Vol.1
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◆木取りについて
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漆器づくりは、まず木の伐採から伐採された木を分ける(切る)ことから始まりま
す。木は育った環境により比較的クセのない木、クセのある木、柾目、逆目といろい
ろで、1本の木でも金太郎飴のようにどこを切っても金太郎とはいかないものです。
そのため、この辺りは、大きな鉢用、この辺りは、小さなお椀用に向く、ということ
を熟練の目で見極める人(型師)・技が必要になってきます。当店に最近登場した
「高田晴之」さんは、赤木明登さんの天廣椀と名づけられた紙のように薄いお椀の木
地を作っていらっしゃいますが、作り始めの頃は、この木取りの上手な方にめぐり
合っていなかったため、堅い木や節の多い木で無理をしてこの薄いお椀の木地を作っ
たため、あの高田さんをしても半分は失敗したそうです。しかし、現在の型師さんに
巡りあってからは殆ど失敗しなくなったそうです。このように、木の個性を読むこと
は非常に大切なことなのです。
Vol.2
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◆漆の性質
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漆の木は日本・朝鮮・中国・ベトナム・タイ・ビルマ¥インドに生成し、それより
西の国には育たない東洋の樹木である。したがってこの木から採った樹液を塗料とす
る、あるいは加飾の材料とする漆工芸は東洋特有の工芸であるといってよい。
もっともヨーロッパでも、17世紀から漆器の模作が行われた。しかし漆そのもの
がヨーロッパに産するものではないので、もっぱら原料は輸入に頼るほか手はなかっ
た。極東から漆を輸入して本格的な漆器を製作しようと、さまざまな試みがなされた
が成功せず、また漆の成分についてヨーロッパ製の真正漆器はついに実現しなかった
のである。
さて漆の木は落葉樹であるから、6月ごろに新しい緑の葉が出揃う。この新緑のこ
ろから漆の樹液の採取が始まる。鎌状の刃物で樹皮に切り疵をつけ、そこから滲み出
る樹液をヘラでかいて採るのが、いわゆる漆かきの仕事である。この漆かきは11月
ごろまで続くのだが、最も質の良い上塗り用に使用する漆が採れるのは、真夏の7,
8月とされる。
木から採取した漆から、ほこりやゴミを除去したものが生漆である。生漆は乳白色
のねばねばした液体で、主成分はウルシオール、これにゴム質・含窒素物と水分から
なる。これをそのまま塗料として使うと、乾燥が早過ぎ、また光沢も良くない。そこ
で過度に水分を取り、琥珀色半透明の状態にして、よく掻き混ぜて質を均等にする。
この水分をとる作業を「くろめ」といい、攪拌(かくはん)して均質にすることを
「なやし」と呼んでいる。
漆は他の塗料と違って水分が多いと乾きが早すぎるので、過度に水分を除去しなけ
ればならない。また、大気中の湿度が高すぎても乾きが早くなり、塗師の仕事がしづ
らくなる。逆に大気が感想すると漆がなかなか乾かなくなる。そこでこれを調整し、
適温適湿のもとで乾かすために、「風呂」と呼ばれる一種の戸棚を使用する。ついで
ながら漆の乾燥に最も適した温湿度は、摂氏25度から30度、湿度75〜80%と言われて
いる。
よみうりカラームックシリーズ Theあんてぃーく Vol.11 からの引用でした。
(ぬりもの屋japanから) この文中にあります「くろめ」「なやし」に関して、一言。最
近では、この作業は機械で屋内で行うことが多いのですが、当店の作家の殆どが自分
で天日の下で「くろめ」「なやし」を行うか、そのようにしてできた生漆を用いてい
ます。どのような違いがでるかといいますと、機械攪拌では摩擦が多すぎ、塗ると、
異常にテカテカした味の無い、いわゆる機械的な艶となってしまうようです。当店の
作家たちが塗ったものは塗りたて時は艶がありませんが、3年以上使ううちに次第に
底光りがしてくるような艶がでます。
Vol.3
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◆黒漆と朱漆の材料
