県民企業常任委員会(平成15年6月)
トリクロロレチレンについて   平成15年7月3日(木)

質問者 小川委員(自民)


〇 6月9日に環境農政部が取りまとめた「相模湖・津久井湖のトリクロロエチレン汚染事故」について記者発表がされ、企業庁からも記者発表資料をいただいた。県営水道は、県民に安全で良質な水を安定的に供給することが使命でありますので、今回の問題に係る水道水質について何点かお伺いしたい。まず、トリクロロエチレンはどのような物質で、人体への影響はあるのか。

【浄水課長】

○トリクロロエチレンは、自然界には存在しない揮発性の有機塩素系化学物質でございます。常温では、無色の液体で蒸発しやすく、いろいろな有機物質を溶かす力が強いために、機械の部品、金属製品などの洗浄用溶剤として広く使われております。工場や事業所などで使用されております。
このトリクロロエチレンは、「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律」により、継続的に摂取しますと人の健康を損なう恐れがある第2種特定化学物質に指定されております。また、「水質汚濁防止法」に基づき、有害物質に指定され、排水基準が定められておりますごまた、人体への影響でございますが、体内に蓄積することはないものの、排泄するのに時間がかかりまして、肝臓や腎臓に障害を及ぽすとされ、動物実験では、がんを引き起こす恐れのある物質ということとされております。
なお、水質基準ですが環境基準と同じ値でございまして1リットルあたりの水の中に0.03mg以下と定められております。

小川委員(自民)

○恐ろしい物質であることは、改めて認識した。6月9日に記者発表された時の情報(記者発表資料)では「6月6日に水道事業者から連絡があり」等の記載がありましたが、その経緯を伺いたい。

【浄水課長】

〇6月6日金曜日11時20分頃、川崎市水道局から相模湖系の原水にトリクロロエチレンが検出されたとの第一報が私ども浄水課に入りました。
このため、相模湖を水源とする谷ケ原浄水場にすぐ連絡をいたしまして、関係する水道事業者の浄水場と連絡をとりながら慎重に推移を見守っておりました。そして6月7日土曜日の19時30分に1リットル中5mgの粉末活性炭の注入を開始しております。
この粉末活性炭を注入しました理由でございますが、その時点での判断として汚染原因の特定が出来なかったこと、原水中のトリクロロエチレン濃度の推移が横ぱい傾向であったこと、またトリクロロエチレンは、比重が約1.5と重たいため、高濃度のものが相模湖・津久井湖両湖に存在する可能性があったこと等で、念のため粉末活性炭を注入するということになりました。
そして、6月8日日曜日には粉未活性炭注入後の原水の濃度が1リッ:トル中0.0026mgと、6月6日金曜日に採水した原水1リットル中0.0039mgと比較しまして減少しておりましたが、活性炭の注入は続けておりました。
その後、他の事業者と情報交換をし、状況を確認しながら、6月12日木曜日13時55分、粉末活性炭の注入を停止いたしました。
その理由でございますが、事故発生以来、各水道事業者や大気水質課と共同して行った検査の結果、相模湖のトりクロロエチレン濃度が確実に低下していることによるものでございます。
先ほどお話ししました6月6日金曜日に採水した原水1リットル中0.0039mgが0.0014mgまで6月12日9時の時点で低下していたことから、粉末活性炭の注入を停止しました。
なお、その後の水質検査ですが、6月末まで相模湖の湖水及び下流の弁天橋付近を週3回、関連する水道事業者と協同して行っております。また、谷ケ原浄水場におきましては、原水及び浄水処理を行った後の浄水を週1回継続して行いました。
7月に入りましても、頻度は週1回に減りましたが、関係します県、横浜、川崎、東京都と共同監視を続けるという予定であります。

小川委員(自民)

○川崎市から連絡があったというが、県では見つからなかったのか。

【浄水課長】

○このトリクロロエチレンの検査につきましては概ね月1回と定められておりまして、県水道局で行いました5月26日の検査の際には検出されていませんでした。その後、その他の事業者でも検査を行っており、私どもに連絡がありましたのが、6月6日ということでございます。

小川委員(自民)

○事前に話を伺ったところによると、それぞれの事業体が別々に検査し、その情報をお互いに連携を取り合ったということだが、今回は、トリクロロエチレンがしみ出した後、川崎から連絡があったということで、常々他の水道局と連携を取り合っているのか。

【浄水課長】

○「相模川・酒匂川水質協議会」というものを組織しており、神奈川県、横浜市、川崎市、横須賀市の各水道事業者と神奈川県内広域水道企業団とで構成しておりまして、今まではトリクロロエチレンに関しましては、連携しておらずバラバラに検査しておりましたが、このことを契機として連携して検査していきたいと考えております

