県民企業常任委員会(平成15年6月)
○個人情報保護について 平成15年7月3日

小川委員

このたぴ、国において個人情報保護法及び行政機関個人情報保護法等一連の個人情報保護に関する法律が成立したところである。
個人情報保護の重要性が高まっている中で、個人情報保護の法整備が図られたことは大変意義のあることと考えられる。
本県では、平成2年に個人情報保護条例を施行して、個人情報の保護に先進的に取り組んできたところであるが、これらの法の制定に伴う今後の県の対応等について何点か伺いたい。
まず、本県では、条例に基づき、個人情報の保護のためどのような取組みを行ってきたのか確認のため伺いたい。

情報公開課長

本県では、平成2年に条例を制定し、県、県民、事業者の3者が一体となった個人情報保護の社会的ルールの確立をめざし、各種の取組みを行ってきた。
具体的には、条例により県が保有する個人情報の保護のために、県の実施機関に対し、個人情報を取り扱う場合は、あらかじめ取り扱う目的を明確にし、事務登録簿に登録して県民に縦覧することや、取扱目的の範囲内で利用、提供すること等の義務を課すとともに、県が保有する個人情報に対しては、開示、訂正を請求する権利等を認めている。
また、事業者に対しては、個人情報保護のための自主的な取組みを支援するため、個人情報の取扱いに関する指針を公表したり、あるいは個人情報を取り扱う業務の登録制度の推進を行うなど、県民・事業者の意識啓発に努めてきた。

小川委員

事業者に対する取組みでは、今回制定された法と本県の条例とは、制度面でどのような相違があるのか伺いたい。

情報公開課長

まず、事業者に対しては、個人情報保護法では、一定規模の個人情報を取り扱う事業者に対して、遵守すべき義務を課し、違反した場合は、主務大巨が勧告、命令を行い、最終的には命令違反の罰則を科すこととなるいわゆる規制行政の仕組みが採用されている。
これに対し、本県条例では、事業者に対して、個人情報の適正な取扱いの確保が図られるよう、指針の作成や業務登録制度を設け、不適正な取扱いに対しては、調査・勧告及ぴ公表を行うといういわゆる指導行政の仕組みを採用している点が異なっている。

小川委員

他の自治体の条例の制定状況はどうか。

情報公開課長

14年4月1日時点と少し吉い国の調査では、都道府県・市町村の全体では、66%が制定している。
なお、都道府県レベルでは、平成15年4月1日現在全ての自治体が制定している。

小川委員

本県における事業者に対する指導は効果をあげていることは実体験として経験している。このような特性を生かした条例改正が必要と考えるが、法が制定されたことに伴い、本県を含め、各地方自治体では、どのような見直しが求められているのか。

情報公開課長

個人情報保護法においては、地方公共団体の役割が明確化されているが、地方公共団体はこの法律の趣旨にのっとり、その地方公共団体の区域の特性に応じ、個人情報の適正な取扱いを確保するために必要な施策を策定し、実施する責務を有することが規定されている。
また、その責務の具体的内容として、地方公共団体の保有する個人情報の保護に関する適正な敢扱いの確保や、区域内の事業者及ぴ住民に対する個人情報の適正な取扱いの確保のため必要な措置を講ずべき努力義務などが定められている。
このため、今後、各地方公共団体では、これらの法上の責務規定を考慮し、個人情報保護条例の制定、また、制定済みの団体では見直しなどの取組みが行われることになろうかと思う。

小川委員

本県においては、基本的にどのような考え方で制度を見直して行こうと考えているのか。情報公開課長本県個人情報保護条例は、平成2年に全国に先駆けて制定され、10年以上の実績を有しているところであり∵実施機関の義務の内容等、ある部分では、国の改正内容を先取りして実施しているなど、一定の水準を充たしているものと考えている。
その一方で、今回の法案では、県条例に規定のない、利用停止請求権や職員に対する罰則規定の導入などが図られているところでもあるので、こうした点を踏まえ、本県条例の先進的な取組みは基本的にレベルは落とさずに、より一層充実した制度となるよう、個人情報保護審議会等の意見も聴きながら見直しを行っていく必要があると考えている。

小川委員

条例改正について知事の答弁もあったが、制度の見直しに当たっては、今後のスケジュールはどうか。

情報公開課長

制度の見直しについては、近々個人情報保護審議会に諮問し、制度の見直しについて、審議していただくことを考えている。
また、条例の改正が必要となれば、条例の骨子案を作成し、パブリックコメント等により県民の皆さんのご意見を聴きながら、法が公布後2年以内の全面施行となっているので、節目節目で議会にもご報告をさせていただきながら、制度の見直しの検討を進めてまいりたいと考えている。

小川委員

県民の個人情報保護に対する関心が非常に高まっている中で、県民の個人情報の保護が一層適切に図られるよう、審議会や県民の意見も十分聞きながら、より充実した制度となるよう要望する。

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