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さて、「くろめ」「なやし」の作業が終わって漆が琥珀色半透明の状態になったあ
と、各種の鉱物質の絵具を加えて彩漆が作られる。漆の色は江戸時代末期まで、だい
たい6〜7色くらいが使われていたようである。
まず漆器に最も多く用いられる黒漆は、漆に油煙・松煙または鉄を加えて作る。油煙
は種油を、松煙は松根を不完全燃焼させ、それによって出る煤煙を採集したものを用
いる。鉄は幕末まで既婚の女性が用いていたお歯黒を使用したという。
黒塗り漆器は室町時代を境として、それより古いものと新しいものとでは遺品の色が
異なるように思われる。古いものはいかにも黒々としているが、室町時代の作品には
“すけ”たり、やや茶味を帯びていかにも自体モノの風格を備えたものがみられる。
との点正倉院の漆器や中国の漆器は、まるで近年塗られたかのように真っ黒で、“す
け”たり、“やけ”たものはない。あるいは中国式の黒漆が室町時代の後半ごろから
日本式の黒漆に変わったためであろうか。想像をたくましくすれば、油煙・松煙を用
いた古い黒漆と、鉄を用いた黒漆との相違なのかもしれない。将来科学的な調査に
よってその謎が解明されるだろう。
黒漆とともに縄文時代前期から用いられていたのが、朱漆である。赤色の漆は天然に
産する朱(辰砂)や弁柄をまぜて作る。弁柄は朱に較べて色が鈍く、茶味を帯びてお
り、これを用いたものを朱塗りと区別して弁柄塗り、または赤塗りと呼んでいる。
不思議なことに朱塗り、弁柄塗りの器物は奈良時代の遺品にはみられない。九世紀後
半あたりの記録から朱器がぼつぼつ現われ、「延喜式」になると朱塗りの器物の記載
が増えるから、九世紀後半から十世紀にかけて復活していたのだが、八世紀前後がこ
れまた謎である。中国でも宋時代の朱塗りの遺品はあるが、唐時代のものは今日まだ
知られていない。大陸の影響が日本にも及んだことは容易に推察されるが、八世紀前
後に朱塗りの器物がなぜ作られなかったかは依然として謎である。
よみうりカラームックシリーズ Theあんてぃーく Vol.11 からの引用でした。
Vol.4
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◆素地の種類
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漆は樹液であるから、木材と漆はいわば肉親関係にある。この関係が一番自然である
ところから、漆器の大半は木胎であるといっても良い。しかし木材はその種類、乾
燥、加工の仕方によって時には歪んだり、”はぜ”たりすることがある。その点、竹
を編んで素地とした籃胎(らんたい)漆器は弾力性に富んで曲げに強く、湿度の変化
で狂いが生ずることもなく、しかも軽くて丈夫であるため、縄文時代から木胎ととも
に使用されてきたし、中国でも漢時代から遺品がみられる。またビルマ・タイの漆器
の大半も籃胎である。
同じく有機体である皮革も漆と相性がよく、漆皮も歴史は古い。型さえ用意出来れ
ば、一枚の皮で方形でも円筒形でも自由に作れるし、おまけに軽く毀れにくい。布を
素地とするそく「乾漆」や、紙を器胎とする紙胎(夾紵(きょうちょ)・一閑張り)
も同様に軽く、どのような形にも自由に成形できる可能性を持ち、漆の”のり”も悪
くない。
陶胎と呼ばれる陶器・磁器を胎をする漆器は重く、破損しやすいという欠点がある
が、桃山時代の高台寺蒔絵に既に先例がある。また幕末(十九世紀中ごろ)に名古屋
の陶工、大喜豊助が陶胎に漆を塗り、蒔絵を施したものを作り、豊助楽あるいは豊助
塗と呼ばれ持てはやされた。
よみうりカラームックシリーズ Theあんてぃーく Vol.11 からの引用でした。
Vol.5
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◆当店取り扱い 佐藤達夫作 石目塗 の工程◆
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今回は、当店にて取り扱わせて頂いております佐藤達夫氏の石目塗ぐい呑の製作工程
をご紹介します。以下は氏の説明です。
(1)内側、外側、裏の下地塗りを行う。
(2)内側を下塗り
(3)外側に素クロメ漆を塗り、柳炭を細かく砕いたものを蒔き付ける。
(4)炭粉の上に、べんがら漆を上から塗り固める。
