平成19年2月議会 19年2月27日  県民企業常任委員会

指定管理者制度の各施設について

 

小川委員 

 県民部所管施設における指定管理者制度について伺いたいと思います。

 1月の常任委員会のときに、指定管理全般について、管理課長から御答弁いただいたところですが、個々について新年度の予算案が出ておりますので、大きな施設は七つありますが、その中で主なものについて伺わせていただきたいと思います。

 まず、国際課の所管する地球市民かながわプラザについて伺います。

 私は、過去に2度、ここに視察に行っておりまして、指定管理者制度導入直後も伺っております。そのときには、余り大きな変化は感じられませんでしたが、削減された予算の中で努力をしているという感じは受けました。指定管理者制度を導入した平成18年度予算、それから平成19年度予算案では、それぞれ運営に係る委託費の削減がありましたが、どういう部分が削減されたのか、まず伺いたいと思います。

国際課長 

 地球市民かながわプラザは、平成18年4月から指定管理者制度を導入したわけでございますが、平成17年度当初予算における管理運営委託費及び事業委託費の合計3億5,962万3,000円と比較いたしますと、制度導入時では4,017万8,000円の減となっております。

 内容的には、執行体制の見直しによる人件費の減が大きいわけでございますが、そのほか維持管理経費の削減などによるものでございます。

 なお、事業費につきましては、県民サービスを向上させるというようなことで、今までやってきた事業を充実させるということで、300万円以上の増という形になっています。

 それから平成19年度当初予算案では、指定管理料が3億1,717万4,000円ということでございまして、前年度に比べますと、227万1,000円の減となっております。

 主な削減の内容でございますが、1点は、プラザホールの組合管理業務でございます。これはプラザホールの舞台や照明、音響などの運営管理を専門の業者に委託するというもので、再委託しているものでございますが、この業務の平成18年度予算、それから入札予定価格、落札価格を踏まえて減額させていただいたところでございます。

 それから、2点目でございますが、常設展示受付業務の委託につきましては、他市における同種の業務の人件費単価、そういった部分も参考とて、県の非常勤職員単価をもとに再計算を行い、減額をさせていただいたところでございます。

 本来、指定管理者制度の目的とするところは、経費の削減と県民サービスの向上でございますが、経費削減を優先して県民サービスが低下することのないよう、そういった部分については念頭に置く中で減額をさせていただいたところでございます。

小川委員 

 指定管理者制度に移行した時点では、前年度比で11.17%の経費削減でした。今回、平成19年度当初予算では、0.71%の削減となっています。現在、57箇所の県の施設が指定管理者制度を導入していますが、平成18年度と19年度を比較すると増になっているところも結構多いです。

 それは、1年間指定管理者制度に移行してみた上で、無理な経費削減があったため、実情に合わせた経費を計上しようという動きがあったというふうに、私は全体を見て感じました。これは平成20年度に向けて伺うわけですが、地球市民かながわプラザに関しては、今回提案されている3億1,717万4,000円という指定管理料は、これ以上削減できないぎりぎりのところまで削減しているのか、その辺はどう感じていらっしゃいますか。

国際課長 

 先ほどお答えさせていただきましたとおり、平成19年度の指定管理料の予算化に当たりましては、県民サービスの水準を落とさないということを前提に、指定管理者と協議し、決定させていただいているものでございます。必要な見直しを行っているものでございまして、その際には、事業費だとか、展示場、エレベーター等の保守管理業務、清掃業務などの維持運営に係る業務全般につきまして、改めて分析、協議をさせていただきましたが、安全性の保持、館内環境の保持など、仕様で達成が求められている水準、この水準の低下がないという中での削減という形にさせていただいております。そういった部分を考えますと、これ以上の削減は、なかなか難しいのかなと思っております。

小川委員 

 ほとんどボトムに近いという御答弁だと思います。それはしっかりと記憶しておき対と思います。

 次に、運営状況についても、利用率などの数字を事前にいただいてチェックしてみましたが、地球市民かながわプラザ全体の利用率が69.4%から71%へと1.6ポイント上がっただけで、展示室はむしろ0.9%下がっています。指定管理者制度を導入しても大きな改善がないというように私は見ているんですが、担当課としてはどう思いますか。

国際課長 

 昨年の4月に指定管理者制度に移行いたしまして、約10箇月が経過したわけでございますが、この間、指定管理業務の実施状況という形で、指定管理者から毎月1回報告をいただいております。また、その報告を受けた中で、連絡会議と呼んでおりますが、当課の担当職員が現場に行き、ヒアリングなどを実施して、チェックをしているというような状況でございます。

