【本会議録-平成17年2定-20050224-025930-質問・答弁-小川久仁子議員-一般質問@県業務の外部委託についてA第三セクターに対する指導について】  

  〔小川久仁子君発言の許可を求む〕

○議長(新堀典彦君) 小川久仁子君。

  〔小川久仁子君登壇〕(拍手)

○小川久仁子君

 
私は、山百合クラブの小川久仁子でございます。議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、質問いたします。
 知事におかれましては、明快で率直なご答弁をお願いいたします。
 本日最後の質問者としてこの場に立たせていただきました。先輩、同僚議員の皆様にはお疲れのことと存じますが、いましばらくの間ご清聴賜りますよう、冒頭お願いを申し上げます。
 この2月議会には、実に多くの議案が提案されております。中でも水源環境税は議論の焦点になっておりますが、知事が「県民の認知度も上がった。理解度も上がった」と言うほど、実は認知度も理解度も上がっていないのが実態ではないでしょうか。
 私が、ある町内会の理事会に出席した際、「水源環境税が県民税に上乗せされようとしていますが、皆さんご存じですか」と聞いてみたところ、50名ほどの参加者のうち、知っていると挙手した人は4人だけでした。同じ質問をだれに会ってもどこに行っても、ここ数日、行っておりますが、その認知度は非常に低いという実感があります。県民への周知を十分に努力してきたとおっしゃる知事にこの事実を指摘し、質問に入ります。
 質問の第1は、県業務の外部委託について伺います。
 平成15年度決算特別委員会は、各会計とも認定すべきものとして終了いたしました。私は、一委員として病院事業決算の質問をするに当たって、業務委託について調査をいたしました。
 平成15年度決算においては業務委託件数は505件、決算額29億8,000万円でしたが、そのうち主な27件、16億8,000万円ほどについてのみ年度順に比較してみたところ、さまざまな問題点が浮かび上がりました。院内清掃・ボイラー運転・警備・管理・給食・医事事務業務委託等々の中で、同一業者に長期にわたって委託している件数が実に多いことと、その委託費についても、デフレ時代にもかかわらず、減額されるどころか増額されてきたことです。
 医事事務に至っては、足柄上病院では昭和52年から現在まで28年間、こども医療センターでは昭和58年から現在まで22年間、衛生看護専門学校付属病院では平成6年から現在まで10年間、その他の病院では平成8年から現在まで8年間、それぞれ業務委託を開始した年度から、ずっと同一業者に継続的に委託している実態が明らかになりました。
 これについては、委員会の中で私が指摘したところ、「見直していく」というご答弁をいただきましたが、どのように見直していくのか注目しているところです。
 しかし、505件のうち27件の業務委託内容について調査して、この結果ですから、他はどのようになっているのか推して知るべしではないかと心配しております。経費削減という視点に立てば、もちろん大きな支出項目のチェックも重要ですが、細部にこそ焦点を当てて検証することが重要だと私は考えておりますので、ここでも改めて指摘しておきます。
 また、この県立病院の件だけではなく、昨年10月13日の新聞報道を皮切りに、たびたび県の業務委託、特に県庁舎の清掃業務委託の問題点が報道されてきました。こうした指摘を受け、出納局では、平成16年度の清掃、警備、総合管理の3業務に絞って、100万円以上の業務委託について、出先機関も含め212件について調査をされたと伺いました。
 そのうち同一事業者に委託していた件数については、継続年数が10年以上が212件のうち93件、5年から9年が51件と、合わせて半数以上を占めております。この10年以上の中には、新聞報道された、新庁舎の地階から5階部分の清掃業務を39年間同一業者に委託していた件も、もちろん含まれております。しかも、毎年指名競争入札という形をとり、透明性、競争性を図るような体裁をとりながら長期にわたり継続して同一業者に業務委託してきた事実には、癒着、談合、馴れ合いと批判されても仕方のない部分があると思います。また、外部委託そのもののチェックや指導体制にも疑問を持たざるを得ないところであります。
