平成15年6月県議会本会議一般質問
KSP社長人事について 2003年6月30日

○議長(桐生忠一君)

審議を行います。
日程第1、定県第57号議案 平成15年度神奈川県一般会計補正予算外3件を議題といたします。
これより質間並びに質疑を行います。
質問の通告がありますので、順次発言を許します。 
小川久仁子君。
〔小川久仁子君登壇〕(拍手)
○小川久仁子君

議長のお許しをいただきました、自民党県議団の小川久仁子でございます。新知事の県政への取り組みについて、県民の声を背景に、質問させていただきます。
先輩、同僚議員におかれましては、しぱらくの間ご清聴いただきますようお願い申し上げます。
この6月定例県会は、県民にとって、新知事がどんな人で、何を考えているのかを知る大切な情報公開の場であり、知事にとっても県議会にとっても初めて迎える本格的論戦の場でもあり、重要な機会だと私は受けとめております。
また、私個人にとりましては、旧知のあなたが知事になり、私が県会議員になってこの場で質問をすることになったことに、まことに複雑な心境を抱いております。
私が松沢知事に初めてお会いしたのは、15年前のことでした。当時県会議員であった夫と仲がよかったあなたは、感じのいい、フレッシュな印象の青年議員で、私たちの結婚披露宴の司会もしていただいた間柄でした。今でもそのときの友情やご好意を忘れてはおりません。その後、あなたは自民党を離れ、国政に転じ、政治的立場を異にしましたが、人の出会いとご縁はまことに不思議なものだと痛感しております。
私が仮にあなたに耳が痛い質問をしたとしても、それは議会人としての責務からであり、行政の最高責任者である知事に県民が抱く素朴な疑問や声を、県民の立場に立って問いかけるという基本的使命感に基づいているものです。どうぞ温かいご理解を賜りますようお願いを申し上げます。
それでは、以下、質問に入ります。
まず、知事の政治姿勢として、ケイエスビー人事について伺います。
株式会社ケイエスピーは、KAST、KTFとの連携をとりながら、新産業の創出、育成、ベンチャー企業支援を目指して、全国的にも大きな注目を集めてスタートした第三セクターです。十分な準備期間をとり、初代社長に岡崎嘉平太氏、2代目社長に飛島建設の社長であった飛島齊氏、3代目の社長は元知事の長洲氏、4代目は久保元副知事、5代目は元企業庁長の山野好章氏と、そうそうたる顔ぶれが就任してきました。
新産業の創出と育成という大きな夢と希望を持ったプロジェクトでしたが、これまでは、これといった成果もなく、その目的からすれぱ、まだまだ夢の途上という感はぬぐえません。そんな中で山野好章氏は、赤字続きの経営内容を改善するという岡崎前知事の意向を受けて、4年前に社長に就任したところでした。この山野社長の経営努力によって、業績が改善されてきたと伺っております。
このケイエスビーの新社長になったのが、民間人の山田長満氏でした。知事が「民間人の登用を」と考えて、かねてからの支援者を抜擢したと伺っております。一般論として、民間人の登用は理解できるところですが、たまたま山田氏が知事との個人的関係が強過ぎ、知事の政治団体へ献金していた事実が判明し、波紋が広がっております。
山田氏は、川崎市麻生区万福寺で山田長満会計事務所を経営していますが、数カ月前までは、川崎市多摩区の自社ビルに事務所を開設していたと伺いました。
その経歴を拝見すると、日本起業家協会理事長、日本エンゼル協会理事長など多彩な活動をされております。「日本起業家協会」と聞けば、いかにもケイエスピー事業にふさわしく思われますし、知事も山田氏を社長指名した一番の理由に、この協会名をたびたび挙げられております。が、この協会の実体はどういうものか、私は疑問を持ったので調べてみました。
この団体の本部事務所は山田長満会計事務所内にあり、会計事務所が川崎市多摩区から麻生区に移転したときも、同様に移転しています。この団体のホームページを見れば一目瞭然、山田氏個人が創設した全く私的な組織であることがわかります。また、このホームページも昨年9月から全く更新されていないところから察すると、協会自体の仕事が休眠状態なのではないでしょうか。
また、ある企業調査データによると「ベンチャー企業支援が、本業である税理士事務所経営にも寄与している」と報告されているように、山田氏の経営努力の一つにすぎないのです。
これらの事実から、山田氏は税理士として大変やり手の方だとは理解できますが、敏腕税理士やすご腕経営者は、神奈川県内を見ても数限りなくいらっしやるはずです。これだけではケイエスビーの社長適任者とは言えないのではないでしょうか。
