県民企業常任委員会(平成15年6月)
〇 NPOについて  2003年7月3日(木)

小川委員

NPOについては、知事所信表明においても、NPOやボランティアが多発されており、日常報道でもNPOのことを聞くことが多くなっている。
私の暮らしている地域では、NPOといっても何だかよくわからないことも一方である。私も介護や障害児などのNPOに関わっており、立ち上げた経験もあり、NPOについては考えを持っている。NPOとは何なのかということで、伺う。
県内のNPO法人数については、認証を出しているので分かっているが、NPO法人でなく、NPOとして活動しているグループは、5,000程ということだが、これは正確に把握しているのか。

県民総務室長

県内のNPOのグループの数だが、実態すべてを調べることはできておらず、現在、県民活動サポートセンターの方で、インターネット等を使って調べた数字が5,200程度ということである。

小川委員

ボランティア活動的に行っていることを踏まえれば、かなりの数と思う。横浜方面は多いと聞いているが、そうしたNPOグループの地域性の特徴はつかんでいるのか。

県民総務室長


NPOグループということでは、数が5,200程度ということであるが、その地域分布については、データはない。従って、NPO法人の数677で言うと、かなり傾向はある。
一応順位的にはやはり、横浜市が1番ということで、次に川崎市、藤沢市、横須賀市、鎌倉市、相模原市、こういうような順位になっている。一応件数が少ないので、あまり正確なことではないと思うが、1万人あたりのNPO法人の数ということで、分析したものがあり、それによると、湘南地域が1万人あたりの法人数でいうと、かなり順位が高くなっており、そういう分析をすると、1位が鎌倉市、2位が葉山町、3位が松田町であるが、この辺は認証数が2しかないので、そういうことであるが、あと、逗子市や藤沢市、この辺が5位とか6位に入っているという状況である。

小川委員

いろいろ地域性があるが、NPOに対して取り組んできた中で、国の方でNPO法が改正された。どういう改正内容であったのか。

県民総務室長

特定非営利活動促進法の改正があり、今年の5月1日から施行されている。内容的には大きく3つあって、一つは特定非営利活動の種類の追加ということであり、時代がかなり動いているので、それに対応するということで、今までの12分野、こちらの活動の種類が規定されであったが、それに5つ加わって、17分野になったということが一つである。それからもう一つは、設立認証申請、これを簡素化しようということで、これまで16種類申請書類があったわけだが、これを11種類としたというのが2点目である。それから3点目として、暴力団等の排除を強化するということで、NPO法人の要件に抵触する暴力団の範囲を拡大したということである。大きな改正は、この3点である。

小川委員・

申請書類が少なくなったことは大変ありがたい。活動の種類の追加で12が17になったが、17になる以前から、今回増えた5つに類する分野についても活動が行わ\れていた。それまでは無理矢理その目的に合わせたと思うが、今までは新たな5分野での法人取得はなかったのか。それが今回の改正によって、法人の目的をより明確にすることができるようになったものと理解しているが、こうした取組みはなかったのか。

県民総務室長


NPOの活動の目的は、定款に書いてあるが、その内容は1種類というより、何種類かあるものであり、今まで12分野あったので、そちらの方に、例えば、今回情報化社会の発展を図る活動であるとか、科学技術の振興を図る活動、こういうものが入っているが、いろいろまた読み方によって、ある程度幅があるので、そういう形で、申請は出していたものと思っている。

小川委員

より明確になった、わかりやすくなったと思うが、今までに、かながわボランタリー活動推進基金21や県民活動サポートセンターの設置など、神奈川県では環境整備に先進的に努めてきたと思うが、他の都道府県と比べて進展具合はどうか。

県民総務室長

ボランタリー団体への支援ということでは、本県ではかなり先進的な活動をやったと。例えば、かながわ県民活動サポートセンターの設置についても、全国的に一番早い時期に作ったということであるし、かながわボランタリ一活動推進基金21、これについても基金の財産、基金の額を見ても、かなり多額の方であろうということで、大変カを入れてきたというふうに思っている。

小川委員

既にかなり、今までNPO活動に関して環境整備をやってきたと認識している。ほとんど日本一に近いくらいに。そういう認識でよろしいか。

県民総務室長

県として、重点施策として位置づけて推進してきたというふうに思っている。

小川委員

法人格は、NPOのグループに利益があれば取得する。むしろ、ボランティアやNGOに関わっている人たちに聞くところによると、自分たちはNPOとは違うという意識を持っている。NPOは無償ではなく、収益事業も可能である。ボランティアは無償性というところがある。NPO法人については、いわゆる会社法人と同じようなもので、ただ、出資を行わないかわりに、多数の会員から寄付等を受ける。目的は公益としても、そういう感覚のものであるとNPOを考えれば一般の人も理解しやすいと思うが、この認識についてはどうか。

