平成18年8月17日  県民企業常任委員会     指定管理の現状について

小川委員

 また、今回も一問入魂でやらせていただきますので、滞りのない御答弁をあらかじめ御期待申し上げて質問に入りたいと思います。

 私は、指定管理者の現状について質問したいと思っておるんですが、議会休会中も含め、前に所属していた厚生常任委員会のときから指定管理を受けて、今、運営している施設は七つから八つ自ら足を運んで、いろいろお話を伺ってきております。この県民企業常任委員会に移ってからも、四つほどお話を伺ってきておりますが、ほかの指定管理者が運営している施設とも比べながら、この県民企業の所管のものも見てきたわけなんですけれども、足並みはそろっていないなという感じは感想として持ちました。それぞれまだなれていないのかなとか、本当のところが伝わっていないのかなとか、現場でも指摘はしてきておりますけれども、青少年課所管と国際交流課所管についてはまたの機会に議論を譲ることにして、今日は文化課所管の指定管理についてのみ伺いたいと思っております。

 まず、文学振興会から伺いたいと思っておりますけれども、この文学振興会が指定管理運営している神奈川県の近代文学館、これについて指定管理に移行したメリットと現状について、どういうふうに所管から把握されているか、伺いたいと思います。

二見文化課長

 文学振興会につきましては、メリットとして展覧会の展示について、非常に意識が変わったということが大きなメリットだと思っております。今まで神奈川県ゆかりということとか、学術的なことを中心に展示をやろうということでしたが、やはり指定管理者に移行するときのプロポーザル等を踏まえまして、もっと県民に分かりやすいものを提供していかなければいけないんだという意見を、多くの方からいただいたということがありまして、今はそういった意識を持って、緊張感を持って運営に当たっていると。理事長以下も、そういうふうな意識改革が行われたような力強い発言がありましたんで、今後そういうことがあらわれてくるのではないかと期待をしているところです。

小川委員

 課長も私の訪問に同行していただいて、そのお話をじかに聞いていられるわけですけれども、この文学振興会については、県立近代文学館があとからついてきたというか、文学振興会ありきで、その集めた様々な価値のある資料を保管するために、県立近代文学館をつくったという過去の経緯が、深いつながりがあるわけですよね。そういう文学振興会と県立近代文学館という、この二つの関係を深く考慮したのかしなかったのか、公募で指定管理にしたわけですけれども、結果、文学振興会が指定を受けたと。これについては、公募じゃなくてもいいんじゃないかというような両者の深い関係を考えて、危ぶむ声もあると私も聞いておりますが、この関係についてはどのようにお考えですか。

二見文化課長

 本県で指定管理者制度を導入するに当たって、一応全庁的な整理も行われておりました。中で、文化施設につきましては、やはり指定管理者制度は合うものなのかという議論が全国的に展開されておりました。それは効率化ということだけで文化を守れるのかとか、こういう議論が中心であります。

 翻って近代文学館と文学振興会を見てみますと、あそこは収蔵資料を守っていくものと集めること、それから展示をすることと、大きく二つの役割が分かれておりまして、資料を収集するという面で見ていきますと、やはり文学振興会という割とほかにそういう仕事ができる団体がないというふうな特殊性があります。それで、我々の方は近代文学館の指定管理者を、ほかに任せることができるのかという議論はしましたけれども、当時、全庁的な流れの中で指定管理者、民間の力を導入して効率的な運営をやっていくんだ、県民のためにサービスをアップするんだという、そちらの方の指定管理者の制度の意義の方に重きを置きまして、全庁の流れの中で指定管理者制度に踏み切ったと、こういう経緯でございます。

小川委員

 そういう経緯もあるようですけれども、それでもなおかついろいろ危ぶむ声も聞いていますが、私は一応公募でも一社しかなかったということもあって、ここの文学振興会が指定管理を受けて、この間伺ったことによって、理事長が事実は事実なんだから経営改善に努力をすると。そういう前向きな発言をされて、さすが批評家だなという気持ちはありましたけれども、非常に力強いお言葉として聞いてきたんです。が、まだまだ、過去の幻影を引きずっているというか、もうちょっと努力ができる、収入を上げていくことができるというような面もあるのではないかと。様々な貴重な資料を拝見させていただきながら、その道の研究者であれば、またそれぞれの作家のファンであれば、もっとそういうのを出してよという気持ちも持つような貴重なものがたくさんありましたので、活用方法は幾らでもあるんではないでしょうか。

