#49 第37回二輪車安全運転神奈川県大会
1. 大会は雨の中で
2. 練習会は冷静に

3. 昼休みは法規走行の内緒話
4. 競技会では切れちゃダメ
5. グランドスラム
6. 採点を待ちながら
7. 閉会式〜涙の第3京浜
1. 大会は雨の中で

もういい加減にやめておけ、という夫の制止を振り切って、今年も参加を申し込んでしまった二輪車安全運転神奈川県大会。
この1年で、自分がどれだけやったか、確認する日である。
当日は、参加の意志を最終確認するかのような雨模様だった。
雨は友だち、良きパートナー、と唱えながら、第3京浜を二俣川の運転免許試験場目指して走る。

UP!

2. 練習会は冷静に

大会は、午前中に競技コースを使った練習会、午後に実際の競技会という進行になっている。
午後のみの参加も許されているが、バイクと自分の慣らしのため、選手は例外なく練習会に参加しているようだ。
雨に打たれて頭を冷やしながら、私も各課題に取り組んだ。

コーナーリング
競技開始前に、テープで描かれたラインを千切らないよう、その外側を通って練習するのだが、これだと、自分がラインオーバーしそうなのかそうでもないのかよくわからない。
わからないなりに、なぜかフォームに万全の注意を払って走る。

ブロックスネーク
ブロックのサイドを、ブロックの並びに沿って走る、というより移動する。
例年に比べて直線部分が多く、もしかしたらある程度は走れそうな気がした。

応用千鳥走行
やっぱり、かなり苦しいものがある。
指導員でも通れないよ、と審判の人が励ましてくれるが、コース幅をめいっぱい使って緩いS字でターンすれば、もしかしたら途中までは行けるかも、と思った。

ブレーキング
モンスターの場合、コースのどの辺に来るまでにどれだけのスピードを出しておかないと速度不足になるかを確認する。
ブレーキは「じわにぎ」、でロックもなし、いい感じ〜♪である。

レムニー
なぜか1回目だけ(ラインは大幅に超えたけど)、足を着かずに通過できた。
とりあえず、登り切るところまでは怖くなかったのだ。
でも、何回かやってるうちに、だんだん怖くなって、ハンドルを切れなくなってきた。
練習すればするほど恐怖心が沸いてくることもあるのだ。

ストレートブリッジ(一本橋)
いつでも苦手である。
途中で脱輪しないことだけを考えているけど、最後まで行っても、結局最大減点。
ちょっと自分でもあきらめている所がある。

コンビネーションスラローム
直線パイロンスラロームの後に、オフセットスラロームが続く構成。
直線が終わったすぐ後、オフセットに入る時のライン取りで後の出来が決まるようだ。
ここでも怯まず、モンスターを翻して飛び込まなければ後が続かない。

スラロームコース
雨のためだと思うが、配布されたコース図と違う構成になっていた。
そのため、「こっちだよパイロン」や「こっち来ちゃダメパイロン」がやたら多く、コースの間違えようがない。
さてそのスラロームコース、今まで苦手だと思っていたクランクで急に気がついた。
ひとつめの角を曲がった後のラインと、次にバイクを切り返す時のアクセルの開け方で、あとの走りが決まるのだ。
ここでしっかりアクセルを開けて加速しないと、あとのUターンに上手く入れるだけのスピードが作れない。
ここで怖がらず思い切って、短時間にアクセルを開けること、が私の注意点になるようだ。


UP!

3. 昼休みは法規走行の内緒話

今年はシューマイ弁当を食べながら、知り合い二人と法規走行の課題について語り合った。
そこでわかったのだが、停止車両の側方通過、私はいろいろ誤解していたのだ。
まず、バイクを停止させる位置。
停止車両の後ろ、と思っていたけど、停止車両より前に出ないように停止して、そのすぐ先にある横断歩道の歩行者を渡らせるのだ。
側方の通過も、センターラインギリギリ、というのは間違ってなかったけど、停止車両から1m離れて、というのは意識していなかった。
コンプライアンスなライダーを目指す者としては、まじめにこういう話をするのは結構楽しい。

UP!