先日の知事のご答弁でも、「ベンチャービジネスの育成をさらに一層図るのにふさわしい人物として、阿部川崎市長と相談した結果、日本起業家協会理事長の山田氏が適任とケイエスピー側に提案した」とあります。が、しかし、先ほど申し上げたとおり、そのふさわしいと言われるところの根拠の日本企業界協会とは、公的に認められた団体ではなく、実態のわからない、実績の見えない団体なのです。この日本起業家協会とは一体どんな団体なのでしょうか、知事に明快にご答弁いただきたいと存じます。
また、その協会も含めて、山田氏のベンチャービジネス育成の成果、実績をご報告していただきたいと存じます。
そして、阿部川崎市長とも相談したという点について質問いたしますが、川崎市との折衝については、どんなやりとりがあったのでしょうか。2年前、このケイエスピーの社長人事で県と川崎市の主張が食い違い、後味の悪い決着をつけたことは記憶に新しいところです。今回は、そのときと全く違うスムーズな人事決定があったのは、2年前と知事も変わった、市長も変わったということが大きな原因だと思いますが、人事の背景を説明願います。
また、この問題の最後の質問として、山田氏は知事の以前からの支援者ということですが、いつから献金やパーティー券のお付き合いが始まったのでしょうか。お付き合いが始まった年度と、山田氏の関連会社も含めて知事の政治団体または個人への献金総額、パーティー券購入総額をお聞かせください。
次に、松沢知事は岡崎前知事の清廉潔白な政治姿勢を高く評価し、「岡崎知事の政治姿勢を継承する」とたびたび発言されています。どう継承されるのか、何点かお考えを伺います。
まず、みずからの退職金についてです。
岡崎前知事は、深刻な県の財政難を真筆に受けとめ、1期目の退職金を50%返上されています。4,800万円支給されるところを2,400万円に減額されたのです。他の首長の中には、みずからの退職手当の廃止条例を提案される方さえある時代です。知事はみずからの退職金についてどのように考えているのか、お伺いいたします。
また、岡崎前知事は、地方分権改革推進会議委員など各種審議委員の報酬や講演料について、知事職についているがゆえに依頼される委員や講演の謝礼は一切受け取らないという姿勢を貫き通されました。その理由として、知事としての報酬は受け取っているので、それ以外の報馴や講演料などは一切受け取るべきではないと岡崎知事みずからが説明されておりますし、これは前知事の資産公開でも明らかにされております。この岡崎前知事の言葉こそ、継承すべき清廉な姿勢そのものではないかと考えます。
知事の日程を見てみますと、ご多忙の中、庁内で多数の取材をこなされていますし、「クイズ$ミリオネア」など娯楽番組にも登場されています。取材への謝礼や講演料などをどうされていますか、確認のためお伺いいたします。
次に、先般の我が団、保阪議員、加藤議員の知事の生活の本拠と人事の問題に関連して、選挙管理委員会書記長に数点伺います。
本年4月の統一地方選挙において、横浜市議選に立候補し、落選した神奈川ネットの候補者が、夫、長女、長男とともに公選法違反の疑いで横浜地検に書類送検され、後に全員の罰金刑が確定したと報道されました。これは神奈川ネットの市議候補者が、実際は横浜市戸塚区に住んでいたにもかかわらず、同市瀬谷区のアパート1室に家族全員の住民票を移し、同候補者に投票したことによる罪なのですが、この罪の根拠となる法律について説明をお願いいたします。
次に、選挙運動員に対する報酬について伺います。
いわゆる選挙運動を手伝ってくださる方を称して「選挙運動員」と公職選挙法上では言っていますが、選挙期間中に報馴を支払うことができる運動員は、選挙事務員、ウグイスなど車上運動員、手話通訳者に限られ、選挙公示日に選管に氏名を届け出なければ報酬を支払うことはできません。また一方「選挙労務者」と規定されるものもあり、これらはポスター張りやはがきの宛て名書き、車両運転手などで、氏名を事前に選管に届けなくても日額l万円の範囲で報酬を支払うことができますが、選挙労務者には、いわゆる選挙運動はできないことになっています。これらは公選法第197条の2によって規定されています。
この報馴を支払えるか、支払えないかという点の理解が非常に困難なので、書記長に伺いたいのです。例えば選挙の総括責任者や会計責任者など、報馴を支払えない立場の運動員に、候補者を支援している企業から報馴が支払われていた場合、それはこの第197条の2に抵触するのではないかと考えますが、いかがでしょうか、選挙管理委員会書記長に伺います。
以上、短いですが、私の1回目の質問を終わります。
ご答弁よろしくお願いいたします。

