H16.10.8 県民企業常任委員会 情報公開

小川委員

 まず、私も情報公開を自分自身で、何度か請求をしたことがあるのですが、情報公開の意識は、むしろ昔、公文書の公開に関する条例を施行した20年前の方が高いのではないかという疑問もあったので、いろいろ調べてみました。

 そして、その条例が施行された当時も、大体今と同じような課題が挙げられておりました。4点挙げられておりましたが、公開と守秘義務、機関委任事務に関わる情報の公開、救済制度の確立、情報公開とプライバシー保護、この4点は今も非常に問題になっているわけですが、当時は、まだ地方分権一括法が当然施行されてないんですけれども、国の意向を伺わなければできなかった機関委任事務についても、情報公開の対象にした、そのときの考え方はどういう考え方があったのか、お答えいただきたいと思います。

情報公開課長

 当時の情報公開準備委員会でございますけれども、その中で検討いたしました中では、機関委任事務といいますのは、県の処理する事務の中でも大きな割合を占めている。それから、情報公開条例が県民の知る権利を保障することを目的としている、こういうようなことから、機関委任事務も情報公開の対象とする方向で検討がされておりました。

 このような検討を行っているときに国会の方でも質疑がありまして、当時の自治省の方から、機関委任事務に係る公文書の管理につきましては、地方公共団体の固有の事務であるということで、条例の対象になり得るという見解が示されてございます。

 県でもこの見解は妥当なものといたしまして、機関委任事務を条例の対象としたということでございます。

小川委員

 国のそういうやりとりというか認識を聞いて、それで条例の中に入れたということですけれども、当時と比べて、今は地方分権一括法が施行されて、機関委任事務というのはなくなって、自治事務と法定受託事務に区分されたわけですけれども、これを機会に県の条例も改正されたと思っておりますけれども、機関委任事務当時とどのような変化があったのでしょうか、確認させていただきたいと思います。

情報公開課長

 機関委任事務は包括的に国の指揮監督を受けることとされておりました。一方、法定受託事務は地方公共団体の事務でございますので、国は機関委任事務のような広範な権限は持っておりません。そのため機関委任事務がありました当時は、条例の対象と運用基準の中で非公開情報の例といたしまして、国からの通達等により閲覧又は写しの交付が禁止されている機関委任事務に係る情報というものが、一つの類型として独立として一つの非公開情報として示されておりました。

 法定受託事務が導入されまして、機関委任事務が廃止されたわけですけれども、そのような類型がなくなったということ、それから、法定受託事務につきましては処理基準、それから国の機関からの指示というものがございますので、これが解釈により加わっております。

小川委員

 はっきりと国からの通達があるもの、ないもの、明確な形で示されているもの以外は、県の条例で判断できるというような形になったのだと思うのですが、分権一括法が施行された当時、情報公開法との兼合いで、関係整備法でかなりいろいろな国の法律が改正されているのです。

 法律が改正されなくても、国の法律と情報公開との狭間で非常に慎重に対応しなければいけないものが60近く、法令であるわけですけれども、県の関係するものでも都市計画法であるとか、土地区画整理法であるとか、政治資金規正法とかあるわけですが、これらの中で、既に今まで公開請求があって、閲覧期間に関係するもので情報公開請求があって、期間前であっても期間後であっても、既に公開請求があった事例があるのですよね。幾つあったのでしたか。

情報公開課長

 法律で定められました閲覧期間の前後に情報公開請求が出されました過去の例としましては、期間の前に出されたものが1件、それから閲覧期間の後に出されたものが2件ございまして、いずれも公開となってございます。

小川委員

 その3件とも知事部局に関しての情報公開請求であったわけなのですけれども、閲覧期間前は環境影響評価法、それから閲覧期間後に関しては特定非営利活動促進法、土地改良法、それぞれに関係した情報公開請求であったわけですけれども、これは知事部局に関しての公開請求ですね。

 知事部局の場合には、内部調整規程というのが情報公開ハンドブックの中にも書いてあって、ちゃんと規定されているらしいのですけれども、それだけ情報公開課も情報公開、各課の対応に関しては関与しやすい立場になっていると思うですけれども、いわゆる他の実施機関、知事とか議会とか公営企業管理者とか、選挙管理委員会とか、それぞれは規定に順ずるとは書いてあるわけですけれども、はっきりと事前に調整をしなければいけないとは書いていないのです。

 こういう他の実施機関の場合には、情報公開課としてはどういうふうに今まで対応をしているのでしょうか。

情報公開課長

 委員御指摘のとおり、他の実施機関につきましては、特段、情報公開課の方にあらかじめ事前協議をするというようなことにはなってございません。情報公開課の方に事前協議をするかしないかは、他の実施機関の判断に任せられております。