4. 競技会ではキレちゃダメ

今年の女性選手達
そんな調子で自分なりに分析というか作戦を立てつつ、いよいよ午後の競技会に突入した。
私の出場する女性クラスは、私のMonster 800S i.e.と、もう一人、バイク歴1か月という女性のエストレヤ以外は、原付または二種原付のスクーターである。
…もしかして、みなさん上位入賞狙いですか!?
二種原付というのは、排気量無差別級である女性クラスでは、たぶん有利である。
千鳥やレムニーは、普通二輪以上用の大きいコースを使うから比較的余裕があるし、もし2ストなら、スラロームで爆発的に?速い。
そんな真剣勝負の人たちに、私なんかが混じっていいんでしょうか?
頭がクラクラしてきた。

走行は排気量の大きい順らしく、今年も800CCの私が第1走者である。
…来年はだれか、ZRX1200Rとかで女性クラスに出場してくれないだろうか?
それはともかく、卒検よろしく乗車手順に従って発進する。
大型二輪の卒検を3回も受けている私には、お手の物?である。

コーナーリング
さっそく15点の減点がつく。
何で減点されたか正確には不明なのだが、基準タイム(4.0秒)を1.5秒超えたのではないかと思う(0.5秒オーバーする毎に5点減点なので)。
ここはこんなもんでしょう。

ブロックスネーク
できるわけないと思っているから、転倒する前にさっさと降りてしまえ、という計算が働いて脱輪、40点減点である。
心がけが悪すぎると自分でも思うが、HMSでCB750を使ってすらできないことが、Monster 800S i.e.でできるとは到底思えなかった。

応用千鳥走行
なんと、自分がチャレンジしてみるべきラインが見えた。
バイクをて緩くS字に旋回させて、その後ハンドルフルロックだ。
見えたのに、そのラインを取れなかった。
必ず1回はやらなければならない、ハンドルフルロックの「ガッツン」が怖かったのだ。
午前中に聞いた「指導員でも…」という言葉を言い訳に、千鳥のエリアを逃げるように出た。
コースアウト、当然減点は40点。

ブレーキング
満を持しての挑戦だったが、つい力んでしまったのか、今年も後輪ロックである。
40点の減点、審判員が言う。
「速度は41km。出だしも良かったのに。来年がんばってね。」
来年、という言葉で、何かが壊れた。
私の今年は、もう終わっちゃったのか。
まだ最後まで走ってもいないのに。
もうどうでもいい、そんな薄暗い気持ちが沸いてきた時、唐突に去年の白バイ大会の時のことを思い出した。
「1か所失敗した後、キレた走りをしちゃう人もいる。」
傾斜走行操縦競技(コーススラローム)を見ながら、ちょっと楽しそうに、チャーリーが話してくれた。
(チャーリーというのは私の教習生時代の恩師で、今はとある機関に出向している。白バイ大会では運営スタッフを務めていて、見学に行った私は、偶然再会したのだ。)
そう、ここでキレちゃだめ、落ち着いて、落ち着いて…!
自分に言い聞かせて、次のレムニーへ向かう。

レムニー
できるなんて思っていない。
でも、ここを通ればもしかしたらできる、というラインが見える。
ああ、千鳥の時と同じだ。
見えているこのラインを通すだけの腕前が、モンスターを操る技術がない。
足を着きながら8の字を回り、、頂上でコースアウトし、コースへ戻る。
更に40点の減点が加算される。

一本橋
落ちずに通り抜けるだけでは、全く点数にならず、これも減点40である。

コンビネーションスラローム
コースアウトしないで走りきることに集中した。
その目標はクリアできたけど、全然基準タイムに収まらず、しかもよろけて足まで着いて、ここでも40点の減点となる。

スラロームコース
もうやめよう、やるだけ惨めだから。
(この話を読む方もイヤになってきたこととだろう)
そう思うけど、スラロームコース、好きでしょう?
好きなことは、やっておこう、というワケではないが、コースをもたもたと駆け抜ける。
ドカ社の人が見たら、泣いて抗議しそうな遅さでゴールして、40点の減点をゲットである。

UP!

