#62 さよなら、モンスター
なつかしの二俣川

2007年9月2日。
ここ数年ではめずらしく、多少なりとも秋らしい涼しさが漂い始めた、9月最初の日曜日。
この日が、1098Sの納車日だった。
つまり、Monster800 S i.e.が、永遠に私から離れていく日というわけだ。

偶然なのだが、20歳の年の9月2日に、私は中型限定の自動二輪免許を手にした。
生まれて初めての運転免許だった。
その時は、いずれ大型と呼ばれるバイクに乗る日が来るなんて想像もしていなかった。
ヘタをすれば、一生ペーパーかも?とさえ思っていた。

でも、大学院の2年間を除いて、結局ずーっとバイクに乗ってきた。
ヘタなままだったけど。
そして大型二輪の免許を取って、モンスターと出会い、走った。
このバイクを乗りこなしたいと思ったから、練習(と言えそうなこと)をするようになった。
ほんの少しくらいは、マトモに走れるようになった・・・と思っている。

わが家からバイクショップまでは、10分とかからない。
モンスターで家を出る、いくつかの信号を通過する、交差点を二つ曲がる、そうしたらもう、終わり。
モンスターが、私から去っていく。

最後の交差点に差しかかった時、大好きな「Angel of music」のメロディを思っていた。
God give me courage to show you you are not alone

ひとりぼっちではないのは、モンスターではなく、私なのだろう。

モンスターが勇気をくれたから、まっすぐに前を見て言える。
モンスターと出会って、私は自分で走って行けるようになったのだと。

信号が変わり、歩行者も横断歩道を渡り終えた。
モンスターを左折させると、すぐそこがショップだ。
一度消したウィンカーをもう一度出して停車する。
後方を確認して、降車・・・!
ショップのおかみさんが、店から駆け出してくる。

私とMonster800 S i.e.の3年11か月と27日、19,082kmの旅が終わった。

END

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