〔拍手〕〔知事(松沢成文君)発言の許可を求む〕

○議長(桐生忠一君)

松沢知事。

〔知事(松沢成文君)登壇〕

○知事(松沢成文君)

小川議員の質問に順次お答えをいたします。
まず最初に、私の政治姿勢とマニフェストについて、株式会社ケイエスピーの社長人事に関連して、日本起業家協会とそのベンチャー支援分野における実績、山田氏自身の実績についてのお尋ねがございました。
日本起業家協会は、山田氏が所長を務めている山田長満会計事務所の支援により、1986年に設立されたベンチャー支援の先駆的団体です。アイデアシーズの段階から株式公
開まで、次代を担うベンチャー企業の育成を全般的に支援している団休であると聞いております。
具体的には、起業の意欲と情熱に燃える方々に対して、まず会社設立、技術特許、税務・会計、法律、経営のコンサルティング、次に制度融資、ベンチャーキャビタル等からの資金調達の紹介・あっせん、さらに財務経理など経営管理面の完全サポート起業家セミナーの開催などのサーピスを提供されているようであります。現在、起業家協会の・会員には全国に300法人、100の個人がいらっしやるとのことですので、これまでの活動について高い評価を得られているのではないかと思います。
また、山田氏につきましては、財団法人神奈川中小企業センター等が主催するかながわビジネスオーティション実行委員会において実行委員を務めていただいているほか、川崎市中小企業サポートセンターにおいて、実務面から中小企業支援を統括するプロジェクトマネジャーとして、財務分野の支援をこの3月まで行われるなど、ベンチャー企業、中小企業支援の各方面での活躍の実績のある方であります。
次に、知事と市長との山田氏の社長就任についてのお尋ねでありますけれども、まず、2年前の株式会社ケイエスピー社長の人選に関連しましては、新川崎創造の森地区の新事業支援施設に対する増資の問題とも関連して、川崎市から県に対して、川崎市職員を同社の代表取締役社長に推薦したいという申し入れがございました。県としては、社長のポストにこだわるわけではないが、県産業技術総合研究所や財団法人神奈川中小企業センター等との全県的なネットワークのもとでのインキュベート事業の展開が必要であるとのことから、引き続き県OBを社長とすべきと考え、その後の株主総会、取締役会で山野社長の再任が決定したものだと聞いております。
次に、今回の社長の人選ですが、会社の安定的な経営基盤ができたことを踏まえ、今後の会社の新たなステージに向けて県内の他のインキュベート施設とも連携し、ベンチャーピジネスの育成をさらに一層図っていただくのにふさわしい人物ということで、人選を進めてまいりました。こうしたことで、県とともに株主である川崎市の阿部市長にもご相談申し上げた結果、日本起業家協会理事長の山田氏が適任ではないかという共通認識に立ち、株式会社ケイエスピー側にご提案したところでございます。
次に、山田氏からの献金及びパーティー券購入の総額と、始まった時期についてのお尋ねがございました。
政治資金規制法にのっとり収支報告させていただいておりますが、山田氏個人及び関連会社からの献金は、平成6年度から始まり、現在まで405万円でございます。次に、同じくパーティー券の購入は、平成9年度から始まり、現在まで127万円でございます。

次に、知事の退職手当についてのお尋ねがございました。
退職手当については私自身どのように考えているかということでありますけれども、知事としてまだ就任したぱかりでありますので、退職手当につきましては、その取り扱いについては、現在、特に考えておりません。
次に、マスコミからの取材料、講演料についてのお尋ねがございました。
取材料、講演料は受け取っております。ちなみに、これらはすべて確定申告において、これまでは申告してきましたし、これからも申告し、税もきっちりと納めております。
以上が私に関する質問の答弁であります。

