平成十三年
神奈川県議会六月定例会
一般質問
県立高校再編計画について


久保寺議長のお許しを得まして、自民党県議団の一員として、質問致します小川久仁子でございます。

今、国民的人気を誇る小泉新内間誕生の事実上の産みの親という自負で我々自民党県議団は燃えに燃え、ますます意気盛んな所でございます。私自身もこの平成維新とも呼ばれる一大改革に議員として参加できた、役目をになったのだという感激で胸が一杯でございます。か弱い女性などとは、もう言ってはいられません。どんとあたってくだけろ精神で、今回の一般質間にのぞみましたので先輩、同僚議員の方々のあたたかいご声援を心からお願い申し上げます。

今回の私の質問は、平成12年度に所属しておりました文教常任委員会の一委員として、教育問題を審議して参りました結果として、県立高校改草1本に絞りました。学校現場での校長先生や教頭先生、時には生徒指導の先生達との意見交換で感じた感激や疑問をまじえて、質問したいと思いますので、教育長のみの答弁ですから明快にお願い致します。
まず質問に入る前に、大阪池田小学校で犠牲になられたお子さんのご冥福を心からお祈り申し上げ各級学校の安全対策を早急に確立されるよう要望致します。

県立高校改革全体像

さて第1の質問は、県立高校改革について私なりの評価をまじえてお伺いいたします。
もう、すでに皆様ご高尚のとおり、平成11年に発表された、神奈川の県立高校改革推進計画・前期計画により、平成12年度に衛生短期大学付属二俣川高校に福祉科が新しく設置されたのを始めとして、いよいよ平成14年度から続々と新校が誕生してまいります。
私が訪問した再編統合対象校では、順調に、そして着々と準備が進んでいるという印象を持ちました。再編統合対象校のうち、7割以上の学校の現場に足を運ぴ、校舎の老朽度・先生方の対応や考え方、生徒指導のあり方、そして生徒の状況を見てまいりました結果、概ね、前期の県立高校改革推進計画は、よく検討されている・よくできているという結論に達しました。
関係当局の方々の努力に深く敬意を表したいと思います。
さて、現在進められている県立高校改車推進計画は、少子,高齢化の進行という社会状況の変化と95パーセント前後の中学生が高校へ進学するという状況の中での、生徒の興味・関心、学習希望や進路希望などの多様化に対応しようとするものであり、県立高校史上の一大改革ともいえるものだと思います。
現状でも、各高校の特色を出すように、各々努力され、県内ほとんど全ての県立高校が3年次には授業の選択制を採用しており、今回の改車への準備ができている状況であるとも感じました。

国の方針なども踏まえ、単位制の普通科や総合学科高校、フレキシブルスクール、コースの設置校など、新しいタイプの高校を設置するわけですが、なぜ、もっと早期に改革に着手できなかったのかという不溝は残るものの、今回の県立高校改革が及ぼす大きな影響を考えると、是非、成功させたい、生徒にとって素晴らしい改革になるようにと思わざるを得ません。
こういう思いから、文教常任委員の一員として、また、我が自民党県議団全員参加の「神奈川の教育を考える会」の一員として、さき程も申し上げたとおり、主に再編統合校を中心に学校視察をいたしました。

県立高校の雄

神奈用の進学校の雄である、確か、岡崎知事の母校でもあったかと思いますが、湘南高校にも、課題を多く抱えた高校にも、小・中学校にも伺いました。
湘南高校は素晴らしい校舎と設備に恵まれた中で、まるでアメリカの青春映画を見るように、生徒達が、自由に生き生きとクラブ活動や勉学にいそしんでおりました。自分が高校生だった頃、こんなに懸命に勉強したかしらと思ったほど、図書館で放課後勉強する生徒たちの真撃な姿がありました。
また、汗と泥にまみれて、野球や柔道、サッカーなど、運動部の練習に励む姿もありました。小田原高校では、大学はどこでもいいから高校だけは小田原にという家族の大きな期待をにない勉学にはげむ生徒のけなげな姿を見てまいりました。

