平成18年9定 10月3日開催  県民企業常任委員会

             水難事故について

小川委員

 今まで時間がなくて企業庁には大変失礼しておりまして、今日は質問が久しぶりにできるのでうれしく思っております。小川です。よろしくお願いします。

 質問が重なりますけれども、私が抱いた素朴な疑問が解決されないので、酒匂川の水難事故について伺いたいと思います。

 報告資料の中などでも数字が示されておりますが、河川水位に30分間で64センチメートルの水位上昇を観測したと書いてありますけれども、過去において、同様の上昇をしたことは何回ぐらいあるのでしょうか。

清水利水課長

 ヒラヤマの雨水観測地点におきまして30分間で64センチ以上上昇したケースにつきましては、平成13年度から平成17年度までの過去5箇年で見ますと9回ほどございました。

小川委員

 すみません。久しぶりの質問なので余りさっぱり答えないでいただきたいのですが。9回あったという、いついつどうで、いつぐらいの季節にあったとか、ちょっと細かく説明していただけませんか。

清水利水課長
 その中で、最高に水位が上昇しましたのは、平成15年6月に89センチというのがございます。また、80センチ以上上昇しましたのは2回、70センチ以上が3回、60センチ以上が4回という分析になっています。また、発生した時期につきましては、梅雨や台風など雨の多い6月から10月に発生しておるところでございます。

小川委員

 10月と今おっしゃいましたか。

清水利水課長

 6月から10月にということです。

小川委員

 今まで9回、89センチという水位上昇もあったと。しかし、そのときは今回のような事故にはなっていないわけですね。

清水利水課長

 おっしゃるとおり、今回のような水害事故は起こっておりません。

小川委員

 それは、今回のように下流域では雨が降っていなくて、上流域で雨が多量に地域限定的に降ったという今回の事件の特徴、それがあるから今回はこういう事件になったのであって、今まではどうして事故にならなかったのかなということ、推測の域で結構ですからお話しください。

清水利水課長

 今回の水難事故につきましては、短時間で局所的な雨によって増水したことで起きた事故だというふうに考えております。また、気象庁のレーダーの状況から、酒匂川の上流の狭い範囲での降雨ということでありまして、河川利用者としても頭上での大雨でなかったために、それほど差し迫った危機感がなかったのではないかと、そのように考えております。

小川委員

 その差し迫った危機感がなかったということが原因だと今おっしゃったわけですけれども、それをこれからみんなで、尊い命が奪われたということで、企業庁も参加して見ていくということですね。

 この記録は実際に水位が上昇している最中には、だれか把握していたのですか。

清水利水課長

 ダムにおきましては、下流における基準点の定められた水量の確保、そういう観点から、常時流量を監視しております。水位の変化につきましては、ダムからの洪水防止という観点からの放流、そういう放流量を増加させるようなことなど、必要に応じてダムが監視しているということでございますので。今回のケースでは、ダムの放流も行っておりませんという中で、各水利局において流量のみの監視をしておりました。そのため、今回のような水位上昇については事象が発生した時点での、何センチ水位が上昇したというようなことについては把握はしておりませんでした。

小川委員

 後でどういうふうに把握したんですか。

清水利水課長

 データ的には、15分ごとのデータが蓄積され管理しておりますので、その水位の15分ごとのデータを、引き算で何センチ上昇したかというものを後で確認しますという状況でございます。

小川委員

 後でというのはいつですか。

清水利水課長

 これは、水位が何センチぐらい何分で上昇したかという問い合わせ等に対して、計算して出したものでございます。

小川委員

 すみませんけれども、たびたび立たせるようで申し訳ないんだけれども、実際にこの数字、64センチという水位の上昇をいつ計算して、だれが出したのですか。

清水利水課長

 企業庁でこの実態の対応を開始したのは18時以降ということで、その中で情報提供等、管理事務所等にしてございます。その中で、実際に水位の上昇がどのくらいあるかというデータを把握させていただき、実際に何時何分というのはちょっと把握してございませんけれども、ダム管理事務所の方でそのデータを整理したものを確認したということです。

小川委員

 当日の18時以降に水位上昇を確認した。後ですよね、事件が起きてからね。何で今それを伺っているかというと、これからタイムリーに対応していくというふうにおっしゃっているわけだけれども、その水位の上昇というか、どういうふうに対応していくのか。実際に今までの説明では私が理解できないので、今回も水位の上昇は後から、18時以降にやっと計算して数字を引き算してわかったということですよね。そうすると、これからどういうふうに対応していくのか。こういう急な水位の上昇に対してね。それを聞きたいので今伺ったのですが。

 最後はその質問ですが、それに至るまでに、今まで警報放送を日曜祭日はされていた。それはクロクラ川の事件の後だった。今は、既に違う視点での警報を発令しているとおっしゃっていますよね。それはどういう基準で警報を発していらっしゃるのですか。

清水利水課長

 上流域において時間30ミリ以上の降雨、または水利局において30分30センチ以上の水位上昇があった場合等発生した場合には、利水課において注意喚起するということです。