 一方、県の行政システム改革の中で、民間活力の一層の導入、活用を図ることとされており、なるべく外部委託するようにという方針のもと、平成15年度では一般会計、特別会計合わせて9,000件以上、金額にして661億円余りの外部委託費が計上されており、うち民間委託は8,600件、618億円に上っております。この中では、施設の管理業務が件数にして約3分の1、金額にして52%を占めております。施設管理委託費が含まれているために金額は多くなっておりますが、分類の中では、私がこれまでに述べた清掃業務なども含まれているようです。
 これらの委託業務の中身、電算システム開発・運用、分析・調査、測量・設計、広報、研修など多種多様な内容ですが、スポットを当てて数点調べただけでも、長期にわたって同一業者に委託している実態が続々と出てきます。
 39年間継続委託していたとか、28年間継続委託していたとかという件については、監視義務を怠った怠慢な姿勢が見てとれます。これほどまでの長期の同一業者への継続委託は、競争原理が十分に働かず、結果として委託料が割高になっているのではないかと思いますし、県民へのサービスの低下という弊害として必ずあらわれていると私は見ております。
 こういう状況では、公金の使い方として、県民に対して説明責任が果たせていないと私は思います。これらが明るみに出たことを契機に、これからなお一層推進されるであろう民間への外部委託、民間活力導入をより効率的に、より透明性を持って実現していくためにも、委託業務の現況、業務遂行状況を各部局で責任を持って、徹底的に検証し直す必要があると私は考えます。
 そこで、知事に伺います。
 ただいま申し上げましたような長期にわたる同一業者への継続委託が行われている状況について、改善に向けた具体的な取り組みが必要と考えますが、知事のご所見を伺います。
 次に、長期継続契約について伺います。
 外部委託について調査をしながら、思い当たったことがあります。委託業務の中には、初めから単年度でなく、むしろ複数年度契約とした方が競争原理が働くものもあるのではないかということです。すなわち、初期投資に多額の経費がかかる場合などは、単年度の契約にすると、既に委託を受けている業者がどうしても有利になるだろうと考えられるからです。したがって、こうした場合には、複数年度で委託契約を結んだ方が、さまざまな条件面で業者間同士の競争ができると思うのです。
 ところで、昨年5月に地方自治法第234条の3が改正され、同年11月には同法施行規則が改正されて、第167条の17が新たに規定されたことにより、長期継続契約を締結できる範囲が拡大されました。すなわち、これまでは電気、ガス、水道の契約や不動産を借りる契約などが長期継続契約の範囲であったものが、改正後は、条例で定めれば、例えばOA機器の借り入れ契約や庁舎管理業務委託、再三私が指摘しております医事事務業務委託などが継続的に契約できることになります。
 これまでは、いわゆるリース契約をする場合も、初年度に入札で決定した業者と単年度契約し、2年目からは継続的に随意契約をするという、やむを得ざる手法をとってきたのでした。
 そして、この制度を用いれば、地方公共団体は債務負担行為を設定しなくても複数年度契約を締結することができますし、業者としては、入札に当たり、複数年度で臨むことにより中期的な計画が立てられ、複数年の売り上げの確保や雇用の安定が期待されます。一方、県にとっても契約金額の低減化や、安定して円滑な業務の提供を受けることができるという利点があります。
 また、複数年度契約にすることが適切であるかどうかを各委託業務に関して議論することが、委託業務そのものをチェック、検証することにもつながりますので、ぜひ我が県でも条例を制定して、複数年度契約ができるようにすべきだと私は考えます。