 そういった中で、これまでのところを見てみますと、施設の管理面では、各施設の維持管理が計画どおり実施されており、施設のエレベーターだとか県の管理する部分がございましたが、そうした部分においても、安全性の確認をさせていただいているところでございます。

 また施設の運営面については、プラザホールを中心にいたしまして、大幅増というわけにはいきませんが、利用人員は伸びているというようなことがございます。

 それから、事業の実施面ですが、ワールドカルチャー・デイを始めといたしました新規事業等も計画どおり順調に実施されております。そういうことで、総体的には順調なのかなというふうには思っています。

 ただ、そうは申しましても、先ほど委員から御指摘を受けましたように、展示室の利用人員は前年度実績を下回っておりますので、より多く利用されるよう、広報等も実施をしていかなければいけないだろうと思っておりますし、また、貸出施設の事業の受付に際しまして、苦情等もいただいております。そういった部分では、職員教育を徹底いたしまして、来館者に対する、より親切で丁寧な対応、こういった部分の御指導もさせていただいているところでございます。

 さらに、プラザの事業面でお話しさせていただきますと、事業終了のたびにアンケートをいただいておりますので、そういったアンケートの内容を踏まえて、今後事業の改善もしていかなければいけないというふうに思っております。

 指定管理の業務の実施に当たりましては、こうした運営上の課題を改善しながら、魅力ある運営を行っていくことが重要というふうに考えておりまして、今後も館内利用者からの御意見、御要望を吸い上げながら、より良いものにしていきたいと考えております。

小川委員 

 私が年度当初に伺ったときには、新規の事業についても幾つかお話を伺ったんですが、まだ指定管理者制度を導入したばかりで、計画をしているところだから、余り大きな変化はないと感じました。経費は削減されたが、もっと工夫ができるのではないかなという思いを持って帰ってきたんです。

 指定管理者の(財)神奈川県国際交流協会は、(財)かながわ学術研究交流財団を統合し、また違う形で新年度からスタートするということですが、これらの財団に関しては、県のOBも複数いらっしゃるし、そういう方々がどうなるかによっては人件費等も削減されていくこともあるのではないかと思っております。プロパーをもっと使って、財団の組織としてきちんとした形で進めるとともに、運営に当たってはもっと目をみはるようなイベントができるはずだと私は思っています。私が年度当初に伺った時点では、そういうことは感じられなかったので、指定管理の経費の中でしっかりと工夫をして、「プラザここにあり」というぐらいのことをやっていただきたいと要望します。

 次に、藤野芸術の家、柳島青少年キャンプ場の指定管理者である(社)神奈川県青少年協会について伺いたいと思います。

 藤野芸術の家にも、私は何回か足を運んで、指定管理者制度の導入前後について自分の目で比較をしてきておりますので、それを中心にお話をさせていただきたいと思いますが、指定管理者制度を導入してからは、この施設に入った瞬間に、「いらっしゃいませ」という言葉も出るようになったし、非常に明るい感じになったと思います。指定管理になったという緊張感をきちんと持っているんだなと深く感じました。

 ただ、指定管理についての意見交換をする中で、やや考え方が違うのではないかと思うようなところも見えてまいりましたので、それらについては、現場で指摘はさせていただいてきておりますが、その後の推移なども含めて数点伺いたいと思います。

 この藤野芸術の家については、平成19年度当初予算は前年度より増額されていますが、これはどういう理由でしょうか。

青少年課長 

 予算増額の理由ですが、昨年度、石油の高騰による燃料費の高騰等に伴いまして、ぎりぎりのところで指定管理をお願いしていたということで、(社)神奈川県青少年協会の方から増額の要望があり、私どもとしてやむを得ないということで増額を認めたという次第です。

小川委員 

 (社)神奈川県青少年協会の方でも、民間からも採用するなど、人員を一新して対応されているという話も聞いておりますが、協会の方々のお話では、利益を出してしまうと指定管理料を削減されてしまうのではないかというような本音をお話しされていました。そういうものではないということを、私はきちんとお話ししてきたわけですが、その後、青少年課長にもそれをお伝えして、協会と十分に意見交換をしていただいたと思います。それで、平成18年度は黒字が出たのでしょうか。

青少年課長 

 各施設では利用料をとっておりますので、努力して収益が上がった場合は、また新たな事業に使えるということを御説明させていただいております。

 新たな事業ということで、手づくりのお土産をつくったり、小さいお子さんと親が参加できる自主事業などを工夫したりして、自主事業に参加していただく方が昨年度に比べて多くなっております。それから、冬場の閑散期に神奈川フィルハーモニー管弦楽団の新春コンサートというのを開催して、チケットが早々に完売するなど、指定管理者も、魅力ある、そして手づくりの事業を自ら工夫するという意識が芽生えてきたというふうに考えております。