(5) (4)を少し研ぎ、透き漆を塗り、外側を仕上げる。
(6)内側を中塗、上塗。
(7)最後に裏を塗り、全体が仕上がる。
(8)蒔絵は、筆で一品一品手仕事。金は本金、蒔く時期を見て蒔く(本銀も使
用)。
(9)摺り漆をして金粉を固める。
(10)金蒔絵の上に、透漆・黒漆で文様など入れ、仕上げる。
<漆について>
・木固め(下地の前に木地に生漆を染み込ませる)漆
・下地漆、下塗漆、中塗漆は中国の上質漆
・上塗漆は、中国産の漆と日本産の漆を合わせて使っている。
漆はすべて自家精製している(生漆を仕入れ、クロメ、ナヤシを行う)。日本産は天
日クロメで行っている。一般的な漆器では、漆にいろいろな増量剤かウレタン塗料な
どを入れたものが多い。
尚、上記の用語に関しては、麻生商店さんhttp://www.tokai.or.jp/asoshop/の「解
説・用語」のページに詳しく解説されています。ご参照ください。
<ぬりもの屋japan 店主より>
現在国産漆は大変高価で、国産の漆だけを使用する作家、及び商品は3%にも満たな
いのが実態です。何故かと申しますと、国内の漆の木は大変少なく(成長が難し
い)、漆かきの仕事は時給にしたらきっと¥200にもならないような仕事です。樹液
が取れるのが遅く、僅かなのです。そのため、佐藤氏は日本本州と緯度が同じである
中国産の漆を取り寄せて、国産漆と混ぜ合わせることにより粘り気のある(水分が飛
んでいる)漆を精製しています。漆は水分が少ないほど良い漆なのです。
本品は、外側の風流さと、内側の蒔絵が魅力の品です。大きさもぐい呑にしては大ぶ
りで、正にぐい呑と呼ぶのに相応しい大きさ・形です。店頭に並べていると抜群の人
気を誇る品ですが、当店サイトではいまいちの感があります。蒔絵がすぐ剥がれてし
まう心配があるのでしょうか? それに関しては、上記のような仕事の商品ですから
全く問題はありませんよ。とにかく、蒔絵の金銀色の上品さはこの上ありません!
ぐい呑の他に小鉢としてご使用の方も多くいらっしゃいます。
Vol.6
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◆塗り (1)
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下地を施したあと、漆を塗り仕上げてゆく。つまり漆塗りの工程となる。塗りの最初
の工程は下塗りで、次に中塗り、そして最後に上塗りへと進行する。仕上がりまでに
大変な手間がかかる。京漆器では蝋色塗の場合、下地で二十四工程、仕上がりまでに
は四十二工程が必要である。
漆器はこの塗りの技法によって、それぞれ個性がある塗り味に仕上げられる。研ぎだ
さずに漆独特の潤いと楽しむ春慶塗(しゅんけいぬり)・溜塗(ためぬり)、塗上げ
た後、じっくり研ぎだして仕上げるため、堅牢で落ち着いた肌合いをもつ蝋色塗(ろ
いろぬり)、さらに創意あすれる多彩な手法を用いる変り塗りにはさまざまな種類が
ある。
「蝋色塗(呂色塗)」蝋色塗は塗りの種類のひとつで、油分を含まない蝋色漆を塗
り、乾燥させた後表面を炭で研ぎ出し、その後さらに胴摺りを行い摺り漆・磨きとい
う工程を繰り返し、きめ細かな塗り肌に光沢がでるまで磨いたものをいう。胴摺りと
は炭を粉末にした炭粉を水に、あるいは砥粉を植物油に混ぜて研磨剤として磨くこと
をいい、摺漆とは生漆を漆の面につけて拭うことをいう。何回にもおよぶ磨きによっ
て漆の表面に付着した埃などはのぞかれるが、技術が未熟であると、研ぎ跡がのこ
り、美しく仕上がらない。複雑な工程を重ねるが、その塗り肌と堅牢度は秀逸であ
る。
蝋色色に仕上げられた器には蒔絵や螺鈿(らでん)などの加飾が施される場合が多い
が、黒漆と金・銀・貝など光沢のある素材のコントラストが効果的に用いられてい
る。
よみうりカラームックシリーズ Theあんてぃーく Vol.11 からの引用でした。
Vol.7
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◆長井均ぬりもの展
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2002年5月14日(火)〜23日(木)
12:00〜19:00(期間中無休) 最終日は17:00まで
ギャルリーワッツ(東京都港区)
詳細は下記をクリック!
