[緊急企画]

読者票に見るQBOOKS1000字小説バトルの動向

〜誰の作品が支持されているか?〜

緒言

 ことの起こりは作者と読者の掲示板における海坂他人さんの投稿『ちょっとした提案』でありまして、ここで「読者票を尺度としたバトルのリーグ分けを行ってみては」という提案がなされました。(その後派生した議論をも呼び、巨大なツリーになっております)

 自分は「バトルにおいては作品は平等に扱われるベき」であるとの考えから、リーグ分けや過去の得票による作品の順序付けには反対ではあるのですが、海坂さんの言葉:

 せっかく毎回感想票を集計しているのですから、そのくらいの権威は持たせてもいいと思うのですが。

を読んで、なるほど今の状態では「チャンピオン作品以外になされた投票」があまり生かされておらず、勿体無くはある、と思い至りました。そこで「過去の読者感想票を集計し、そこから誰の作品が支持されているのかを探る」という今回の企画を思いついた次第です。

 ちなみに自分は今Q書房スタッフの一人として過去作品の整理に携わっており、その作業の延長で、各データの集計は容易に進めることができました。

総得票数ランキング

 まずは単純に総得票数の集計を見てみましょう。(表中の名前は敬称略です)

1000字小説バトルにおける総得票数(10位まで)

#名前総得票数
1一之江46
2蛮人S23
3紺詠志22
4ヒモロギ20
5鮭二19
5川島ケイ19
7川辻晶美16
8越冬こあら14
9羽那沖権八13
10岡嶋一人11
10小沢 純11

 全ての得票データはこちらに。得票の内訳もあるよ。

(同一作者の別名については、メールアドレスなどより捕捉可能な限りまとめてあります。具体的にはTAKUTOさん=太郎丸さん、Momoさん=りんねMomoさん、川島ケイさん=川島圭さん)

 一見してまずはひとこと。一之江さん、すごいです。やーこれほどまでにぶっちぎりで1位になるとは予想していませんでした。改めて敬服。

 全得票データの方も是非参照してみて下さい。各作者の点の取り方からも色々と個性が垣間見えて、面白いデータになっていると思います。まだ1000字小説バトルをあまり読んでいない人は、内訳にある過去の作品を読んで行くのもよいかと。(得票が1票だけのものも軽視は禁物であります。少なくとも一人が、数十作品の中で「一番面白い」と認めた作品であるのだから)

質はどうか

 さてここに総得票ランキングが明らかになった訳ですが、果たして作品の質という点ではどうだろうか。「下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる」という言葉がありますが、1000字小説バトルにはそういったことは有りえはしないのだろうか、と考える人もあろうかと思います。

 そこで更に、各作者の総投稿数(得票の無い物も含めて)も算出し、そこから各作者の、1作品ごとの平均得票数を割り出してみました。野球での打率に当たる数値になるかと思います。

 但し、この場合全ての作者を順に並べると「少ない投稿数でたまたま得票した人」が上位にきたりするので、「5作品以上を投稿した方」を常連さんとして、その中で集計を行いました。

1作品あたりの平均得票数(5作品以上の作者、10位まで)

#名前1作品あたりの得票総得票数総投稿数
1ヒモロギ2.857142857207
2紺詠志2.444444444229
3一之江2.4210526324619
4BEAN1.895
5しょーじ1.666666667106
6蛮人S1.5333333332315
7三月1.28571428697
8川島ケイ1.2666666671915
9川辻晶美1.2307692311613
10岡嶋一人1.222222222119

 10位以下も含めた平均得票数の一覧はこちら

 いかがだろうか。一見して「総得票ランキングとあまり顔ぶれが変わらない」とお思いの方は多いことだろう。つまりQ書房1000字バトルでは「『数撃ちゃ』の言葉は成り立たない」・「強い人はやはり強い」ということが言えると思います。その中で圧倒的な投稿数(19)を持ちしかも平均得票でも上位にいる一之江さんは、やはりすごいと言わざるを得ないであろう(えーと、個人を殊更に取り上げるつもりはなかったのですが、こうして数字で見るとやはり圧倒的だと思うので、つい)。

 1投稿あたりに2票、というのは意外に少ないように見えるかもしれないが、10位以下も含めた平均得票数の一覧を見ると、チャンピオン獲得者の帯は2.86から0.875までに及んでいる。このことから、ある程度の投稿数を維持しつつ平均1票以上の票を得ることさえ、かなり難しいことが分かると思う。

「リーグ分け」案に対する回答

 さて「リーグ分け」案についてだが、ここに「得票によるランキング」が明示された以上、「読者のための指標として」改めてリーグ分け、或いは順序付けを行う必要はとくに無いものと考える。何故なら「既に作者の名前こそが読む指標となっている」からだ。しかもここに示されたのはQ書房のバトル審査における唯一の基準「感想票」によるものだ。ある意味これ以上に指標になるものは無いのではないだろうか。

「作者の名前こそが読む指標」ということには、裏の側面もある。即ち「数多く投稿を重ねても得票が少ない者」の作品は、1回のバトルにおける他の作品を圧倒する魅力に欠ける……端的に言えば、「詰まらない」と判断される、ということになるだろう(書くまでもないかもしれないけれど敢えて書く)。ちなみに、5作品以上の投稿で得票の無い者は、ここでは書きませんがざっと見たところ3人いたことを付記しておきます。

おわりに

 以上、実際の得票数データとそこから言えることについて幾つか書かせて頂きました。なお総得票数一覧平均得票数一覧の表は、今後も個人的活動としてバトルごとに更新していくつもりです。バトル読者の方に活用して頂ければと思います。

 もしこのランキングに不服があるのなら……作品を読むべし。そして投票するのだ既にバトルは始っている。

 明日のQ書房バトルを作るのは、作者の方々と、読者であるあなた達です










更新履歴





感想書へ戻る


書いた人:北村曉に死す