〔選挙管理委員会書記長(嶋田幸雄君)発言の許可を求む〕

○議長(桐生忠一君)

嶋田選挙管理委員会書記長。

○選挙管理委員会書記長(嶋田幸雄君)

さきに行われました横浜市議会議員選挙の際、瀬谷区選挙区で立候補した候補者の公職選挙法違反事件の法的な根拠についてお尋ねがございましたので、お答えいたします。
当該事件の内容につきましては、新聞報道で承知している限りでございますが、自分と家族の住民票を、横浜市旭区から実際には住んでいない横浜市瀬谷区に移し、実際の選挙区ではないと知りながら投票したというものであると承知しております。本件に対する公職選挙法上の罰則といたしましては、詐欺登録罪及び詐欺投票罪が適用されたとのことでございます。
まず、詐欺登録罪についてでございますが、これは公職選挙法第236条に定められているところでございまして、選挙人名簿に登録させる目的をもって、住民基本台帳法に基づく転入届けに関し虚偽の届け出をすることによって選挙人名簿に登録させた者等が処罰の対象となるものでございます。
次に、詐欺投票罪についてでございますが、これは公職選挙法第237条に定められており、氏名を詐称し、その他詐欺の方法をもって投票し、または投票しようとした者、選挙人でないのに投票した者が処罰の対象になるものでございます。
これらの罪に関しましては、禁固刑または罰金刑に処せられることとされておりまして、刑に処せられました者は、あわせて公職選挙法第252条に基づき、一定期間選挙権及び被選挙権を有しないこととされております。
続きまして、選挙期間中の選挙運動員の報酬に関するお尋ねをいただきましたので、お答え申し上げます。
選挙におきまして選挙連動に従事する者及び選挙運動のために使用する労務者に対して支給する実費弁償及び報酬につきましては、先ほどもご指摘ございましたが、公職選挙法第197条の2ほかに規定されているところでございます。候補者が報馴を支給することができますのは、選挙運動のために使用するポスター張りや自動車の運転などをする労務者に対してでございまして、選挙運動に従事する者、いわゆる選挙運動員には、原則として報酬を支給することはできないこととされております。ただし、お話にもございましたが、選挙運動員のうち事務員、車上運動員等及び手話通訳者につきましては、事前に届け出た場合に限って報酬を支給することができるとされております。
こうした報馴を候補者以外の人が支払うことにつきましては、候補者への寄附に当たると考えられるところでございますので、ご質問のように企業が報酬を支払った場合につきましては、それが労務者や届け出のあった車上等連動員など報馴を受け取れる者であったといたしましそも、政治金資金規制法第21条で禁止されております企業から候補者への寄附に当たると認められるおそれがある、このように考えているところでございます。
以上でございます。

〔小川久仁子君発言の許可を求む〕

○議長(桐生忠一君)