小川委員

 それはもうやっていらっしゃる。土曜日曜、平日等でやっていらっしゃるということですか。

清水利水課長

 土日祭日関係なく、夜中は実施しておりませんけれども、昼間においては実施しております。

小川委員

 上流域の雨量と水位の上昇という2点において警報を発していらっしゃる。30分で30センチ以上という水位の上昇について、どういうふうに今感知していらっしゃるんですか。

清水利水課長

 現時点においては、30分30センチ以上変化した場合に、何らかの警報なりアピールが出るシステムになってございません。ですから、大気の気象状況、不安定ですとか注意報が出た、または雨が降りそうだというような場合には、雨の降り方を注意しながら、これは自分で引き算して何センチ上がった、何ミリ降ったというのを計算をして数字を出すというのが現状でございます。

小川委員

 大変なことだと思うのですけれども、それは一人が張りついてずっと何交代かで見ているわけですか、記録を。

清水利水課長

 データは15分に1回更新されますので、そのたびに全箇所の観測のデータをチェックするということになると思います。

小川委員

 今、警報装置がないとおっしゃっていましたよね。だから、これからの企業庁も参加してこういう事故がないようにという対応を組んでいくには、具体的に水位上昇を見るにしても、人の目で見ていくわけですよ、今は見ているわけですよね。非常に大変なことでもあるし、責任も重大だし、過ちがあるかもしれない。こういうことに対して、やはりもうちょっと科学的というか、機械的というか、間違いのないような対応の仕方というのが求められると思うのですけれども、それについてはどう考えていらっしゃいますか。

清水利水課長

 現在、川岸の雨量というのは変動性データでわかっているのですけれども、それも将来的には企業ダムの管理事務所でわかるようにというシステムを導入しようと今考えております。その中で、30分30センチ又は時間30ミリと、そういう雨量が計測された場合、何らかのアピールができるような、そんな仕組みをつくっていきたいというふうに考えております。

小川委員

 仕組みを考えていきたいというふうにおっしゃっていますけれども、今まで企業庁はこの事件については、全体として謝罪ということはなかったですね。それは、事故に遭った方の自己責任があるからと、我々はある意味関係ないからというか、責任がないからという立場で謝罪はされていなかった。それは法律的にも県の今までの質疑の中でも浮き彫りにされているように、それはいたし方ない部分があるかと思いますが。これからは人の大事な生命を守るために、自分たちもその一画に参画して、責任を負っていきますというアピールを今回出されたわけですよね。私はそういうふうに考えているのですが。

 そういうアピールを出されて、これから水位上昇についてもきめ細やかに監視していく、またそのシステムをつくっていくということなんですけれども、これから同じような事故が起こったら企業庁の責任を問われる立場になるわけですよ、今度ね。それに対して、これからシステムをつくっていきたいというふうにおっしゃっていますけれども、それは非常に急がれる、時間的にも急がれることだし緊急のことだと思うのですが、その辺の皆さんの置かれている立場への、重大な責任をこれから負っていくということに対しての心構え、それからどのぐらいに整備していくのか、お聞かせいただきたいと思います。

清水利水課長

 この整備につきましては、県土整備が今鋭意取り組んでいるところでございまして、できれば来年度のそういう時期、そういうシーズンになる前にそういうものを整備完了していただくように、うちの方からもお願いをしていこうと思います。今後とも、こういうことが起こった場合でも、適切な情報をいち早く河川利用者に伝達できるように心掛けていきたいというふうに考えております。

小川委員

 今のお言葉ね、企業庁長が答弁したそうに見ていらっしゃいますけれども、私、ちょっと遠慮しておきます。

 これからは責任を、本当に皆さんで連帯して負う立場になるということね。規則とか条例とか法律に明示されていなくても、自分たちが責任を負いますとはっきり明示されたわけですし、きちっと、川に親しみを持って遊びにやってくる方々が安心して、信頼感を持って川遊びができるよう、周辺の暮らしができるように頑張っていただきたいと思います。大変なことだと思いますけれども、是非頑張っていただきたいと思います。

 久しぶりなので、2問目も質問させていただきたいと思います。

 先日、思わず企業庁長が答弁の中で言われてしまったので、質問するのはどうしようかなとは思ったのですが、ちょっと質問したいと思います。

 これは、水道の使われ方についてですけれども、今年度から水道料金を値上げされた。その前に、やはり人口動態も含めて水道水の使われ方、それを予測して水道料金の設定もされたはずですよね。でも、企業庁長も、予測以上に水道水の水量の使われ方が伸びないと、そういうようなお話をされていました。では、見誤ったのか、推測が甘かったのか、そのようなことも考えるわけですけれども、まず順番に、水道料金を値上げしたときに様々な推測をされたと思いますが、どういう形で水道水の使われ方の推測をされたのか、かいつまんで丁寧にお答えいただきたいと思います。

冨田業務課長

 今年の1月に策定いたしました水道事業経営計画の中におきまして、財政収支の見通しの中で今後お使いいただく水量を見通したわけでございます。まず、家庭用につきましては、今後の人口を推計いたしまして、それに1人1日お使いになる量を掛けまして量を見きわめたところでございます。また、業務用につきましては、これまでの傾向を踏まえまして推計をしたところでございます。