県民総務室長

私ども、ボランタリー団体ということで、不特定かつ多数のものの利益の増進に寄与することを目的とする非営利で、公益的活動をする団体であると、こういうふうに定義付けているので、今、委員の言われたことはそういうことである。

小川委負

県民部長はいかがか。

県民部長

大変明快な説明であり、そのとおりである。

小川委員

今の認識をもとに、そういうNPO法人の実態からして、寄付を個人や法人から会員としてもらっているが、企業の税務上の扱いで市民の中で誤解がある。ここで明確に区分して、認定NPO法人が別にあって、全国で14、神奈川県ではない。認定NPO法人について、説明してほしい。

県民総務室長


認定NPO法人であるが、これは国税庁が認定するNPO法人であり、その認定を受けるための要件というめは、パブリックサポートテストなど、いろいろな要件があり、かなり厳しい要件であって、今全国的に14あると、こういう状況のものである。

小川委員

認定NPO法人は、収益事業はだめだ。実績、経験があって、認定を受けると企業や個人が寄付すると税法上の優遇が受けられる。神奈川県では1件もない。一方、認定がなくても、企業が寄付した場合には、経費とすることができる。NPO法人には寄付しやすいという背景もあって、NPO法人を取ろうかというところもあると思うが、いかがか。

県民総務室長

まず、県が認証している特定非営利活動法人、これについても普通法人に比べて、税の優遇というのがある。特に、認定NPO法人、こちらの方は、さらに税の優遇制度があるので、やはり活動する上で、そういう意味で法人格を取るというのはあると思う。

小川委員

NPO法人格をとるのは、法人格があったほうがより活動しやすいからであり、そういう人は手続きをする。その場合、NPO法に則っている必要はあるが、NPO法人は収益事業もできるが、なかなか理解されていない。何でもNPOであればいいんだという誤った感覚が一般にあるように感じる。お墨付きがあると思われているのではないか。NPO法人から資金を巻き上げられたなどの事件もある。県にはどのような苦情・相談が寄せられているか。

県民総務室長


私どもの方に、相談というか、苦情というか、7件ほど来ている。その内容は、例えば、内部の間題になると思うが、総会開催や役員選任等の法人運営について適正に行われていないと、そういう話しであるとか、あと、法人の従事者が業務上横領したということで、警察に被害状況を提出したという話が来ている。

小川委員

内部的なものだけでなく、報道もされている。名をかたっているケースもある。平成12年の内閣府認証法人の事件は、信用保証協会の口利き料が不当として役員が5〜6人逮捕されたもので、支部が横浜にあったので、神奈川でもそういう団体があるのだという誤解が生じた。しかし、他の役員がおり、団体として継続していて、国からの認証取消がされていない。その状況はどうか。

県民総務室長

平成12年のこの団体の件だが、これは立件された事件が、この法人設立以前の任意団体のときの行為であったということと、あと、既に神奈川の事務所が廃止されたこと、担当理事も辞めているということで、法人の活動として、監督できる対象ではないと、国の方からはそういう形で聞いている。

小川委員

もう一度理由のところをお願いする。

県民総務室長

この事件の関係は、法人が設立される前の時点の行為であったということと、あと、該当する理事ももう辞めていると。こういうことで、法人の活動として、その前の事件であるので、監督できる対象ではないというふうに国の方ではそういう裁量をしたというふうに聞いている。

小川委員

理由は分かるがこれでよいのか。そんな団体が継続していること自体に問題があると思う。県民をだます。NPOへの県民の理解度の低さを利用しているのもあると思う。NPO法人であれぱいいものだ、内閣総理大巨名や知事名で、まるでお塁付きをもらったという団体や、県民が誤解することを危慎している。NPO法人の認証の問題であると思うが、県の担当者からも同様の懸念を抱いていると聞いている。NPO法人は事務的手続きのみを経て認証されている、お塁付きではないのだという正確な認識を県民に伝えるのが大事と思うが。

県民総務室長

特定非営利活動法人の設立の趣旨であるが、なかなか法人格を取るというのは、今までだと公益法人というのがあるが、なかなか難しいという中で、NPO活動をするにはやはり法律の権利義務関係、こういうものを策定することが要求されているということで、書類を出して、形式を整えて、それを審査して認証していくと、そういう趣旨であるので、行政ががっちり行政指導するような、そういうことはなくて、法的な要件が揃っていれば認証していくと、こういう制度であるので、私ども、そういう悪意のことで申請をしてくるというものはないと思っているが、そういうものもあるというのもあり得るので、やはり法律の趣旨等について、県民に広く周知していかなければならないと思っている。