 聞くところによると、愛知県では、この2月議会に長期継続契約を締結することができる契約を定める条例を提出されたと伺っておりますし、他県でも検討中とのことであります。また、契約期間は、長期といっても三、四年とするのが大方であるとも聞いております。
 そこで、知事に伺います。
 県として、この長期継続契約を条例で定めることについてどのように考えているのか、検討状況とあわせて伺います。
 次に、指定管理者制度について伺います。
 今定例会には、指定管理者制度導入に向けた条例の改正議案が27件、この4月に導入が予定されている津久井やまゆり園に続き、指定管理者の指定議案が7件、それぞれ提案されています。そして、本県の出資法人等に管理の委託等を行ってきた公の施設は、平成18年4月のこの制度導入を目指し、関係部局において準備が進められていると伺っております。
 今定例会以降、議会開催のたびに関連議案が多数提案されてくることを思うと、議決する立場にある者としても身の引き締まる思いでおります。
 この公の施設への指定管理者制度の趣旨は、これまで地方公共団体の出資法人や公共団体等に限定されていた公の施設の管理運営について、株式会社やNPO法人等の民間事業者を含めて、広く門戸を開放したものと承知しております。また、この制度導入により競争性が高まり、施設の管理運営の効率化が図られ、住民サービスの向上や経費の削減がもたらされると期待されているものと理解しております。
 この制度導入に当たっては、さまざまな観点から留意事項が検討されてきたと伺っておりますが、より深い、慎重な検討が必要な点があるのではないかと私は考えております。
 例えば、指定の手続において、本当に幅広く民間事業者が参入できるようになっているのか、また、指定に至る過程の透明性、公平性が本当に確保されているのか、限られた時間の中で結論を出さなければならなかっただけに、まだまだ検討の余地が残されているのではないかという印象を私は強く持っております。
 中でも私は、特にサービス向上とコスト削減が、説明されるように本当に実現できるのかという疑問を持っています。このサービス向上とコスト削減は、ともすると相反する関係であり、コストばかりが優先されると肝心のサービスがおろそかになるのではないかという懸念が当然生じてきます。
 そこで、知事に伺います。
 サービス向上とコスト削減は、指定管理者制度を円滑に運営する上での車の両輪であり、これをいかに両立させるかということが制度導入に際して最も重要な課題であると私は考えます。指定管理者の選定や指定管理料の決定においても、こうした観点からの検討が必要だと思いますが、これについてどのように考えているのか、具体的な知事のご所見を伺います。
 次に、指定管理者制度導入後のサービスの確保と、公金の使われ方のチェック方法について伺います。
 申請時のプレゼンテーション等でのサービスの質の判断基準は、もちろん厳しいものにすべきではありますが、あくまで指定を受けてから後、その管理者が期待されたサービスを県民に提供できるかどうかということが重要な点です。
 このことには指定期間が大いにかかわっています。例えば、津久井やまゆり園では10年間、横浜市の例ではありますが、市立港湾病院に至っては30年間が指定期間とされています。が、単なる業務委託、管理委託について、前段で述べた例をとってみても、余りに長い期間の契約はマンネリや腐敗、怠慢の温床になりやすく、緊張感の喪失を招きやすいものです。ややもするとコスト削減ばかりが優先され、肝心の県民へのサービスが置き去りにされるのではないかという懸念があります。
 また、指定を受けた事業者が株式会社であったりNPOであったり、県とは全く関連のない法人であった場合、委託料すなわち公金がどのように使われるのかをチェックする際、どこまでの調査権が担保されているのかという疑問があります。会社の守秘義務に関連するからという理由で調査を拒否されるような場合も想定すべきと私は考えます。
 そこで、知事に伺います。
 県としては、公の施設の管理運営を指定管理者に任せ切りにするのではなく、設置管理者としての責任をどのように果たしていくのでしょうか。特に、住民へのサービス水準を維持・向上するための考え方や具体的な方法、そしてまた委託料の使われ方の監視方法はどうなるのか、知事のご所見を伺います。
