県民企業常任委員会(平成15年6月)
ジェンダーフリー 平成15年7月8日

小川委員

ジェンダーフリーは、社会的、文化的な性差の解消という意味で使われていますけれども、「男らしさ」・「女らしさ」というものをめぐって、いろいろな意見が出されています。報道もおもしろおかしくされている訳ですけれども、わが県の「かながわ男女共同参画推進プラン」が策定されましたが、そのプランのめざす男女共同参画社会とはどのような社会なのか、まず確認をしたいと思います。

人権男女共同参画課長

今、議員のお話にございましたように、自治体におけます男女共同参画の取組みが、一部で伝統・文化を一切否定することになるおそれがあるものと受けとめられまして、議論を呼んでいるものと承知しております。
男女共同参画社会の推進の基本となる「男女共同参画社会基本法」でも、男女共同参画というものは、個人の内面に関わる「男らしさ」・「女らしさ」や、伝統・文化などを否定しているものではなく、個人の個性や能力よりも、固定的な「男らしさ」・「女らしさ」を強調しすぎることによって、男女間に社会的な差別的な取扱いが生み出されることなど、それが男女共同参画社会の形成を阻害することに対しては、是正改善していく必要があるというしております。
したがいまして、本県のプランでめざしている「男女共同参画社会」も、「男女の人権が等しく尊重され、女性も男性も自らの選択によって、職場や家庭、地域において活躍でき、生き方を楽しめる、それからお互いが支え合い、利益も責任も分かち合える、いわば女性と男性のイコール・パートナーシップで築き上げるバランスのとれた社会」というふうに考えております。以上です。

小川委員

当委員会でも議論がなされ、条例や推進プランという形で、少子高齢化、労働人口の減少ということで、女性の働く場が増えるという現象があるかと思います。プランのめざしている、今、課長がおっしやた、豊かで活カのある社会、仕事と家庭の両立というものが、男女ともに大事になってくると思いますが、特に「仕事と家庭の両立」ということに関して、どのような施策や事業を進めていこうとされているのでしょうか。

人権男女共同参画課長

今お話がございましたように、少子高齢化が進む中で、男性も女性もともに、家事と仕事、それから地域における活動などをバランスよく担っていくことが、活力ある豊かな社会を築いていく上で大変重要だと考えておりまして、男女が安心して子どもを産み、育て、家族としての責任を果たせるよう、プランの中でも「家庭と仕事等の両立」を重点目標の一つに掲げて、福祉部や商工労働部などとの連携のもとに施策・事業を展開してまいる予定となっております。
具体的な施策といたしましては、まだ日本の社会では、職場優先の企業風土が依然として存在することや、特に子育て期にある30歳代男性の長時間労働が顕著になっているようなことから、育児に関わりたくても関われないといった状況があります。
この職場中心の意識、ライフスタイルを転換していくということで、「男性の家庭・地域活動等への参加の促進」を図るということも重要だと思っております。
それから、「労働時間の短縮と育児・介護休業制度等の定着」によりまして、仕事と家庭生活の両立や地域活動が両立できる職場環境づくりというものも進めていく必要があると考えております。
それから、これまで女性が大部分を担ってきました子育てや介護など、こういったものも女性だけでなくて男性も担って、男女がともに仕事と子育てとを両立できるよう社会全体で支援していくため、保育所等の整備促進など「地域における子育て支援」ですとか、「介護負担を軽減するための福祉サービスの充実」、それから「ひとり親家庭への支援の充実」、こういったようなものを図っていくという様に考えております。以上です。

小川委員

時代はこういうふうに男女ともに仕事と家庭を両立させていくということは、今、確認させていただきましたけれども、まだそういう流れを全く無視した、いわゆる逆行現象のような発言が、結構、国でも地域でもあり、時代遅れなことをおっしやている方がいるのだなと思ったりすることがあります。
例えば、国では党派を間わずセクハラ事件が起きたり、様々な問題発言が起きておりますが、逆行現象、千葉などでは男女共同参画条例なども頓挫したという話などもありますし、こういう逆行現象の流れ、世の流れ、行政の取組みについて課長はどのようにお考えですか。