(休憩)

小川委員

再度、先ほどの答弁をお願いする。

県民総務室長

特定非営利活動促進法に基づいて、認証を受ける法人については、私どもとしては、そういう活動している団体等が法人格を取りやすいという形で法ができており、認証する方としても、法に定められた様式等に基づいてきちっとした形で出ていれば、それはチェックをして誌めていくと、そういう趣旨なので、私どもとしてはそういう形で、公益的な活動をしている法人が申請を出してきているというふうに思っているが、中には悪用するというような法人もある、ないとは言えないと思うので、そういう法の趣旨、こういうものについて、県民の皆様にいろいろな広報媒体等を通じて、周知をしていきたいというふうに思っている。

小川委員

NPO活動は素晴らしいと思うが、法施行から時間もまだたっていないので、県民の理解が行き届いていない。川崎市など、法人格を取得していれば公的な土地を賃したり、一緒に仕事ができるが、法人格がないと難しいという発言を聞いたことがあり、そういう認識が間違っているのではないかと思っている。法人格の取得は、NPOを運営されている方の自発的なものである。活動歴が長いところでは、法人格を取得することに伴う煩わしさをいうグループもある。ボランタリー基金21も対象がNPO法人だけでなくて、個人や任意団体も対象にしている。岡崎前知事の見識が生かされて、私どもも評価している。それにもかかわらず、NPO法人数を目本一にとマニフェストにあるのは納得できない。数については、我々も努力してみてきている。それ以上何をしようというのか。今までの私たちの努力を全然知らないで、日本一にしますなんて簡単に言うようなものではないと思う。NPOでもいかがわしいグループの実態もある。警戒心もあるので、国も今回の改正で暴力団の排除を言っている。よく知事に対して、NPO法人数日本一を目指すという問題ではないと、NPOが自発的に、法人格を取得する人には取得するように、十分に環境整備してあげるものだと、そういうことを言っていただかないと、NPOに対する行政は間違うと思う。まして、NPO自体の未熟度、まだまだ指摘されているところが多いわけで、こういうところの認識はいかがか。

県民総務室長

法人格を取る、取らないというのは、団体の主体的な考えによるべきものだというふうには考えている。ただ、法人格を取ることにより、法律上の権利義務の主体となれるということもあり、またこの法人格をとるためには、10人以上の構成員がいるとか、一定の役員、こういうものを置かなければいけないとか、こういうものがあるので、やはり敢ることによって、組織基盤これは確立されてくるのではないかと考えている。そういう活動が法人格を取ることによって、継続的に、安定的に行われるというメリットもあるので、NPOが法人化されて、県民の福祉のためにいろいろ施策を活用していただけるというふうに考えている。

小川委員

今まで私が話してきた意味を全然理解していない答えだと思う。NPOは素晴らしい、法人格を取得する意味も理解している。言っていることはよく分かるが、行政があおって法人格を取らせるというものではないでしょ、ということを申し上げている。

山本次長

今、法人格を取るメリットについてお答えしたところで、私どもとしては、もともとNPO法の通旨というのが、住民の方の自主的、自発的な活動を促進するための方法の一つということで法が制定されたと、法の趣旨はそういうことだと。要は、住民の方の様々な広い意味でのボランタリー活動ということになるのかもしれないが、そういう活動が一層促進される、そういうことの一つの手段として、法人格のメリツトが今申し上げたようにあるわけで、そういう意味で出来たと。NPO法人日本一というお話しだが、メリットを生かしながら、住民の方が自主的に活動のためにメリツトがあるという目的で、どんどん増えていくことは当然、活動を活発にやって、県民の福祉向上にもつながるというふうに、我々としてはそういうふうに受け止めているので、当然認証数も適切な意味で増えていくということは、大切なことであるし、それに伴って全体のボランタリー活動、法人じやないNPO活動等も活発になっていく、それが法の趣旨だというふうに受けとめているところである。

小川委員

そのとおりで、それは結果論であって、数を目指すものではないではないか、それを申し上げている。

舘盛委員

NPO全国トップクラスというのは、知事のマニフェストでは数を比較しているが、それを担当部としては、数字を増やすための計画をつくっていこうとしているのか。

山本次長

もともとNPOの活動は、今言われたように、自主的、自発的に、県が関わって作り上げるとか、あるいは方針を作り上げるという性格のものではないというふうに思っている。要は、NPO法人のメリットの部分もあるので、認証を受けていない団体の方が、今は県民総務室が認証事務についての一本の窓口だが、認証を受けたい方に、認証事務が受けやすくなるような、窓口の問題であるとか、まだここは詰めているわけではないが、今後の検討課題として、窓口の開設場所の問題、それからパンフレツトの問題だとか、受けやすいしくみを作っていく、そういうことは検討していく必要があるだろうとそんなふうに思っている。