 利用料収入の見込みによると、今年度は80万円くらいの収益が上がると予想しています

小川委員 

 努力が実り、そして指定管理料も増額されたということで、藤野芸術の家としては良かったんだと思いますが、(社)神奈川県青少年協会が管理をしているのだから、青少年に関する様々な問題や課題に対応して、青少年に対する育成事業みたいなものも考えているのか伺ったところ、そういう方面については、協会の本体でやっていて、ここは管理業務だけなので、そこまでは考えられないといったお答えをいただきました。

 清川青少年の家では、県の直営ですが、積極的にいろいろなプログラムをつくって、青少年の育成のために非常に大きく寄与していると聞いています。藤野芸術の家に関しては、目的は違うにしても、(社)神奈川県青少年協会が運営しているのだから、例えばNPOでフリースクール等を運営している方々と連携するとか、そういう方々にアピールして場を提供するとか、そういうことも利用率の向上につながるのではないかということで、非常に具体的な提言をしてきたのですが、その後はどうなっているでしょうか。

青少年課長 

 藤野芸術の家につきましては、大人も子供も気軽に芸術体験をしていただいて、豊かな自然に触れていただいて、親子、それから仲間の絆を深めていただくという目的で、より多くの県民に利用していただくような運営を願いしております。

 (社)神奈川県青少年協会としての特徴というのは、なかなか出しづらいとは思いますが、委員がおっしゃったフリースクールを運営している団体等に対して、そのプログラムまでつくるというのは非常に専門的なもので難しい部分もありますが、そういったフリースクールの方々がわざわざ遠くまでキャンプに行っている現状もありますので、近くにこういった自然豊かな場所があるということで、ただパンフレットを送るのではなく、こういった利用の仕方があるというPRをすることについても検討をしているところでございます。

小川委員 

 平成18年度の藤野芸術の家の利用率は76%前後ということで、前年度に比べて少しは利用率が上がっていますが、これを上げることによって、指定管理者も豊かになるということもあるわけですから、様々なすばらしい環境を利用して、(社)神奈川県青少年協会として今の青少年の課題に対応していくという姿勢を見せるためにも、そうした方向で、サービスの行き届いた指定管理をしていっていただきたいと思います。期待をしておりますので、是非これからもしっかりと御指導をよろしくお願いしたいと思います。

 次に、文化課所管の3施設についてお伺いしたいと思います。

 まず、管理委託していたときからの予算額の変遷、それから平成19年度当初予算の特徴、これについて伺いたいと思います。

文化課長 

 県民ホールの指定管理費の変遷でございますが、平成17年度は7億7,336万3,000円、平成18年度は6億9,347万6,000円、平成19年度当初予算案では6億8,044万3,000円ということで、前年度比1,300万円ほどの減となっております。これは、舞台技術者の再委託をしている部分についてプロポーザルを実施して減額をしたものでございます。

 音楽堂につきましては、平成17年度が2億254万8,000円、平成18年度が1億8,449万1,000円、平成19年度当初予算案では1億8,235万2,000円ということで、前年度比213万9,000円の減となっております。これも舞台技術者のプロポーザルを実施して、減額をしたものでございます。

 神奈川近代文学館につきましては、平成17年度が4億1,638万8,000円、平成18年度が3億9,870万6,000円、平成19年度当初予算案では3億9,573万1,000円ということで、前年度比297万5,000円の減ですが、こちらは図書データの入力の委託費を引き下げたものでございます。

小川委員 

 改めて全部伺ったわけですが、予算の削減が実現されております。これも先ほどと同じ視点で伺いますが、削減としてはこれがボトムなのでしょうか。

文化課長 

 県民ホールと音楽堂につきましては、舞台技術者の再委託について、プロポーザルを実施して引き下げた結果だというふうに言いましたが、そこまで引き下げられた理由は、舞台技術者の人員の入替えを行ったことと、それから、県民ホールは14名の常勤スタッフで運営していたのですが、10人を常勤にして4名を非常勤にするというふうな交代をして、引き下げが実現をしたものです。