 ただ実際問題としましては、他の実施機関の方から私どもの方に事前協議されている件数はかなり寄せられておりまして、中でも難しい事案については、その多くが事前協議されているのではないかというように受け止めております。

小川委員

 今、そのことについて伺おうと思ったら御答弁があったので助かったのですけれども、難しい案件については事前に協議がある場合が多いということなのですが、私が情報公開請求を出して、それは収支報告書に関してのことだったのですけれども、不服審査会に不服申立てをして、その一連のやりとりについては、情報公開課は事務局として承知しておられると思うのですけれども、結局、私の不服申立てが全面的に認められて、県条例に基づく判断が正しいというふうな答申が出たわけなのですけれども、これについて、非常に難しい案件だったと思うのですが、事前に選管から情報公開課に協議はあったのでしょうか。

情報公開課長

 選挙管理委員会に係るこのたびの事案につきましては、事前協議の申入れはございませんでした。

小川委員

 あった場合はどう対応されますか。

情報公開課長

 この事案につきましては法令の解釈の問題と、それから法定受託事務ということでございまして、仮に協議があった場合には、私どもとしてもいろいろと調整に苦労した事案ではなかったかなというように感じております。

小川委員

 先ほども申し上げましたとおり、法定受託事務の解釈の問題ということですけれども、情報公開ハンドブックには72ページに、それについては明確に書いてあるのです。私が不服審査会に申し立てした内容は、全部県の条例に従って申立てをしたのです。それは認められて、選管も県の条例の立場に立てば、情報公開を閲覧期間前にもすることは可能だという判断をされて、この判断は、私は非常に評価しているところですけれども、閲覧期間前に情報公開していただいたわけです。

 これは非常に大事な答申だったというふうに私自身思っているのですけれども、これは法定受託事務に関してでした。他の実施機関のことでもありました。非常に特異性はあったかとは思うのですけれども、こういう県の条例を重んじるという、県の条例が何よりも先んじるのだという答申が出たわけですから、法定受託事務といえども自治事務は当然のことながら、県が独自に判断できるグレーゾーンというのはどこの部局でもあると思うのです。

地方分権といっても、今の段階の地方分権というのは非常に地味な、地道な事務事業の段階の地方分権だと私は思っているのですけれども、これらの地味な部分、事務の判断の部分でおのずと情報公開をしていくのだという、そういう部局のスタンスというのが地方分権をおのずと前に進めていくものだと私は考えています。

 そして、そういう今回の答申を受けて、まだ国の情報公開法が施行されて二、三年しかたっていないわけですが、特に企業庁は全く法定受託事務には関係ないと伺いましたけれども、法定受託事務の情報公開については、県条例の運用をもう一度周知徹底する必要があるのではないか、是非する必要があると私は思っているのですけれども、いかがでしょうか。

情報公開課長

 今回の選挙管理委員会の答申においても述べられてございますけれども、地方公共団体の事務である以上は、地方公共団体が法令の解釈を行うことができるというようなことは明らかであると考えております。また、法令の解釈に当たりましては、法律制定の経緯をよく知っております国の法律解釈というものを参考とするということも理由のあることと考えておりますけれども、国の解釈を参考としながらも事務を行う主体であります地方公共団体として、法令解釈を自ら行っていく必要があるというように考えております。

 その上で、条例の解釈、運用の基本方針でございます原則公開の精神に立ちまして、情報公開を行っていくべきであると考えておりますので、委員の御指摘を踏まえまして、条例の解釈、運用の徹底を一層図ってまいりたいと考えております。

小川委員

 情報公開条例、神奈川県は他県に先駆けて作ったわけです。キャリアも長い、歴史も長い、その策定当時の精神を十分に生かしていただいて、これからも情報公開、県民の知る権利を守るために積極的に取り組んでいただきたいと要望いたします。

 次に、今回の報告資料の1ページから15ページにわたって、NPO等との協働推進指針案が書かれておりますけれども、私は、去年はマニフェストでNPO法人数を日本一にするという施策は間違いであるという立場に立って、かなりNPOの質問をさせていただき、私の主張は正しいとお認めもいただいたわけだったのですけれども、昨年様々な機会を通じて、NPOについては意見を述べさせていただいてまいりました。自民党からも、それから他の会派からもいろいろな意見が出たわけですけれども、それらがこの指針案にどういう部分で反映されたのか確認させていただきたいと思います。

