平成18年9月議会  10月2日   子ども高齢者等問題特別委員会


          不登校対策について


小川委員


 不登校対策について伺います。中学校の不登校生徒7,399名という報告があり、そのうち3年生の不登校生徒数は、17年度には3,014人で、その3,014人の不登校生徒のうち1,264名、3分の1が公立・私立の定時制高校や通信制高校に進学しています。私立の定時制高校では生徒総数2,823人のうち、1年から4年になるまでに2分の1に生徒数が減少し、県立の定時制高校では生徒総数4,276人のうち、1年から4年になるまでに3分の1に生徒数が減少してしまうという現象が学校統計要覧で示されております。多くの不登校であった子どもたちが定時制高校、特に県立の定時制高校に通っています。そういう子どもたちは、他の子どもたちが退学してしまうために、先生から手厚く世話を受けて立ち直っているという良い例も聞いておりますが、それは定時制高校の本来の目的ではないのではないかと考えています。
 県立高校改革が全国で進んでおりますが、神奈川県は定時制高校の改革が遅れていると思っておりますが、定時制高校の本来の目的も含めて県ではどのように考えているのか伺います。


高校教育課長


 定時制課程は仕事をしながらという方が多かったわけですが、最近はそのような方は減少し、アルバイトをしながら定時制に通うという生徒もいますけれども、私どもが最も憂慮しておりますのは、全日制への希望が実現できず定時制に進学している方が相当数いるということでございます。正確な数字の把握は難しいのですが、アンケート等によれば、少なく見積もって3割以上は本来全日制希望の方が定時制で学んでいるという状況があろうかと思っております。このような状況で、定時制で学ぶ生徒数がここ数年増えてきておりますことから、クラス数を増やす、あるいは1学級の人数を増やすことで生徒のニーズにこたえようとしております。また、学習内容につきましても、より生徒のニーズにこたえられるよう、従来の普通科、専門学科、総合学科から、来年には、例えば総合学科に工業も加え、本来的に定時制で学びたいという生徒に来ていただけるような環境を整えられるよう努力を続けているところでございます。


小川委員


 全日制課程に行けず、私立高校にも行けない生徒の選択肢が定時制しかないというのは非常にかわいそうなことだと思います。生徒が夜間に通学して、道を誤ってしまうこともあり得るわけですから、子どものことを第一に考えて高校の改革に取り組んでいただきたいと思います。

不登校だった生徒は通信制高校にも通っております。県立高校改革の中で、平成20年度の開校を目指した新しいタイプの通信制高校の内容がすばらしいので、非常に期待しております。そこで、通信制高校の定員について伺います。1,200名という定員の規模は、現在あるの2つの通信制高校の定員を合わせた数字と聞いておりますが、東京のチャレンジスクールは不登校生徒数を勘案した、生徒の需要に応じた定員を決めていると聞いております。カリキュラムの内容や教員の対応もすばらしいチャレンジスクールに模して、新しいタイプの通信制高校は、IT学習を採用し、平日も休日も通学できるなど工夫をしておりますが、生徒の需要に応じた定員でなければ、本当の意味での高校改革ではないと考えておりますが、この点はどうでしょうか。

高校教育課長

 平成20年度に設置する新しいタイプの通信制高校は、現在の横浜平沼高校と湘南高校の通信制課程を集約するという形で設置するものでございます。平沼高校通信制課程の現在の募集定員が400名、湘南高校通信制課程が850名、合わせて1,250名でございまして、新しく設置する学校の募集定員は、現在1,200名程度と考えております。生徒の需要に応じた定員ということにつきましては、この2校の今春の入学者数は両校を合わせて募集定員1,250名のところ、678名でございましたので、充足率は56%でございます。また、今春、中学校を卒業した不登校経験者で公立・私立の通信制高校に入学した生徒数は538名でございます。

新しいタイプの通信制高校は、不登校であった生徒にとっても非常に学びやすい仕組みを持っておりますので、是非ともチャレンジしていただきたいと思っておりますが、それ以外の様々なニーズを持った生徒にも来ていただくために、学校のキャパシティ等も考慮し、現在の1,200名という募集定員で考えてまいりました。


小川委員


 県立高校改革では、不登校になった生徒や他の学校を退学になった生徒の受け入れ実績が年に数人という、当初県が予想した数値とかけ離れている状態でした。

新しいタイプの通信制高校のような、皆が期待する学校ができることで、神奈川県でも不登校になった生徒への対応が可能になると期待していますので、生徒の需要をまず一番に考えていただき、生徒のためになる教育を展開していただくことを要望します。