彼らの姿を見ながら、神奈川から日本各界、いや世界のリーダーを輩出していくことは、非常に重要なことだと、改めて感じました。

中途退学

一方、不本意入学が多く、中途退学者の数が入学時の4割にも及ぶような課題の多い高校にも伺い、その学校に通う生徒たちの抱える様々な背景に思いを馳せ、暗い気持ちにもなりました。
高校くらいは卒業したい、させたいという生徒本人や保護者の気持ちから、高校には進学したものの、勉強に追いついていけない、元々その学校には行きたくなかった、また、家庭の経清事情で退学せざるを得ないなどの理由から、3〜4割の生徒達が退学していく高校には、聞くべき課題が多く、現代の教育の抱えた間題が凝縮していると思います。
県立高校全体の中途退学者は2.3%ですが、実は中途退学者は特定の高校に集中しておきる現象なのです。このまま、退学生徒が多い高校を放置することは、教員の適正配置という点からも教育費の無駄遺いになりますから、早期に改車する必要があります。

総合学科高校

社会に出て、一人前に生活していけるように、社会常識を身につけさせるためにも、また、その生徒がどんな職業に適しているかを考える多くの機会を与えてあげられる高校が、是非必要だと私も思っておりましたので、総合学科高校は、こういう目的にも十分対応できる高校として、大変期待できると思っております。「産業社会と人間」という、進路や職業にかかわる基礎科目を設置することができるというところが大きな魅力だと思います。

私は、この総合学科高校に再編される高校にはほとんど伺いましたが、先生方も、地域も、その改革に非常に期待しているということを聞きましたし、それを肌で感じもいたしました。

現に、川崎の大師高校がこの改革を行って、学校改善が行われたという、よい結果も得られておりますし、大いに期待できるところです。この総合学科高校は、前期計画で6校設置されると伺っております。

単位制普通科高校

単位制普通科高校への再編は前期計面で4校となっておりますが、いわゆる進学校や中堅校や、課題の多い高校と、それぞれを地域配置も考慮に入れて、よく選択されていると思います。
ただ、これは、実験的な試みとも受け取られますし、各学校単位での、非常な特色づくりの努力が求められますので、県教育委員会からの適切な指導・助言が欠かせない再編だと思います。この単位制普通科高校では、学年制を撤廃するということが、大きな改革点になっています。


専門コース

専門コースの設置は、比較的に移行しやすい改革だという印象を受けました。3校再編されますが、従前の高校の特色を押し進めた形をとっており、コース以外の生徒も、コース科目を選択できるという利点がありますし目的意識を持った生徒を選択できるという点で、学校の活性化が図られるものと期待できます。

採点は75点

以上、私が、各学校を訪問して県立高校改革計画を検証した結果をフレキシブルスクール以外について述べさせていただきました。
この前期計画を採点するとしたら、100点満点中75点です。
再編統合される2校のどちらの敷地・校舎を選択するかという視点を含めて、非常によく検討されていると私は評価いたします。
そして、新しい高校が、生徒たちの多様性に十分に応えられるように、今後も後期に向けて、努力を続けて欲しいと心から望むところです。
ただ、なぜ、マイナス25点なのかという点について、これから述べさせていただきたい質問といたします。

高校を改革するのは学校のためではないし、まして教師のためでもない、生徒のために行うものという意識が簿いと思うからであります。
高校が変わった、よくなったという時、学校側の説明では、まず、「進学率がよくなった」という答えが最初に返ってまいります。
進学率は、端的に学校のレベルを述べるにはよい自安になるでしょうし、生従のやる気を図るにも、わかりやすい目安かもしれません。
しかし、私達が生きている社会では、様々なタイプの人材を待望しており、大学進学率だけでは表しきれない多様な需要・希望に対応していくはずの、高校改革なのですから、単に、「進学率がよくなった」ことは、学校が変わったということにはならないはずです。
各高校の特色づくりとして、大学進学を特色に出していく高校があっても、それはそれとして多様性を求める生徒のためにも重要なことでありますし、むしろ、素晴らしい特色づくりだとも思いますが、課題を多く抱えた高校が改善されたかという問いの答えがそれでは、あまりに一面的すぎると思います。
「生徒が学校に出てくるようになった」とか「授業に集中するようになった」とか「学校に来るのが楽しくなったようだ」とか、「授業中に携帯電話を便わなくなりました」という視点なら、学校が変わったのだと、私は実感できるわけですが、実際は、新しいタイプの学校に変えることを契機に、選択する生徒のレベルを上げて、学校改草に成功したと言っているのです。
目的意識を持ち、やる気のある生徒を入学させることによって、その学校を改善したというのは、詭弁であり、まやかしだと思います。学校改善ではなく、入学する生徒の層を変えただけなのです。
この操り返しでは、1校が改善されれば、周囲の学校が煽りを受けて、課題をより多く抱えてしまうことになるのです。

教師のやる気は?

