猫のこと その2

Koide  


 てなわけで、ウチにやってきた猫。飼い主もさる事ながら、その知り合いが悪かった。特に、同じ下宿のYさん。最初に会ったとき、Yさんはいきなり猫の前足を握ると、左右に動かした。猫は、おぼつかない足取りでそれについて行く。「ダンス」Yさんは一言、そう言った。
 他にも「猫背治しちゃる」と、背骨を無理矢理伸ばす、などなど書ききれないほどの“ギャクタイ”をYさんは繰り返します。でも、「食うか」と言って、ハシにつまんだワカサギのフライを食べさせてやるYさんの姿は、愛情に満ちていて、見ている者をなごませる物がありました。