人権男女共同参画課長

いろいろな議論がされておりますので、逆行現象、バックラッシュという言う方をされておりますが、そういった意見の方もいらっしやって、ともに議論を戦わせていくことは一つ重要なことだと思います。
ただ、私どもといたしましては、先程も申し上げましたとおり、男性も女性も共に尊重しあって、良きパートナーとして、暮らしていける社会づくりというものをめざしていきたいと思っておりますので、固定的・社会的な観念で男だからと女だからという縛りでもって、すべてのことにあたっていくこということに対しては、反対ということで意見を申し述べていきたいと考えております。

小川委員

バックラッシュという横文字、私はあまり横文字を使うのは好きでありませんので逆行現象と青いますが、今のお話、ぜひ進めていただきたいと思いますけれども、一般論として仮にこういう発言があった場合、どう思うかを一般論として伺いたいと思います。
「キャリアウーマンだからとか何とか、それで夜遅くなって子供を連れて帰って来る。子供とは本当に顔を合わせたこともない。幾らキャリアウーマンの子供であっても、そういうふうな子育てをされればろくな子供はできない。」
このような、一般論ですよ、こういう種の発言については担当部長はどのようにお考えになられますか。

人権担当部長

一般論としてでございますけれども、男女共同参画を推進している立場から申しますと、言葉、表現の仕方にやや問題があるのではないかなと思ってはいます。
そういった意見がどういうふうな場で起きたのかということにつきましては、いろんな状況があって考えた時間の中でぱっと言ってしまったとか、いろいろあろうかと思いますけれども、私どもとしてはもう少し配慮された表現があれば良かったのではないか、そんな風な形で受け止めているところでございます。

小川委員

キャリアウーマンだけじやないじやないですか。朝早くから夜遅くまで子供を預けっぱなしでいるのは。そういうのはキャリアウーマンだけじやないし、双方向の検証がされていない、働く女性を蔑視している表現だと私は思います。

人権担当部長

冒頭、委員からお話がありました表現ということでありますが、やはりそこには女性蔑視との委員からも今お話がございましたけれども、少子高齢化の進展、核家族化の変化等々、そういったことから、家庭や地域における養育カと言いますか、働く女性が増えてきているということが一般的な状況でございます。また、保育施設におきましては、きちっと保育士が配置され、そこで良好な保育・養育されている訳で、いろんな育て方ということについては、その家庭だけではなく、社会全体としても、そのような取組が社会の中で必要であろうと考えております。

小川委員

県もそういう流れであるし、国もそういう流れであるので、それにのっとってプランも作っているし、それなのに、キャリアウーマンという概念に捕らわれすぎているし、非常に私は遺憾な発言であると思っている訳ですが、それに対応する行動は後ほどにいたしましても、今私が質問したように、まだまだ、女性蔑視、男女共同参画に対する無理解。自民党の中ではございません。私はみなさんに背を押されて一生懸命やらせていただいておりますが、そういう無理解な方がいる中で、これから少子高齢化・毎設が進展していくなかで、男女共同参画社会実現に向けて、このような偏見・蔑視がなくなるように努めていただきたいと思いますが、具体的にどのようなお考えで取り組んでいかれるのか担当部長に伺います。

人権担当部長

男女共同参画につきましては、ただいまの「子育てと仕事」、これと「仕事と家庭」「男らしさ」「女らしさ」いろいろなご意見がございます。
国、本県がめざす男女共同参画社会は、先程、議長が申し上げたとおりでございまして、将来にわたって安定した豊かな社会を築くうえで、これは欠くことのできない取組みだろうと思っております。
こうしたことへの取組みとして、プランにいろいろ事業を掲げておりまして、女性の就業・子育て支援ということになりますと、福祉部といったところとの連携も必要でございます。そういったところでも主要事業として取り組んでいるわけでございますが、そういったところとお互いに共通の認識をもちながら、全庁的な取組みが必要でございます。
国におきましても、ここにきまして、やはり子どもを生み、育てることに喜ぴを感ずる社会をめざしていこうということから「少子化社会対策基本法案」、それとまた仕事と子育ての両立を支援します「次世代育成支援対策推進法案」が、現在、国会で審議されております。
それとまた、国の男女共同参画会議からは、2020年までに女性の指導的地位に占める割合を30%にしていこうという取り組みをもあり、国においても女性の登用、男女共同参画に取組がされているという国の動きも視野に入れながら、いずれにいたしましても、関係部局と連携をとりながら取り組んでまいります。

小川委員


そういう方針で、行政、議会、県民を問わず、立場を問わず共有できるように、是非お努めいただきたいと思います。

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