平成18年12月議会  12月15日  子ども高齢者等問題特別委員会


         相談業務について

小川委員


 地域包括支援センターは、人口2、3万人に1箇所という規模で、市町村が対応しているとのことですが、要介護認定された高齢者数が県全体で23万人から24万人であるのに、地域包括支援センターの相談件数が18万人と非常に多い件数だと思いますが、この数字についてどのように思われましたか。


高齢福祉課長


 地域包括支援センターの制度がスタートして6カ月になりますが、このような相談件数を把握できたことは成果だと思っております。この相談件数は延べ件数であり、高齢者本人だけではなく、ケアマネジャーや行政関係者からの相談も含まれております。この数値を見る限り、それなりのスタートが切れたのではないかと考えております。


小川委員


 平成18年度は介護保険制度が改正され、分かりにくい部分があったことから、このように多い件数だったのではないかと思います。こういう件数を見ても、自分自身も介護保険制度を利用して介護をした経験や、周りの方々からの相談内容からも、介護保険制度には非常に分かりにくい部分があります。介護認定が受けられるまでの間の通知等は、難しい役所言葉で書いてありますので、非常に理解しにくく、ケアマネジャーや役所の対応が一様でないので混乱してしまいます。今までは苦情窓口がありましたが、苦情窓口に苦情を言う場合には、自分の名前を言わなければならず、きちんとした形で苦情を申し立てなければ事業所まで通じないなどの理由で、私も途中で断念したことがありますので、電話、ファックッス、メール等のフリーな形で相談できることになったことは、介護保険制度の利用者にとって非常に良いことだと思います。

これだけ多い件数を十分に精査するということは非常に難しいことと思いますが、介護保険制度が今後改正される際に役立つと思いますので、是非、工夫をしていただきたいと思います。その工夫については、どのようにお考えですか。


高齢福祉課長


 工夫ということにつきましては、分析をすぐにということではなく、制度がスタートし、様々な試行錯誤の中で、事例を少しずつ積み重ねているところですが、やはり地域によって、利用者に差があってはいけませんので、制度に携わる市町村の職員に対する研修を引き続き行ってまいります。


小川委員


 地域包括支援センターでの相談を精査し、工夫を重ねて、利用者のニーズを把握していくために、有効に役立てていただきたいと思いますので、それはきちんと取り組んでいただくよう要望します。

 次に、子育て支援センターの相談件数が3万1,564件という多さが非常に印象に残りました。県域のゼロ歳児から5歳児の人口は1万3,932人で、大体2歳児か3歳児の子どもを持つ親が支援センターに通うとしますと、この相談件数は予想外に多いと思いますが、どのように受け止めておりますか。


子ども家庭課長


 市町村の事業ですので、詳しい内容は把握しておりませんが、長々と母親が一人きりで子育てしている、近所付き合いがないなどの状況が多い中、市町村が住民に身近な場所で、子育て支援を積極的に推進することにより効果があらわれているのではないかと考えております。


小川委員


 市町村の事業だから詳しくは分からないと答弁されましたが、次世代育成条例素案では、「市町村に対する必要な支援や広域的な見地からの調整」が県の責務として明記され、県は市町村を積極的に支援すると言っているわけです。ということであれば、市町村の事業の内容を積極的に把握しなければいけないと思います。


子ども家庭課長


 委員お話しのとおりでございまして、私どもは、子育て支援を総体的に進めており、もちろんこれは国庫補助事業でございますので、国と県が一緒に市町村に補助をするという事業でございますが、市町村の事業内容は今まで以上に把握し、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。


小川委員


 地域包括支援センターの相談件数の次に記載されている「主な相談内容」を見ますと、非常に基本的な内容です。それだけ若い母親が、基本的なことが分からなくて悩んでいます。本を読んでも、読めば読むほど分からなくなり、友人等と情報交換をすれば、するだけ悩んでしまうという状況がこの記載内容によくあらわれています。国会でも質問がありましたが、お金だけ支援していれば良いというものではないということで、次世代育成条例を制定し、県がしっかりやっていくということをあらわしているのですから、子どもを育てる親のニーズを、県としてしっかり把握していただくようお願いします。

 次に、次世代育成支援条例に関連して伺いたいのですが、神奈川県では7万人近い職員が働いております。県庁の職員は、一時保育所がないことや仕事を休めないなど大変苦労しております。これまで、男女共同参画についても、女性を登用することを積極的に公的な機関が行っており、次世代育成についても、民間事業者に様々なことを求めようとしておりますが、県は1事業者としてどのような姿勢を見せていくのでしょうか。


