H16.7.27 県民企業常任委員会  個人情報保護

小川委員

 共産党の質問とちょっと重複するところがあるのですが、神奈川県個人情報保護審議会からの中間報告の概要に関連して質問したいと思います。

 来年の4月1日から、国の個人情報保護法が全面施行されると。その兼合いもあって、当県の個人情報保護条例も少し検討しなくてはいけないのではないか、こういう視点での中間報告だったのではないかと思っているのですが、これで今後の取組について18ページに書いてありますが、私も国の個人情報保護法を見て非常に興味を持ったのが、民間事業者関係のことだったので、それを中心に伺いたいと思います。

 国の個人情報保護法では、民間の個人情報取扱い件数が5,000件を超える民間事業者には、義務と罰則が科されると、このように記されておりますけれども、その5,000件の取扱い件数というのを、これは判断するのが結構難しいのではないかと思うのですけれども、5,000件を超える情報を扱っている事業者なのかどうかということは、どこで判定するのでしょう。

情報公開課長

 委員御指摘のとおり、5,000件を超えるかどうかというのは、個々の事業者に聞かないと分からないというのが現状でございます。

小川委員

 私もそこのところを疑問に思ったので、商工労働部にも聞いてみましたけれども、個人情報、顧客情報というのは、むしろ企業秘密に類するものだという考え方もあって、当県でもその個人情報、顧客情報をどのぐらい扱っているかという統計はないというお答えをいただいたわけなのですが、当県では個人情報取扱い業務の登録制度というものを実施しておりますよね。

 それで今現在、15年度の末までで7,674事業者が登録しているそうで、その内訳を見させていただきましたけれども、見るからに東京電力とか東京ガスとか大きい電鉄会社も登録されているので、そういうところはもう5,000件以上の扱いだろうなというのは、もう予測できるわけですけれども、その5,000件にかするようなところ、かするのではないかなと思うような事業所については、その5,000件を超えるかどうかというのは、いつ判断するかということなのですけれども、例えば個人情報を流されたという訴えがあって、それで初めてその事業者が5,000件を超えているかどうかということを調査するのでしょうか。そこら辺の判断がどうなのか。

情報公開課長

 政令では、過去6箇月以内のいずれの日においても、個人情報の取扱い件数が5,000件を超えない事業者については小規模事業者ということで、法の適用対象外ということになります。したがいまして、そういうふうな事故が起こった時点で、過去6箇月以内にどのような状況であったのかということが、判断の決め手になるのかなというように思っております。

小川委員

 非常にその判断が難しいのかなというふうに思うのですけれども、今まで個人情報関係では大きな問題というか、告訴とかそういうのは県内ではあまりないと、少数であるというふうに伺っているのですが、その5,000件を超えない、4,900件ならどうするのだとか、500件だったらどうするのだとか、個人情報を流された場合には、その被害者にすれば5,000件を超えたから刑罰の対象になって、5,000件を超さないから小規模事業者だから良いということに関して、非常に心情的に許せない部分があると思うのですよね。個人情報を流されるというその一事に関しては、被害者にとっては同じことですから。

 こういうことに関しては、国の法律に先んじて県は個人情報保護条例を作ってきたわけですから、またこれも条例を変えて国の法律の補完をしていかなくてはいけないのではないかというふうに考えるわけですけれども、ほかにもそういう細かい点はあるかと思いますが、この小規模事業者か5,000件超えかどうかということに対して、これからどういうふうに取り組む、また審議していくおつもりなのか伺いたいと思います。

情報公開課長

 法につきましては、やはり情報漏えいが起こったときに、個人の権利利益の侵害が重大になるケースとして、通常予想されるのはやはり5,000件以上の個人情報を扱った大規模事業者であろうというようなことで、一つの割り切ったといいますか、整理をしたのだというように考えております。なおかつ小規模事業者に対しましては、同様の義務付けをしますと、やはり規模の小さいところは、それが過大な負担になるというようなこともあろうかと思います。

 この法律等条例の関係でございますけれども、条例につきましてはこれは今現在その件数の差別というのはしておりませんで、すべての民間事業者が条例の対象になってまいります。ただ、法律におきましては、その罰則の適用というようなものもございますので、法の規制がかかるところにつきましては、条例のいわゆる行政指導での取組という部分を適用除外にしても良いのではないのかということが、審議会で今検討されておるところでございます。

 ですから、そういうような方向で改正がされましたならば、その法の適用になる大規模事業者、それからそれ以下のものについては条例を補完する形で、個人情報の保護の促進をしていくというような取組ができるのではないかというように考えております。

小川委員

 細かいところはこれから詰めるということだと思いますが、今まで業務登録した事業者について、それが小規模事業者かどうかということなのですけれども、小規模なのか5,000件を超えているのかということについての把握はしているのですか。