同じ課題を抱えた生徒ばかりの集団では、リーダーが育ちにくく、生徒指導もやりにくく、学校運営も困難だという、教師の抱えた現実の悩みは理解できますが、教師の指導しやすさのための高校改革ではなく、真に生徒が望む、生徒の希望に合った高校を築いて欲しいという観点から、教肺の意識改革こそ、本当の意味での高校改革だと思います。
そこで、今回の再編統合を一部の熱心な校長・教頭・教師だけの改革ではなく、全教師が高校改革とは何かと真剣に考え、生徒が必要とする高校とは何かと考える大きな契機にしてもらいたいと思いますが、教育長のご所見をお伺いします。

再編統台校を増加させてぱ?

また、1校が改善されれば、周囲の学校が煽りを受けるという現象は、現に、改革される高校の受験倍率が異常に上がった平成13年度の入試状況を見れば如実です。
後期計画も含めて、現在の改革計面では、量的に必ずしも十分とは一言えないと私は考えております。平成12年度の学校統計要覧を精査し、謀題を抱えている県立高校の数を数えてみれば、この心配はますます増長するばかりです。
新しいタイプの高校の誕生は、生徒や保護者から長年待ち望まれてきたものでありますし、後期計画までをフィックスされたものとせずに、改革の過程を見ながら、状況によっては、新しいタイプの高校への再編統合を増やしていくことも重要だと考えます。
この点について、教青長のご所見をお伺いいたします。

中学校の進絡指導への影響ぱ?

次に、高校改革に関連して、いくつか質問いたします。
この公立高校改革計画により、新しいタイプの高校だけでなく、普通科高校も選択制の幅を広くするなど、各校が特色づくりを推進していくことになっております。
これは、高校に進学しようとする中学生にとっては、高校の選択の幅が広がることになり、非常によいことでありますが、また、どう選択したらいいのか不安の種にもなり得ます。
私は役目柄、専門的に高校改革を勉強いたしましたが、それぞれの保護者が同じように取り組むということは、時間的にも不可能ですから、どうしても、中学校の進路指導に頼らざるを得ません。
生徒の進路指導に重要な役割を果たす中学校に対して、高校がどのように取り組むのかその姿勢も大切になってまいります。
横浜のある公立中学校で伺った話ですが、同学区内の、課題を多く抱えたある県立高校の新任の校長先生が、熱心に中学校訪問をされた結果、その情熱にほだされて、やる気のある生徒にその高校を勧めたということです。
こういう話からも推測できるように、高校からの働きかけも中学校での進路指導に影響を大いに与えられるのですから、高校として、どのように取り組むのかということも十分に検討していくべきと思いますが、教育長のご所見をお伺いたします。

中学校の調査書の扱いは?


また、義務教育段階で、学校の個性化が進むことや、中学校での評価が絶対評価に移行することから、各高校の特色にあった生徒を選抜するためには、入学者選抜のあり方を考え直す必要があると思います。
課題を多く抱えた高校で伺った、印象的な先生方の言葉は、義務教育までで自分は何をやってもダメなんだという生徒の傷ついた心に、もう一度、高校生活を通じて希望を与えてやりたいというあたたかい、感動的な言棄でした。
又、中学校まで一度も3以上の評価を貰ったことのない生徒が、高校で3以上の点を貰うと生き生きとしていくという、単純ではありますが、当たり前の、そして純粋な生徒の反応を聞くと、中学校で、相対評価から絶対評価に変わることは、非常によいことだと思います。
しかし、その絶対評価が、教員の判断基準や学校によって違ってしまっては、生徒の本当の学力が見えなくなる危惧もあり、評価の客観性をどう保つのかという課題があると思います。
この点については、適切な対応をとられるよう要望しておきますが、この絶対評価の導入に当たり、入学者選抜において活用する調査書についても、絶対評価を生かしていくことが必要と考えます。
そこで、これらの課題を踏まえ、今後、調査書の扱いをどのように検討していくのか、この5月に設置された、入学者選抜制度・学区検討協議会の検討の方向性と併せて、教育長のご所見をお伺いいたします。

フレキシプルスクールって?

