小川久仁子   平成19年9月議会  19年10月 2日  厚生常任委員会

横山委員の漢方治療についての関連で

小川委員

 関連で少し伺いたいと思います。県立病院でも漢方薬について使用している例もあるというお話でした。聞くところによると、医師の方針によって漢方薬を採用される方、全く使わない方がいらっしゃると伺ったのですが、実態はどうでしょうか。

経営改善担当課長

 漢方薬の医師による使用でございますが、確かに委員指摘のような事実はあろうかと思います。やはり漢方薬というのは基本的にその症状とともに、患者一人一人に合わせて処方するのが基本的考えと伺っておりまして、また漢方に対する知識についても、医師それぞれによって違いがございます。また、病院で医薬品を使うということに当たりましては、所内に医師、看護師等からなる薬事会議を設けて、そこで審議をし、効能・効果や費用対効果を検討し採用します。そうしますと漢方薬を使うということについては、それぞれの医師によってかなり違いが出てくるという実態があろうかと思います。

小川委員

 国でも保険適用されている漢方薬があるということは、その漢方薬に効用があるということが認められて、指定されているということだと思います。病院でも患者の意向や効果などを考えながら使われているのだろうと推測しますが、この漢方薬が使われているケースが特にがんセンターでも特定の医師、それも出身が中国という医師に限られているようなお話を伺いました。こういう治療法や薬の使われ方に関して、広がりが出てくる可能性はどうでしょうか。

経営改善担当課長

 漢方薬の使用の広がりでございますが、漢方薬は複数の生薬を配合します。一つの症状に対して直接的に効く西洋医学の医薬品と違って、諸症状に穏やかに効くという効能、効果がございます。そうしたことから高齢者の方々などでは、信頼に基づいて処方、予防するという例がございますので、現在は高齢化の進展に伴いまして、そういう要望を受け、使用が拡大してくるということは見込まれると思われます。

小川委員

 県立病院でもそういう方針というか、広がりを見せてくるのではないかということを言っているのですか。それとも県内の病院全体でということをおっしゃっているのですか。

経営改善担当課長

 県立病院での漢方薬の使用についてでございますが、健康保険で承認されている医薬品は、先ほど申し上げたように1万5,505件でございます。そのうち漢方は148品目でございますので、わずか0.95%という形になっております。各県立病院、一般病院、専門病院それぞれに患者も違いますし、対象とする疾患も異なってございます。国の承認する医薬品の数が多くなるというようなことがない限り、すぐ拡大していくというのは方針として現在持っておりませんし、なかなか難しいと考えます。

小川委員

 海外調査で幾つかの病院を訪れて、現状もいろいろお話を聞きながら学んできたところによると、抗がん剤の副作用を抑えるとか全身のけん怠感を抑えるとか、免疫力を高めるという方向でこの漢方薬を大いに使っています。中国の方々から自信を持ってそういう治験の証拠などを見せていただきながらお話を聞いてきました。漢方治療というのは、漢方医の見立てというのは非常に難しくて一朝一夕で身に付くものでもありませんし、すぐに取り入れるというのも非常に難しい、困難が伴うものだということは理解はできますが、患者にとって有効に、また副作用なく使われるものであれば、考えていただくということも良いのではないかと、多分海外調査に参加した委員の方々はそういう感想をお持ちだと思います。すぐにどうのこうのということではありませんが、私たちも勉強を重ねながら、漢方薬のがんに対する効用について勉強を進めていかなければいけないと感じています。北京においての西洋医学と漢方医学、中医学のせめぎ合いというものも現場で感じた部分もありますし、医学というものは難しいものだと感じます。がん医療におけるこの漢方薬について調査するということに関して随分アドバイスをいただいた病院事業庁長に、私たちが勉強してきたこと、また今の質疑を聞いていただいて、どのようなお考えというか、感想をお持ちなのか、少し見識を伺いたいと思います。

病院事業庁長

 ただいま委員御指摘のように、漢方といわゆる西洋医学の薬の使い方は確かに異なります。その異なる最大の理由は、西洋医学はどの物質がどのように働くからこの病気のここが良くなったということを解明する、この考え方が基本になっておりますが、漢方はそれよりももっと総合的で、様々な生薬を配合したものが、様々な症状がからみ合った人に結果としてどういうふうに効くかということを見るものになっております。そのために西洋医学を学んだ者にとって、漢方を直ちに使うということが非常に難しいということが実はございます。個人的なことで恐縮ですが、実は私も内科医でございますが、患者を診療するときに西洋医学で西洋の薬が効きにくい患者は確かにいらっしゃいまして、そういうときには薬剤師等に相談して漢方を処方することがございます。やはり先ほどのお話にもございましたが、医師は自分の知識と経験に基づいて自信のある薬でないと使わないという傾向がございますが、委員御指摘のように、特に高齢の患者では効果がある方が比較的多いということも経験的に分かっておりますので、今後、中国との交流が更に進みますと、日本の西洋医学を学んだ医師たちも今までよりもそういうものを学んでくるようになるのではないか、そのように思っております。

小川委員

 関連を終わります。

横山委員

 最後に、要望してこの質問を終わらせていただきたいと思います。

 中国では、がんの治療において放射線療法に加え、副作用が少ない漢方薬を処方することで症状を安定させるとともに、がんの痛みを緩和させる緩和ケアに効果があるとの説明を受けてまいりました。是非、参考にしていただきまして、患者の方々のより良い治療に役立てていただきたいと思います。

 

(休憩 午前11時58分  再開 午後1時2分)

 

横山委員の県立病院についての質問の関連で

 

小川委員

 関連で伺います。今の御答弁ですが、私たちも議会でかなり、従前からいろいろな資料をいただいて真剣に議論してきています。神奈川県立病院あり方検討委員会の方々よりは、より真剣に深く考えているつもりでもありますし、議論はしてきたつもりでございます。そういう中で10時間足らずのあり方検討委員会の議論での結果が、どの程度、病院事業庁の判断に反映するのかというのは非常に興味があるところです。

県立病院課長

 今のところ11月を目途に委員会としての報告をいただくことになっております。報告を受けてから検討させていただくわけですが、一応年度内に方針を出すという予定でございます。当然、医療の専門家あるいは公認会計士あるいは利用者としての県民代表の方々の御意見でありますから、そういうものも十分参考にして、県の方針を出していきたいと考えているところでございます。

小川委員

 あり方検討委員会の意見だけを参考にするのですか。

県立病院課長

 6月議会でも御質問をいただいて議論をさていただいたところでございますので、そうしたものも踏まえて結論を出していきたいと考えているところでございます。

小川委員

 私たちは選挙で県民の方々の信頼をいただいて、県民の方々のいろいろな思いを県政に反映してもらいたいという御期待をいただいて議会に出てきています。県全体の公益に資するという立場でこういう議論をさせていただいていますが、この県立病院あり方検討委員会の委員のメンバーの方々を見ても、若干公的な病院の方もメンバーにいられることはいられますが、大体が民間の病院の関係者の方々です。民間の関係者の方々が県立病院について議論すれば、民間はこうしている、こういうところが県立病院は良くないと、そういう御指摘はむろんのこと出るとは思います。県立病院は県立病院としての特殊な役割があり、それも長い間、私が議員になったのは8年前ですが、その当時から厚木病院の市への移譲を含めて、県立病院の在り方についてはずっと議論をしてきました。そういう中でここで急に結論を出すというのも、本当に短兵急だという印象を持つのです。

 ここにも報告事項に出ていますが、7対1の看護体制についても、まだ医療報酬審議会等でも審議されて改正されるような動きもあるとか、国の独立行政法人の在り方についても、今現在も方向性を検討中というお話も聞いている中で、年内にどうこうするというのは、6月議会から議論を継続していますが、あまりにも性急なのではないかと思います。私たちはどういう結論を出すのか、こ視眈々と待っているのですが、慎重さに欠ける動きというのは本当に控えてもらわなければいけないと考えています。

 そこで病院事業庁長に数度伺うのは恐縮ですが、国の独立行政法人の会議にメンバーとして参加されているというお話も聞いておりまして、むしろあり方検討委員会の御報告よりも、病院事業庁長が国に行かれて伺っているいろいろなお話や、御自身も新聞報道で、県立病院として公立の病院としての信頼感をどこに置くかということが大きな課題だと語られていらっしゃいますように、いろいろな課題やお考えがあろうかと思います。判断を出す前に、病院事業庁長のお考えを伺い、またそれを踏まえて議論を重ねていかれればと思っておりますので、伺わせていただきたいと思います。

