#8 いちごが好きでも赤なら止まれ

待ちに待った?いちご狩りツーリングは、ファミレスでの集合から始まった。
集団で走るツーリングは初めて。
モンスター1000、S4、S4R、ムルティ、999(×2)、996R、998・・・。
こんなにたくさんのドゥカティに混じるのも初めてだ。
走行上の注意や、休憩ポイントの説明を受けた後、赤と黄色の集団が一路、東名に向かう。
一般道での速度が70〜80km/h、団体なのに、流れるように進んでいく。
バイクってこう走るのか、じゃあ、普段の私の走り方って何だったの?
高速に乗る前に、早くもカルチャーショックを受けてしまった。

ベテランさんたちは、みんな初心者に配慮しながら走る。
待っていてくれたり、引率してくれたり。
ついていくために、ムリして黄色いシグナルに突っ込んでいく必要はない。
いちごが好きでも赤なら止まれ、って、小学校で習った交通標語だっけ?
こういうのは、夫と二人だけで走っていてはできない経験だ。
ありがたいと思うし、自分もああなりたい、とも思う。

東名では、休憩ポイントで待ち合わせるということで、各自のペースで走る。
んじゃ海老名でな、と夫もBMW R80GS Basicで走り去る。
BMW、この集団の中にあっては、みにくいアヒルの子、と言っては失礼か。
ここ数週間の懸案事項だった120km/h巡航というのは、速い集団のスピードだった。
私は最高で100km/h程度。
初めて高速に乗ったというM400の若者や、初心者サポートの大将と一群になって走る。
若者は、やる気はあるのだが、バイクのパワー差で、どうしても遅れるようだった。

高速を降りてしばらく進んだ後、どうも違う道に入ってしまったようで、Uターンします、ということになった。
「できますか?」
「やったことありません(練習しか)。」
ムリして何かあったら、みんなに迷惑がかかるので、ちょっとウソをついてしまった。
それじゃ、ということで、大将がやってくれた。
結構道幅は広かったし、集団なので周囲の車輌は我々の大移動?を待ってくれる。
こういう時にこそ、チャレンジすべきだったかもしれない。

そんなこんなで到着したのは、ヘレン・ケラーゆかりの石垣いちごの農園だった。
狩り放題、食べ放題ということで、気が済むまでいちごをパクついてしまった。
見下ろす静岡の海は透明度の高い青。
見慣れた横浜の、青銅色の海よりも優しい色をしていた。

帰り道は、はっきり言って寒さとの戦いだった。
行きも、御殿場越えはかなり寒くてきつかったのだが、帰りは更に大変だった。
3月のツーリングは、理想(春が来た♪)と現実(春よ来い…)の狭間を走るのだな。

海老名SAまでのほんの数キロの間に連続して交通事故を見てしまった。
乗用車の前面がつぶれていたり、路肩で動けなくなっていたり。
覆面パトカーも、正体を明かして事故処理に当たっていた。

事故渋滞した東名でのすり抜け、みんなに追いつけない。
高速初体験のM400の若者も、すり抜けは得意らしく、あっという間に前方へ消えた。
大将と、ベテランさんが、私をサンドイッチにして、みんなの所へ連れていってくれる。
すり抜けの速度は、約40km/h。
大将の駆るM1000のすり抜けは、ひらりひらり、という表現がぴったり合う。
やはりモンスターは軽いバイク、軽快に乗るようにすると、うまくいくのかも。

海老名に着くと、先行グループの人々が、おやつや飲み物を手に我々を待っていた。
ちょっと落ち込んだが、実際の遅れは5分程度だったらしい。
事故、3件もありましたね、と話かけると、ムルティ乗りの常連さんが、否定するように口元で手を振り、もっと、と言った。
見なかったけど、バイクの事故もあったそうだ。
それにしても、今月は出かけるたびに交通事故を見る。
前方不注意?スピード出し過ぎ?信号、は高速には無いけれど。

高速を降り、ファミレスで夕食を取りながら精算をして、この日は解散となった。
「やっぱりドゥカティは速いなあ。トップグループについてくのは大変やった。」
夫の言葉で、はっと気づく。
ついていけてないので、他の方の速さ(の質)が私にはわからなかった。
わかったのは、ほぼ全員において行かれた、ということだけ。
要するに、私には追いつけないほど、みんな速い、ということだけしか判明していないのだった。
いちご狩りツーリングは、このショップの恒例イベントの中では、初心者の参加しやすい、軽めの走行と聞いていた。
これで軽いんだったら、他のイベントに参加するのは絶対ムリなのでは?
微かだが明白な暗雲をどよーんと胸に残して、初めてのグループツーリングは終了したのだった。

ドカだらけ いちごだらけ

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