 次に、指定管理者の住民への周知です。
 指定管理者には、これまでの管理委託と異なり、利用許可等の行政的な権限が付与され、県の代行者として業務に当たることになります。これは施設の効率的な運営を図る上で重要な点ではありますが、一般の県民にとってはなかなかわかりにくいことであると思います。
 県行政にとって、他の案件でも県民への周知や理解が最も大きな課題となっておりますが、この指定管理者制度は特に県民に十分に理解してもらいたい制度であるだけに、あらゆる媒体を使った広報が非常に重要であると私は考えております。何よりも効果的な広報は、県民が利用している施設そのものに、指定を受けている管理業者を明確に表示することではないでしょうか。また、施設のパンフレット等にもはっきりと、理解しやすい文章で管理業者を明示することも必要であると思います。
 そこで、知事に伺います。
 県の指定責任、指定を受けた管理業者の責任を明確に県民に示すために、施設利用者に指定管理者を周知する必要があり、それは利用者に対するよりよいサービスの実現を図るという点においても重要であると私は考えますが、どのように取り組んでいくのか、知事のご所見を伺います。
 質問の第2は、第三セクターに対する指導についてです。
 2月10日付で県外部監査人の公認会計士から、県の第三セクターの経理について不適切な処理があったなど、県に改善が求められました。第三セクターの経理改善については、これが初めての指摘ではありませんが、特に、財団法人神奈川県国際交流協会の管理受託事業である、県立地球市民かながわプラザでの外部への業務委託が問題であることが新聞でも報道されました。
 公認会計士からの包括外部監査報告によると、地球市民かながわプラザの受付案内業務が6年間にわたり同一会社に委託されてきたこと、その同一会社に、他の入札業者に対してより入札に際して有利になる情報が提供されていたこと、また、この受付業務は、パート契約により直接雇用することによってコスト削減される可能性が高いということ等が指摘されております。パートタイム労働者を雇用した場合を想定すると、年間318万円から460万円ほどのコスト削減が見込まれるという丁寧な指摘でありました。
 このほかにも、入札業者の選定方法や入札方法自体について改善すべき点や、事業費の報告が事業実態を反映していない点、そして人件費、退職給与引当金などについても厳しく、細部にわたって指摘されております。
 これらを見ても、国際交流協会への補助金や委託料については、まだまだ削減される余地があることが十分に推測されます。そして、これは国際交流協会のみに限ったことではないということも十分に推測されます。
 これまでも、行政システム改革の中期方針にのっとって、第三セクターの経費削減努力は指導されてきたはずでありますし、自立化が強く望まれてきたはずでありますが、部局の指導努力にもかかわらず、第三セクターの甘えの構造は、滅びてみなければ改善し得ないのかもしれないとさえ思われます。特にこの国際交流協会は、指定管理者制度に移行する地球市民かながわプラザの管理委託を受けている第三セクターでありますので、緊張感を持って運営されてきたはずだと私は考えておりましたが、見事にその期待は裏切られたわけです。
 今回の包括外部監査報告では、財団法人かながわ考古学財団が埋蔵文化財の発掘業務の一部を他の法人に委託している点についても厳しい指摘を受けております。
 このように、幾つかの県主導第三セクターが外部監査の対象となり、包括外部監査人から法人運営について、公認会計士という専門家の視点に立った指摘を受けているわけですが、私は、これを単に当該法人の改善につなげるだけではなく、他の法人の運営にも十分生かしていくよう指導すべきであると考えます。