病院事業庁長

 ただいま委員お話しのように、私は今年度から厚生労働省が所管しております独立行政法人、これは非常に多岐にわたりますが、その全体の評価委員及び労災病院を担当いたします労働部会の部会員の両方を兼務しております。また国立病院につきましては、全体会議で報告がございますので、それを知ることができます。全体の詳細は公開されておりませんが、仕組みは申し上げてもよろしいと思います。

 今の国の動きは、内閣府の行革本部が中心になっておりまして、そこの指示に基づいて財務省と総務省が全体の方針を決めて、それを各主管大臣に下ろし、各主管大臣のもとで討議されたものが、またこのルートを通って行革本部へ戻って来ます。今また行革本部へ戻ったところでございまして、一部そういう報道もなされております。

 病院につきましては、既に国立病院は公務員型の独立行政法人なっております。それから国立がんセンター、国立循環器病センター等のいわゆるナショナルセンターを平成22年度から非公務員型の独立行政法人にするということが既に決定されております。国立病院も非公務員型へ移行することが論議されておりまして、これは時期を繰り上げるべきであるという話がございます。これが現在検討されており、先ほど申し上げたルートで上に上がって、また下へ下りてくるという状況にございます。

 ですから、あくまでこれは県ではなくて国ですが、国の大きな流れとしては、医療はやはり非公務員型の独立行政法人への移行を明らかに指向していると考えております。

 一方、県ですが、着任以来、県民の皆様あるいは患者の皆様などへアンケートをいたしまして、県民の方々が県立病院へ何を求めていらっしゃるのかということを調べてまいったつもりでございます。そうしますと以前にも申し上げたと思いますが、県民の方々は分かりやすくて質の高い医療をやってほしいとお求めです。分かりやすいというのは、よく説明して理解するということですし、質が高いというのは非常に多岐にわたりますが、しかし、やはり患者も御家族も、それから職員も満足できるような医療ということに集約できるかと思います。個々の細かいことは省略させていただきますが、あくまで分かりやすくて質の高い医療を実現するために、どのような形態が最適であるかということを皆さんの御意見を伺いながら考えていきたいと思っております。

小川委員

 今病院事業庁長から含みのある奥の深いお話を伺わせていただきました。国と地方とは、それぞれ違う役割があると思っております。県立病院に関しては、独立行政法人になって最初の長が今の病院事業庁長で、そのままでずっと20年も30年もいくのであれば、それはまた違う方向もあるだろうと思いますが、長も替わるという中で、議会との関係、県民との関係がどうなるかということもよく見極めながら判断していきたいと考えております。今後ともお互いに忌たんのない意見交換をしながら、県立病院を良い方向に持っていきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

横山委員

 それでは、続けて質問させていただきます。病院事業庁は、地方公営企業法の全部適用を行ってからまだ3年目ということでありまして、経営改善が順調に行われ、経常損益が2年連続黒字を確保しています。こういう時期に早急に結論を出すことなく、じっくり検討を行うべきであると考えております。その中で県立病院の在り方を検討する背景として、行政改革や医療環境の変化を挙げておりますが、具体的に伺いたいと思います。

県立病院課長

 国の流れでございますが、平成18年6月に、行政改革推進法の第55条でございますが、地方公営企業法については組織形態の在り方を見直して一般地方独立行政法人等への移行を推進するという国の法律ができたということが一つございます。

 もう一つ、医療環境の変化ということでは、県立病院では、最近非常に職員の業務量が多くなってかなり大変になっています。ちなみに、平成13年度のがんセンターの実入院患者は4,614人でございましたが、平成17年度には6,054人と約1.5倍に増加しておりますし、いわゆる抗がん剤の外来化学療法も同じく5,540件から8,998件と大幅に増加しております。今回新しいがんセンターの総合整備計画を出しましたが、これについては入院実患者を9,000人に増やすということで整備計画を組み立ててございます。そうしますと、今後整備計画を実現したときに患者が更に多くなるということを踏まえると、がんセンターの今の体制で、本当にがんセンターがきちんとした医療ができていくのかということも医療環境の変化としてとらえているところでございます。

 それから、先ほど委員のお話にもございましたが、診療報酬上7対1の手厚い看護基準が認められましたが、がんセンターでこれを実現しようとすると、53人の看護師を増やさなければいけないということもございます。

 それから、都道府県のがん診療連携拠点病院として、がん医療の均てん化に向けた医師への研修や情報交換など様々な業務が付加されています。そういう中で今後の県立病院の役割を本当に果たしていくためには、果たしてどういう方法が良いのかということも一つの医療環境の変化としてとらえているところでございます。先ほど病院事業庁長も申し上げましたように、それぞれの県立病院が今後どういう役割を果たしていくのか、そういう中で役割を果たしていくための運営形態として何が良いのかということについては、十分議論をしていきたいと考えているところでございます。

杉山委員

 今の県立病院課長のお話では今後の在り方と言われましたが、もう一度改めて、県立病院がどうしてあるのか、その設立の趣意についてお聞かせください。

県立病院課長

 もともと病院事業というのを経済学的に見ると、私的財だという議論もございます。一般の診療所や一般の民間病院はすべて民間でやっています。しかし歴史的に見ると、ある一定の医療水準を確保するための病院建設については十分にできていなかったという中で、地方自治法にも病院の運営ということについては規定されております。その病院の運営については、民間と競合するような事業でありますので、一般の地方自治法を適用しないで地方公営企業法を適用するという形で、より弾力的な運営ができるような形で運営してきたと理解しております。そういう意味では、常に時代の要請にこたえていく必要があるわけです。現在の県立病院としての役割を考えてみますと、やはり他の民間の医療機関では対応することがなかなか困難な高度専門医療、子供やがん、循環器、精神病あるいは広域行政体として県でなければなかなかその地域においてある一定の医療水準を確保することができないような足柄上病院のような部門もあります。そういう県として担うべき医療を今後とも県としてやっていきたいということでございます。

杉山委員

 いわゆる公の病院でありますので、今のお話はよく分かります。それと同時に、一次医療圏、二次医療圏、三次医療圏を含めて県立病院として担わなければいけない医療体制、特に高度医療も含めた整備が必要だという中で、第4回検討委員会では、既に独立行政法人化あるいは指定管理者制度も視野に入れて検討し始めているようです。指定管理者制度というのは、もうすべて確立して、言うならば指定管理者制度を導入しても安心だというところまで来ている制度なのかと思うと、これは少し疑問だと思います。今までの歴史もそうでありますし、今までの指定管理者制度そのものの在り方の見直しも出ている中で、こういう議論をするということはもちろん大切なことだと思いますが、余りにも国が国がという話の中で進めてしまうと、どこかでひずみが出てしまうようなことがあるのではないかと危ぐするところです。その辺についてはいかがでしょうか。

県立病院課長

 指定管理者制度を比較の中に入れたというのは、やはり幅広い議論をしていく必要があろうということで入れたところです。また私の答弁が少し誤解を生んでいることについては反省させていただきます。国が法律をつくったということは一つの要素だとは思っておりますが、国が進めているから進めているということではむしろないと思っておりまして、本当にこれから今の医療制度の中で病院をきちんと運営していくというのは、非常に民間病院でも厳しいという声があるぐらい診療報酬制度が大幅に変わってきています。その中で、やはり運営というところについては、県立病院はなるべくフレキシブルにいろいろなことができるようにするということが極めて大事だと思っておりますし、独立行政法人というのは県立病院でなくなることではないと思っております。例えば、横浜市立大学病院も独立行政法人でありますが、やはり横浜市立の大学病院だと思っております。そういう意味では県立病院が独立行政法人になりましても、県立病院としての役割を担っていくというのは当然のことだと理解しております。今後検討の中で十分議論させていただければと思っております。

杉山委員

 もう1点、今後の予定で10月、11月とありますが、これは11月にそういう報告をとりまとめ、あともう1回ぐらいやるということですね。県の担当部局でその報告をとりまとめ、知事に報告というような考え方でいいですか、そこをまず確認します。

県立病院課長

 あり方検討委員会として報告をとりまとめて、知事に報告をしていただくということになっておりまして、その報告を受けて、行政としてまた検討していくという形になろうかと思います。

杉山委員

 先ほど病院事業庁長が言われたように、県民が願っているのは、分かりやすく質の高い医療制度を整備してほしいということで、県立病院の在り方の大前提だと思います。この冒頭の趣旨に「マニフェスト2007 神奈川力全開宣言」と書いてありますが、これを受けてやるのは、私は少し疑問視をする一議員でありますので、やはり病院事業庁長が言われた県民の立場に立って、在り方というものを県としても十分に審議していただきたいということは要望しておきます。

