#46 HMS中級〜ツーリングのフィードバック〜


HMSでツーリングのフィードバック

房総ツーリングの下見に行った時のこと。
下りのワインディングで、ちょっと障害物があると、適切なライン取りができなくなる自分に気がついた。
ヘタすると、反対車線にはみ出して、対向車と正面衝突!?
それはマズイ。
おまけに、そんな時、フォームは千々に乱れて?とてもモンスターを適切に誘導できる状態ではない。
というわけで、マイテーマを「どんな時にも適切なライン取り、くずれないフォーム」と決めて、HMS中級に参加した。

さて、この日はスタート時に、インストラクターから、3つの課題が明確に提示された。
課題1 バンクしながら(カーブを回りながら)のブレーキング
課題2 ステップ荷重でバイクを傾けて曲がる
課題3 アクセルをなるべく戻さないよう、曲がる回数を減らす
こういうわかりやすさって、好きだ。
午前:バリアブルでオーバーチュア

バリアブルコースで、これら3つの課題を一通りやってみるというもの。
「ただ一生懸命に走るだけでは、満足感しか得られません。究極の自己満足では仕方ないので、課題を通して何かを身に付けて行って下さい。」
…その通りだ。
どこに課題が隠れているか、考えながら走って下さい、と言われてとりあえずしばらく走った後、タネあかし?される。
課題2と課題3はだいたいわかった(ような気がした)のだが、課題1は思いっきり間違っていた。
それに、カーブでバンクしながら曲がるったって、私の場合、ロクにスピードが出ていないから、まともに練習にならないのだ。
「バンクしながらブレーキングする場合、タイヤの接地面積が小さいですから、フロントをぎゅっと握ってしまうと、簡単にロックします。そうなると前から転んで鎖骨骨折です。フロントとリアの配分、ブレーキをかけている時間などをよく考えてやってみて下さい。」
できません、適切な配分どころか、練習の前提となる状況が作れないんです。
…とはさすがにインストラクターに聞けない(聞かれたって困るだけだろう)。
仕方がないので、カーブに入る前に十分減速できる速度だけど、敢えてバンクしながらブレーキ、というちょっと主旨をはずした練習になってしまった。
他の2つの課題については、何となくできたような気がしていたが、大きな間違いだったことが午後に判明する。
午後:オフセットスラローム

午後の始めは、延々続くオフセットスラロームで始まった。
「かなり厳しいです。上級の人が練習に使っているコース、と言えば感覚がわかると思いますが。」
前半は千鳥走行の練習に使うような幅の狭いオフセット、Uターンして後半はちょっと広くなったオフセットだった。
何というか、目的に対してストレートな作りである。
この厳しいオフセットを、ハンドルを切らずに、ステップ踏み替えでバイクを傾けることで回っていく。
最初は遅いスピードで、バイクを傾けることだけに集中して、バイクの動きに身を任せる。
できない。
「ハンドル切ってます。また切ってます。」
インストラクターのアドバイスが追いかけてくるが、ちーっともできるようにならない。
午前中、バリアブルコースでちまちまと細かいターンを繰り返した時は、できていたように思ったけど、バイクを傾けられるほどにはきちんと荷重がかかっていないのだ。
オフセットの群の中に、千鳥が一羽、それがワタシ…。

「次はアクセルをもっと開けてもう少しスピードを上げて。」
うっ、次のステップに進んでしまった。
でも私は、まだ「ハンドル切らずにステップ踏んでバイク傾ける」ができていないので、スピードが上げられない。
傾け損なってはよろけて地面を足でキックする。
そういえば、応用千鳥走行のコツは、単なる千鳥と違って、少しバイクを傾けること、って教えてもらったことがあった。
今、関係ないけど。
さて、ステップの踏み替えでバイクを傾ける練習とはいえ、これは「オフセットスラローム」である。
コース全体を見通して走行ラインを見抜けなければならないのだと思うが、バイクを傾けることに精一杯で、できない。
結果、小回りできていないために、ラインがどんどん膨らんでいくことと相まって、最後の方ではとても回りきれなくなる。
これが実際のワインディングロードだったら、どういうことになるか。
反対車線にはみ出して対向車と…!
この課題、私にとって、今一番重要なものかもしれない。

なお、後半部分の少し広めのオフセットでは、パイロンを回り始めてからブレーキングする(旋回ブレーキ)、という練習をした。
ここでも、私はスピードがイマイチ出ていないので、お作法をおさらいするだけになってしまった。

そんなわけで、今回のオフセットスラロームは、問題点ばかりが浮き彫りになって、全く不本意な、くやしい練習になってしまった。
というか、もしかして、HMS中級、私には難しすぎるのだろうか?
午後:コーススラローム

その後は、クランクやUターンたっぷりの、楽しい?コーススラロームだった。
この日の転回じゃなくて展開からいって、この時間のテーマは「課題3 アクセルをなるべく戻さないよう、曲がる回数を減らす」に違いない。
もしくは3つの課題すべてを含んでいるということだ。
と思ったが、インストラクターからはそのような説明はなく、自分で何かを掴め!という無言のメッセージがひしひしと伝わってくる。
このコース、かなり広々としているのだが、要所要所のコーナーが草地や野原?に接していて、きちんとラインを取らないと、砂を踏んだりする。
結構スピードが出るので、ちょっと変なラインになると、簡単に脱輪しそう。
やっぱり、これはこの日の3つの課題全部を含む、総合練習問題なのだろう。
長い直線からのUターン2回、バンクしながらブレーキする絶好の練習スポットだったけど、ちょっと怖くてできなかった。
まだまだ修行が足りないのだ。
まあ、究極の自己満足のワナにははまらなかったので、良かったかもしれないが。

この日いろいろな曲がり方を練習したわけだが、インストラクターの最後の解説によると、これらの技術を身に付けることで、
「状況に応じて、いろいろなライン取りができるようになる」
そうだ。
奇しくもこの講習、まるでツーリングのフィードバックのためにオーダーメイドされたかのような内容だったわけだ。

さて、ここでちょっぴりこぼれ話。
私のジャケットの「DUCATI DESMO OWNERS CLUB」のワッペンを見て、声をかけてくれたドカ乗りさんの参加者がいた。
連絡先を交換したりしなかったのだが(内気なので)、
「S4からSTに乗り換えたんです。赤と白の派手なSTだから、すぐわかると思います。」
と教えてくれた。
どこかの路上で、ホントに再会できたらいいな、と思ってしまった。
その時、この日よりも上手くなって、Monster 800S i.e.で美しいラインを描いて走ることができたら…そんな素敵な再会は他にないだろう。

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