| 個展報告 | ||||||||||||||||||||||||
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長井均のぬりもの展 + 小川マア・下地ワークス展
2002年5月14日〜23日 東京都港区南青山 ギャラリーワッツ
左:小川マア氏 右:長井均氏 |
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そのふくよかさは、漆がくれた そのつよさは、漆がくれた そのあじわいは、漆がくれた そのはかなさは、漆がくれた 漆からもらったものを、 ただながれるようにカタチにした (小川マア)
当店でもお馴染みの長井均氏と、かねてから石川県輪島の漆器職人との交流のある小川マア氏との展示会が開かれた。会場は南青山にあるギャラリーワッツ。10日間の期間中、5回にわたりワークショップも開かれた。
長井作品の特徴は、独立前の下地職人時代に培った輪島地の粉(珪藻土)を使った下地の技を造形作りに活かしているところだが、小川氏は長井氏の工房で下地の状態で置かれている器を見ているうちに、上塗りをしていない輪島地の粉(じのこ)使用の下地自体の美しさにたいそう惹かれたようである。
小川氏はここ数年10回以上輪島に足を運び、長井氏に下地付けを教わりながら独自の「下地ワークス」なるものを開拓し、発表している。(右上の3点の画像が小川氏の作品。) 下地の工程の中の6つを捉え、それぞれの表情をプレートにしたもの(右上から3番目)、和紙に下地で表情をつけたもの(右上から2番目)などの作品が発表されていた。小川氏によると、長井氏の作る器類に施す下地の”用の美”に対し、小川氏の作品は”不用の美”ということである。輪島地の粉(じのこ)はプランクトンなど微生物が堆積しできた珪藻土を乾燥させたものである。その粉と生漆を混ぜたものをヘラで塗り、時間が経つとザラザラした硬質な表情になる。粘土よりもっとザラザラした感じである。その美しさに焦点をあて、アートにしてしまったのが小川氏なのである。このままでは、気泡がいっぱいあり、食器としては用をなさないものだが、Primitive(原始的)な美しさ、力強さを感じる。ギャラリーワッツの打ちっぱなしのコンクリートの壁に不思議とマッチしていた。私も長井氏の工房を訪れた際、下地のまま置かれた器が素朴な美しさを放っているのを感じなかったわけではない。しかし、それをアートに高めることを誰が想像しただろうか。
長井氏のお椀の下地の状態のものも見せてもらった(左上2番目の画像の右から2つ目)が、表面の均一な美しさは、まさに職人技、用の美だ、と息を飲んだ。表現が安易だが、機械の型から出てきたような均一さなのである。ワークショップでも長井氏の下地職人時代がいかに技を高めるのに最適な(過酷という意味で)環境だったかを話していらっしゃいましたが、だからこその技と感心することしきりである。長井氏はどのような環境にあっても、独立して完成品をつくるという目標を見失わなかったために、様々な技を盗んで身に付けたようだ。
長井氏の作品は丸物が多いのかと思っていたが、それ以外にも重箱、餅台、燭台、大きな壷など意欲的な作品が多く見られた。もともと角物(重箱など)も得意だった、とご本人も言っていた。左上から3番目のヘラ数本の画像を見て欲しい。小川氏の説明で知ったが、下地作業はハケではなくすべてヘラで行う。そのヘラも塗る場所によってすべて角度が違うので、新作を作る時や、ヘラが擦り減った時などに絶えず専用小刀を使って職人さんが自分で作るようだ。それが作れなくて挫折する職人さんも少なくはないようだ。また、角物と丸物では塗る感覚が全く違うようで、木地作りは勿論のこと、塗りの作業もその2つがずっと分業してきたのもうなずける。左上から5番目の円筒の黒の線は漆を塗り固めて盛り上がっている。私は竹の節かと思ったが、縦の線はなんだろうと思っていた。漆を何度も塗って盛り上がったとは想像もつかなかった。注ぎ口も切れのよいように設計されている。常に、使い易さを追求している長井氏らしい。長井氏に、「ファンが多いですね。」と言うと、「ファンより不安ばかりです。」と答える。私は長井氏に会うのがこれで三度目だが、外見も内面もライト級のプロボクサーのようだという印象を持っている。負ける試合はしない、という秘めたプロ根性を感じるからだ。 おふたりの活動からますます目が離せない。 ぬりもの屋japan店主 |
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