横山委員

 独立行政法人化については、県から独立した経営体になることによる経営基盤の問題やまた職員の身分の問題、がんセンターのPFI事業者の選定の問題など課題が多く、これから課題をきちんと整理してから方針を決定すべきであると考えております。また今後、現行法制度のもとで、選択可能な運営形態をもとに県立病院の在り方について更に検討するということでございますが、県民が求めている良質な医療を、県民負担が少ない形で提供するというこれまでの病院事業庁の基本姿勢に沿って、引き続き運営形態の検討を行っていただけるよう要望いたします。

横山委員のコムスン問題についての質問に関連して

小川委員

 関連で伺います。市町村との連携については進めていただきたいと思いますが、このコムスン問題について、利用者の方々に御迷惑を掛けずにサービスを継続しながら事業者を変えていくというこのやり方は非常にまれというか、いろいろな考え方が込み入って手段が選ばれたと思います。確認をさせていただきますと、今(株)コムスンが経営している事業所があります。訪問介護サービスの在宅系であれば(株)ジャパンケアサービスが新しく事業所として指定を受けます。そうすると11月1日にサービスを継承すると聞いていますが、11月1日からきちんとサービスを継承するには、その前に新しい(株)ジャパンケアサービスの事業所が事業所指定を受けていかなければいけないわけです。(株)ジャパンケアサービスの新しい会社がまず事業所指定を受けなければいけいない。伺ったところによると、そうした場合の人員体制が、(株)コムスンで今働いている人員体制をそのままダブルで(株)ジャパンケアサービスの新事業所として人員配置に認めている部分があるという感じで伺っていますが、私の理解でいいのかどうか伺います。

高齢福祉課長

 先ほどの会社分割の話のとおり、(株)コムスンが受け皿のための会社をつくりますが、実際にはそこにはまだ従業員は会社としてはおりません。その指定を受ける日までは従来どおり(株)コムスンに従業員が属した形でサービスを行います。その指定日をもって新しい法人のところに従業員が移るということでございます。もちろん審査に当たっては、現状としては例えば有料老人ホームを考えますと、日常的にずっと変わらない形で今利用者がいて、従業者もおります。新しい法人を指定する前にそこに伺ってその人員基準が本当に基準に合ったものになっているか、前のサービスを保てるものになっているかを確認しながら審査を行うという形になります。

小川委員

 少し質問の意味が違います。事業所としてスタートするには、その新しい会社が、その前に事業所としての指定を受けなければならないですよね。そうするとサービスを継続していくには今働いている人たちが新しい会社の人員基準の中に組み込まれて指定申請するわけでしょう。全く新しい人員基準で指定申請するわけではないですよね。そういうのは普通ではあり得ないことではないですか。普通、指定申請を受けようとしたら、ほかの事業所で働いている人の名前を新しい事業所の、管理者なら管理者、サービス提供責任者など、そういう形でダブルで名前を出すということはあり得ないではないですか。しかし今回はサービスのスムーズな継承のために、一時期、同じ方の名前が二つの事業所の人員としてダブルになるわけでしょう。そうではないかと私は考えていて、それは工夫なのだと思っているのです。新しくサービスをスムーズに継承するために、特別にそういう形を認めているのかなと理解したのですが、その理解が正しいかどうか聞きたいのです。

高齢福祉課長

 指定はダブルである時期が生ずるということはございません。廃止、新規という形になりますので、例えば11月1日と想定した場合、11月1日に初めて新法人が指定を受けるという形でございまして、同時に(株)コムスンが廃止も受けるということです。状態としては、例えば、その施設でずっと介護しているのは同じ人たちになりますけれども、(株)コムスンがやっている状況ですが、審査だけは、新規法人が人材をどう投入するのかも含めての実態を、確かに(株)コムスンからそのまま移られる従業員もございますが、一部退職されていることもございますし、派遣で対応しているというような話も聞いております。実態は(株)コムスンとしてあるわけですが、今度は新法人として(株)コムスンから受け継ぐ従業員が例えば50人のうち何人、新規の必要な人数の部分を例えば採用して研修している、そういうことを実際に伺いながら指定を行うということですので、手続上はダブルになるということはないようにできています。

小川委員

 分かりました。指定の期日が11月1日で、廃止も11月1日ということで、そのところはそごがないようにするということです。そうすると、審査の段階ですごく大変だと思うのです。移行する人員についても、本当にそのときは口裏を合わせて移行しますとおっしゃっても、その後辞められるということが往々にしてあると聞きます。地元の有料老人ホームで経営法人が替わったという事例があり、スムーズに経営は継承されたが、前後で人員が全然替わってしまったという話を聞きましたし、サービスも低下しているとか、入居者もほとんど替わってしまったという話も聞いております。入居者からのいろいろな苦情や、そこに働いている人からのいろいろな苦情も聞いているので、事業者を継承するということに関しても、(株)コムスンと新しい(株)ジャパンケアサービスの間にやはりいろいろな経営方針の違いであるとか、方式の違いなどがあると思うのです。その辺をよく指導するとお話しされていますが、実際にちまたで起きている事例を見ると、そんなに安易なものではないと思います。訪問系の(株)ニチイ学館のところで働いているヘルパーからも実際に話を聞いていますが、自分たちは(株)コムスンで働いてきたから違う会社になるなら辞める、実際にどんどん辞めていっているという現状も聞いています。急に8月に(株)コムスンの話題が報道された途端にヘルパーがやたら少なくなってしまって、どこの事業所も人手不足になっているという状況も聞いています。(株)コムスンに関連した一連の報道、それからこの事件は、介護現場では非常に大きな影響があります。今ヘルパーの移動もとても起きていますし、そういうところを考えますと、しっかり人員も継承されていく、基準も満たしていくよう県で前も後もフォローしていきますと御答弁されましたが、これは本当に大変なことだと思うのです。人員もたくさん要るだろうし、事業所もたくさんあるし、きちんと見ていくのは本当に大変なことだと思っているのです。その辺はどういうふうに対応されていくのでしょうか。

高齢福祉課長

 最初に先ほどの答弁を補足させていただきます。11月1日からの雇用契約という点について新しい法人に人員基準の確認をする際には、確かにその時点ではその社員はまだ他社に従事していることになりますので、一応補足させていただきます。

 継承の確認を実質的にどう担保していくのかというお話ですが、確かに日常の指導に加えて、今回はまだ指定していませんが、こういうコムスン事業移行先の法人について指定以後の確認をしていくということが今から見込まれます。これは先ほどの市町村と一緒になっての連絡会議、そしてまた事業所指導については保健福祉事務所ともふだんから連携してやっておりますので、改めて市町村や保健福祉事務所と一体となって確認作業をしていくということや、そういう事業者については日常の指導の中でやはり重点的に見ていくということも必要だと考えております。

 また、利用者の反応も大事でございます。今コムスン移行に関して相談窓口を設けておりますが、引き続き県と市町村で設けている相談窓口で県民の方々の声、利用者の方々の声をいただいて、それを指導等に反映させていくことを考えております。

小川委員

 対応というのは、具体的に人員配置をどうしていくのか、どういうスケジュールで監査していくのか、そういう具体的なことはまだ決まっていないのですか。

高齢福祉課長

 現時点では、まずサービス確保のための確認と審査に向けてのスケジュールを立ててやっていくということに専念しております。予定といたしましては、指定後もそういう視点を持っていくということがございますが、逆に指定状況などを見まして、県民の方々の声も受けまして、具体的な指定後の指導等については考えていく必要があると思います。

小川委員

 最初、東京都の調査で(株)コムスンが悪質だということで全国的に調査をしろという指導が国からあったわけです。その前の報道では、東京都で、(株)コムスン、(株)ニチイ学館、(株)ジャパンケアサービス3社合わせて不正請求が20億円以上あったという報道もありました。ここに名前が出ている(株)コムスンも(株)ニチイ学館も(株)ジャパンケアサービスも決してきちんとした経営をやってきている事業体ではないと思っています。国が訪問介護サービスの在宅系は(株)ジャパンケアサービスにしなさいと決めたので仕方がないと思ってはいますが、神奈川県の調査でも、(株)ジャパンケアサービス系の数少ない事業所でも指導すべき点があったという報告がありました。そういう状態の事業体がきちんとやっていけるのか、この3社が三悪というふうに報道されているのに、三位一体で悪の巣くつみたいに報道されているところの事業所がきちんとやっていけるのかというのはすごく心配です。それでしつこく聞いているのですが、そういう認識はどうですか。