 また、今回、指定管理者制度に関する多くの条例改正が提案されていますが、指定管理者制度が導入されれば、43施設の管理を受託している県主導第三セクター11法人は、指定を受けようとするなら、民間事業者と対等な立場で競争しなければならない厳しい立場に置かれることになり、おのずと自己努力を余儀なくされていくことが推測されます。それに比して、受託を受けていない法人は環境が違うため、自己努力の度合いが緩くなりがちではないかとも考えられます。私は、県主導の第三セクターには、横並びの努力が求められるべきだと考えます。
 そこで、知事に伺います。
 包括外部監査による指摘や指定管理者制度の導入を踏まえ、県主導第三セクターに対し、これまで以上の指導をどのように行っていくのか、ご所見を伺います。
 次に、同じく県の第三セクターである株式会社ケイエスピーについて伺います。
 前回の私の一般質問に引き続いての質問でございます。
 株式会社ケイエスピーの平成15年度営業収入は13億1,700万円、うち家賃収入は11億2,000万円であり、その家賃収入の3分の1に当たる3億8,700万円が財団法人神奈川科学技術アカデミー、KASTと財団法人神奈川高度技術支援財団、KTFからの家賃であります。そして、KAST、KTFは株式会社ケイエスピーへの家賃を全額、県からの補助金と委託料で賄っております。要するに、株式会社ケイエスピーには県から直接補助金は支出されていないように見せかけているだけで、県からの支出金がなかったら単年度黒字さえ生まれていない状況なのです。これについては、平成15年6月の私の一般質問でも指摘しております。
 そしてさらに、KAST、KTFからの家賃が現在の社会状況から見て法外に高額であることは、既に昨年の予算委員会で自民党の星野議員からの指摘で明確になっており、「株式会社ケイエスピーとKAST、KTFとの関係も含めて、抜本的な見直しをする」という知事からの答弁もありました。これを受けて、平成17年4月1日をもってKAST、KTFは統合されることになりましたし、その際、家賃を引き下げるとも聞いております。
 しかし、問題はこれだけではないのです。
 株式会社ケイエスピーには株式会社ケイエスピーコミュニティという子会社があり、その子会社に不動産管理自体を他の出資者とともに丸ごと委託しており、この株式会社ケイエスピーコミュニティは、清掃会社や警備会社のほか、同じく株式会社ケイエスピーの子会社であるケイエスピー熱供給株式会社などに、業務をまたまた外部委託しているのです。これは、かながわサイエンスパークが創設されたときからの決まり事であり、バブル期の忘れ形見とも言えましょう。
 しかも、株式会社ケイエスピーコミュニティには他の出資会社から二、三年ごとに役員が民下りしており、この会社の重要な仕事の一つである近隣町内会住民との折衝もほとんど理解しないうちに、次から次へと一定の退職金をもらって退任してきました。
 このように、県税によって経営が支えられている株式会社ケイエスピーが子会社を二つも持ち、業務もこれらの子会社に委託している図式は、経費削減のためにみずから額に汗して努力する姿とは全くかけ離れたものと言えるのです。
 株式会社ケイエスピーが外部委託している項目について、前段で指摘した事柄も含め、一般入札を採用してみたら全く違う業者がもっと低廉な価格で落札することも想定できますし、株式会社ケイエスピー自身がみずから本来業務である不動産管理を行うことも想定できるはずです。
 かながわサイエンスパーク創設以来16年間で200億円以上も県費を投資してきた、光触媒を代表とするKASTの研究実績が花開き、実を結ぶよう最大限の努力をすべき今、かながわサイエンスパークの管理体制がバブル期の遺物そのものであってはならないと私は考えます。
 そこで、知事に伺います。
 株式会社ケイエスピーと株式会社ケイエスピーコミュニティ、ケイエスピー熱供給株式会社のしがらみを持った関係を一度検証し直し、株式会社ケイエスピーのなお一層の経費削減を推進させ、KAST、KTFの家賃を早期に一般常識範囲に値下げさせ、ひいては県からの補助金、委託料の削減を促進するよう、より効果的でより透明性が高い手法で取り組むべきだと考えますが、知事のご所見はいかがでしょうか。
 以上で私の第1回目の質問を終わります。
 ご清聴まことにありがとうございました。