情報公開課長

 業務登録の際には、その個人情報の取扱い件数については申請をしていただいておりません。

小川委員

 登録するときにある程度、取扱い件数について、企業秘密との関係もあるので難しいところかと思いますが、業務登録していくことが個人情報を守るという意識を県内の事業者により浸透させていくという目的で作られているわけですから、その業務登録の段階でどういうふうにするのかということも、大きなシステムなのかなというふうに私は考えているのですけれども、この辺についてはどうですか。

情報公開課長

 個人情報取扱い業務登録制度につきましては、審議会からの中間報告におきましても、基本的には継続をするという方向で考え方が示されております。

 今、委員お話のございました個人情報の取扱い件数をその登録業務を受け付ける際に申請をしていただくと。それで、それによって県民の方々にも知っていただくというようなことは、一つの在り方なのかなというように思っております。したがいまして、この登録業務制度のより良い在り方につきまして、今後も検討をさせていただくわけでございますので、その際、併せて検討させていただきたいと思っております。

小川委員

その点については逐次、御報告いただきながらより良く検討していただきたいと思いますが、この間、新聞報道で社会保険庁の年金加入記録の漏えいの疑いがあると。それで500人ぐらいが処分されたということがありましたけれども、国家公務員に対しては来年施行の法で義務、罰則ともに対応するわけですよね。

情報公開課長

 行政機関も個人情報保護法におきまして、職員の情報漏えいについては罰則を用意して対応することになってございます。

小川委員 

そうすると地方公務員、例えば県の条例で県の職員に対してはどういうふうに対応していくのでしょうか

情報公開課長

 今、審議会の方でも御検討いだいているところでございますけれども、この国の行政機関の職員に対する罰則と同様のものを個人情報保護条例にも新たに設けまして、職員に対する情報漏えいに対する罰則を用意していくことが適当であるというような中間報告をいただいておるところでございます。

小川委員

 今、罰則も明示するとおっしゃいましたけれども、当然国の法律に準じるという考え方でよろしいわけですね。

情報公開課長

 はい、そうでございます。

小川委員

 各市町村でも個人情報保護条例を備えているかと思いますけれども、各市町村の公務員に対しても同様のことが求められると思いますが、そういう動きはあるのでしょうか。

情報公開課長

 それはそれぞれの市町村で、今検討がされているというところだと思います。

小川委員

 個人情報保護条例に関しましては、国に先んじて当県も対応してきているわけで、県内の市町村のお手本になるように、きちっとした条例の改正を行っていただいて、県民が個人情報関係に関しては安心できるような条例をまず作っていただきたい。そしてまた、取扱い事業者については、より強い指導をしていっていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いします。

 次は情報公開について伺いたいと思います。先ほど共産党の質問で、結構私が聞きたいことも聞いていただきましたので、重複しないように伺いたいと思いますが、先ほどの質問の中で公開する情報の範囲を広げると。改善方針を年内に出していきたいという御答弁があったわけなのですけれども、これについてちょっと内容を伺いたいなと思ったのですけれども、当県の情報公開条例には非公開情報の判断基準が明確に示されていますよね。個人情報だとか法人の情報だとか、提供された情報だとか市民の内容だとかということが書かれておりますけれども、まずどの辺をどういうような形で情報公開を広げるのかを詳しく聞く前に、それらの非公開情報の判断基準について、かいつまんで御説明していただきたいと思います。

情報公開課長

 情報公開条例で非公開事由として定められているものは、七つばかりございます。

 そのうち主なものを少し申し上げますと、一つは個人情報と言われるもので、特定の個人を識別することができる情報。二つ目は、法人又はその事業を営む個人の事業に関する情報で、その正当な利益を侵害するもの。それから三つ目といたしまして、県の内部ですとか他の機関との間における審議検討中のいわゆる未成熟情報ということで、これを公開することによって、率直な意見交換ですとか意思決定の中立性が損なわれるおそれがあると。それからあと法令の規定、その他法律上従う義務を有する国の指示によって非公開とされる情報というようなものがございます。今申し上げました法律以外のものにつきましては、個々のケース・バイ・ケースで判断をしていくことになろうかと思います。

 最後に申し上げました、法令の規定によって非公開とされる情報については、正にその法律がどのようなことを決めているのかという解釈になろうかと思います。一つは、実施機関が公開、非公開の諾否決定をする場合におきましては、実施機関がそれぞれ受け持っております分掌事務に従いまして、その専門的な知識に基づいて法令の解釈を行っているというように理解をしてございます。仮に実施機関の諾否決定につきまして異議申立て、不服申立てがあった場合につきましては、情報公開審査会の方の審査に入るわけでございますけれども、情報公開審査会の場におきましては、異議申立人、不服申立人の主張、それから実施機関の主張、そのそれぞれをよく聞きまして、しんしゃくした上で審査会としての判断を下すと、法律解釈をするということになろうかと思っています。