福祉監査指導課

 東京都の監査によって、(株)コムスン、(株)ニチイ学館、(株)ジャパンケアサービスに指導が行われました。その中で行政処分を行うとしたのは、東京都も(株)コムスンだけでございます。(株)ニチイ学館と(株)ジャパンケアサービスにつきましては、指導あるいは勧告という状況だったものですから、厚生労働省といたしましても、そういう行政処分、特に(株)コムスンの場合は行政処分逃れをしたわけですが、そういうことをやっているということの中から、広域的な事業を行っている事業所に対する監査を行いなさいという話が4月にきたわけです。

監査をいたしまして、(株)コムスンにつきましては、確かに東京都と同じような行政処分相当という結論が出ましたが、(株)ジャパンケアサービスと(株)ニチイ学館、そのほかの事業所についても、指導ということの中では指摘することはございましたが、行政処分には相当していないという形でありましたので、監査結果としては(株)ジャパンケアサービスを含めて各事業所に厳しく指導させていただいたという状況でございます。

小川委員

 悪質度が違うということだと思いますが、起訴か起訴猶予か、グレーか真っ黒なのかという感じなのだと思うのです。不正請求だと報道されたのは確かです。東京都で何十億円という不正請求した分を返還したというのも確かではないですか。

福祉監査指導課長

 不正請求という形で行政処分になっているのは(株)コムスンだけだと思います。あとは過誤請求といっていますが、そういう指導の範ちゅうの中で、誤りがあったので返還しなさいというものです。今度私どもが監査した中でも、そういう事業所がございます。(株)ジャパンケアサービスもそうですが、不正請求というよりも過誤請求という形で指導して返還につながったということだと考えております。

小川委員

 過誤請求でも、承知して多く請求したというものもあるのではないかと思っています。今回の(株)コムスンの事件で大きい問題であろうかと思うのですが、事業を継承するに当たっては、まず介護報酬が2箇月後にしか来ない、医療費と違って介護事業所に日々の現金収入がないのです。ですから2箇月分以上の人件費の保留がないと、要するに財力がなければこれだけの大きいものを継承する力がないのです。それでやはり(株)ニチイ学館や(株)ジャパンケアサービスなど財力があるところを、国でもそういう視点で選んだのではないかと考えているのです。そうするとこれから神奈川県においてきちんとした介護サービスを展開していただくためには、財力だけで決めたとは言っておりませんが、業者選定の要因としては大きな要因であろうと思っていますので、利用者の立場に立った温かい、地域でいつまでも暮らせる介護をという視点において、きちんとした事業展開を行っていただくように(株)ジャパンケアサービスにも、(株)ニチイ学館にもむしろ厳しい視点で当たってもらいたいと考えていますが、その辺はどうでしょうか。

高齢福祉課長

 こうした(株)コムスンの問題というのが、利用者にとっては大変いろいろ不安を与えたということは確かでございます。一方で、確認できたわけではありませんが、広く県内の事業者に対して法令遵守の必要性の自覚という点では、問い合わせもいただいておりますので、そういう自覚が少し広まっていればいいなと思います。また、行政としましては、こういうことを契機に、管理者の方に来ていただいて、面談の上、法令遵守の徹底を各事業者に通知したところでございます。ただこういう通知だけではなく、日々こういう視点で指導に当たっていくということは必要だと考えております。

小川委員

 県の関連団体かもしれませんが、県として法令遵守についての研修会か講習会を1回やったと思います。これからこういう法令遵守や人員基準の厳守とか、そういうことに関して個別指導ももちろん重要ですし監査も重要ですが、県としてまとまって指導を厳しくしていこうというお考えはないのでしょうか。

高齢福祉課長

 先ほど個別指導のお話をいたしましたが、実は集団講習会という形で事業者を集めまして、過誤請求が起こらないように制度の説明ですとか、普段から間違いの多い部分についての周知徹底なども行っております。また新規参入された事業者については別途集めまして、やはり新規参入事業者に合ったレベルでの研修、セミナーもやっております。こういうこともありましたので、事業者に接するのはそういうセミナーだけではございません。いろいろな事前研修もございますので、いろいろな場面で法令遵守の大切さというのを研修していきたいと考えております。

小川委員

よく知っているから言うのですが、国民健康保険団体連合会などが行う講習でも一辺倒で全く不親切なのです。個別に聞いても何も教えてくれないのです。親切に皆が分かるようにきちんとやっていってもらいたいという気持ちでお話ししているのですが、介護報酬の請求も非常に難しいですし、新規参入のところにきちんとやさしくなんて教えてくれないし、皆さんが思っているのと現場は全然違います。こういう事件が起きて新しい事業所も閉鎖するところもあります。それに伴って(株)ジャパンケアサービスとは違う新しい事業所も入ってくるでしょうし、そういう中で親切に分かりやすいように、そして良心的な、新規の事業者が本当に気軽に参入できるような、指導体制をもう一度洗い直していただきたいと思います。国民健康保険団体連合会は不親切そのものですよ。県からも天下りで職員が行っていますが。そういう現状をもう一度調査していただき、親切な新しい新規の事業者でも入りやすいような介護の現場にしていっていただきたいと強く要望して、私の関連は終わります。

小川委員

 簡単に御答弁なさいましたが、そう簡単に安心できる介護の仕組みができるわけないと思うのです。介護保険ができてから改正も含めて5年でしょう。こういう(株)コムスンの問題も起きた、それから不正請求や人員配置の基準を守らないとか、いろいろな指導の状況が出ているではないですか。現場では、特に障害関係については事業継承する前に(株)コムスンがサービスをとても低下させている、新しい事業所に移しやすいような形にサービスを低下させていると利用者の方々からもそういう話を聞いているわけです。それは利用者もヘルパーも細かいことを知らないから、事業所としては、県や市がそういうふうに指導しているからそういうふうにしているぐらいのことしか言わずに、結局は利用者の方にかなり迷惑が掛かっている状況があるのです。そういう状況を地域で活動している中で聞いているのです。県にもそういうのも直接メールなどが来るでしょうが、個々の深刻な問題というのをよく踏まえていただければ、そう簡単にやっていきますと言えないと思うのです。もう少し熱意のある気持ちを感じられるような御答弁をいただきたかったと思うのですが、追加でお願いします。

保健福祉部副部長

 介護保険制度等あるいは福祉サービスにつきましては、2000年の介護保険のスタートを契機にいたしまして、民間参入という形でまずサービス量を確保するという形で入ってきたわけでございます。2006年に大改正が行われまして、一定のサービスが確保された中で、質の良いものを確保していこうということで、いろいろな仕組みが取り入れられたわけでございます。最終的には質の高い安心できるサービスの提供というところが一番大事でございますので、そこに向かっていろいろな知恵や人員を投入しながら、県民の方が安心できる、高齢者あるいは障害者の方々に対してもサービスが提供できるように努力したいということで頑張っていきたいと思っております。

横山委員

 最後に要望させていただきたいと思います。このたびのコムスン問題に対して、新しく参入してくる(株)ニチイ学館、(株)ジャパンケアサービス等々、この問題の再発を防止するために事業所指定の審査の厳格化や現地調査などの取組を強化したとのことであります。また事業所指定後の運営状況もチェックするとのことであります。適切なサービス提供体制の確保を図ることは今後とも重要なことであると思いますので、更に市町村との連携を密にした指導、監査体制の強化を図っていただきたいと思います。

 次に、自殺対策についてお伺いいたします。我が会派の鈴木恒夫議員が、本定例会の代表質問で多重債務者問題について質問したところでありますが、深刻な社会問題となっているこの問題は、また喫緊の課題である自殺者問題の一つの要因にもなっております。そこで自殺対策について幾つかの視点から質問させていただきます。

 確認の意味を含めて本県における自殺者数の推移はどうなっているのかお伺いいたします。

(中省略)

小川委

 かながわ健康プラン21の中に「自殺者数を10%減少する」、その他のことについても書かれています。本日参考資料として配られたかながわ健康プラン21改定素案の中に少し気になるところがあるので、関連で、二、三伺いたいと思います。

「かながわ健康づくり10か条」に、「肥満者の割合を15%以下に」「20歳代女性のやせの割合を15%以下に」「メタボリックシンドロームの概念を知っている人の割合を80%以上に」等々、かながわ健康プラン21の17ページ、18ページにわたって書いてございます。「目覚めた時に疲労感がある人を20%以下に」とか、20%以下になるかどうかどうやって調べるのかなという疑問があるのですが、こういうのを打ち出した後は、こういうものに関してアンケートをとるのですか。

