれしい。
また、走ろうね。

宮ヶ瀬

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