小川委員

 まだ4月からということで、実際は6月からとかいろいろ伺いましたけれども、今のところ使われ方としては予測とはどうなんですか。

冨田業務課長

 見通しました内容は経営計画にも載せておりますが、ほぼ横ばいという見通しを立てたところでございます。今後の状況でございますが、昨年度の実績に比べましてやや減少傾向というのがこれまでの実績でございます。

小川委員

 どのぐらいの期間の実績ですか。

冨田業務課長

 8月末までの実績でございます。

小川委員

 どのぐらいの期間と聞いたんですけれども。

冨田業務課長

 4月から8月までの間でございます。失礼いたしました。

小川委員

 やや減少と。そういうことから、企業庁長の御答弁の中にも減少しつつあるとあったのですね。そういうのは、本当はもう赤字が出せない状況にあるわけじゃないですか、水道経営に関しては。でも、それでもやや減少したというのは、先ほども申し上げましたけれども推測に甘さがあったのではないか。たびたびの値上げというのは水道料金でできるわけないですし、甘さがあったのではないかと私は思うんですけれども、どうですか。

冨田業務課長

 使用水量は、お住まいになっている方々の数、また産業活動、天候、いろいろな要素が影響しておりますので、今年度の4月から8月までの間の数値のみをもって経営計画の内容を評価するというのは、私としてはまだデータに不足があるのではないか、そのように見ているところでございます。

小川委員

 私もそうかなと思うので、これから追って、これについてはしつこく聞いていこうかなと思っているのですけれども。人口動態というのも、どういうふうに人口が増加するのか、減少するのか。これについても見きわめることが非常に重要なファクターだったと思うのですけれども、企業庁ではどういうふうに人口動態については推計を重ねたのですか。

冨田業務課長

 人口の推計でございますが、県の総合計画の神奈川  構想フォレスト51の人口推計の理念を踏まえまして、また県全体の人口の傾向、そのようなことも踏まえた上で国の社会保障人口問題研究所の推計を、市町村別の推計でございますが、活用させていただきまして推計をしたところでございます。

小川委員

 私は、行政の課題を解決するときに人口問題は非常に大きい課題だと考えておりますので、人口問題については県の政策課とも逐次意見を交換しているのですが、国の人口問題研究所を使用されているとおっしゃったんですけれども、いつぞや新聞にも、人口問題研究所の人口数値は民間の研究所に比べると甘いと、そういう指摘も報道されておりましたけれども、私も人口問題研究所の数字を見ていて、合計特殊出生率なんかについても非常に甘い数字が出ているというのを、以前から政策課には指摘をしているんですね。

 神奈川県は、そういういろいろな実態も受けながら、特殊な人口推計体制をとり始めているわけですね。慶応大学とタイアップして独特のやり方をしていこう。神奈川県は人口の推移については独特の形がある。全国一律の考え方では当てはまらないからということで、政策がえしているわけですよね。

 ですから、企業庁が独自にいろいろ足したり引いたりされているにしても、今までのやり方はちょっと一考した方がいいのではないか。もうちょっといろいろな面を考えに入れながらやっていた方が本当はよかったのではないかなと私は思っているのですが、検証も含めて、これからの水道水の使われ方というか使用量についても責任を負っていらっしゃるわけですから、自分たちの推計について検証していかなくてはいけないと思うんですよ。その辺について、今私が申し上げた意見についても踏まえて、どう考えていらっしゃいますか。

冨田業務課長

 人口推計の方法の考え方でございますが、過去におきましては県の総合計画、県内全域での数字のみではなくて、地域ごとの数字が出ていたときもございます。そのような場合には、私ども給水区域が限られておりまして、人口にしまして270万人の方々にお届けをしているという、県全体から見ますと部分的な関係になりますので、県全体の人口推計のみでは、なかなか個別の数値にまで反映させるというのは難しいところがあるわけでございます。

 さらには、県全体の人口の伸びぐあいと私どもの給水区域の人口の伸びぐあいというのを、過去の数字を見ましても、また先ほど申し上げました国立の社会保障人口問題研究所の市町村の推計を、給水区域の市町村で立ち上げした傾向と県全体の傾向と比べますと、やはり低くなっているわけでございますので、やはり市町村別に積み上げをしない。そのような際に、市町村別の数値が得られるという観点からも、先ほど申し上げた人口推計を使わせていただいた次第でございます。

 そこで、今後の検証ということになるわけでございますけれども、私ども人口も非常に重要な要素だと思っておりますし、また経済活動の状況というのも重要な要素だと思っております。年度年度の予算を考える際に、そういうときを中心に私どもの見通しが的確だったのかどうか、これからどういうふうに仕事を進めていったらいいのか、そういうふうな作業をしていかないといけないと思っております。

小川委員

 様々な視点、様々な資料について、一辺倒でなく複雑な社会になっているわけですから、皆さんの仕事をよく推進するために様々な視点を用いてやっていただきたいと要望いたしまして、質問を終わります。