健康増進課長

 アンケートをとるかどうかについてですが、パブリックコメントや県民意見募集等を通して意見を募集します。資料17ページの「かながわ健康づくり10か条」というところで、唐突に出てくるという形になっておりますが、資料58ページに、県の取組やその取組に対する姿勢等も書かせていただいております。これらの記載が委員お話しのように、多少配慮に欠けるという点があると思いますので、この点についてはまた検討させていただきたいと思います。

小川委員

 私が質問したことをしん酌してお答えいただいたと思いますが、本当に何%以下にというのが唐突に出てきています。ここの健康づくり10か条での何%以下にという目標はどこを基準にこの数字を出したのか、唐突感があったので今のように伺ったのですが、特に「たばこをやめよう」「飲み過ぎ注意、お酒はほどほどに」という条では、「未成年者の喫煙をゼロにする」「未成年者の飲酒をゼロにする」と書かれています。本当は「自殺者もゼロにする」なのではないかと思うのです。

 「自殺者数を10%減少する」と資料に書いてありますが、こういう数値目標に関しては、今までもなじまない感じをずっと持ってきました。というのは、自殺する方というのは痛ましい環境で耐えきれずに、うつ病やほかの病気であるとか、経済的に苦しまれて、本意でないが自殺をしてしまうということですよね。非常に痛ましい亡くなり方ですね。病気もがんもそうですが、そういう方々の御家族が10%減少するというものを見たときに、そんな簡単に10%減少できるのなら、家族が自殺する前に何でそういうのをやってくれなかったのかというような、非常に神経を逆なでするよう受け止め方をする場合もあるのではないかと思います。こう簡単に自殺者数を10%減少するというふうに大手を振って目標値を掲げて対応するということは、配慮に欠けるような気が非常に強くします。この辺についてはどうお考えですか。

健康増進課長

 自殺者数を数字でとらえるということについては、御遺族の中には違和感を持たれる方もいらっしゃると思います。私もそう思います。

 一方で自殺をなくすために自殺を個人の問題ではなくて、社会全体の問題としてとらえるという視点もあると思います。関係者が連携して自殺の予防に取り組んでいくことが非常に重要だという観点からこういう数値を設定させていただきました。

小川委員

 国の方針で何%という数値目標を出すようにと言っているから、そしてまた神奈川県でもいろいろな審議会や協議会でもお認めいただいたからと事前に伺っています。社会的な要因というのも、そんなに簡単に減っていくのなら何でもっと早くにやってくれなかったのか、社会の責任なのかとか、特に自殺に関してはいろいろ声が出てくる可能性は高いのではないかと思います。フィンランドでは数値目標を挙げたことによって、10万人に対して数十%自殺者数が減ったということが調べて分かりましたが、西洋と日本ではまた違うと思うのです。西洋はドライな考え方に耐えられます。我が国はウエットというか、ナイーブなところがある国民性だと考えているので、何でも数値目標を掲げること自体に違和感もあるし、掲げ方、書き方にも何らかの配慮があってもいいのではないかと非常に強く感じています。その辺はいかがですか。

健康増進課長

 委員と同じような意見を持たれる方もいると思いますが、やはりずっと自殺者数が高止まりできています。そこに対して何らかの手立てを打たなければいけないと思います。そうした中で関係諸団体が一丸となって取り組むというところに、こういう目安として数字を挙げるという考え方だと理解しております。

小川委員

 そうなのだと思いますが、特に自殺者に関して数値を掲げるのであればどこかに配慮をしてもらいたいと考えています。国から目標値を出せと言われているから出すということもよく承知の上で言っていることです。県民の方々の気持ち、それから感性、感情を考えながら、こういう計画もつくって方向性を提示していかなければいけないと思っておりますので、我が会派に関しては、ほかの議員の方々も同じような感覚を持っているという前提でこのように申し上げておりますので、その辺については一考をお願いしたいと要望します。

健康増進課

 委員のお話しのとおり、改定に当たっては自殺者の遺族等にも配慮した表現を用いて、十分留意して改定案をつくるように、分かりやすく記載していくように努力させていただきます。

小川委員

 今の質疑を聞いていて、部長としてどのように感じられたか、健康増進課長からは配慮してまいりますという御答弁をいただきましたが、この痛ましい問題について、部長として、部としてどのように対応されていくのか、お伺いしたいと思います。

保健福祉部長

 先ほど健康増進課長から御答弁しましたように、自殺という問題についてまず社会的にどういう取扱いをするかですが、今まではある意味ではそれを覆い隠していた時代、実際の御遺族の方が非常に辛い思いをした時代がありました。しかしながら、これからはそれを一つの社会問題としてとらえて、きちんと前向きな形で取り組んでいこうとしております。そういう意味で今回、横浜市、川崎市、県がきちんとその主体を担って会議を開催してという取組として、これからいろいろと取り組んでいくという方向性が示されているということでございます。ついこの前、竹脇無我さんにいらしていただきました自殺対策シンポジウムで、そのときに御遺族の方からいろいろな話が出てございました。その中で先ほど委員からお話があった10%という数字ですが、これは国が10年間で20%という中で、本県としては5年間の中では10%という考え方を持って臨んでいくつもりでございます。この10%についてどう考えるかですが、私としては10%については減少させるということ、本当は根絶するという気持ちで臨むのが本来だと思います。

 しかしながら、現実の姿を見てみますと、それというのは絵にかいたもちになりかねない。そういう中で、減少させるのだという気持ちの表れと理解してございます。そういう意味では決して生易しい数字ではなくて、どういう形でその10%を減少させるのか、これは当然のことながらここで御審議いただいて仮にこういうものが認知されたとすれば、今後どういう取組をしていくかということと併せて検証されるべき問題であり、これはそういう自殺対策会議を含めていろいろ取り組んでいるそれぞれの主体が相当重い責務を担っていく課題だと考えてございます。ただ、お話にありましたように、表現等について、どういう表現にするのが適当なのか、他県ですとか、あるいは横浜市、川崎市ですとか、取組につきましては、当然のことながらいろいろ委員会等を開いて意見等を聞かせていただいておりますので、そういうことも含めて、この問題については対処していきたいと考えております。

小川委員

 今までは数値目標を出すということに関しては容認されてきました。様々な審議会や協議会の中で容認されてきたので最終的に出されてきているわけです。ところが、私たちは県民の皆様の代表として、県民の皆様のお気持ちを県政に反映させなければいけないという立場で、一人一人を代弁するという意味で、こういう数値を使うことは大事だろうということも理解した上で、しんしゃくした使い方、エクスキューズのある使い方をしてもらいたいと申し上げているので、そこのところはよく御理解の上、対応していただきたいとお願いをして関連質疑を終わります。


横山委員の関連で

小川委員

 今の数字も含めて、これまでの重度障害者医療費助成制度の内容についての質疑を聞いていて、少し不明な点や確認したい点を含めて関連で質問したいと思います。市町村との協議でこれから詳細について詰めていく、そういう点において精神障害者の方々に対しては、全市町村が市町村として助成をしているわけではないから、今回の助成制度には入れられないというお話です。各市町村と詰めていくときに、これまでの無料の助成制度の場合と大きく変わる点があると思います。それは例えば今までは障害者の方が病院に行ったり入院したり医療を受けても、障害があるということが証明できれば、そのまま何も払わないでお帰りになっていたわけです。でも、これからは負担金があるので違う形になっていくだろうと思うし、県が市町村に手数料を払うくらいいろいろな手続や負担があるということですから、いろいろな手続がいろいろな形で出てくるのかなと思います。また市町村によっても違うだろうと思います。今自立支援医療のこともお伺いしましたが、基本的なところからいきますと、まず重度障害者の方が診察を受けたとすると、現在はそのたびに医療費はお支払いするのですか。

障害福祉課長

 まず、現在は市町村によって違いますが、一般的にはマル証というような受給者証を医療機関の窓口で示すと対象者の場合は無料で受けられます。見直し後は、それを示すと通院の場合には1回200円お支払いいだたくことになります。入院の場合は1日100円、薬局などの分はお金はかからないというふうになります。

小川委員

 自立支援医療を使うと600円程度で済みますとのお話でしたが、それは窓口では分からないわけでしょう。そうすると、結局、10回病院に通院したら2,000円、20回行ったら4,000円、とりあえず病院の方にお支払いするのですか。

障害福祉課長

 自立支援医療の場合には、自立支援医療支給決定を受ける必要がありますので、その申請手続をしていただくことになります。その上で認められた場合には、原則1割負担していただきます。所得階層に応じてゼロから2,500円、5,000円、1万円という月の限度額が決まっておりますので、その限度額に達したところで、その医療機関の窓口での支払はそれ以上必要なくなります。

