すっかりごぶさたしてしまいました。
あなたのことを考えない日なんて1日もないのに、月にたった一度の近況報告ができないなんて・・・!
だから今回は、その間に私の身に起きた、前代未聞の大事件をお知らせしたいと思います。
「シェルパ、ファントム、そして1098S」
1. 不本意な異動
今年1月から私は、自分の所属する艦艇本部での防衛装備品の調達における情報セキュリティという担当業務を一時離れて、21年度入社予定者の学卒採用の応援をしていました。
このままなし崩しで人事に異動なんてことはないでしょうね、と別室で部長を脅し、じゃなくて部長に確認した上で出向いた応援でした。
でも、話は、裏で勝手に進んでいたのです。
「4月から人事に異動し、採用の他、技術系従業員の教育を担当するように、との指示が常務からあった。」
今度は常務に脅されたのか、部長が困惑顔で異動を告げたのは、採用活動もたけなわの2月の末でした。
正直、ショックでした。
会社のブランド力としての技術力を維持するための特命事項であり、抜擢であるとの説明でしたが、いくら私でも、2回もだまされるわけがありません。
自分は技術者としての可能性を見限られ、追い出されたのだ・・・
そんな思いで頭がいっぱいになり、ひとりになると、何度も涙があふれそうになりました。
技術者であること、それが私にとって一番大切なアイデンティティだったのに、それが否定されたのです。
これから先、自分を何者として捉え、働いていけばいいのか?
正直、その結論は未だに出ていないのですが、歳月は人を待たず、人事で教育及び採用担当する課長としての勤務がスタートしました。
UP!
2. 神奈川大会のレギュレーション
そんな中、今年も二輪車安全運転神奈川県大会の参加募集要項が公開されました。
昨年の悲惨な成績に喝を入れられて、この1年スーパーシェルパで練習を重ねてきた成果を確かめる機会です。
仕事における自己の存在が完全には肯定できずにいる今、バイク乗りとしての自分を確かめ、いじけたりくじけたりせずに生きていくためにも、真剣に取り組みたいと思いました。
でも、ここにも人事異動同様の、びっくりするような新事実が待っていました。
私が毎年出場してきた女性クラスは、昨年まで排気量無差別で、原付50ccでもMonster800 S i.e.でもスーパーシェルパでも出場できたのですが、今年から原付50cc限定になっていたのです。
神奈川県二輪車安全運転推進協会に電話で問い合わせてみたところ、やはり今年から変更になったということでした(その理由について、尋ねてみましたが明確な回答はありませんでした)。
昨年から1年間練習してきた成果を、女性クラスでの入賞を目標として確認したい、と思っていたのですが、それは不可能となりました。
そうなると、選択肢は二つ。
レンタルバイクや貸し出し車両を利用して女性クラスに出場するか、スーパーシェルパでAクラス(51cc以上400cc以下)に出場するかのいずれかです。
でも、どちらの選択肢も、自分にとっては中途半端で不本意なものに思えました。
UP!
3. シェルパ転倒
そんなことで悩んでいた折、砧のレディースバイク・オートバイ教室で傾斜走行中に縁石に乗り上げ転倒するというミスをしてしまいました。
前輪が縁石を乗り越えて草地に入ってしまったので、そのまま突っ切ろうとしたのですが、後輪が縁石を越えられなかったのです。
幸い、ケガも車両の破損もありませんでしたが、自分の中で何かが終わった気がしました。
そして、もうシェルパから離れなければならない、と思いました。
このままシェルパで講習会に参加し続けたとして、自分はどうなっていくのか?
おそらく、ベテランなのだから速くなければと無茶をして、スピードばかりを追求するようになり、いずれ大ケガをするのではないか?
そしてそんな練習は、1098Sを乗りこなすための基礎力の向上にも、安全運転にも結びつかない・・・。
自分が講習会に参加するたびに確認し、身に付けなければならないのは、大型二輪免許を手にした時の「これから後の一生、安全運転する」というあの気持ちであり、そのための技術です。
私はシェルパを手放すことに決め、以前から気になっていた原付50ccスクーターであるマラグーティのF12ファントムを購入することにしました。
50ccでは自動車専用道路を走れないので、遠出の時はイヤでも1098Sに乗るようになるし、安全運転の練習のためには、原付での講習会参加で十分なはずです。また、HMSなど車両を借りられるライディングスクールでは、750や400のネイキッドモデルで練習することもできます。
そして、50ccなら、二輪車安全運転大会の女性クラスにエントリーできるのです。
そんな風に考えながら、私は不本意な人事異動のこととシェルパとの別れとを引き比べていました。
自分は技術者として生きていくと信じていたのに、事実はそうはなりませんでした。
そういうアイデンティティを脅かすような出来事でさえ、いともたやすく起きるのです。
いつも一緒に練習してきた大好きなシェルパが、私の毎日から急になくなってしまったところで、それが何だと言うのでしょうか?
Monster800 S i.e.を手放した時のような、胸塞がるような思いはありませんでした。
強いて言うなら、あきらめに似た気持ち、静かに現実を受け止める気持ちがあったような気がします。
UP!
4. シェルパ、ファントム、そして1098S
このような経緯で、私のバイクライフは「ドゥカティ1098SとマラグーティF12ファントム」という体制で新年度を開始しました。
ファントムはとにかくグッドルッキングな、思っていた以上に魅力的なスクーターで、所有する喜びも感じています。
安全運転大会用のレーサー(笑)としては、国産50ccを基準としている大会のパイロン配置では図体がデカ過ぎて不利だと言われたり、ブレーキングの際に短い距離で指定速度に持っていくのが難しかったりと、細かい問題はありますが、今気にしてもしかたがありません。
私にできるのは、気負わず、自暴自棄にならず、現実に立ち向かっていくことだけです。
まあ、今まで、そのテンションの低さが、競技会等での成績の悪さにつながっていた気もするのですが・・・。
ただ、この文章を書くまでにファントムで数回講習会に参加してみて、シェルパでの練習で身についたことはファントムで発揮できるのだ、ということが確認できました。
不敵な笑いを浮かべて、というわけにはいきませんが、練習は自分を裏切らないと信じて、大会に臨みたいと思います。
そして目標が達成できたら、今度こそ胸を張って報告します。
「あの日、これから先の一生安全運転しようと心に誓い、今やっとここまで来ました。」
と。
UP!
それでは、遅ればせながら、5月も無事故無違反でいきましょう。
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