 私も具体的にいろいろなことを理事長にお話ししましたら、元町と提携してやったらどうかとか、そういうふうなこともお話ししましたら、それも考えていますと、よく分かっていますと、努力はできるだけしますというお話でしたが、そういうことも含めて、担当所管の課長として彼らが抱えている、それから、こうあるべきではないかという課題について、今の段階ではどう思われていますか。

二見文化課長

 委員のお話にありましたように、やはり収入を得るもの、それから入館者を増やすものというものは、まだまだやることがたくさんあると思っております。特に収入を得るものという中では、100万点に及ぶ貴重な資料を持っておりますので、それをもとにしたグッズの販売等をやったらどうかというようなのが理事会の中でも出ておりまして、プロポーザルのときにもそういうふうなお話がありました。

 そこに、今まではちゅうちょして在庫を抱えたらたいへんだと、赤を出したらどうするんだと、こういう議論の中で踏み出しをしておらなかったわけですけれども、やはり観光地に近い文学館だということで、観光客とかが入ってくると、やっぱり記念品として買っていきたいという心理はあるわけですから、必ずグッズはもっと売れるだろうと、理事長もおっしゃっているとおりでありまして、そこに踏み出してもらいたいというふうな気持ちはございます。

 それから、先ほど言いましたように、一般の人がもう少し入るような展覧会をやっていただきたいとか、まだまだ取り組んでいただきたいようなことは満載だなというふうに思っています。意識の上では非常に変わったと、ここが違うところだと思っています。

小川委員

 県が予算を削減できたということもメリットの一つなんでしょうけれども、そういうふうに財団の姿勢が変化した、前向きになっているということは非常にいいことだと思うんですね。文学振興の枠の中にこもって、自分たちが研究してさえいればいいということでは宝の持ちぐされになるわけですし、多く保管している様々な資料を多くの県民の方々にお示しをして、そしてまた、広報課などともよく連携をとっていただいて、宣伝ですかね、そういうふうなこともやっていただきたいなと私も思いました。お土産では下さらなかったけれども、1万円という定価がついている有名な作家の自筆原稿のコピーなんかも置いてあって、非常に私自身も興味を引かれましたので、こういう貴重な財産というか資産を当初の県が県立近代文学館をつくったときの初心を忘れずに、前向きに活用を進めていっていただけたらなというふうに深く思いました。課長もよく振興会と意見交換を重ねていただいて、よりよい指定管理になるように、努力をしていっていただきたいと思います。

 次に、芸術文化財団について伺いたいと思います。

 これも指定管理で三つのホールを運営しているわけですけれども、これについてもメリットと現状について伺いたいと思います。

二見文化課長

 芸術文化財団につきましては、まずは経費の面で10.3%の削減を行ったということで、これは目に見える効果が一つあったのかなと思うんです。事業の面では引き続き、質の高いのを提供してくださっておりますので、変わったところというのはサービスの面かなと思っております。特に年末年始の休みに集中したわけですけれども、わずか6日間しかない年末年始の休みも、臨時的にお客さんの要望にこたえて営業していこうと、こういうお話を聞いてございます。これは今までになかったことでございますし、利用調整においてきめ細かな調整をして、最近利用者から感謝されているというふうな声も上がってきておりまして、この辺はサービスが着実に向上したところだなと、こんなように考えております。

小川委員

 今、くしくも課長の方から年末年始の営業についてお話がありましたけれども、私はここの指定管理の要綱が示されたときに、あれだけ大きい県民ホールがいい場所にある、そのロケーションを生かして年末年始が休みというのはおかしいんじゃないかと、そういう指摘もさせていただいたことがあるんですけれども、やはり先日伺ったところによると、12月29日は自主運営によるイベントで開館する予定だと、年末年始についてもいろいろ申し込みがあるということで、それも受ける可能性が高いというようなお話を伺ってきました。これに関しても様々ほかの部分にも努力を重ねて、我々としても議決をして指定管理をしていますから、私たちが見ていく義務もあるので、しっかりやってほしいということを申し上げましたら、緊張感を持って臨んでいくというお答えもありました。これについても、もっともっとしっかりと民間に負けないような運営をしていただきたいというふうに私も思っております。