小川久仁子君。〔小川久仁子君登壇〕

○小川久仁子君

2回目の質問は、登壇してやらせていただきますけれども、今の知事のご答弁、一番最初の私の質問に対しまして、ケイエスピーの社長になられた山田長満氏関連の日本起業家協会について、また、山田氏自身の今までのインキュベート事業に関する職業について挙げられましたが、私もそれは、この質問をさせていただく前に既に調べさせていただいております。そして、その日本起業家協会という協会が決して財団法人や社団法人ではなく私企業であるということ、そして、全国的に見ても唯一無比の協会ではないということを申し上げたいのです。ケイエスビーの社長にその協会の会長を就任させるということは、公的な色彩の強いケイエスピーが日本起業家協会の仕事をバックアップすることになるのではないか、私は、それを心配しているのであります。
そしてまた、このことに関しましては、神奈川県や川崎市のさまざまなインキュベート関連の委員を山田氏が務めているというお答えではございましたけれども、それはたった一人の委員ではなく、多数の委員の中のお1人ということでございますから、これもまた、ケイエスピーのたった一人の社長に推薦をする理由とはならないと私は思っております。
また、もう一回質問させていただきますけれども、先ほどの私の川崎市、神奈川県とのケイエスピー社長人事に関する協議の背景、質問させていただきましたところ、既にお答えがあった内容、そして私たち前期務めている人間がすべて知っている内容をご答弁されましたけれども、そうではなくて、川崎市長の阿部さんと松沢知事と山田氏の個人的な関係を、私は、実はお伺いしたいのです。それについて知事からお答えをいただきたいと思います。
2番目の質問に関してですが、岡崎前知事の清廉な姿勢をぜひ受け継いでいただきたい、こういう観点から二つの質問をさせていただきましたけれども、確定申告していれぱいいというものではないと思います。前知事は、ご自分の収入を明確に公開されているところによれぱ、私の先ほど申し上げましたとおり、知事としての報酬は既に受け取っているから、それ以外の報馴は、知事であるがゆえに与えられた報酬であるから一切受け取らない、こういう清廉な姿勢から、岡崎知事が実行されたことなのです。それをぜひ守っていただきたい、こういう気持ちから申し上げたところでございます。
次に、瀬谷区の事件について申し上げます。
生活の本拠がどこなのか、それがどうして大切なのかという理由は、この事件にあるのです。これは全く知事の、先日、加藤議員からご質問があった、この場合と酩似しています。私の調べでは、知事のお子様が通学されている学校の同級生連絡名簿には、父母の連絡先住所として狛江の住所が掲載されておりますし、奥様の卒業された学校の平成12年度の同窓生名簿にも、住所として狛江市北岩戸が掲載されております。加藤議員の調査及ぴ私の調査をあわせ考えれぱ、明らかに知事ご夫妻は公選法第237条第l項に抵触している疑いが濃厚と言わざるを得ません。
社会常識に照らせば、家族と寝食をともにしている場所が生活の拠点だと言えると思います。知事とご家族が選挙権がない場所で投票権を行使したとすれぱ、これはまさに瀬谷区の事件に匹敵するものであります。瀬谷区で神奈川ネットの候補者と家族が有罪になり、公民権停止になった事実をかんがみれば、公平に判断されるべき事柄と考えます。知事だからといって見過ごされるべきではありません。
例えば、知事とご家族の生活の本拠地が狛江と断定されたら法律上どうなのか、これについて選挙管理委員会書記長のご所見を伺います。
また、選挙期間中の報酬についてでありますが、これは調査担当部長の今岡氏の件であります。
3月27日より選挙責任者として事務所に詰めておられたそうですが、もちろん、それ以前から知事のために働いていらしたからこそ、今日ブレーンとして部長という立場を与えられたのだと思いますが、3月末日付で束急工一ジェンシーを退社されるまで、同社から給料を支給されていたのではないでしょうか。休職されていたのか、会社の理解を得て知事のために働いていたのか、これも事実によっては大きな疑惑となり、やはり公選法第197条の2に抵触する疑いがあると考えられます。これについても選管書記長の所感を述べていただきたいと存じます。
そしてまた、ちょっと順番が変わりますが、先ほど山田氏から知事に対しての献金総額、パーティー券の購入総額のご公表がありました。大変多額な、大口の支援者であったということが明確にされたわけですが、私が調べたところによりますと、平成12年4月6日、山田長満氏から知事の当時の資金管理団休であった翔成会に12万円、平成12年12年25日に88万円、計100万円が献金されておりますが、これは個人献金総額889万9,450万円のうちの100万円と、8分の1に及ぶ非常に多額な献金と私は承知しております。この大口の支援者を、個人的なつながりの強い大口な支援者を公的な色彩の強い株式会社ケイエスビーの社長に推薦したということ、これは非常に見識が疑われるものと言わざるを得ません。

先ほどの私の2度目の質問に対しましての知事のご答弁を伺いながら、また私の所見を述べさせていただきたいと存じます。

2度目の質問は、これで終了いたします。

〔知事(松沢成文君)発言の許可を求む〕

○議長(桐生忠一君)

松沢知事。
〔知事(松沢成文君)登壇〕

○知事(松沢成文君)