県民総務室長

 昨年、当常任委員会委員の皆様からたくさんの意見をいただきました。その中で今のお話にもありましたとおり、新総合計画の策定に関しての話、例えばNPO法人の数を増やすものではなくて質が重要だと、そういうお話もございました。また、NPOというのが行政などから補助金等をもらうと、そのNPOの特質である自主性、自立性、こういうものが薄れていってしまうのではないかと、こういう懸念もあるというお話もいただいております。また、NPOの相手方につきましては、特に、すべてどれでも良いということではなくて、よく相手を見きわめると、こういうことも必要だというお話もいただきました。さらに公平性、透明性、こういう確保が必要だと、こういうお話もいただいております。

 今回、いろいろ指針を作りましたけれども、その中で例えばNPOの自主性という観点からは、まず2ページの方にNPO等と、こちらにNPOの定義がございますけれども、ここには非営利の事業に自主的に取り組む非営利活動法人と、こういうのが前提でございまして、あと、4ページになりますけれども、協働事業を実施するに当たっての基本的事項、こちらの方でまず(1)、一番上に対等な関係の保持ということでNPO等の主体性、自主性を尊重すると、こういうことも書かせていただいております。さらに、NPOの相手方のところでございますけれども、これにつきましては5ページの方にございますけれども、協働事業の進め方と、この中でアとイがあるわけでございますけれども、どちらにも記載させていただいていますけれども、協働事業の相手方となるNPO等については、事業遂行能力を的確に把握するように重視すると。

こういう形で、いただいた意見につきましては、大変重く受け止めておりまして、その趣旨を指針に反映したということでございます。

小川委員

 重く受け止めていただいたというのはありがたいわけなのですけれども、私はこの案を読ませていただいて、これは県庁内の認識が統一されていないからこういうのを作るというふうにも書かれていますけれども、私からすれば非常に基本的で、こんなことまで書かなければ認識が行き渡らないのかというふうにさえ思った内容だったのです。

 こういうものを出す基本に、もしかして昨年に課題にいたしましたけれども、ピンクのあの厚い協働の手引きというものを基本に、もしや万が一どこかにあれが内包されているとしたら非常に問題だと思うのですけれども、いかがでしょうか。

県民総務室長

 この協働推進指針の案でございますけれども、これはあくまで行政が主体で、私ども主体で作っております。意見等につきましてはNPOの皆さんからも意見を聞いておりますけれども、行政として、現在いろいろNPOの皆さんと連携、協調した事業、またかながわボランタリー活動推進基金21、これらで事業をやっておりますので、それらを踏まえて協働の進め方、基本的事項、こういうものを定めたということでございます。

小川委員

 ということは、あのピンクの厚い、お金もかけて作った協働の手引きというのは、あれはもうないということで良いのですか。

県民総務室長

 協働の手引きにつきましては、あれは厳然として存在しているわけでございますけれども、このNPO等との協働指針、これにつきましては、ここに目的がありますように、職員一人一人にNPOとの協働の進め方、こういうものを認識していただくという観点から、今までの指針21の協働事業、その実績、さらには各部局等でいろいろやっている協調を連携した事業、こういうものを簡易化してこれを作ったということでございます。

小川委員

 協働の手引きには、昨年は随分厳しく、様々な委員から意見も出たわけですけれども、NPO自身にも問題があると。組織力であるとか、それから総括能力であるとか、そういうものが欠けているということも書いてありますが、行政や議会に対して、議会などは一つの案件が通るのに議決が必要だから長い時間がかかると、議会を通すと機敏な活動ができないとか、議会を否定するような、行政を否定するような部分もあったのです。それを私たちは議会軽視ではないかというふうに申し上げたわけなのですけれども、行政や議会が軽視され、否定されている。そういうものが生きていて、そういう意識があるNPOの人たちとどうやって上手な協働ができるでのか、非常に私は疑問に思っているのです。

 それで、県民部の方々はNPOとの接点が非常に多くて、NPOの良いところ悪いところ、当然、他の部局の方よりも御存じだとは思うわけなのですけれども、NPOというのは行政をあてにしないで、自立して自分たちで自分たちに必要なものをやろうと、それがNPOの本来の姿ですね。それが協働という形で、行政と議会とタイアップしていくときに、議会や行政を否定している精神がその中にあるのでは、また束縛されては困るとか、自主性がなくなるのではないかとかということを最初から思われていたのでは、協働なんていうのは全然うまくいかないと思うのです。

 そういう感覚のままNPOを知らない他の部局の方々が、こんな基本的なことを言ってあげなければいけないような部局の方々がNPOと接点を持つというのは、非常に私は効率が悪いし、大変なことだと思っているのです。

 そこで、これは非常に簡単に書いてある、これはNPOを御存じの方々が作っているから、一言で良く分かる内容にはなっているし、私どもが申し上げてきたこともきちっと書いてあるわけですけれども、NPOについて良い誤解をしているような方々に対しては、私から言わせればもうちょっと丁寧に書いてあげる必要があるのではないか。もうちょっと丁寧に指針を作ってもらいたい、このように思っておりますが、いかがですか。