 これは、結構いい方向に行っているんではないかなというふうに思ったわけなんですけれども、この二つに関しては事前にいろいろ伺っていた内容に比べて、また、他の指定管理の状況と比べても、非常に緊張感を持った対応をしているという点においていい印象を受けたので、こういういい状態になっているところを、少しでもおしりをひっぱたいていただいて、またもっといい状況にしていただきたいと、これは課長にお願いしておきます。

 その芸術文化財団で私が県立の新ホールについて水を向けたんですね。県立新ホールができた場合、まだ設計段階ではありますけれども、その運営についてどういうふうにしていくのか。もし指定管理ということになった場合、手を挙げる意欲はあるのかというふうに水を向けたところ、そういうチャンスがあるならば、是非手を挙げてみたいという前向きなこれもお話がありました。、しかし、今までのこの常任委員会の議論の内容を見てみますと、新ホールの運営形態について、運営はどういうふうにしていくのかということについては、まだふれられていかなかったように私は思っておりました。それについてどういうふうにするのかなと、今までも考えておりましたので、この機会に伺っておきたいと思いますが、オープン当初、またその先、同じようにしていくのか、また別々に段階を踏まえて移行していくのか、いろいろな考え方があろうかとは思いますけれども、今の段階で県立新ホールについてはどのようにお考えなっていらっしゃいますか、運営方法について。

二見文化課長

 新ホールの運営につきましては、現在、様々検討しているところでありますけれども、今議論にありましたような県が今持っている指定管理者の方向に照らしますと、当然、指定管理者が管理運営すべき施設であると考えております。ただ、様々なケースを検討していると今申し上げましたのは、特に21年度にオープンする予定でございますけれども、オープンした段階から指定管理者でできるのかどうかというところが、ちょっと特別な事情がございます。

 一つは、やはりNHKとの合築のビルでございますから、管理組合のようなものをつくって共同管理をしていく部分があるという、これが一つ特殊な部分かなと。それから、劇場で演じるものというのは、オープンしてすぐにできるものではなくて、2年ぐらい前から仕組んでおかないと、演じることができないというふうな性格のものでありまして、逆算すると、19年度ぐらいから運営の準備を始めなければいけないというふうな時期に差しかかりますけれども、そのときに指定管理者を前提にするなら、指定管理者の人が準備を始めるというのが順当な考え方でありまして、そうすると指定管理者の指定を19年度にしないといけないのかなということがございます。

 それに、指定管理者の指定にするには条例をつくったりとか、募集要項をつくったりとか、そういう作業も出てまいりますんで、果たしてそのような施設もまだ着工したばかりのような段階で、指定管理者の指定までできるのかなとか、いろいろなそういうことも検討しなければならないので、今、そのほかのようなケースを検討していると、こういう段階でございます。

小川委員

 指定管理の問題点というのはその選定の透明性、それが一番大きいんだと思うんですね。それで、オープンした途端にもう指定管理が決まっていて、その事前段階からというのも、なかなか私たちが外から見ていて分かりにくい、その透明性が本当に担保されているのかという点においては、疑問が出てきやすい部分もあるかとは思いますので、慎重に県立新ホールについてはやっていただきたいと思ってはいるんですね。

 その県立新ホールについても、いろいろなお考えが課長の頭の中、また当局ではせっかく新しくつくるホールですから、いろいろな思いがあるし、こうもしよう、ああもしようというところがあってつくっているんだと思いますが、今までも質疑はありましたけれども、どんなホールにしていきたいのかという、その意欲を再度確認をしておきたいと思います

二見文化課長

 一番強く思っておりますのは、今まで横浜にはそういった今つくっている創造型の劇場という、高機能な目で見るホールが少ないということで、皆さん、東京までミュ−ジカルとかを見に行かなければいけないのが神奈川県民でした。それをやはり横浜で見られるようにしていただきたいということが一つと、それから、中華街とか元町とかこの山下町のあたりで、地元ではにぎわいを求められておりますので、絶えずお客さんが集まるような演目でやっていただきたい。それから、スタジオ等も備えて、小劇場のような形でも使っていきたいと考えておりますので、ホールだけでなくて施設全体でNHKとも共同して、様々な催しがいつでもそこで行われていて、皆さんがそこでいつでも集って交流が行われてと、こういうふうなホールにしていきたい。それには柔軟な運営が必要でありますから、柔軟な考えを持った方が運営に当たっていただければなと、このように考えてございます。

