#45 二俣川でフルロック

109台!

本年度最後の講習会

冬眠していたバイク達も目を覚ます3月、本年度最後の二俣川・安全運転講習会に参加した。
約4か月ぶりの二俣川だったが、講習会の最初の難関である「右折入場禁止」(=ちょっと先まで行ってUターンで入場)が予想以上にうまくでき(単に足を着かずにUターンできたというだけのことだが)、幸先の良いスタートとなった。
久しぶりの開催だったためか、この日は参加者109名という大盛況で、私の参加した一班も30名近い大所帯である。
一班を指導してくれるのは、3人の白バイ隊員と3人の二輪車安全普及協会指導員。
晴れた空の下、爽やかに講習が始まった。
フルロックは怖くない

前半はS字、急制動、パイロンスラローム、千鳥走行の課題を順に回る。
S字(待ち時間が短かったため、途中から8の字の半分の円+出口に変更)では、目線を先に送ることに注意してゆっくり回る。
「でも、縁石やパイロンを見過ぎると、そっちへ行ってしまってぶつかってしまいます。」
白バイ隊員のアドバイスもあって、なかなかスピードを上げられない。
もう一速と開き直って、ゆっくりペースで回る。
でも、アイドリングで走っている状態になってしまう。
モンスターで8の字を回る時、アイドリングでダラダラ回ってしまうのが私の悪い癖なのだが、すぐには直せないようだ。
急制動は、最後に緩いカーブがあるコースになっていて、何となく私の通った教習所の卒検コースを思い出させる
指導員からパイロンより手前で、アクセルを戻して止まる態勢に入っている、と鋭く指摘された。
この傾向、他の人を見ているとよくわかるのだが、自分が走る時は、意識していてもついやってしまう。
多少スピードオーバー気味になっても、速度を一定に保っておいて制動する、ということに集中しなければ練習にならないだろう。
この急制動の後、左へターンしてパイロンスラロームとなるのだが、パイロンの間隔がやや狭い。
何周かするうちに、なんとか自分なりの(遅いテンポの)リズムを掴むことができた。

千鳥走行は間隔が大きい千鳥と小さい千鳥の二つのコースになっていて、ムリを承知で両方やってみることにする。
最初に大きい千鳥コースに挑戦していると、Fazerに乗った大きい指導員が、フルロックだ!と声をかけてくれる。
左にハンドルフルロック、フルロック、フルロック、切り返してすぐ右にハンドルフルロック、フルロック、フルロック…ものすごい緊張を強いられる。
でも、この体育会系のノリは悪くない。
それに、フルロックのままモンスターのアクセルを開けることが、ちょっとずつ怖くなくなっていった。
…と書くと、めきめき上達したように聞こえるのだが、実はつま先立ちの足着きまくり。
いいんです、足は徐々に地面から離していけば。
ここへの入場時のUターンだって、そうやってできるようになったのだ。
アクセルを開けろ

後半は、コーススラロームと言ってよさそうな課題配置である。
オフセットスラローム→パイロンスラローム→きついUターン→パイロンスラローム→S字という順序。
コース案内では、前の人のスピードについていけず、ほとんどのパイロンをパスしてしまった。
人数が多いので、走行する組、見学する組の二手に分かれる。
私は先に走行する組で、オフセットスラロームでいきなりひっかかってしまった。
スピードを出せないから、失速してエンストしそうになるのだ。
Fazerに乗った大きな指導員が、人差し指を立てて何か言っている。
一速だ、一速!!
覚悟を決めて、「大きく入って小さく出る」と頭の中で唱えながら、リアブレーキを引きずりながらアクセルを開ける努力をした(努力だけ…)。
情けなくなるほど大きなS字を描きながら、なんとか通過だけはできる状態だった。
Uターンは、パイロンできっちり仕切られていて、ジャストサイズ?で回らなければならないしくみになっていたが、前半でハンドルフルロックに慣れたおかげで、怖々であるが、何とか低速で通過する。
ここでも、ラインは「大きく回って小さく出る」ものになったが、それで正しかったのだろうか?
パイロンスラロームは、他が難しいからか、何となく気分的に楽に通過できる。
最後のパイロンを回ってS字に入るのは、クランク状態でちょっとキツかったが、ここまできたらあとは勢いで走り抜ける。
S字は前半と逆回り…コーススラロームは、こんなところにもスパイスが効いている?のだ。
「Vツイン(Lツイン)だと、アクセルをもっと開ける。そうしないとストンと落ちちゃう時があるから。ギアは一速で、半クラッチでもいいくらい。」
さっきの大きな指導員が、私のモンスターという車種に対する実際的なアドバイスをしてくれる。
アクセルを開けろ!
マスター オブ モンスターとしての重要な心得に思えて、ちょっとニンマリしてしまう。

後の組が走っているのを見学している時には、白バイ隊員が解説をしてくれる。
「今の方は大きなS字を描くようにして回ってますよね。指導員は次のパイロンに入る前にバイクを一度起こして、直線部分を作っているでしょう?あれでメリハリのある走りになるんです。もちろん、実際には、大きなSでもあるんですが。」
言われるままに見ていると、その差は明らかだった。
指導員と受講生のバイクの動きの違い、描いていくラインの違い。
直線部分できちんと加速できている指導員に比べて、受講生は全般に、アクセルを開けるのが遅い…私の課題でもある、アクセルを戻すのが遅い…
きちんとした解説を聞きながら他の人の練習を見ると、こんなにも参考になるなんて今まで知らなかった。
警察系の講習会、走る時間が短いからと敬遠する人もいるけれど、人数が多くたって、こんな風に勉強することもできるんだな、とかなり感心してしまった。

久しぶりの二俣川は、短い時間でも十分に充実した練習ができて楽しかった。
知り合いやその日知り合った他の受講生の方たちと、反省会ランチ?もできて、本年度最後の講習会は、早春の素敵なひとときとなった。
安全運転のためには

さてその夜、夫と私はビール片手にお好み焼きをつつきながら、講習会のことを振り返ってみた。
「講習会で練習する課題が、そのまま安全運転につながるのかどうか、よくわからん。信号はちゃんと見るとか、一時停止を忘れないとか、そういうことの方がよほど重要やないか?」
「うーん、何かあった時に、冷静に、安定した操作で対応できるようになるってことじゃない?自分にできることできないことがわかっていれば無茶もしないし。」
「スラロームとか千鳥とか…路上を走る時、役に立つんかな?」
「えーっと、道の真ん中で、タチの悪いアメショーがシャーッとか言ってても、千鳥走行でこう、安全にやり過ごすとか。」
タチの悪いアメショー(タチの悪いアメショー)
うまく説明できない。
だけど夫も、私も、心の奥底ではたぶん感じ取っている。
実は1年前のちょうどこの日、夫はZX-9Rで交通事故を起こし、骨折と内臓破裂の大怪我をしたのだ。
1年経って、夫はとりあえずバイクに乗れるまで回復しているし、二人で安全運転についていろいろ考えたり話したりできるようになった。
つらかった時期を思い出すと、今はまだ笑い話にできないけれど、夫や私のバイクライフは決して悪い方向には向かっていない…ような気はしている。

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