小川委員

 公開する情報の範囲を広げるとなると、今、非公開の判断基準を伺ったわけですけれども、公開する情報の範囲を広げるということは、どの辺を広げるのですか。

情報公開課長

 今、非公開情報の理由として多いものは、先ほど申し上げました県の内部あるいは他の機関との検討審議の情報ということで、いわゆる未成熟情報ということでございます。それからもう一つは、いわゆる手のうち情報というもので、それを公開することによって、県の事務事業に支障が生ずるというような理由によりまして、非公開としている事例が多くございます。

 このような事例につきまして、本当に公開をすると率直な意見交換が本当にできなくなってしまうのか、あるいは手のうち情報と言われるものを公開することで、本当に事務事業に支障が生ずるのか、その辺をもう一度、原則公開の立場に立って検討していただきまして、少しでも公開できるものがあれば公開をしていただこうというような考え方のもとに、見直しをしているところでございます。

小川委員

 手のうち情報とか未成熟情報とかというお話があったのですけれども、例えばどういうものがあるのですか。

情報公開課長

 審議検討中の未成熟情報といいますのは、例えばでございますけれども、担当者会議ということで、県と市町村の担当者が集まって実務的な担当者会議をやって、そこで資料を配付するというようなものについては、手のうち情報でこれは出せないというようなものがございます。

 それから、あと法違反についての指導等をしているときに、その指導をしている経過の文書につきましても、これは法違反を是正していく上での手のうち情報だということで、これも見せられないというような事例がございます。

小川委員

 それらの今伺ったことについても出していくと、そういうことですか。

 全部を出すということはできないかもしれませんけれども、その中でも出せるものがあるのではないのかというようなことで、検討しておるところでございます。

小川委員

 情報公開課としては非常に前向きなお話だと思うのですけれども、今現在でもまだまだ各実施機関において、その情報公開が本当になされているのか、この県の情報公開条例に基づいてきちっとされているのかどうかというと、100%ではないと思うのですよね。

例えば、不服申立てをして、審査会で情報公開をしないと実施機関が判定したものが覆されているという事例も幾つもあるわけですから、まだまだ100%各実施機関で浸透されてないという気はするのです。

 特に情報公開ハンドブック71ページに、今、課長御説明のとおり、法令等の規定による情報関係とかというのが逐条で解説が出ているのですが、それについて私は非常に興味を持ったので、ここについて伺いたいと思いますけれども、法令等の規定又は地方自治法第245条の9第1項の規定による基準、その他実施機関が法律上従う義務を有する国の機関の指示により公開することができないとされている情報というふうに、これは情報公開しないというふうに書いてあるのですけれども、本当は法令とか規定で情報公開しないようにと国で定められていないのに、実施機関の判断で指示があったからとかという理由で情報公開していない場合もあるかと思うのですけれども、これは国がきちっと法律でこの部分は情報公開しちゃいけないよと書いてなければ、本当は情報公開しなければいけないですよと県は定めているわけですよね。その辺について、ちょっと説明していただけませんか。

情報公開課長

 この規定は、いわゆる条例の効力というものは、法律の範囲内で有するという前提に基づきまして、法律で公開が認められないものについては、条例でも公開はできないということを定めたものでございます。

 したがいまして、法律の明文で公開できないと書いてあれば、これは何ら疑問の余地はないのですけれども、その法律の趣旨、目的の解釈によって、そこをどう解するかというところで、いろいろ判断の違いが出てくる余地があるだろうというように考えております。

 そこで、その実施機関の諾否の決定に対して不服申立てがある場合には、審査会の審査に移るということで、先ほど御説明したような話になるということでございます。

小川委員

 今、質問させていただいた部分については、国の法律できちっと決まっていればその判断に従うべきだけれども、あとは当県の実施機関の判断だと、そういう御答弁だったと思うのですよ。地方分権なのだし、国がこう言っていますからとか、国からこういう指示がありますからということで情報公開をしないということは、県の姿勢としてはまずいのではないかなと私は思っているのですけれども、実際、実施機関というのは、国の今までの判断とかその前例とか、そういうものを基準にして情報公開しない場合もあるのではないかと思うのですけれども、その辺の認識はどうなのですか。

情報公開課長

 法律の解釈につきましては、やはりその法律が制定された経緯を国の方が良く知っているというようなことからすれば、国の見解というのも一つの参考にする必要があるのかなというように思ってございます。

 しかしながら、情報公開条例は県民の知る権利を尊重するということを目的としてございますので、その法令の解釈の中で、本当にその法律が公開を禁じているのかどうかということについては、慎重に検討する必要があるだろうというように考えております。