小川委員(自民)

○是非、そのようにしてもらいたい。検査体制は、これから先どうするのか。

【浄水課長】

〇7月一杯は週1回の検査協力が出来る体制をつくっているが、今後とも各事業者で効率良い検査体制にしたいと考えております。

小川委員(自民)

○ところで、トリクロロエチレンは、どこから発生したのか。また、どこに原因があるのか。

【浄水課長】

○残念なのですが、環境農政部大気水質課、山梨県と共同で調査をやっていますが、原因は特定されておりません。もともと地下水汚染が多いのですが、今回は、相模湖の上流から相当量が流れてきたと推察しております。原因は分かっておりません。

小川委員(自民)

○山梨からということで良いか。

【浄水課長】

○そのとおりです。もう少し詳しくいうと、環境農政部や山梨県の調査によりますと、相模湖上流、上野原町との県境に境川があり、合流点の少し上流のところで検出されていると聞いております。

小川委員(自民)

○そこまで分かっていて原因が特定されないのは何かあるのか。

【浄水課長】

○申しあげたとおり、表流水で検出されることはないが、地下水では、工場等で使っていたものが検出されるなど地下水汚染は多い。先ほど検出されたと申し上げました、さらに上流の側溝等に流入している湧水にもトリクロロエチレンが、ごくわずかですが検出されたことから、大気水質課は、特定できないと言っております。

小川委員(自民)

○山梨とは連携しているのか。

【浄水課長】

○大気水質課と山梨県と合同で立入調査も何社か行うとともに、事業所等の土壌も検査を行っているとのことです。

小川委員(自民)

○今、伺ったように、原因が分からないほど怖いものはない。山梨と連絡を緊密にし原因を特定するということは出来ないのか。

【浄水課長】

〇大気水質課では山梨県と緊密に連携を取っていると聞いております。また、6月9日に発足いたしました「相模湖・津久井湖トリクロロエチレン汚染対策会議」に私も委員になっており検討しておりますが、残念ながら原因を特定するに至っておりません。

関連質問 榎本議員(自民)

○トリクロロエチレンは、人に対し発ガン性があるということだが、今回の速報値(0.0056mg/L)の6倍の濃度の水を50kgの人が1日2リットル、70年間飲み続けても人体に影響がないというのが、0.03mg/Lという水質基準値である。もし、発ガン性物質と言うことで極めて薄い濃度なのに、これだけ騒いでいるなら、浄水場が塩素滅菌するときに発生するトリハロメタンの方が問題である。この原因は、山が荒れていて、山から流出する水により川や湖沼が汚れ、富栄養化になり、窒素・リンの数値が上がる。浄水場の出口5km、10km、15kmのところでトリハロメタンの検査は、どのくらいやっているのか。

【浄水課長】

○トリハロメタンは、4種類ございますけれども、それぞれ月1回検査しております。

榎本議員(自民)

○トリクロロエチレンで騒ぐなら、トリハロメタンは毎日やらなければいけない。
トリクロロエチレンは不心得な者がいれば出るが、トリハロメタンは県民に、そのメカニズムを理解してもらい、常に総合的な対策をとらなければ数値を下げることはできない。そして、それを公表しなければいけないと思うがどうか。

【浄水課長】

○浄水場で月1回の検査を行い、ホームページで公表しております。また、先の方の給水栓についても測定数値についてホームページで公表しております。

榎本議員(自民)

○月1回やっているのは分かるが、トリハロメタンは、県民全体で取り組む大きな課題であるので、いろいろな対策を長期間にわたってやっていくことを県民にもきちっと公表しなければいけない、ということを要望しておく。

【飯岡技監】

○委員おっしやるとおり、トリハロメタンについては、発カン性があるということであり、数値的には基準値以内でありますが、距離が遠くなればなるほど、接触時間が長くなればなるほど、そして夏のように水温が高くなれぱなるほど高い数値が出るのは事実でございます。
そういう中で水道局といたしましても、従来から高度浄水処理の実験など行いまして、データの蓄積を行っているところであります。
そういう意味では、相模川あるいは酒匂川という共通の水源を有する他の水道事業者とも足並みを揃えることも将来に向かってはあるのかもしれません。
この問題は、大きな課題と言うことで重く受け止めておるところでございます。

小川委員(自民)

○今の提案も含め、この問題を単に一過性の問題と受け止めず、今後とも県営水道の安全のため努力していただきたい。
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