小川委員

 聞きたいのは、払ったお金が戻ってくるのかということです。自立支援医療を提示した場合は5,000円なら5,000円までということですが、障害者の方々には助成制度があるわけでしょう。600円で済みますとのお話ですが、その差額はどうなるのですか。

障害福祉課長

 委員のお話しのように、まず自立支援医療制度という国の制度を利用していただいて、その上で実際に支払った5,000円とか1万円という額の中で、実際に通院した回数分は負担していただきます。それを超える部分については市町村に償還払の請求手続をしていただきます。とりあえず5,000円支払ったが、自分はもう3日目で5,000円に達したと、その後実は10日通院しているという場合、その3日分の600円でいいはずなのであとの4,400円を返してくださいということを市町村に請求していただくという手続が必要になります。

小川委員

 市町村とこれからそういう細かいことを詰めていくと思いますが、償還手続というのも、お金はいつごろ振り込まれるのか、あるいは現金支給なのか、そういう細かいことはまだ詰められていないですか、これから決めていくわけですか。

障害福祉課長

 償還払の手続については、市町村によって異なっておりまして、市町村によっては窓口に領収書を持っていくとその場で払ってくれる市町村もありますし、申請書を書いて少し日数のかかる市町村もございます。これは市町村の事務処理の体制なので、大きく変えることはできないと思いますが、なるべくサービス向上につながるような調整はしたいと考えております。

小川委員

 障害者団体の方にお話をされ、市町村にも提唱されてきました。市町村に対してはいろいろな事務手続の増加だとか、そういう御理解のためのお話でしょうが、障害者団体の方というのはいろいろな市町村に住んでいるわけです。その市町村によって償還払のやり方も違います。その場で現金でもらう場合もあるし、振込の場合もあるだろうし、期間も違います。そういう違いというのを、障害者の方々が今回の説明を受けたときに、かなり理解するのは難しいことだろうと思うし、限度額まではその場で一度お金を払わなければいけないわけです。そういうことに対して、実際に施行されてお金を払う段になったら、話が違うではないかと思うようなことがあってはならないと思うのです。

 障害者の団体の方々にお話をしたとしても、それがすべての障害者の方ではないのです。代表的な立場の方々だと思います。それをすべての対象者の方々に御理解いただくというのは本当に大変なことだと思います。自立支援給付費の問題についても、施行前にほとんど分かった形であっても、施行後、自分のサービスが減されたりいろいろなお金が高くなったり実際に身に降りかかってみて、団体の方からいろいろな要望が出てきていました。そういう現実を見れば、今回のこの大きい改正についても、まず負担が発生するということ自体も、なぜという気持ちがまずあっただろうと思います。それを理解していただいたにしても、自立支援医療との兼ね合い、それから各市町村の対応の違いの問題があります。5,000円までは、2,000円までは現金を払うというような細かい理解というのは、全員の方に理解していただくのはとても大変なことだろうと思います。そういう工夫をこれからされていくのだろうと思いますが、私はその点について非常に心配です。大きい改正なので、市町村の対応についてもなるべく同じようにしていただくのが障害者の方々にとっても良いだろうし、障害者団体からお話が来るとすれば、市町村別の対応というのは不親切というか、いろいろなそごが出てくる可能性もありますから、その辺の御説明やこれからの市町村との詰めがとても大事なことだと思います。その辺はいかがですか。

障害福祉課長

 委員のお話のとおり、今まで市町村と一緒にやってきた重度障害者医療費助成制度というのは、ある意味オールマイティといいますか、それさえあればあとは何も要らない、非常に使いやすいシステムでございました。ですから、それがこれからはまず国の公費負担制度をきちんと使っていただきたいということをまず御理解いただくことになります。これは市町村、医療機関、障害当事者もということですが、市町村や医療機関はいろいろ話をすれば理解は段々と進むと思っております。難しいのは障害当事者の方だと考えております。知的の方もいる、精神の方もいる、手続を説明しても分からない方の方がむしろ多いと考えております。これは市町村との事務手続が詰まった段階で、実際の手続につきまして、障害の場合には、昔は障害者ケアマネジメント従事者といっておりましたが、現在は相談支援従事者という方がおります。障害者自立支援法で新しい体制に移ってから全県で大体1,000人ぐらいの方に追加研修などを行っていますが、そういう研修の中に障害者の医療費の助成の仕組みをきちんとカリキュラムの中へ入れていきたいと考えてございます。今年度の研修では、こういう見直しを今進めているという情報を入れて、これから来年度や、ちょうど10月の施行に間に合うような時期にも初任者の研修がございますので、そういう中で障害者を支える立場にある市町村や施設に勤めている相談支援従事者の方に具体的な市町村による違いや手続をどうすれば良いのかについての研修をして、障害者が適切に利用できるように進めていきたいと考えております。

小川委員

 その点が一番大事な点だと思います。心配しておりますので、よく慎重に、丁寧に、親切に対応していただきたいと思いますので、その点はくれぐれもよろしくお願いします。

 自立支援医療を使うということ自体に関しても、まだまだ障害を抱えた方の中には、この手続を申請しない方も地域にはたくさんいらっしゃいます。相談する相手がいる方は、勧められてこういう医療を使ったりしていますが、障害を抱えた方で自己負担を多くされている方も結構いるので、そういう配慮に関しても同時に進めていただければと思っています。

 それと同時に、今回の見直しでは65歳以上で新たに障害を持った方に関しては対象から外すということになっています。具体的にもし65歳以上で障害を負った場合は、自立支援医療は使えるだろうと思いますが、結構通院しなければいけないような方の場合、どういうふうになるのですか。

障害福祉課長

 まず、自立支援医療は使えます。それからそのほかの風邪を引いた場合、虫歯の治療など、一般の医療については、障害該当の場合には一定の基準はありますが、後期高齢者医療の中に組み込まれる部分がございます。ですから、後期高齢者医療制度の中で支えられていくのかなと考えてございます。

小川委員

 制度を皆さんは分かっていらっしゃいますが、私などは具体的によく分からないから、先ほどのように例えばお金で示していただければ、自立支援医療を使えば600円で済みますよとか、400円で済みますよと言ってくだされば、それほど負担は最終的にはないだろうと思えるのですが、今の御答弁だとそれがよく分からないので、具体的にはどうなのですか。

障害福祉課長

 今、国が予定している後期高齢者医療につきましては、後期高齢者の負担については平成20年4月からは所得区分に応じて原則1割、現役並みの所得のある方が3割でございます。平成20年4月から自己負担限度額が通院については個人ごとに1万2,000円、それから通院プラス入院は世帯ごとに4万4,400円と承知しております。これは予定ということで、政府与党で見直しされるかもしれませんが、承知している範囲ではそういうふうに聞いております。

小川委員

 線引きが難しいのは承知していますが、65歳までに発症した場合には600円で済むところが、66歳で発症した場合、1万2,000円まで払わなければいけない。詳細はまだ決まっていないにしてもそういうことになるとすると、かなり負担額における格差が出てきてしまうと思います。これも大きな課題だろうと思いますが、まだ詳細は分からないのでしょうか。

障害福祉課長

 自立支援医療部分については基本的に同じでございますので、所得に応じてゼロとか2,500円とか5,000円、その部分は変わりません。普通の疾病については、ほかの高齢者の方と同じ扱いということでございます。

小川委員

 ということは、障害者自立支援医療に該当する部分は5,000円なり2,500円の上限で、そのほかの関連した病気になられた場合は、関連していても1万2,000円までは負担しなければいけないということでよろしいですか。

障害福祉課長

 はい、ほかの高齢者の方と同じということでございます。

小川委員

 後期高齢者医療のことに関しても大きな課題があるだろうなと、与党がやっていることであっても、その立場に立てばいろいろこれからまた変わっていくかなとか、そういう思いもあります。これから先の後期高齢者の問題については、まだ不明確な部分がありますので、これ以上は伺いませんが、65歳以上ということに関して、後期高齢者という適用があるので線引きしたということは分かりますが、障害に関しても発症の年齢が65歳近辺で多くなるという病気もあると聞いています。その辺の格差、同じ病気を抱えていて負担額にとても格差が出てしまうというのもなかなか難しいところもあると思うので、その辺は課題としてとらえていますが、当局としてはいかがですか。

障害福祉課長

 6月定例会が終わった後に、検討会報告書の内容をいろいろな機会をとらえて説明してまいりました。その中で一つは、神奈川県の場合、障害者の方が36万人いると考えておりますが、そのうちの12万人の方が現在無料になっている重度障害者医療費助成を使っています。精神障害者の方からみれば、やはりこれは格差であると言われました。それから80団体に声を掛けて7月22、23日と両日で200人ぐらいの方にお集まりいただきました。その中で印象深かったのは、横浜会場で、「うちの子はIQが37である」というお話がありました。IQ35で重度医療の対象になりますから一瞬会場がシーンとなりました。どこかで線を引かなければいけない、行政というのはそういう宿命があります。