http://www.kinet.or.jp/nurimonoya-japan/syokunin/Nagai_koten.html
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◆長井均ぬりもの展に併設の「ぬりものレクチャー」(有料)のご案内
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尚、期間中、同会場にて執筆家でぬりもの作家の小川マア氏展示会も行われ、19:
00〜20:00の時間帯に同会場にて「ぬりものレクチャー」がございます。17日(金)
のみ長井均氏もこのレクチャーに参加予定です。
1)ぬりものの魅力 5月14日(火)・19日(日) 19:00〜20:00
なんだかわかったようでいて実際にはよくわからないとこおろも多いぬりもの。いい
ぬりものってどんなものなのか。どんなぬりものを、どう使っていったらいいのか。
使う立場から見てぬるものの長所・短所、そして日常でのいいつきあい方についてお
話します。(14日と19日は同じ内容の予定)
2)長井塗りの魅力 5月17日(金) 19:00〜20:00
輪島で下地職人から出発した長井均さん。彼が現在作っているぬりもののことのすべ
てを語ってみようと思います。当日は作り手である長井さんも参加してくれるかもし
れません。
3)メイキング・オブ・下地ワークス 5月18日(土) 19:00〜20:00
下地ワークスとは一体どういうものなのか。小川マアがどうしてこういうものを作る
に至ったのか。その過程を実体験を交えながら、具体的に語ってみるつもりです。
4)ぬりものQ&A 5月20日(月) 19:00〜20:00
この日はレクチャーというより、「ぬりもの相談室」的な時間にしたいと思っていま
す。ぬりものに関すること、ぬりものの産地のこと、作り手のこと。僕に答えられる
ことなら、どんなことでもお話します。ワークショップのように、全員参加型の会に
しましょう。
Vol.8
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長井均ぬりもの展+小川マア下地ワークス展
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2002年5月14日(火)〜23日(木)に行われた展示及び、ワークショップの様子を下
記ページにアップロードしました。気になる商品がございましたら、当店での取り扱
いを検討させて頂きますので、相談願います。
http://www.kinet.or.jp/nurimonoya-japan/syokunin/Nagai_Koten.html
Vol.9
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「ウルシノキ」
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沢田欣也氏が平凡社 別冊太陽「暮らしの中の漆器」にお書きになった文章を引用さ
せて頂きます。
漆の木は樹高10メートルほどの高木であるものの、あまり強い材とはいえない。名前
をみても「ウルシノキ」。重宝されるのは、樹液のようだ。もともと、木を意味する
文字は「漆」のサンズイを取った部分のみだったといわれる。「木」と「人」と
「水」に、木の名前は木偏がついて「漆」。
ウルシノキは幹の樹皮を傷つけられると、自らを守るために樹液が分泌される。この
樹液が漆である。
漆はひとたび乾けば、防水性、防腐性をもち、酸やアルカリ、塩分、アルコールにも
侵されない強固な塗膜となる。さらには保湿性もある。木にとっては、最高の保護材
なのだ。ウルシノキが脆弱で、微生物や菌に対して特に弱いことからの特性かもしれ
ない。
日当たりの良いところを好むウルシノキにとって、ジメッとした梅雨時のような菌の
繁殖しやすい条件下に傷を負ったなら致命傷である。そこでウルシノキは必死に樹液
を出し、固め、わが身を守る。これゆえか漆が乾燥する条件は特殊で、15〜25度の温
度、65〜85パーセントの湿度が必要。つまり、こうした梅雨時の湿気により漆はたち
まち乾き、傷ついた幹も強い塗膜で守られるというわけだ。自然の力は不思議だらけ
である。
また最近、漆の研究機関により、漆の抗菌性について検討した結果、黄色ブドウ球菌
の発生を抑える効果があることが発表されている。
これほど豊かで多様な性質をもった天然素材は他には無い。野山に自生するこの効力
のある木を。我々の祖先が見逃すはずがない。縄文の昔より、漆は接着剤、塗料とし
て使われていた。そしてその恩恵を受けるのは人間だけではなかった。蜂の巣は根元