小川委員

それは、今まで我々が作ってきた施策の一環であり、単に相談が多い実情等への対応にすぎない。「数を目本一へ」の施策をするのかどうかを知りたい。これからの時代の流れで発生することもあるとは思うが、もう十分にやってきているのではないか。

山本次長

先程は施策の説明をしたが、NPOに関わる施策については、ボランタリー基金を含めて、かなりの施策を十分やってきているという、県としての事実は当然ある。数の問題については、働きかけて数をどうするのだ、これはNPO法の趣旨から言って、要は自主的、自発的であるから、答弁になるかどうかわからないが、先程来申し上げているように、メリットもあるので、NPOの方で受けたい方がたくさんいるとすれば、それは多くなっていくということは、当然、構わないことであり、むしろメリツトも含めて活動が活発になることはいいことだというふうに、答えになっていないかもしれないが、事務局として受けとめている。

舘盛委員

数で全国一を目指すとなると、改正された法律のように、良くない団体も数に押されて出てくると思う。今までも数の問題ではなかったし、これからも数で押していこうという政策はなさらない方がいいと思うが、いかがか。

山本次長

一つ、NPO法というのは、要件さえ揃えば、自主的なものが増えて、繰り返して言わないが、ただ一つだけ、法人格を取ると、3ケ月以内に事業報告を県の方に提出すると、それでどこまでのチェックができるかという問題はもちろん、法の趣旨の限界もあるが、ただ我々も先程7件のトラブルの話も報告させていただいているので、できる範囲での、限界はあるけれども、チェックはかけていきたいとともに、できるだけきちっとした情報、集められる情報は集めて、それから県民の方に先生の方からお話しのあったNPOの趣旨等についても広報する、両面で、そういう法人を認証しないと、法の限界はあるけれども、できる範囲でやっていきたいと思っている。

小川委員

NPOについて、マニフェストは間違っていると思う。数を目標にするものでは決してない。行政が関わると、NPOの本来の良さがなくなる可能性大である。基金制度創設でも注意していた点である。マニフェストのNPOの部分はよく考えて、慎重に議論して、考え違いですよと、よく説得してほしいと思っているが、いかがか。

県民部長

マニフェストでは、数値目標を出すというのが大きな目標なので、数を全国トップレベル、日本一と出しているものと私は理解している。ただ、当然のこととして、その背景には目指すべき政策目標というのが、当然あるべきであろう。その部分については、今後私どもも十分検討を加え、肉付けをし、あるいは方向をさらに明確にしていく必要があるだろうと思っている。とりわけ、これからの県政を考えると、行政の取組み、これはどうしても大多数の皆様のご意向を踏まえていくということにならざるを得ない要素もあるし、また、営利企業の皆様方におかれては、儲からない仕事はやらないという要素はある。しかし、マイノリティをはじめとする隙間のところ、実は地域地域てば、かなり細かい、対象は10人20人、しかし誰かがやらなければいけない、こういった事業は育たない。今後さらにそういった部分は広がっていくだろうと、そういうのを埋めるのはNPOであってほしいな、という気持ちが我々にもある。そういうことを今後施策として、取組みを進めていくその結果として、NPOの数が増えてくる、そういうふうになるように私どもこれから努めていきたいと、かように思っている。

小川委員

今の答えでは納得できない。NPOを理解している人であれば、数値目標に入れるべきものでない。NPO数をマニフェストに入れること自体が間違っていると思う。NPOが行攻をサポートする、パートナーシップが必要であることは承知している。そういうNPOが増えていくことは期待もしている。しかし、NPO法人を増やすというのとは別。5,200のうち、法人は1,000に満たない。NPO法人数を目本一にする政策を上げたことが間違っている。

県民部長


マニフェストそのものが選挙の際の、県民の皆様に対する一種の公約である。これを今後、県の施策としては、当然議会の皆様方のご意見を伺いながら、さらには先程も申し上げたような、今後の政策目標を路まえた肉付け等をしたり、政策化ということを、それぞれやっていきたい。その過程で皆様方にご相談させていただいて、単なる数値目標とならない形にしていかなければならない、かように考えているところである。

小川委員

今の答弁で50%納得した。これからNPO行政が間違った方向に行かないよう、よく知事にレクチュアしていただきたい。このように要望して、NPOの問題は、質問を終わりにする。

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