平成18年  6月4日 子ども・高齢者等特別委員会 児童虐待について

小川委員
 報告資料にあった幼児虐待事件の検証結果及び今後の対応について伺います。
 「施設入所児童の支援に関する検証委員会」が数回開かれている中で、この検証委員に事件に係わる報告をどの程度されましたか。
子ども家庭課長
 検証委員会の委員には、事件の経過、2月議会で御報告した検証すべき主な項目について説明を行い検証作業をお願いしております。検証の視点といたしましては、1点目としては一時帰宅の実施の判断、2点目としては一時帰宅の時期・期間、3点目は一時帰宅延長の判断、4点目は連絡がとれなくなった以降の対応、5点目は児童相談所における組織的な対応についてでございます。
小川委員
 検証の結果、チームアプローチ推進のための児童福祉士や児童心理士等を適正配置するなど児童相談所体制の充実・改善が必要との報告がされております。
この事件が起きたとき、17年度からですが、県の児童相談所だけでは児童虐待の相談が大変なことから、市町村でも児童虐待の相談を始めており、児童相談所の相談員は市町村の相談の内容にも関わっていたということは検証委員は御存じでしょうか。
子ども家庭課長
 児童相談所の相談状況や市町村の関わり方等についても、検証委員会の中で話として出ております。また、検証委員会は、児童相談の専門家にお集まりいただいておりますので、こういう状況もよく承知していると理解しております。
小川委員
 県議会の常任委員会や特別委員会で指摘されたことについては、この検証委員会委員は御存じでしょうか。
子ども家庭課長
 県議会2月定例会で報告した内容は検証委員会委員に報告させていただきましたので、その前提に立った審議・検証作業が行われたと認識しております。
小川委員
 常任委員会での審議の内容も御存じでしょうか。
子ども家庭課長
 細かい質疑の内容までは報告されていないと思います。ただ、検証委員会には事務局も入っておりますので、そういうことを聞かれれば答えていると思います。
小川委員
 検証そのものは非常に重要なことだとは思っておりますが、検証して最終報告が出ても、現場で働く方々が十分納得する内容でなければ、功を奏さないと思います。
 私は厚生労働常任委員会にいたとき、この事件が発生する以前に児童相談所を数箇所視察しており、厚木児童相談所にも行っております。そして、1月の厚生常任委員会において、児童相談に携わっている職員が1人で100件以上の案件を抱えて、しかも市町村の相談まで行っているとなると、非常に多忙になり、そんな中で事件が起きてはいけないと私は申し上げて、当局も見直したいと申しておりました。しかし、「はい」という返事はありましたが、既にこういう事件は進行していたわけです。私がそのときに心配して、予測としてそういうことがあるのではないですかと申し上げたにもかかわらず、軽く受け流され、この事件が死亡事件に発展してしまったわけです。事件が起きたとき、そういう状況が起きる可能性というのは、現場の職員はよく現場を知っていますから、多忙な中で起きてもしようがないくらいのことは、職員としては思っていないにしても、児童福祉士や児童心理士を増やしてもらいたいということは、当局に何年にもわたって言っていると思います。こんな事件を起こして、と上から言われても、現場の職員は腹にすんなり落ちないのではないかと心配しているのですが、その辺はどのようにお考えでしょうか。
子ども家庭課長
 児童相談所の児童福祉士は、表現は適切でないかもしれませんが、重たいものから軽いものまで、一人平均110件のケースを持っております。担当者はその当時、他に大変なケースも抱えている中で、このケースは養育ケースであって、虐待の可能性は少ないと思っていたわけでございます。そういう中で、不幸にしてこういう事件が起きてしまったということで、担当するケース数が多いということで、年々児童福祉士数は増やしている状況でございます。なるべく負担を少なくして、こういう事件が起こらないようにということで取り組んでいたわけでございますが、不幸にして起きてしまった。
 検証委員会の報告が出され、早速児童相談所の全職員に、初心に戻って業務に取り組んでいただくために、検証委員会委員長に、この6月に3回にわたって研修会を開催していただいております。
私どもとしても、この問題については真しに受け止め、職員の意識改革も行い、児童福祉審議会にも報告し、現在、児童相談所のあり方検討小委員会を設置して、人員の問題やソフトの問題等について検討していただき、体制の整備を図っていきたいと考えております。
小川委員
 タイムリーに動くというのが知事の方針ですが、平成18年度から児童相談所の児童福祉士数を増やすという予算を出していた矢先の事件だったわけです。
地域で活躍し、心を砕いて一生懸命働いている児童相談所の職員には、これからも良い仕事をしていただきたいと思いますから、当局の理解やフォローアップを十分にしていただくとともに、私たち議員の発言も真しに受け止めていただきたいと要望させていただき質問を終わります。