                               〔拍 手〕
〔知事(松沢成文君)発言の許可を求む〕

○議長(新堀典彦君) 松沢知事。

〔知事(松沢成文君)登壇〕

○知事(松沢成文君) 

 小川議員のご質問に順次お答えいたします。初めに、県業務の外部委託について数点お尋ねをいただきました。
 まず、病院における医事事務や庁舎の清掃業務などで長期間同一事業者が請け負っているものが多い、
競争原理が十分に働かず、また、サービスの低下にもつながると思うので改善を図る必要があるのではないかとのお尋ねがございました。
 業務委託の発注につきましては、現在、各執行権者がそれぞれの業務内容によりまして、毎年度、指名競争入札もしくは随意契約により行っております。中には相当長期間、同一の事業者が請け負っている事例もあり、今後、県としても現行の入札契約制度については見直しが必要と考えております。そのため、平成18年度から電子入札制度の導入に合わせて、業務委託や物品購入に係る入札制度についても、現在、県物品調達等改善推進会議を中心に全面的な見直しを行っているところであります。
 具体の見直しの方向としては、まず第1に、現行の指名競争入札を中心とした制度を見直し、より公平性、透明性、競争性が高められ、さらに行政コストの節減が図れる新たな入札制度を構築したいと考えております。また、委託した業務を適切に管理していくことも発注者としての責務でありますので、サービスの質を確保する上から必要な事項や留意点、点検方法などを発注仕様書等により詳しく明記し、定期的にフォローするなどの実践的な対処方法等についても、改めて全庁的に検討を行っているところでございます。
 新たな入札制度については、さらに検討を要する事項もあり、今後とも鋭意取り組んでまいりますが、当面の対応として、透明性、競争性を高める観点から、物品調達委託契約指名業者選定基準を一部改正して、原則として、まず第1に、年間を通して継続的に行われる委託業務に関する入札の指名に際しては、指名業者数をおおむね2倍にふやす。二つ目に、前回指名された業者の半数程度を入れかえる等の措置を講じ、新年度予算の執行から適用することとしております。
 次に、長期継続契約の条例化についてのお尋ねがございました。
 議員のお話にありましたように、地方自治法の一部が改正され、関連する政令等とあわせて昨年11月に施行されたことにより、複数年度の契約を締結しなければ業務上、支障が生ずる物品のリース契約や役務の提供についても、条例に定めることで長期継続契約の対象とすることができることとなりました。本県では、OA機器や試験及び検査機器、公用車などのリース契約、また機械による警備などの委託契約を締結しておりますが、こうした契約は事実上、複数年度契約を締結するべき事例が多いにもかかわらず、会計年度独立の原則から、毎年度、契約を締結し直してきたのが実情であります。
 こうした契約の中には、長期継続契約を締結することで、初期投資や新規雇用を伴う事業では新規事業者が参入しやすくなり、その結果、競争性が発揮されることから、県にとっては契約金額の低減といった効果が期待でき、さらに、毎年度の入札契約事務の軽減にもつながると考えられます。また、事業者にとっても受託業務を安定して実施できるなど、多くのメリットが生ずるものと考えられます。
 一方で、長期間の契約をすることでサービスが固定化してしまうことや、毎年度の業者間の競争がなくなり、コスト削減の努力が薄れてしまうというようなデメリットも想定されますので、現在どのような契約対称が長期継続契約に適するのか、また、どのくらいの契約期間とすべきかについて、さまざまな側面から検討をしているところでありますが、平成18年度の契約から適用できるよう、条例化を目指してまいりたいと考えております。
 次に、指定管理者制度の導入につきまして、何点かお尋ねをいただきました。
 まず、指定管理者の選定や指定管理料の決定の考え方でございますが、公の施設への指定管理者制度の導入につきましては、議員お話しのとおり、利用者サービスの向上と、より効率的な施設運営を両立することを目的としております。したがって、指定管理者の選定手続につきましては、まず、施設ごとに求められるサービスの内容や審査の項目を明らかにした詳細な募集要項を作成した上で、応募者から具体的な計画書等の提案を求めることとしております。
 この提案に対して、書類審査やヒアリングなどを行うとともに、外部の学識者等による審査会を設け、サービス向上に向けた取り組み、そのサービスを実現するために必要な人員配置や人材育成、施設運営などの経費の見込み、コスト削減の工夫や努力などについて具体的な審査を行ってまいります。こうした手続を経て、最も適切であると判断した応募者を指定管理者に選定をいたします。
 また、指定管理料につきましては、応募に際して提出された収支計画書に基づき、精査の上、予算編成を通じて決定することとなります。 このような手続を経ることで、サービス向上とコスト削減の両立を図り、あわせて指定に至る過程の透明性、公平性の向上に努めてまいりたいと考えております。
 次に、指定管理者によるサービス水準の維持等についてのお尋ねがございました。