小川議員の質問にお答えをいたします。
まず初めの、山田氏の笑績についてですけれども、日本起業家協会のあり方をめぐる議論でした。
私は、山田さん中心になってつくられた団体でありますけれども、この内容、先ほど説明したように、インキュベート事業を積極的にやられているということで、私は、これは評価に値するものだと思っています。
これは個人的なものであるではないかという質問もありましたが、私は、山田長満さんはこういう個人が主導してインキュベート事業をお手伝いしようというだけではなくて、例えば、先ほど申し上げましたが、この神奈川県の関係でも、神奈川中小企業センターが主催するビジネスオーディション実行委員会の実行委員を務めている、あるいは川崎の場合は川崎市中小企業サポートセンターにおいて、実務面から中小企業を統括するプロジェクトマネジャーということを務めておりまして、財務分野でもこの3月までずっと努力をしてきたわけであります。
私は、山田さんのこうした中小企業支援あるいはベンチャー企業育成にかかわってきた実績は、川崎ではほとんどほかに例がない、あるいは神奈川県でもなかなか例がない大変な実績だと思っていまして、全国的にも、著書や雑誌の投稿でももう無数にあるわけでありまして、私は、こういう実績も含めて総合的に判断をさせていただいたということであります。
次に、阿部市長と山田長満さん、私との関係ですが、当然これだけ有名な方ですから、阿部市長も山田さんのことをよく知っておりました。そして、山田さんの中小企業支援やベンチャー育成にかける意気込みとか情熱を阿部市長も大変よく理解をされていました。川崎市の関係のお仕事もしています。私の方から阿部市長に相談を持ちかけまして、この際、ケイエスビーも第2創成期に入るわけだから、県や市の0Bが社長をやるのではなく、むしろ民間の発想で、そしてこれまでの実績を生かしていただいて、新しいケイエスピー、本当のインキュベート事業に打ち込める新しいケイエスビーをつくるべきだ、それこそが今、時代の要請である、そういう判断をいたしまして、阿部市長とも相談の結果、私は、山田さんをケイエスピーの次期社長にどうかということを推薦を申し上げたわけであります。
次に、講演料やテレピ、ラジオの出演料をなぜ岡崎さんのように返上というんでしょうか、しないのかということですが、私は、岡崎知事の政策ですぱらしいところはぜひとも継承していきたい。しかし、足らざるところは私の新しい政策をもって県政を運営していきたい、こう申し上げたわけでありまして、岡崎前知事のやってきたことをすべてまねをするということは、一言も申し上げておりません。
特に、講演料やテレピやラジオの出演料、これはですね、私は、ある意味で知事としての公的な役割を含んでいると思います。テレビやラジオに出て、あるいは講演をして神奈川県のことをどんどんアピールしていくというのは、私は、知事に課せられた一つの仕事だとも思っていまして、お誘いをいただければ、できる限り出演をしていきたい。そして講演料については、きちっと税務申告をして税金を払い、適正な処理をしていけぱいいことだと思っております。
小川議員もぜひとも活躍されて、テレビなどに呼ばれればどんどん神奈川県のことをアピールできますので、頑張っていただきたいと思います。
次に、パーティー券や個人献金の大口支援者が、このケイエスピーの社長になることは問題があるのではないかということですが、私は山田さんの、あくまでもこれまでの民間企業経営者としての実績を評価して、それで阿部市長とも相談して、ケイエスピーの社長をお願いできないかと。山田さんの方からは、大変お忙しい身なのでということで1度固辞もありましたけれども、やはり阿部さんと再度相談した結果、神奈川県広く見渡してもこの人の右に出る者はいない、そういう判断をして、私は、山田さんを社長にどうかという推薦を申し上げたわけであります。
このことと、私のこれまでの政治家に対する支援とは全く別問題でありまして、これを混同されては非常に私は困るというふうに思っております。私は、民間人として高潔であり、そして民間の経営者としてすばらしい理念をお持ちの山田長満さんから、長年にわたって政治的なご支援をいただいたことは、むしろ誇りだと思っていまして、そのことと今回の社長任命は全く関係がない、むしろ山田さんの実績があるゆえに、きちっと推薦をさせていただいたということですので、ご理解をいただきたいと思います。
以上です。

〔選挙管理委員会書記長(嶋田幸雄君)発言の許可を求む〕

○議長(桐生忠一君)

嶋田選挙管理委員会書記長。

○選挙管理委員会書記長(嶋田幸雄君)