次世代育成担当課長


 県は、次世代育成支援対策推進法に基づき、特別事業者としての行動計画を策定する義務があり、育児休業の取得状況の把握及び促進に努めております。管理担当課長を主な構成員とした、育児休業を促進するための会議を設け、仕事と子育ての両立が図られるようPRに努めているところでございますが、仕事の厳しさは他の企業同様に厳しい状況でございます。努力はしておりますが、まだまだ不十分であると思っており、引き続き努力してまいりたいと考えております。


小川委員


 人に命令してやらせる限り、やはり自分もきちんとやらなければいけないと思います。この次世代育成支援条例自体が余りぴんとこないのは、県自身はどうなのかという思いがあるからなのかもしれませんが、実際に男性は育児休業育をほとんど取得していないのではありませんか。


次世代育成担当課長


 資料が手元にございません。たしか0.9位の割合だったと思います。


小川委員


 県庁には独身の女性も男性も多く、余りにも仕事オンリーになっている県庁職員が多いということに、健康面からも、子育て支援という立場からも心配しております。是非、県としてきちんとした形を出していただきたいと思うのですが、いつごろ出るのでしょうか。数字を伴ってという意味です。


次世代育成担当課長


 県の行動計画は5年間でございますが、進ちょく状況を見ながら、県としての取組の内容を、各任命権者の意見も踏まえ検討してまいります。


小川委員


 この条例を施行する限りは、条例をつくった県自身がきちんと次世代育成について対応していただくことを要望します。

 最後に、青少年センターにおけるひきこもりや不登校についての相談業務について伺います。他の委員からも相談業務をやっただけではなく、施策に反映させて改善につなげなくてはいけないという意見があり、私もそのように思っております。青少年センターの相談業務については、かなり施策への反映率が高いのではないかなと思っておりましたので、我々の要望を受け入れていただいき、ひきこもりの相談業務を始めていただきましたが、当初は、自治体でのひきこもりの相談は初めてと聞いておりましたが、現在はどうなのですか。


青少年課長


 他の都道府県でも1県、市町村でもひきこもりとなると少ないという状況です。


小川委員

 この相談業務は県全体をカバーしている業務ですよね。


吉岡青少年課長


 はい、そうです。


小川委員


 不登校・ひきこもりで悩んでいる川崎市の方々に何回か紹介をしましたが、紹介されなければこの相談の存在を知らないという方も結構おります。いろいろな経緯で紹介があり、相談電話してきたという方々が多いのではないかと思いますが、その辺はいかがでしょうか。


青少年課長


 平成16年度に相談業務を始めた当初は、講演会を開催した際などに、こういう相談コーナーがあったことを知らなかったという意見も頂いております。県のたよりに相談コーナーの記事を掲載しましたところ、相談件数も増えてまいりましたので、今後も積極的に取り組んでまいりたいと考えております。


小川委員


 相談を受けている相談員はNPOを主宰する方が多く、自分の立場をはっきりと表す方が多いので、これらの相談業務の中から、新たな施策が出ていく可能性が高いのではないかと考えておりますが、これまでどのような形で施策に反映してきたのでしょうか。


青少年課長


 青少年サポートプラザでは、相談員が相談事例を持ち寄り、毎週1回検討会を開催し、情報を共有化いたしますが、検討会において出てまいりました課題を施策に反映するという形をとっております。ひきこもりの相談は本人よりも親が多く、親が自分の教育が悪かったということで自分を責めており、地域でも冷たい目で見られ、一人で抱え込んでいるという状況が多いことから、孤立した親を支援することが重要であると考えまして、今年度から保健福祉事務所と精神保健福祉センター共催で、ひきこもりの家族セミナーを開催いたしました。また、県民の多くがひきこもりを理解していないということから、県内の各地域で講演会を開催いたしました。また、ひきこもりの青少年が自宅から一歩踏みだし、フリースクール等で活動し、さらにもう一歩、社会的・経済的に自立をしてみたいという方々のために、就労支援機関につなぐ中間のステップといたしまして、ボランティアやアルバイト等の就労体験を行うことにより、基礎的なトレーニングやコミュニケーション能力を高めていただくよう、自立支援のモデル事業を今年度からスタートいたしました。


小川委員


 この相談業務にかかわる職員は教育委員会とも最近は連携をとり、活動の幅を広げていると聞いております。相談業務から、底に沈む根本的なものを引き出していただき、ひきこもりや不登校にならないようにするにはどのようにしたら良いのかという議論が発展するよう、それぞれの方々が協力し合って発展的に進めていただくよう要望します。