小川委員

 柔軟な考えを持った団体が運営する、これは非常に難しい。また、今の段階ですから、そういう概念的な考え方なのかなというふうには思いますけれども、日本一のすばらしい県立新ホールにしていただきたいという思いも、せっかくあるものを売ってつくるホールでしたら、こういう機会はなかなか今の財政状況というか、県の流れではない大きなチャンスですから、それをよく生かしていただいて、どこからも高い評価をいただけるような、そういう形にしていただきたいと思っているんですが。

 そこでひとつ提案というか、ソフトについての問題ではないんですが、せんだっての6定で、課長が最後に外装についての質疑に関連した答弁できらきら光るような、そういうちょっと特殊な外観も考えているというような御答弁をされていましたけれども、そのきらきら光るで思いついたわけじゃないんですけれども、県の第三セクターの神奈川科学技術アカデミーで開発した、光触媒の外壁材というのが今日本で5,000棟ぐらいビルで使われている。みなとみらいの中でも新しい高層マンションの外壁材は、その光触媒の要するにセルフクリーニングのタイル材を使っている。そして、また新タイプの来年度から使用される新幹線車両の車体も、全部光触媒の塗料が使われていて、セルフクリーニングの機能を十分に生かした車体にすると。様々、神奈川県のKASTで生まれた光触媒が多く多用されているのに、他県でも静岡県とかつくばなんかでも公的場所に使用されてきているんですのに、神奈川県内で神奈川県の施設で光触媒を使っているというのがまだ一つもないんですよね。

 それで、せっかくの機会なので、神奈川県がお金を多額に出して育ててきたこの光触媒の機能を、この新しい新ホールの外壁材に是非使っていただきたい。そして、また内部でも消臭とか消菌というんですか滅菌というんですか、そういう機能がある光触媒ですから、金額等の問題は多少あるかもしれませんけれども、せっかくの機会なので、是非、神奈川で育てたものを神奈川でも地産地消と言っているじゃないですか。だから、神奈川でも使っていただいて、幅広く建物自体からアピールするぐらいの気持ちも、持っていただいてもいいんじゃいかなというふうにも私は感じているんですが、その辺についてはどうでしょうか。

二見文化課長

 光触媒を活用した製品につきましては、私どももそれを使えば清掃費が安く上がるなということはちょっと念頭にありまして、技術的に業者等に話を聞いたことはございます。それで、使えないかどうかは検討はしておりますけれども、ちょっと若干制約があるようでして、日光が当たることとか雨が十分当たること、それから、その雨水がさっと流れ落ちるように垂直の壁でなければならないとか、それから酸化チタンというものを焼きつけるそうなんですけれども、その酸化チタンを焼きつけるときに、つるつるしたものじゃないと焼きつけられないとか、こういった制約があるそうでございます。

 それで、今、金額的にもそれを焼きつけるに当たって、平米当たり9,000円ほど割高になりますよというふうなことで、7年間の清掃費で元が取れますよといったそれもあるんですけれども、初期投資として平米当たり9,000円かかるということがありますので、今、外観デザインをちょうど決めているところですんで、四つの条件を満たしたような場所があったら、そこのところにコストバランスを考えながら使っていきたいなとは考えています。今、どこどこに使うとは言えませんけれども、念頭に置いているということで御承知いただきたいと思います。

小川委員

 事前に御提案というか、こういうのはどうかしらと申し上げたら、一生懸命調べていただいたようでありがたいと思いますが、横の連絡というか連携というのが非常に大事な県の施策なんだと思うんですよね。是非、ガラスなんかも光触媒を使用したものがあるので、私はセールスマンじゃないし、お金ももらっていませんが、県で多額な400億円近いお金を投資してきたKASTが生んだこういう製品ですので、是非、そういう県がほかの方にアピールするという点でも、考慮に入れていただきたい、このように要望いたしまして、今日の予告の質問を終わります。ありがとうございました。