5. グランドスラム

スラロームコースの後は法規走行である。
毎度おなじみ、停止車両の側方通過、踏切、信号機(赤点滅)のある交差点での右折を順に通過する。
ゴールし、手順に従って降車する。
スコアカードを集めているのは、今年もあの、気のいい指導員さんだった。
「うーん、なんて言えばいいんだろう?」
コーナリングの-15点以外は、-40ばかりがならぶ私のスコアカードに、首を傾げる。
「グランドスラムは達成せず、ってトコかな?」
はあ。

自分なりには、去年よりもずっと良くなってることが(うぬぼれではなく)わかる。
でも、結果として点数に出てくるようなレベルには全然届かないのだ。
柏秀樹さんみたいになりたい、とは言わないが、もう少し、自分で納得できるくらいまで、モンスターを操れるようになるには、どれくらいかかるんだろう。
頭上にも心にもどんよりと雨雲が広がったまま、今年の競技を終えた

UP!

6. 採点を待ちながら

今年は採点(集計)を待つ間に、各課題の攻略ポイントと、道路交通法に則した法規走行の解説とが行われた。
感心してしまったのはコーナーリングの解説。
このコーナー、直線からいきなり定常円に繋がる、実際の道路設計上はありえない構成になっているのだそう(実際は、緩衝地帯?で直線と円を繋ぐそうだ)。
そのありえないコーナリングのコツは、定常円に入るとき、前輪は外側に向けて、後輪は内側、身体を内側に倒し気味にすること(わかりにくい説明ですみません)。
でも、これは難しいので、普通の腕の人は、前輪を真ん中に持っていってコーナーに入りましょう、とのことである。

ところで、「信号機(赤点滅)のある交差点での右折」について、毎年、その手前にある交差点は無視して、直線道路と考えて下さい、と言われるけど、その理由がやっとわかったと思った。
手前の交差点を交差点として考えると、赤点滅信号の30m手前が交差点の中になるので、ウィンカーを出さない選手がいた場合、その選手が、(1)まだ交差点の中だからウィンカーを出さなかった、のか、(2)30m手前であることが判断できなくてウィンカーを出さなかった、のか、区別がつかないから、ではないだろうか。

UP!

7. 閉会式〜涙の第3京浜

どう考えても表彰には縁がないので、サボろうかとも思ったけど、とりあえずマナーなので閉会式にも参加した。
桶川のHMSで知り合った方や、大杉正明似の男性やら、知った顔が上位で表彰されるのを聞くのはうれしかったが、それにつけても、自分の結果のまずさ…
そういえば、一昨年は安全ドライバー賞もらったけど、去年も今年ももらっていない。
最初の頃に比べて、法規走行の点が下がってきてるのか。
だとしたら、むしろ反省すべきはその辺の心構えだ。

雨が降り続く中、夫の待つわが家を目指して第3京浜を走った。
ああ、また夫にいろいろ言われる、もうやめろとか、どうせできないとか…。
運転に集中しなきゃ、と思いながら、ヘルメットの中で泣いてしまう。
これも安全運転という大会の趣旨に大いに反する。

今年よかったこと、って一体なんだろう?
去年は暖機不十分でエンストしまくったけど、今年はちゃんとモンスターの状態に気を配れたこと?
自分の身体にも注意して、去年みたいに足が攣ったりしなかったこと?
ラインが見えたこと?
キレずに走りきったこと?
数えあげてみれば、自己満足としか言えないことばかりだ。
…これももしかして、究極の自己満足、ただ単に走っただけ、ってコトか。
マスター オブ モンスターへの道は遙か遠く、険しい。
そう思うと、心の中の雨雲はなかなか消えてくれそうにないのだった。

UP!

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