第2の質問は、フレキシブルスクールについてお伺いいたします。
このフレキシブルスクールだけ特別に別枠でお伺いする埋由は、非常にわかりにくい再編だということなのです。
マイナス25点には、このわかりにくさも含まれています。
前期計画において、川崎高校と川崎南高校、汲沢高校と豊田高校、厚木南高校の3校の再編であり、川崎と厚木南は定時制高校をも含んだ12時間の授業時間帯の中での自由な単位選択を特色とし、厚木南はそれに通信制をも含んでいることが特色です。汲沢・豊田は8時間の授業時間帯の中で社会人参加のクラスを特色としています。
しかし、どこがフレキシブルなのだという点が非常にわかりにくかったのです。
自由な登校時間を選ぴ、自由に授業を選んでいたら、野放図な生従はますます野放図になってしまうのではないかという心配が大きく、どんな学校になるのか、学校を選ぶ生徒の側にも戸惑いがあるのではないかという印象象があったのでした。
わからない時は、現場に足を運んでみるのが大事と、やはり学校訪問してみましたが、それでも判然としない。どういう学校を目指しているのかがわからない。

定時制高校をどうする?

そこで、全国の都道府県の高校改革改革を調査してみました。
その結果、全国の高校改革においては、12時間に及ぶ長時間で授業展開をする再編校は、東京都立新宿山吹高校・大阪市立中央高校を始めとする昼間定時制の高校が、それに匹敵するものだとわかりました。
これらの高校は、本県も同じ状況ですが、定時制に通う生徒の層が以前と変化し、勤労青少年のように夜間でしか学ぶことのできない生徒はむしろ少なく、本当は全日制高校を希望したが不合格だったとか、全日制の私学には経済的な理由で通学できないという、不本意ながらの入学者が多いため、入学者の多くが中途退学してしまうという課題を抱えてきた、定時制高校の改善策として提案されてきたものです。
すでに、平成3年位から、これらの新校が開校し、学校改革としては、多様な生徒の二ーズに応える学校として、成功例としてマスコミなどでも報告されているところです。
こういう昼間定時制高校は、授業展開を8時間から12時間の長い時間帯で設定し、1部2部・1部から3部・4部制などをひいたり、授業開始時間を変化させたり、様々な工夫を凝らしています。
こういう学校の需要は非常に多く、例えば、私の地元からも、バレリーナを目指すお嬢さんが新宿山吹高校に入学し、昼間はバレー学校、夜は勉学に励み、現在はパリヘのバレー留学の夢を実現されました。
地理的にも広い範囲から自分の目的に合わせて多種多様な生徒が通う学校として、これらの学校は有効に機能し、定着していると思います。
この種の学校を目指していながら、神奈川のフレキシブルスクールは、全日制と定時制との併置のままの形をとる、全国的にも珍しいタイプの再編であることはわかりました。
本県では、定時制高校は東京郡に比べ、数こそ4分の1しかありませんが、入学時の生徒数が卒業時には4割から5割減ってしまうという、同じ深刻な中途退学の問題を抱えております。
その定時制高校の改革には、本県も平成8年から取り組まれているのは承知しておりますが、その割には抜本的な改草が行われておりません。
生徒数が半分にも激減してしまう高校をそのまま放置することは、学校活動の沈滞化にもつながり、在校する生徒の不利益にもなりますし、教師の適正配置としても問題があり、非常な県費の無駄遣いでもあります。
真に定時制高校を必要としている生徒のためにも、学校の活性化につながる定時制高校改革を今後どのように展開していくおつもりか、教育長にお何いいたします。

昼間定時制にしないの?

また、フレキシブルスクールを考えるときこの全国の昼間定時制の成功例を見ながら、敢えて神奈川の高校改革計画の中で、昼間定時制としなかった理由をあわせてお間かせ願いたいと思います。

チヤレンジスクールつて?