小川委員

 国の法律に関しても、他の法律との関連で調整を要するものということで、特別に議論されている部分もあるわけですよね。それでガイドブックの109ページ、ちょっとこれも興味があって読ませていただいたのですけれども、例えばその1例として、閲覧等の期間を制定している場合、公開の期間が定められている場合にあっては、当該期間内については法律が適用されるが、当該期間の前後の場合における公開、非公開の判断は、情報公開条例に照らして行うこととすると。第5条に照らして行うこととするとなっていますけれども、それについても実施機関では様々な反応があるようなのですがいかがでしょうか。

情報公開課長

 今の条例の規定につきましては、法律が既に閲覧の規定を用意している場合については、条例でその上、屋上屋を重ねて条例の規定を適用する必要はないだろうということで、そのような場合には法令の規定が適用されると。ただ、期間を定めているような場合につきましては、委員おっしゃいましたようにその期間の前後につきましては、これは情報公開条例が適用になります。したがいまして、この情報公開条例上、非公開事由に該当しなければ公開されるということなります。

小川委員

 今、しつこいように伺わせていただいたのですけれども、71ページと109ページ、いろいろ細かいことを読ませていただくと、法律の規則で決められてなければ、国の考え方は別として、県独自の判断があっても良いと、そういうふうに当県の情報公開条例では読めるわけなのですよね。

 しかし現在、まだそういう条例の真意というものがなかなか浸透していなくて、そのとおりになっていない部分もまだまだあると。そういう現状がありながら、また情報公開課としては公開する情報の範囲を広げていくと、改善方針を出すと言ってらっしゃいますけれども、国と県との関係においてなのですけれども、県は県で独自に判断する場合もあるわけなのですが、今の条例の中でも、それがまだまだ浸透していない部分があるのでそれもきちっと指導していただいて、その上でもっと公開していくのだよと、そういうことの御指導をきちっとするということが必要なのではないかと思うのですけれども、現在の情報公開の姿勢、それからこれから情報公開をこういうふうにしていくのだよという、その両方についてどのように浸透させていくのか、お考えをお願いするということだけではやはり浸透していきませんので、どういうふうに御覚悟されているのか、そこを伺いたいと思います

情報公開課長

 先ほど言いました非公開事由につきましても、もう一度見直しをしてというお話を申し上げましたけれども、あれにつきましても条例の規定そのものをいじるという考えは今現在持っておりません。そういう意味では、今ある規定を厳格に、要は条例の趣旨、目的に基づいて適用していただこうという考え方に基づくものでございます。

 そういう意味では、今、委員が言われた県独自の解釈というものも、仮にそういうような解釈が可能だとすれば、趣旨としてはその条文を条例の趣旨に基づいて解釈をしてもらおうという意味で、同じであろうというように思っております。今、申し上げましたような内容を、先ほども申し上げましたけれども、年内に改善方針として取りまとめまして、知事部局につきましては改善可能なものから順次実施していただこうというように考えております。

小川委員

 今のお答えで当然だと思うのですけれども、当県の情報公開条例は昭和58年にできたのですね。国の情報公開法の制度運営に関する検討会が今開かれているわけですれども、8人の検討会の所属のうち3名の方が当県の情報公開、もしくは個人情報の条例づくりに関係した方々ということで、非常に当県の情報公開条例に関しても、個人情報保護条例に関しても、国より先んじているというか神奈川県が先に行って、後から神奈川県の審議会や審査会のすぐれたメンバーの方が国の方に取り上げられたというぐらい、当県の方が進んでいるはずですよね。進んでいるはずなのだけれども、現状を見るとまだまだ行政文書の情報公開については、改善する余地があると私は思っておりますけれども、こういうすばらしい方々を擁している神奈川県なのですから、他県にもっと先んじた、先進的な情報公開の在り方について、より検討していただきたいと深く思っておりますが、その辺についてはいかがですか。

情報公開課長

 委員から今お話がありましたように、私ども情報公開審査会、それから情報公開審議会の委員の皆様の中には、大変、情報公開制度についての大家でおられる先生方がたくさんいらっしゃいます。ですから、私どももそういうふうな先生方によく御相談、御指導を受けながら、改善方針というものを作ってまいりたいと考えております。

小川委員

 不服申立ての審査会の先生方の中にも、国の審査会、審議会に入っていらっしゃる方がいらっしゃって、そういう先生方に審査会で審査していただくということで、非常に神奈川県は恵まれているなと思いますけれども、今までの事例を見ると、非常に細かい情報公開請求があるようですけれども、先ほど来私が申し上げたとおり、法の解釈であるとか、国との兼合いであるとか、地方の独立性であるとか、そういうことに関しての不服申立て等もあり得ると思いますので、情報公開も熟してきてますから、そのたびに情報公開課としては、正しい御指導ができますように強く要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。