 指定期間の長短にかかわらず、常に施設の設置目的にふさわしいサービスが提供されることが何より重要であります。このため指定管理者に対しては、毎年度、法に定められた業務全般にわたる実績報告書の提出のほか、県独自でも定期あるいは随時に報告を求め、業務の実施状況やサービス水準が維持されているかどうかを監視、いわゆるモニタリングを行い、また、施設に出向いて運営状況の把握や必要な指導に努めてまいりたいと考えております。
 あわせて、指定管理者にはアンケートなどにより利用者意見を聴取し、その反映に努めることを求めるなど、県民ニーズに沿った、よりよいサービスの提供がなされるよう取り組んでまいります。
 また、指定管理料のチェックにつきましては、先ほど申し上げました実績報告書、モニタリングによる所管部局のチェックに加え、現在の公の施設の管理委託と同様、監査委員による監査及び包括外部監査人による監査の対称となるものでございます。
 このような取り組みにより、指定管理者の導入後も公の施設が指定管理料の適正な執行によって管理運営され、一層の県民サービスの向上が図られるよう、県は設置者としての責任を果たしてまいります。
 次に、施設利用者に対する指定管理者の周知についてのお尋ねがありました。 指定管理者は、県からの委任により公の施設の利用について承認ができるなど、これまでの管理委託制度より業務内容も幅広く、責任も重くなってまいります。こうした点から、公の施設に指定管理者制度を導入する場合には、利用手続やサービス内容について問い合わせに応じたり、責任の所在を明確にしておく必要がありますので、議員ご指摘のとおり、施設を利用する方々に対し指定管理者名等を周知することが大切であると考えております。
 そこで、今後、指定管理者制度を導入する公の施設については、指定管理者が管理運営している県の施設であることを示すため、指定管理者名と設置者としての県の連絡先を施設内に表示し、あるいは案内パンフレット等に明記するなど、利用者にわかりやすい形で周知を図ってまいります。
 指定管理者名を周知することは、指定管理者自身に対しても一層の自覚を促すことになり、こうした面からも、施設利用者へのサービス向上につながるものと期待をしております。
 次に、第三セクターに対する指導についてのお尋ねがございました。
 まず、包括外部監査の指摘や指定管理者制度の導入を踏まえた指導でございますが、県主導第三セクターに対する包括外部監査につきましては、これまで年に2法人から5法人、合わせて16法人について実施されております。その指摘事項につきましては、所管の部局や各法人が改善の取り組みを行うほか、他の法人の運営に参考とすべき事項や、他の部局が指導・監督に当たって留意すべき事項なども含まれておりますので、内容を整理した上で随時通知などを行って、周知の徹底に努めるとともに、指導に活用しております。
 また、指定管理者制度の導入に当たっては、原則として指定管理者を公募することとしておりますので、各法人に対しては、民間事業者等との競争に備え、県民サービスの向上に努めるとともに、法人運営を効率化し、県派遣職員の削減など一層の自立化を進めるよう指導しているところでございます。
 こうした法人指導の方向性は、行政システム改革の中期方針にも主要課題として明示しているように、すべての法人に共通するものでございます。改善指導が不十分であるとのご指摘もいただきましたが、県としては、今後とも包括外部監査の指摘や指定管理者制度導入などを契機に、すべての県主導第三セクターに対して、それぞれの法人の役割や方向性に沿って県民サービスの向上や一層の法人運営の自立化を図るよう、指導の強化に努めてまいりたいと考えております。
 最後に、株式会社ケイエスピーの管理運営や管理業務委託の見直しなどについて、お尋ねがございました。
 同社につきましては、行政システム改革の中期方針で、平成21年度を目途に累積損失を解消することなどにより自立化を図ることとしておりまして、その実現に向けた取り組みを実施しております。これまでも経営体制の見直しや事務処理の合理化による経費の節減などに取り組んでまいりましたが、本年4月から財団法人神奈川科学技術アカデミーの家賃を引き下げることもあり、家賃収入の依存が高い収益構造を改善すべく、まず第1に投資事業組合の組成、運営事業、二つ目に、インキュベート施設の運営受託事業、三つ目に、ベンチャー・ビジネススクールなどの人材育成事業の収益事業化にも取り組んでおります。
 議員からお話がありましたサイエンスパークの管理運営体制でありますが、これは株式会社ケイエスピーを初めとするサイエンスパークのオーナー5社の合意に基づくものでございます。具体的には、敷地及び建物の効率的な管理運営のために株式会社ケイエスピーコミュニティを設立し、また、サイエンスパーク全体の地域冷暖房を担わせるためにケイエスピー熱供給株式会社を設立したものであります。
 このため、株式会社ケイエスピーだけで管理業務の見直しができるものではございませんので、業務委託の見直し等を初めとするご指摘のような経費の節減につきましては、各オーナーと協議をする必要があるものと考えております。
 したがいまして、お尋ねの委託の見直しあるいは管理業務の直営化につきましては、経費節減策の一つの方策として、株式会社ケイエスピーに対して検討を要請してまいりたいと考えております。
 株式会社ケイエスピーは、創造的起業家の発掘や研究開発型ベンチャーを創出、育成するインキュベート事業等を実施していることから、入居ベンチャー企業の視点に立った効率的な運営を行うよう、今後とも指導してまいりたいと考えております。
 答弁は、以上でございます。 