お答えいたします。
まず最初に住所、生活の本拠地に関するお問い合わせをいただきました。知事選挙におきます事実の詳細を承知しておりませんので、一般論としてお答えをさせていただきますが、仮に生活の本拠が住所地と違うと認定された場合には、ご質問の詐欺登録罪及び詐欺投票罪のうち、客観的な事実が確認されたということになるものと考えております。しかし、例えば詐欺登録罪につきましては「選挙人名簿に登録させる目的をもって転入届けを出した」また、詐欺投票罪につきましては「選挙人でないことを知りながら投票した」などという主観的な事実も必要とされるところでございます。
したがいまして、具体的な罰則の適用に際しましては、これらすべての要件が整った段階で、その適否が検討されることになろうかと考えております。
続きまして、選挙運動員に関する報馴についてお尋ねがございましたので、お答えいたします。
選挙事務所の中枢にいて選挙運動において中心的な役割を担った方が企業から報馴を受けていた場合、これについてのご質問でございました、先ほどもご答弁申し上げました、政治資金規制法第21条に関する事案とは思いますが、この事案に関しましてはいろいろなケースが考えられるところでございます。
この事案、選挙管理委員会といたしましてはその詳細を把握しておりませんので、私からのご答弁は差し控えさせていただけれぱと思います。よろしくお願いいたします。

〔小川久仁子君発言の許可を求む〕

○議長(桐生忠一君)

小川久仁子君。

○小川久仁子君

自席での発言をお許しいただきたいと思います。
私が質問していないことにまでお答えをいただいたわけですけれども、先ほどのお話ですと、川崎市長、松沢知事、山田長満氏、もともと山田氏が有名な方だったので川崎市長も知っていたというお答えではございましたけれども、私は、そうでない情報をいただいております。
川崎市長の個人演説会のときに、たしか知事が川崎市長に山田氏をご紹介した、このような情報も得ておりますけれども、私が調べたところによりますと、山田氏は知事に対すると同様に川崎市長にも献金をされています。阿部市長の政治団休・川崎ルネッサンスに対して、平成13年3月22日に30万円、同年7月5日に同じ額の30万円が山田氏から献金されております。また、川崎市長選挙時である平成13年10月18日に5,000円献金と掲載されておりますが、これは山田氏の経営する中和産業所有の多摩区のビルの1室を、阿部市長の個人演説会会場に無償提供したことを意味するものです。
このように、松沢知事のあっせんによって阿部市長にも献金がされることになったのだと思わざるを得ない状況がございます。この事実をもってしても、明らかにこれは選挙でお世話になった見返り人事である、こう断言できると思います。県知事と川崎市長がともに物心両面でお世話になった山田氏に、ケイエスピー社長という、大きな信頼の象徴とも言える公的な肩書をプレゼントした、こうとしか考えられないのではないでしょうか。
しかも、ケイエスピーの事業は、皆さんご承知のとおり、KAST、KTFから年間に多額の家賃が支払われております。家賃収入、ケイエスピーの家賃収入が11億8,000万円、そのうち3分の1はKTFとKASTからの家賃収入であり、また、KTF、KASTにはそれぞれ県からかなりの多額の補助金が毎年支出されております。株式会社ケイエスビーと言っても、かなり県の支出に頼っている、公的な色彩の強い第三セタタ一ですから、このケイエスビーの社長にこのような山田氏を推挙するということ、これは非常に間題だと思います。
しかも、ケイエスピーの事業と日本起業家協会の仕事が余りにも類似しているだけに、同協会の事業活動に利するポストを提供したという印象がぬぐえません。
この2点から、どんな説明をされてもこの社長人事の妥当性には疑いが残ります。今後、これにつきましても98条委員会でも検討し、議論を続けていくべきだと思いますけれども、後に質問させていただきました住居の本拠地の問題、そして今岡氏の問題につきましても私は大いに疑間が残るところだと思っておりますので、深い審議、議論、検討、調査を98条委員会で展開していただくことをお願いしたいと存じます。
書記長のご答弁、本当にありがとうございました。

質問の最後にあえて申し上げれば、知事が1990年の県会の一般質問や中央公論の投稿の文章の中で述べている「首長の多選禁止問題について」という一文の中に、「知事の個人的なつながりが県庁内外に扶植され、人事が偏向し、行政が側近政治化し、県政が私物化される危険がある」と多選の弊害について知事自身が指摘していますが、今、たった就任2カ月で、多選でなくてもこの弊害が既に起きております。これはもう知事の姿勢や資質の問題と言わざるを得ません。
私の質問も含め、これまで質問で明らかになった問題をこれからも引き続き追及していくべきだと意見を述べさせていただきまして、私の質問を、短いですが、終わらせていただきます。
ありがとうございます。

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