 それから、精神障害の方や家族会の方からもいろいろ言われてきました。別に説明の場も設けました。どうしてもどこかで線を引かなければいけないということについては、申し訳ないけれども努力はするが線を引かせていただいて、必ずその代わりの制度、十分ではないが、そういう中で御理解をいただきたいという説明をこれまでも尽くしてきたところです。確かに差があることは認めますが、そこは是非御理解を賜りたいと考えています。

小川委員

 今の御答弁で流れには理解を示すところです。障害者団体の方々からもある程度の理解は得ているというお話の中でも課題はあろうかと思うので、障害者の方々の立場を考えて、これからの進め方をよくじっくり考えながらやってもらいたいと思います。使い勝手がいいようにしていただきたいという立場で質問していますが、65歳以上うんぬんということに関しても、これは大きな課題だと思うので、国の施策等も勘案しながら、国の施策の補完を地方の自治体がやっていくというのも一つの姿勢だと思いますから、よく国の動きも見ながら、また考えていただければと思っております。

 神奈川県の医療費助成制度は、今お話しのとおり延ばし延ばしにしてきて、ほとんどの都道府県が見直しをして自己負担を導入しています。その中でも神奈川県は最後の方に踏みとどまって、ここで自己負担をお願いしているわけです。私が調べたところによると、神奈川県の自己負担額は、他県では通院が530円や300円ということからすると、低い設定であるとは感じます。最初低くしてすぐにまた上げるということがあると、せっかく障害者の方々に納得していただいて協力していただくのに、また不信感を招くようなことにもなるし、1年間の経過措置をおとりになるのですから、すぐに来年、再来年ということはないでしょうが、やはり県の財政も考えながら、県財政が豊かになったら、この部分をすぐに上乗せするということもせずに軽減も含めて検討しながらやってもらえればと思っています。ほかの都道府県と比べると神奈川県は自己負担額が少ないです。東京都は結構充実しているのではないかと団体の方々からも指摘されまして、私たちも調べているところです。東京都の場合、重度障害者に対する医療費助成制度もありますが、それとは別に、特に人工透析を受けている方々には医療費助成制度として特殊医療費等助成というのが設けられていると聞いております。どのような制度でしょうか。

精神保健福祉担当課長

 今お話がございました特殊医療費等助成制度の関係でございますが、東京都の制度は人工透析などの特定疾病につきまして、利用されると必ず自己負担が生じますが、その自己負担分につきまして、人工透析に係る医療費の自己負担額を高額療養費制度を利用して1万円を限度としまして助成する制度、通称マル都という制度と承知しております。

小川委員

 マル都を利用すると人工透析に係る医療費の自己負担はゼロになると考えていいですか。

精神保健福祉担当課長

 このマル都を使いますと、高額療養費制度における自己負担限度額が月額1万円の方はそのとおりでございます。ただ、現役並みの上位所得者につきましては、自己負担限度額が2万円となります。マル都の助成は1万円が限度でございますので、残りの1万円は自己負担という形になろうかと思います。

小川委員

 かなりの所得のある方は、それは理解していただかなければならないと思いますが、その助成について、人工透析以外の受診をした場合はこのマル都は利用できますか。

精神保健福祉担当課長

 マル都は人工透析のみを対象といたしまして、特定疾病に係る高額療養費制度の適用を前提としているところでございます。人工透析以外の医療については利用できないと承知しています。

小川委員

 人工透析をしている慢性じん不全、血友病、抗ウイルス剤を投与している後天性の免疫不全症候群、この疾患の方々に対して1万円の助成をしている特殊な助成ですよね。この助成はありますが、この疾病以外の例えば風邪を引いたり、肝臓が悪くなったというものに関して助成はないだろうと思います。そういうものの助成も含めて、東京都の重度障害者医療費助成制度について、神奈川県と比べてどういう感じですか。

精神保健福祉担当課長

 東京都の重度障害者医療費助成制度は、今度はマル都ではなくてマル障という表現を使っているみたいですが、東京都のこの制度におきましては、本県が今後導入しようとしております所得制限や年齢制限、一部負担金につきましては既に導入済でございます。その内容ですが、特殊障害者手当の限度額を準用した、まず本人所得による所得制限があり、それから65歳以上の新規該当者は対象外としています。定率1割の一部負担を導入していますが、ただし住民税の課税者は、通院は1万2,000円、入院は4万4,400円が月額負担の上限という設定がございます。上位の所得者がマル都を利用しまして、さらに東京都における重度障害者に対する医療費助成制度の心身障害者医療費助成を利用したとしても、心身障害者医療費助成においては、通院の負担上限である1万2,000円までは自己負担していただくことになり、マル都の1万円の自己負担は発生してしまう、こういう形でございます。

小川委員

 そうすると人工透析している方がほかの病気を発症する場合も多いと伺っておりますが、この時点で確認すると、神奈川県はほかの病気で受診しても自立支援医療を使えば所得によると思いますが400円とか600円、東京の場合は1万円の自己負担が出てきてしまうということです。人工透析だけは無料になっても、ほかの病気で受診した場合は負担額が出ます。それも自立支援医療を使えるのでしょうか。

精神保健福祉担当課長

 東京都の場合におきましても、自立支援医療制度は使える形になろうかと思います。

障害福祉課長

 該当する疾病の治療については自立支援医療は使えます。ただ、それ以外の疾病については東京都のいわゆるマル障と言われている1割負担のものが利用できるという状況です。

小川委員

 ほかの病気で受診した場合も含めて、人工透析も含めてほかの病気で入院、通院した場合は1万円は負担しなければいけないということになるわけですね。今東京都と比較したわけですが、だから神奈川の方がいいから神奈川はいいよと言っているわけではありません。都道府県の様々な事情によって、いろいろな施策を障害者の方々に心を砕いてやっていらっしゃるわけですが、本県の場合には、人工透析の方が他の病気で受診されても通院は1回200円、入院は100円というふうにある程度余力を持った形で受診できるように、医療を受けられるようにという配慮でこういう形にされたと考えてよろしいでしょうか。

障害福祉課長

 検討会の報告の中で、やはり一部負担金をどうするかという議論の中で、そういう配慮がなされたものと考えております。

小川委員

 全くゼロだったものが負担額が出てくるというのは、やはり大きな抵抗があると思います。東京都のように特定疾病療養を使えば人工透析に関しては無料になっても、ほかの医療は逆に神奈川より高くなるという形で考えていくと、どこでも出っ込み引っ込みを上手に、各自治体でこちらを良くすれば、こちらは我慢してよという形でこの重度障害者の方々の助成についても考えているということが今の質疑で理解できました。やはりゼロであったものが負担が出てくる、当初は何千円かの負担を窓口で払わなければいけない。こういうことはゼロからだとやはり負担感が大きいことだと思います。そういうことが重度障害助成制度を受けてきた方々によく理解していただけるように、今までも誠意を尽くしてやってこられたでしょうが、これからも誠意を尽くしてやっていっていただきたいし、県の財政が豊かになったら、透析をしなければ命にかかわるというような疾病の方々にもやさしい施策も行っていただきたいと思います。それぞれの障害を抱えた方々のことをよく考えて、全体を考えていただいた上で、それぞれの方々が納得できる方向で障害者医療費助成制度を運用していっていただきたいと思います。

 我が会派は、将来にわたる良質な医療費助成制度にしていくには今回の自己負担額についてはある程度やむを得ないと思っております。しかし、ここでそうなったからといって、また今後負担額を増やしていくという方向にいかないように、障害者の方々のことをよく勘案していただいて、やさしい神奈川であってもらいたいと思いますので、それを要望して関連質疑を終わりたいと思います。

横山委員

 今回の見直しに当たりましては、先ほど国の制度の利用や制度が変わることによる手続を含め、市町村によってやり方が変わるという御答弁がありました。十分な説明が必要であると思います。知事もしっかりと対応するとの答弁をされておりましたが、今後障害者や関係団体等に対して、どのように周知を図っていくのかお伺いいたします。

