動物のSFさん

1.プーさん

 「ねえ、プー」と、ぼくはいった。「動物SFとはなにか、わかってない人がいっぱいいるみたいだし……」
 「それで?」とプーは目をパチクリさせた。
 「で、いちばん簡単な方法は、いっしょにちょっとSFを読んでみることだろうと思うんだ」
 「SFって、なに?」プーは目をまるくした。「タオみたいなもの?」
 ぼくは、大きく息をすいこんでいった。
 「SF。それは、宇宙・生命・そしてすべてのものさ」
 
 

2.クァールのニクキュウを見にいく

ぼのぼの 「そうだ、今日はニクキュウをみにいこう」
 
 

3.動物のお医者さん

二階堂 「おい、おれたちはSFとは何の関係もないぞ」
公輝  「でも、獣医学部だから動物には関係なくもない……」
二階堂 「またおまえはそんなことを。きっと貧乏くじだぞ」
公輝  「そうかもしれない」
漆原教授「ふっふっふ、二階堂にはこの本を読んでもらおう」
二階堂 「う、何だか恥ずかしい表紙……。病人の日誌ですか?」
公輝  「漢字がたくさん間違ってるな」
      (間)
二階堂 「うう……。い、いやだ。ネズミは嫌いだ……」
公輝  「頭のいいネズミかあ。研究室で逃げだしたら面倒だな」
二階堂 「こういう気持ち悪いのが動物SFなのか?」
公輝  「おまえの趣味にはあわないな」
漆原教授「ハムテルにはこれだ」
公輝  「『少年と犬』?」
漆原教授「なかなかもらい手がなくてな。『シリウス』もあるぞ」
菱沼さん「だれか、アタシのヌーちゃん知りません?」
公輝  「ヌ―ちゃん?」
菱沼さん「ヌ―サイト。注射器に入れておいたんだけど……」
二階堂 「病原菌ですか?」
菱沼さん「病原菌じゃないけど、ちょっと危険ねえ」
公輝  「まさか頭のいい微生物じゃないでしょうね
菱沼さん「あら、どうしてわかったの」
二階堂 「やっぱり……」
漆原教授「菱沼くんに注射したら少しは休温も上がるだろうな」
菱沼さん「先生わらいごとじゃありません」
二階堂 「きっと犯人は菅沼教授だ」
菱沼さん「そういえば、『ヌーサイトは競馬に行く』と貼り紙が……」
公輝  「クラミジアの時よりたちが悪いなあ」
菱沼さん「明日はきっとMM88かアンドロメダ病原体だわ」
二階堂 「これだから微生物はきらいだ」
公輝  「おまえきらいなものいっぱいあるんだな」
漆原教授「ごほっ、ごほっ」
公輝  「風邪ですか?」
 
 

4.究極のクジラ

山岡士郎 「『ジョナサンと宇宙クジラ』『銀河ネットワークで歌を歌ったクジラ』『海底牧場』『へびつかい座ホットライン』そして、『ジャンクマン5』……!」
変な外人 「でも、クジラ小説禁止は世界の趨勢なんですよ」
山岡士郎 「クジラはSF伝統の心なんだ! 文化なんだよ!!」
 
 

5.ナマケモノが見てた

ヤギ先生 「今日は、少女と猫について授業をします」
コアラ  「何で少女なんですかぁ?」
ゾウ   「中年のやらしさがにじみ出とるぞ」
ヤギ先生 「やかましいっ。古今東西、少女と猫とは共通したイメージを持っているものなんだっ」
ジョセフィーヌ「先生、少女とイボイノシシにも共通点が……」
コアラ  「中年の夢をこわすんじゃないっ」
ヤギ先生 「おまえ中年にかこつけて自分の夢なんじゃねーのか」
ク・メル 「まあ。わたしってそんな風に思われてるの?」
リッキイ 「男の人ってばかみたい」
ピート  「にゃー」
ヤギ先生 「あ……いや、そういう訳では……」
天使猫  「そういう気持ち悪い見方はやめてくれ」
アプロ  「賛成だ」
オルオラネ「猫好きの爺いもおるでな」
ゾウ   「おっさん猫と×××やってんの」
ヤギ先生 「こら、下品なことを聞くな、デブ」
オルオラネ「まあ怒らんでくれ」
ヤギ先生 「いや、キャットなりやすい性格で……」
コアラ  「ギャフン」
ゾウ   「つまんねーぞ」
ピート  「にやー」
 
 

6.ウルフガイ

 別に千代の富士のことではない。
 
 

7.プーさん2

 「ねえ、プー」と、ぼくはいった。「動物SFっていったい何だったんだろう。SFの枠のなかからはわからないのかもしれないね。ジャンル外にはどんなものがあるんだろう……」

  ロン先生の虫眼鏡   光瀬 龍
  はみだし生物学    小松左京
  海からきたチフス   畑 正憲
  地上から消えた動物  ロバート・シルヴァーバーグ
  鼻行類        ハラルト・シュテンプケ
  幻獣図鑑       ホルヘ・ルイス・ボルヘス
  虫づくし・鳥づくし  別役 実
  ぐろぐろ動物ランド  吾妻ひでお
 
 

8.クァールの二クキュウを見にいく2

   (ぷよぷよぶよ)
 
 

9.この恐ろしい事実

 本稿では、ブリオン・ジサンの「切りつなぎ手法」および、その延長線上にあるウィリアム・バロウズの「畳み込み手法」を用いた――。したがって本稿は、過去および現在の多くの作家・漫画家たちの合成物である――。