を漆で固めているのだそうだ。軒下に作るあの大きな巣が風にも揺れず、しっかり止
まっているのを見ると納得がいく。私の家は石川県小松市で漆屋をしており、自宅の
すぐ裏にある漆工場から漂う匂いは、家の中までも充満するほどだが、気がつくと大
きな足長蜂の巣ができているのだ。根元に本当に漆が使われているのか、古巣で確か
めるとしよう。
<続く>
沢田氏のお箸はこちら。http://www.kinet.or.jp/nurimonoya-japan/syokunin/Sawada.html
Vol.10
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「ウルシノキ」の続き
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沢田欣也氏が平凡社 別冊太陽「暮らしの中の漆器」にお書きになった文章を引用さ
せて頂きます。
「ウルシノキ」は、日本以外では、中国、ベトナム、台湾、タイ、ミャンマーなど、
東南アジア周辺に生育しており、品質的には日本産が一番良いとされている。しか
し、現在日本での漆消費量の98パーセントは中国の漆。日本の漆に品質は最も近く、
しかも価格は十分の一くらいで手に入るからである。
日本の漆が採れる主な産地は、岩手と茨城。いずれの地域も「漆掻き」と呼ばれる漆
液の採取作業の後継者不足といった深刻な状況が続いている。漆掻きの仕事は、6〜
9月、真夏の非常に暑い時期にあたるので重労働である。しかも一本の木から採れる
のは、たったの200グラム程度。一人の採取量は一シーズンで20〜100キログ
ラムと言われ、全体では年間で二トンほど。対して中国では、およそ2000トンも
採取されているようだ。そのうち120トンほどが日本に輸入されている。過去に中
国より漆が大量に輸入されたのは戦時中のことで、その量は1300トンほどにもなっ
た。ほとんどが軍事需要で、大砲の砲弾の中に耐酸塗料として塗られていたり、錆止
め塗料として使われていた。戦後まもなく、漆の需要は極端に少なくなり、中国から
の輸入がストップしていた時期を境に、漆に変わるカシュー樹脂塗料(合成樹脂塗
料)が出回ることになる。また、生活スタイルが洋風化するに従い、室内から漆を
塗った物もなくなっていったのである。
<続く>
沢田氏のお箸はこちら。http://www.kinet.or.jp/nurimonoya-japan/syokunin/Sawada.html
ちなみに、ひとつのお椀を塗るのに使う漆の総量は40グラム程。1年に1本の漆の木
から採れる漆で5個のお椀をつくるのがやっとという計算になります。(ぬりもの屋japan
より)
Vol.11
沢田欣也氏が平凡社 別冊太陽「暮らしの中の漆器」にお書きになった文章を引用さ
せて頂きます。
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漆の種類
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採取された樹液は「荒味漆(あらみうるし)」と呼ばれ、20〜40%の水分、木屑や虫
などが混入し、このままでは塗料にはならない。これらを濾過除去したものが「生漆
(きうるし)」。さらに、目的に応じて「ナヤシ」「クロメ」作業と呼ばれる精製加
工がなされる。それは長い年月によって培われた独自の勘や技をもって行われる。
常温でよく攪拌することを「ナヤシ」。漆成分が均一に分散され、粒子が細かくな
る。
ナヤシの後、38度前後で、加熱攪拌し、水分を飛ばすことを「クロメ」という。熱を
加えることによって酸化が進み、色が黒ずんでくるのでそう呼ぶが、黒漆とは違う。
「ナヤシ」「クロメ」の工程を経て、水分を3%くらいにまで飛ばした(落とす)も
のが「透漆」。クリアではなく、飴色、琥珀色。漆には無色透明はなく、白い顔料を
加えても純白にはならない(茶色がかった乳白色)。赤や黄色などの顔料を加えたも
のが「色漆」。水酸化鉄で着色したものが「黒漆」。さらに目的に合わせ、艶のある
漆、艶のない漆、金箔用の漆など、細かく分類され、産地によって呼び方も違う。
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漆のメリット・デメリット
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漆には「乾燥が難しい。紫外線に弱い、漆かぶれが起こる」などの性質がある。今は
それをデメリットとし、かぶれない漆、紫外線に強い漆などの研究・開発ばかりが先
行しているように思う。たしかにかぶれるよりはかぶれない方が良いが、漆は長く付