〔小川久仁子君発言の許可を求む〕

○議長(新堀典彦君) 小川久仁子君。

○小川久仁子君

 
自席で発言させていただきます。 知事、ご答弁ありがとうございました。
 特に、条例化につきましては提言を受け入れていただいたこと、感謝申し上げますが、発注方式とこの継続契約をダブルで重ね合わせることによって、外部への委託業務が監視できる体制が整うのではないかと私は期待しておりますが、平成18年度まで、過渡的な対応ではございますけれども、指名競争する業者をふやすというお答えもいただきましたので、平成18年度までもしっかりと監視をしていただきまして、改善されるようお願いをしておきます。
 そしてまた、指定管理者制度についてなんですが、これについては知事に再質問をさせていただきたいと思います。
 公の施設に民間活力を導入したら、サービスが向上されるということが期待されているわけですけれども、知事はどんなサービスの向上を期待されているのか、聞かせていただきたいと思っております。
 そしてまた、ケイエスピーについてなんですけれども、こういう複雑な関係になっていること、なかなか私も、調査するのに2年ぐらいかかりました。今、親会社、子会社などと贅沢なことをやっている時期ではないわけでありまして、ケイエスピーの出資者等で協議をしなければ解決はつかないことだというふうにお答えされましたけれども、今までもケイエスピーの事業については県主導でずっとなされてきた、そして社長も県主導で決定されてきた、そういうことを考えますと、県のよりよい指導で、しがらみのない、すっきりとした管理体制にかながわサイエンスパークを持っていっていただくように強く要望したいと思います。
 それでは、再質問に対する答弁をお願いいたします。
  

〔知事(松沢成文君)発言の許可を求む〕

○議長(新堀典彦君) 松沢知事。

○知事(松沢成文君)

 
小川議員の再質問にお答えいたします。
 指定管理者制度の導入によって、これは県民にとってということだと思いますが、県民にとってどのようなサービス向上を期待しているのか。 これ、さまざまな面があると思いますが、例えば県民が利用する施設ですね、こういったところのサービスでは、まず、より安い料金、そしてより使いやすい運営、そしてよりよい雰囲気といいますか、その施設が非常に県民にとって使いやすい、あるいはそこで働いている人々が県民に対して親切であるとか、こうした雰囲気づくりというのも大切だと思っています。
 それはさまざまな施設によって違った観点があろうかと思いますが、基本的にはそうした形になって、県民の皆さんにも指定管理者制度、これは県の税金を効率的に使えてよかったというだけではなくて、その施設等が本当にいいサービス、いい対応がなされるようになった、そういう変化があらわれるように努力をしていきたいというふうに思っております。 以上です。
  

〔小川久仁子君発言の許可を求む〕

○議長(新堀典彦君) 小川久仁子君。

○小川久仁子君 

 ご答弁ありがとうございました。
 施設の弾力的運用というお話だったと思うんですが、私、それに対しては全く同じ意見ではございますけれども、今回提出されている条例案、改正条例案ですけれども、その中に、例えば県民ホール、開館時間、休館日等については今までと同じものが提示されております。弾力的運営というふうに言うならば、今回の条例提案の段階からそういうことを改正案に盛り込むべきではなかったのかなと私は考えております。
 キャンプ場等については、別に知事と使用条項を相談して決めるというふうにも書いてありますし、さまざまな今回の条例改正案の中で、ホール等の活用についてはそういう、今、知事がおっしゃったような弾力的運用について、できるのかどうかわからないような条例のままの提案なんですね。そういう状況というのは、いつ弾力的運用を業者に示していくのか、非常に難しい状況であろうと私は考えますので、この問題について、各施設ごとの問題ではありますけれども、常任委員会でよく議論をしていただきたい。私も県民企業常任委員会に属しておりますので、関連の条例案については厳しく議論を積み重ねていきたいと思いますので、よろしくお願いします。
 これで私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。