障害福祉課長

 まず、市町村や医療機関、それから障害者の皆様に対して6月定例会の後は検討会報告書の説明ということで行ってまいりました。改めて県の考え方ということで説明を尽くしてまいりたいと思います。やはり障害者の方に御理解いただくというよりも、適切に御利用いただくために、支援従事者の研修にカリキュラムとして入れることと併せて、既にそういう支援に携わっていらっしゃる方にはそれぞれネットワーク組織があります。病院の医療ソーシャルワーカーと呼ばれる方たちの団体もありますし、それから今度障害のケアマネジメントに携わる従事者のNPO法人の団体ができました。そういう団体を通じて、障害者を支援する方たち全体がこの医療費助成をどういうふうに使えば一番上手に使えるのかということを徹底して説明して、医療費の適切な利用につなげてまいりたいと考えております。今日の議論を踏まえて努力したいと思います。

横山委員

 努力していただけるということで、そのように希望いたします。

 最後に要望といたしまして、重度障害者の健康の保持及び増進を図ることを目的としたこの制度の安定的かつ継続的な運営のための今回の見直しに関しては、もう少ししっかり検証していただきまして、そのためにも市町村の窓口における事務手続やまた医療機関での支払など、対象者にとって制度が変わることに伴う負担感も相当なものであると思われますので、細かなところをしっかりとやっていただくことを要望して、次の質問に移らせていただきたいと思います。

 次は、神奈川県保健医療計画の改定について質問させていただきます。我が会派の鈴木恒夫議員も代表質問で質問いたしましたが、今般の医療制度改革の流れの中で医療計画、健康増進計画、医療費適正化計画及び地域ケア体制整備構想の改定、作成に取り組まれているところでございます。この3計画1構想の中で医療計画は、県の保健医療施策の総合的な基本指針であり、また県民の生涯を通じた健康の確保や安心した暮らしの重要な基盤となる計画でございます。そこで保健医療計画の改定について、特に計画期間に重点的に取り組むと位置付けた重点施策に関連して何点かお伺いいたします。

 まず、事業別の医療連携体制の構築についてですが、そのねらいなどについてお伺いいたします。

小川委員

 今の御答弁に関しては横山委員の提案を受け入れていただいて、より良いものができればいいと思います。神奈川県保健医療計画は、この審議を経た後、県民意見の反映手続をすると報告資料に書いてあります。今回の9月定例会には医療・介護関係の4計画1構想、そのほかに三つの計画が同時に出されています。4計画1構想については国からの指示もあってつくるもの、改定するものもあるわけですが、今までは私の経験では、こういう計画が素案ですよと出された場合、本当はもう少し完成度の高いものが示されてきたのではないかと、神奈川県保健医療計画をさっと見たときに感じました。ほかの3計画と1構想との整合性をとるということもあったり、各部局での書き込みもあったりということで、読んでいて記載に非常にばらつきがある、バランスがとれていないと感じました。急いでいるということもよく分かりますが、これをそのまま県民にお出しするというのは少し良くないのではないかと感じています。これは国の方針によっていろいろな計画や構想をつくる中で整合性を図りながらやっていくという前提で、ほかの計画が変わればこの保健医療計画も変わるということも含めて、県民の方に分かりやすくお示ししながらのパブリックコメントでないと意味が分からないのではないかと思うのです。未定稿の段階でいろいろな計画をいただいて見てみましたが、この保健医療計画が大もとだと、一番大きな重要な点だと感じているわけです。

 この素案の中にも、例えば県立病院についても記載がありますが、あり方検討委員会からいろいろな意見が出れば、またその記載が変わり得るとも感じたし、独立行政法人化やPFIについても検討していますが、そういうことはこの計画の中には書いてないわけです。それは保健医療計画だから要らないと事前に伺いましたが、独立行政法人にするとかPFIを導入するとか、そういうことはすべて県民に対する医療をどうするかという前提の話ですから、保健医療計画には関係ないという話にはならないと思います。この計画を出すに当たってのそういう細々とした前後関係、これからはまた変わり得るということもしっかりと書いてパブリックコメントをしないと、県民の方に不親切ではないかという印象を持っていますが、いかがでしょうか。

医療課長

 まず、保健医療計画の位置付けでございますが、各計画及び構想を所管する、それぞれ検討する場、会議がございまして、それを通じて策定あるいは改定・見直しの議論が進められていくというプロセスがございます。その中で、本来ならば諸計画の完成の熟度を待って、熟度を高めた段階で医療計画の素案に盛り込み、その時点までの県民意見の反映の手続を行うというのが基本的なスタンスでございます。今後の他の計画との調整の時期的なスケジュールを考えると非常に無理があって、正直なところは熟度を高めて県民に示すというのは難しいところでございます。この点につきましては、実は保健医療計画の推進会議等の場でも委員からも十分でないという御意見がございまして、同じような回答をしているところでございまして、その会議の中でも御了承いただいているところでございます。

 今後それを素案にかける段階で、他の計画の熟度の進展によりまして、この保健医療計画の記載が当然変わりうる部分が出てまいろうかと思います。県立病院につきましてはあり方検討委員会の議論もいろいろある中で、77ページ辺りに記載がありますが、この内容につきましては、現時点ではあり方検討委員会の議論でどういう結論が出ても変わらないと伺っているところでございます。いずれにいたしましても、他の計画との整合性もございますので、県民意見反映の段階につきましては、県民に分かりやすく変わり得る部分は多々ある、評価目標等も記載していない、基準病床数の設定もないということもございますから、そういう面でまだまだ不完全な部分があるということを十分県民にお知らせしながら、県民意見反映手続に臨みたいと思っております。委員御指摘の点につきましては、素案に追加記述して、きちんと県民にお知らせしていきたいと考えているところでございます。

小川委員

 長い御答弁ありがとうございました。この保健医療計画が大切だ、重要だという視点で横山委員が細部にわたって質問したと思っております。今回これだけ大きな多くの計画が出されるにもかかわらず、委員に確定版が示されるのが本日というのは、第一順位の質問者である自民党にとっては非常に不利です。これだけ長い間かかって努力してつくってきた計画を、例え未定稿をいただいたにしろ1週間前にはもらっていません。そういう中でこういう質問をして、審議している私たちも努力し、すごく一生懸命やってきたということもありますが、ほかの委員にとってもそうだと思いますが、もう少し早目に、これだけ多くの計画を出すのなら私たちが目を通す時間をもらわないと、きちんとした議論はできないと思うのです。部長、どうですか。

保健福祉部長

 委員御指摘のとおり、今回は3計画1構想ということに加えまして、さらに、がん対策の推進計画も入ってございまして、そういう意味では計画のオンパレードというのがある意味ではこの9月定例会の特徴なのではないかと思います。これは御案内のとおり、国の法定計画という意味合いもありまして、どうしても今年度中につくらなければいけないものです。また地域ケア体制整備構想につきましては、さらにそれの基本的な数値等を盛り込んだ形で先行した形でつくらなければいけないという意味では、速度的にもその計画の中では若干速度が違うという部分がありまして、我々もかなりこの計画についていろいろと検討するに当たっては、相当時間的には急ぎながらやっていきているという実情がございました。

 ただ、委員御指摘のとおり、いろいろと検討していただくには十分な時間がない、そのとおりだと思ってございます。大変恐縮でございますが、これはまだ素案の段階ですのでいろいろと見ていただいて、当然、節目節目の委員会にはきちんと報告をし、そういう形で意見を聞く場についてはお願いしたいと思ってございます。そういうことを踏まえて、今回は素案ということでございますが、いずれにしても、いろいろな御意見があるとすれば、委員会に限らず、その間においてでも結構でございますし、また今言った節目節目にはきちんと御報告し意見をいただくという形で取り組んでいきたいと思います。また、場合によっては未定稿ですとか、そういうことについても少し考えながら、事前にまだ確定はしてないがこういう形で今つくっていますという姿を見せながら、そのような進め方をさせていただければと思っております。たまたまこれだけの計画が一緒に集まっているというのは、恐らくほかの部局もないと思っておりますので、その特殊性について少し考慮いただきながら、そういう進め方をさせていただきたいと思ってございます。

小川委員

 今の御答弁のとおりだと思うのです。国が言ったからつくっていると言っても、県民のためになるようにつくっていかなければならないわけです。それには余りにも審議の時間が足りなさ過ぎます。これは臨時でも何でも個別でも構わないですが、今日だけでなく、この3日間の常任委員会だけでなく、これからも継続して真剣に議論しなければいけないと思っております。今の御答弁を聞いてある程度安心いたしましたが、皆さんも大変だと思いますが、私たちもしっかりやっていきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

横山委員

 それでは、最後に要望させていただきます。保健医療計画は県の保健医療施策の総合的な基本指針でもあり、県民の暮らしに直結する重要な計画であると思います。すべての県民が健やかに安心して暮らせる社会の実現に向けて、それぞれしっかりと取り組んでいただきたいと思います。