き合っていくうちに免疫がついてくるものだ。むしろ、かぶれるからこを4000年もの
間、ウルシノキは野生に存在してきたのだと思う。
紫外線に弱いことも、天然素材であれば自然なことである。けれども、漆塗りの部屋
に住み、漆塗りの物に囲まれていると気持ちが安らぐというのは、日本人古来の生活
に根ざしたものだからというだけでない。実は、漆を紫外線吸収剤と考えると人間に
害をなす紫外線を吸収しているという科学的な根拠のあるものだったのである。天然
素材のほとんどは直射日光を浴びると劣化していく。これを欠点とばかりとらえない
で特徴として考える方がよいだろう。
漆のメリットとしてあげられるのは化学塗料に含まれるような有害物質のない、自然
素材であることが第一。樹液であるから、木との相性が良く、木材自身の呼吸をうま
く調整してくれる、木にとって防腐・防水・防汚のための最も良い保護剤なのであ
る。
縄文時代の出土品に状態の良い漆製品などがあると、漆は数千年の耐久性をもつ、な
どと紹介されることがある。耐久力だけならば、化学製品にもそれに匹敵するものは
あるだろう。漆は人間が生活するうえで十分な耐久性はあるが、やがては朽ちていく
ものだと思う。けれども、いつかはちゃんと土に戻るものだ、ということが大切だと
思っている。
沢田氏のお箸はこちら。http://www.kinet.or.jp/nurimonoya-japan/syokunin/Sawada.html
Vol.12
沢田欣也氏が平凡社 別冊太陽「暮らしの中の漆器」にお書きになった文章を引用さ
せて頂きます。
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漆器の手入れと簡単な修繕方法
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高価な漆器は、なおのこと腫れ物に触るような思いだろうが、木製漆器は下地工程が
しっかりしているので、結構丈夫なものだ。
美術品のような蒔絵の物を除き、価格に比例した堅牢さをもつと考えて良い。値段が
手頃な古い漆器も同じ。ただし、明治時代から、庶民のために安い漆器を作るため、
渋柿や膠などの代用下地を使ったものが出回るようになっている。これは傷みやすい
ので注意。上塗りが美しくても、下地の善し悪しまでを見分けることは難しいが。
しかし、基本的な手入れを守れば、それほど面倒なことではない。我が家では、漆器
をよく使うほうだが、他の食器と同じようにスポンジと洗剤を使って洗っている。た
だし、陶器などとは分けて、漆器だけ先に洗うようにしている。案外、傷がつくのは
他の食器とぶつかってのことが多いのである。食器乾燥機はいけない。漆というより
木地そのものにダメージが大きい。
収納は、他の食器と同じように食器棚へ。一日中日の当たる所は退色の原因になるの
で、直射日光に当てないよう工夫する。
我が家では、普段から飯椀、汁椀、取り皿、箸など、漆のものを使っている。特に黒
塗りの飯椀には白米が映え、食欲をそそられる。親戚、友人が集まるホームパー
ティーともなると、普段は使わない私のお気に入りのアンティーク漆器が並ぶ。その
時の洗い場は妻に任せず、自分が立つ。自分で洗いたいのだ。面倒くさいどころか、
洗うことが嬉しくなってくる。水分をしっかり拭き取ったら、普段は使わない品は、
一枚づつ布や薄紙で巻く。しまうまでが楽しい。
沢田氏のお箸はこちら。http://www.kinet.or.jp/nurimonoya-japan/syokunin/Sawada.html
Vol.13
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漆の抗菌作用に関して
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本日は、漆の抗菌作用に関して話しをさせて頂きます。
漆の抗菌作用に関しては研究が進んでおり、様々な研究結果が出ています。また、不
勉強で最近まで知らなかったのですが、韓国では漆といえば漢方と古くから認識され
れいるそうです。(韓国は緯度が日本より高く漆が固まりにくく螺鈿はあっても塗り
物は日本ほど多くはないようです。) 漆の器が人体に無害なことは皆さんご存知だ
と思いますが、積極的に菌を死滅させる実験結果が出ております。MRSA(黄色ぶどう球
菌)、大腸菌(O157含む)、サルモネラ、腸炎ビブリオが漆の容器の中では24時間後
にはすべて死滅しているという実験結果も出ています。今後、この種類の実験結果を
入手し、随時お知らせしたいと存じます。
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