 では今後どうなるかと言いますと、舞台技術者については、そのホールに専属の技術を持った人がいなくなるとなかなか運営ができなくなります。特に県民ホールの場合は、今はコンピューター制御の電動巻上機が主流なのに、まだ手引きによるバトンの昇降をやっていますので、その技術を持った人が交代していなくなるということは、非常に危険を伴います。日本全国の舞台では、年にかなりの事故が起きて死亡者も出ているような状況でありますから、「安かろう」でここを引き下げるのは危険であると考えております。そうした安全を考えると、引き下げはこれがボトムだと思っております。

 それから、図書データの入力につきましては、やはり100万件を超えるような保存資料を持っており、これを計画的に入力していっております。ただ、この入力作業は職員でもできるため、委託側としては、職員が交代して入力するというような方法で削減をしたものです。データの入力には支障はありませんが、これ以上引き下げる金額はありません。

小川委員 

 この3施設の指定管理については、以前にも伺っておりますから、余り細かく伺うつもりはありませんが、今のお話では、あの旧式の県民ホールでもうこれ以上削減をすると危険が伴ってくるぐらい、ぎりぎりの経費削減はしてきているということだと思います。昨日の答弁によると、様々な経費の削減が図られるため、県立新ホールも県民ホールと同一の指定管理者が望ましいというお話がありましたが、古いタイプの装置で技術者がいないと危険が伴うというような県民ホールと全く新しい設備の新ホールとが、同じ指定管理者というのも、何か非常に矛盾を感じますし、本当にそういうことができるのか疑問に思います。

 また、県民ホールの指定管理者である(財)神奈川芸術文化財団の在り方についても、特に人件費等については、まだまだ県の職員と同じレベルということでやっているようですから、高いと思いますので、新ホールと県民ホールを同じ指定管理者で運営していくというのは難しい問題があると思っています。

 例えば、プロダクションなどが新ホールを指定管理で請け負えば、今までの県民ホールとは違ったいろいろなことをやっていかれるでしょうし、県民ホールと新ホールとで競争原理が働いて、経費もある程度削減できるのではないかと思います。全く違う指定管理者がやれば、お互いにとって良い状況になるということも考えられるのではないかと、昨日の御答弁を聞いていて思いました。この私の意見についてどのようにお考えでしょうか。

文化課長 

 同一の指定管理者により運営するメリットの数値的なものは今、お示しできないので、説得力に欠けるかもしれませんが、例えば管理部門一つとりましても、県民ホールには11の管理部門があります。それから、チケットセンターですが、これも正規の職員は4名程度だったと思いますが、アルバイトも入れてトータルで8名とかいう職員が張り付いております。こういったものを二つも持つというのはどう考えても非常に効率が悪いですので、そうした点が経費の面での統合のメリットとして非常に大きいと思います。

 それから、昨日も申し上げましたが、競合しないできちんと役割分担してやっていただく方がメリットが大きいのではないかと考えておりまして、今のところ一体の指定管理者が運営していくという方向で考えていきたいと思っております。

小川委員 

 今の御答弁は分かりますが、それは、(財)神奈川芸術文化財団を前提としての話ですよね。こういう文化関係の施設については、神奈川県の責任上、指定管理者制度でずっと運営していくというのは難しいと思います。というのは、(財)神奈川芸術文化財団にしても、(財)神奈川文学振興会にしても、神奈川県との深いつながりがあって、お願いして委託してきたという、いろいろな今までの経緯があるわけです。

 指定管理者制度というのは、競争原理を働かせて、民間事業者等に3年間あるいは5年間管理してもらうという制度ですが、その考え方を、(財)神奈川芸術文化財団や(財)神奈川文学振興会に当てはめて本当にいいのだろうかという考え方もあるわけです。(財)神奈川芸術文化財団にしても、県職員のOBがいらっしゃいますし、給料もその分は高いんでしょうし、ほかの専門職に関しては、むしろ非正規雇用を推進して人件費を落としているわけです。経費削減するようにと県が言うことによって、非正規雇用を推進していいのだろうかと私はすごく矛盾を感じています。

 県とこの二つの財団との今までのいろいろな経緯、関係があるので、整理するというのは難しいとは思いますが、指定管理をする場合に、それを県立新ホールにまで引きずっていってもらいたくないというふうに思います。だから、経費の削減というのをしっかり考えていただいて、この芸術関係の二つの財団の指定管理が本当にふさわしいのかどうかということをもう一度考えていただきたいと思います。

 最後にもう一つだけですが、県立新ホールに関して、私が前にお話しいたしました光触媒技術を外壁に活用するという方向で考えていただいているということに深く感謝を申し上げます。県の他の部門とのこういう連携をこれからもますます深めていっていただきたい、このようにお願いを申し上げまして、質問を終わります。