次に、フレキシブルスクールについて、チャレンジスクールとの比較において伺います。
同じ横支字のネーミングでしたので、東京都立チャレンジスクールとフレキシブルスクールを比較すれば、フレキシブルスクールについての理解が深まるかもしれないと思い、チャレンジスクールを2校訪問してまいりました平成12年開校の北赤羽の都立桐ケ丘高校と、この4月開校の世田谷泉高校です。
何時問話しても尽きないほど、熱心に話し続けてくださる校長先生や教頭先生と予定を超えて話し込み、様々な発見がありました。
周囲の人々から、何故こんなことができないのだ、なぜ人並みにできないんだ、とできないレッテルを義務教育で何枚も貼られてきた生徒の、そのレッテルを一枚ずつ剥がしてあげることが彼らの仕事なのだという一言葉。現在の学校の形態では適応できない生徒もいるのだから、そういう生徒の需要にあわせてあげるボーダレススクール、枠をつくらない学校を目指しているという説明。こういう熱心な説明を聞きながら、東京は切羽詰まって真剣に教育問題に取り組んでいるんだな、と感じました。
全国で13万人以上いると言われる不登校生徒、その1割を東京は抱えているといいます。そういう生徒達を民間のフリースクールに任せっきりにするのではなく、国で定めた教育課題を修業できる、そして身をおく場所をつくろうというチャレンジスクールは、不登校生徒対策としては、全国に先駆けた勇断による公立高校改革策だと思います。
入学選抜テストは面接と作文だけで、調査書も提出させないそうで、結果として、小・中の義務教育を通じて、1週間位しか登校しなかったような生徒も入学しているそうです
し、現在在籍している生徒の7割は義務教青において不登校生徒だったそうです。
そういう生徒達が、現に学校に通ってきているのです。楽しくて楽しくて、卒業したくないという生徒もいると伺いました。
平成12年度に開校した桐ケ丘高校では、初年度入学競争倍率が7倍、13年度は世田谷泉高校が開校したため、4倍になり、生徒を両校で分け合ったという形だと伺いました。
この競争率を見ても、まだまだ、この種の学校の需要は多いと推測されるので、東京都立高校改革計画の中で、既存の2校をあわせて5校設置する予定だそうです。チャレンジスクールについての資料として、チャレンジスクール計画検討委員会の報告書を事前に読んでから訪問したのですが、見ると聞くとでは大違い、正に、このチヤレンジスクールは今までの自分ではなく、これからの自分にチャレンジしようとする、意欲のある、しかしメンタルな問題をどこかに抱えた生徒達のための癒しの高校だったのです。
こういう課題を多く抱えた生徒と接するには、一つひとつの言葉にも大きな配慮が必要なので、そこに奉職する教師の選択にも非常に気をつかったそうです。何よりも校長の意思に賛同する教師を集めることが大事だという視点から、教育委員会から人事については特別な許可を得て、教師選ぴをしたそうです。
その結果、本当の意味で教育に情熱を持った教師が集まり、生徒とともに、新しい学校づくりに努力しているところです。
カリキュラムにも、深い研究と配慮が感じられ、入学した生徒の殆どが普通に通学してくることも、うなづける内容です。
不登校には、100人100とおりの埋由があると言われておりますように、その対策も100人100とおりにつくらなければなりません。親とのコミユニケーションさえ上手くいかないような生徒は、通学してくるにも、ラッシュアワーの混んだ電車には身がすくんで乗れないという場合もあるそうです。
そういう生徒は登校時間がラッシユアワーとあわない時間帯にもってくるようにカリキユラムをつくるそうですし、昼間働いてみたい生徒は夜の時間帯の授業をとるそうです。
そんなフレキシブルな学校生活を送りながら、社会に出ても適応していけるように教育することが大きな目的なのだと伺った時、これが、フレキシブルスクールの一つの目指すところなのかと私は気付きました。
しかし、このチャレンジスクールは、新宿山吹高校や代々木高校・飛鳥高校など、東京都の教育委員会が今までに行ってきた、定時制高校の改革で培ったノウハウを十分に生かし、なおかつ、不登校生徒の大量受入れに踏み込んだ、大勇断からできあがった昼間定時制の単位制・総合学科高校であります。神奈川のフレキシブルスクールとはひと味違うダイナミズムを感じます。東京都の定時制高校事情が大きく影響しているとはいえ、現在、最も大きな教育問題として、論議されている不登校間題に、ここまで踏み込んだ公立高校は全国にも他に例をみないのです。

県立の不登校生徒対策校をつくったら?

神奈川のフレキシブルスクールも不登校生徒にも対応できるように工夫しているそうですが、どんな生徒にも対応しようとする、百貨店方式のフレキシブルスクールが、教育委員会が掲げる当初の目的を達成できるか、私は非常に疑問を感じております。
計画では、前期計画で、3校の再編になっていますが、このフレキシブルスクールを、もう一歩踏み出して、不登校生徒対策校を設置するお考えがあるか、教青長のご所見をお伺いいたします。


以上で、私の第1回目の質問を終わらせていただきます。
ご清聴まことにありがとうございました。


教育長答弁に対する小川県議の要望

南厚木高校の再編のような全日制と定時制の併置によるフレキシブルスクールは定時制を選択する生徒達のやむをえぬ選択の埋由を無視していると思います。君は全日制でわたしは定時制という差別感が出てこないように、入試の方法や「全日制と定時制」というネーミングでない思いやりにみちた工夫をこらしてもらいたいと要望します。
又、学校関係者全体がもっとせっぱつまった気持ちになるような再編姿勢を県教育委員会に求めます。ぬるま湯の中では生徒たちの為の本当の改革はできないと私は思います。
がんばって下さい。


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