県民総務室長

 この指針でございますけれども、量的には余り多くはないということでございますけれども、やはり基本的な考え方であるとか事業の進め方、端的に職員の方に理解をしていただきたいというふうに思っております。

 それで、この指針の方の8ページになりますけれども、協働事業の推進体制等ということで記載をさせていただいていますけれども、現在、主に本庁では県民総務室の方がNPO等の関係の仕事をしているわけでございますけれども、いわゆる総合的な窓口がないということで、これを設置したいということを記載させていただいています。この総合窓口では、例えばNPOの皆さんから見ますと、複数の部局にいろいろまたがる仕事をいろいろ相談したいという場合に、現在、そういうところがありませんので、その総合窓口を作りたいという関係。

 また、各部局の方には部局協働推進者、こういう者を置いて積極的にNPOのことを分かっていただこうと、こういう仕組みも作ろうということで記載をしておりますので、こういう仕組みを新たな体制、これを生かしながらきめ細かく職員の皆さんに理解をしていただこうと、こういうふうに考えております。

小川委員

 今の御答弁で分かりました。そういう方針でやっていただければ良いのですけれども、10月4日の各新聞に出ていましたね。東京都が認証したNPOの理事長が右翼の幹部で、NPO活動をしていったということでゆすり、たかりをしていたわけです。こういう悪いNPOもあります。それから、すばらしい活動をしていらっしゃるNPOももちろんあって、私自身も非常に評価しているところもあるのですが、NPO、一言で語れないいろいろな形のNPOがあるのだという認識、これは非常に大事だと思うのです。

 それは、常に接している方々なら身をもって御存じだと思うのですが、知らない方々は、最初の窓口から、もしかして暴力団まがいのNPOと会ったりしたらやはり困ることですから、対応にも戸惑ってしまうわけですから、効率的に協働していくにはきちっとした指針を作っていただいて、それが浸透するようにまた御指導もしっかりやっていただきたいと思っています。

 これは要望なのですけれども、今日も様々な案件についていろいろな御意見、御要望、委員の方々から出ました。そして、当局からは重く受け止めて対応します、もしくは改善に努めますという御答弁をいただいておりますけれども、知事の答弁では全然それは、議会とか委員会でのそういう様々な私たちの努力、それからコラボレーションなんかは無視して、最初からやっています、やりました、こういう対応をしています、というような答弁しか今までないのです。

 私が関係してきたNPOのことに関してもそうですし、青少年センターの不登校、ひきこもりについての答弁も、今回、自民党に対しての答弁もそうでした。関心がないから委員会でどういう内容を審議されてきたのかということも当局にはお聞きにならないのでしょうけれども、これからインターネットで、本会議の答弁は全部、平成17年から昭和56年までさかのぼって公開されるという話もちょっと聞き及んでおりますので、そういう段取りがある中で、我々も懸命にこんなに遅くまで議論をしているわけですから、私たちの要望というものをきちっと知事に上げていただいて、それが本会議での答弁に生きるように、心のこもった答弁がされるように心を砕いていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

県民部長

 本会議の議論、答弁につきましては、最も県政に当たって大切なことと、このように我々も理解しておりますし、知事もそのように認識しているというふうに我々は心得ていると。そういうような中では、一方、限られた時間の中で知事も回答されているというような中ではございますけれども、今の御指摘、御趣旨は重く受け止めたいと思います。

 なお、状況でございますけれども、いろいろ知事が答弁するに至るプロセスにおきましても、我々との議論のプロセスもございます。その際にはそういう趣旨につきましても、一定程度、我々としても御報告させていただき、そういうことも念頭に置きつつ限られた時間の中で答弁させていただく、こういうこともあるのかなというふうに思ってございます。

 それが十分か不十分かというのは、また、皆さん方でまた押さえていただき、またいろいろな御提議をいただき、我々は重く受け止めていく、このように思ってございます。

小川委員

 これは粘れば粘れてしまうし、知事を呼べとかも言えるのですけれども、そんなことをしても仕方がないし、訂正もするわけないから、申し上げておきますけれども、今回の自民党の代表質問で竹内議員が青少年施策について質問したところ、その答弁が、私たちが昨年からすべての会派を通じてこうすべきだ、不登校、ひきこもり、対応すべき

だということを申し上げてきてそれが実現したのに、それについて全く触れられていなかったのですね。それはやはり議会との信頼関係を築くというところで、こういうところがあるからだめなのだな、と私自身思いました。

これは当局の方々も重く受け止めていないのかなとさえ、私なんか思ってしまいましたので、政治家知事とおっしゃっているのですから、政治的な御答弁ができるようになるように、部局からよく御指導いただきたいと要望して質問を終わります。