小川久仁子   平成19年9月議会  19年9月20日   自民党代表質問


      子どもたちを取り巻く課題について     



 

小川くにこでございます。

松田議長のお許しを頂きましたので、私は、自由民主党神奈川県議団を代表して、通告に従い、提言・要望を交えて質問いたします。

なお、自民党神奈川県議団史上、女性議員による代表質問は、本日が初めてということでございます。

その意義を心にきざみ、女性としての視点を生かして、神奈川県の子どもたちを取り巻く課題に絞って質問をいたします。

先輩、同僚議員の皆様には、ご清聴賜りますよう、心からお願いを申し上げるところでございます。また、知事・教育長には明解なご答弁をお願いしておきます。

 

日本全体を見渡しますと、少子高齢化、地域格差、経済格差の拡大、市町村合併など、今後の日本には、人口減少という大きな流れの中で、移行期、過渡期に特有な様々な課題があります。

しかしながら、本県では、首都圏人口集中傾向のお手本のように、川崎、横浜を中心にまだまだ人口増が続き、県人口900万人を突破すると予測されております。が、「神奈川は日本の縮図」といわれるように、県内でもすでに市町村単位では人口減が始まっている地域も多々あります。こういう流れを踏まえた上で、質問に入ります。

 

まず、私立幼稚園の設置基準緩和の問題について伺います。

現在、本県は私立幼稚園の就園児人口増加地域指定を行い、幼稚園定員の上限撤廃と、既存園地の面積の二分の一までは借地で拡大できるとする設置基準の緩和策をとっております。

後者の緩和策は平成18年6月定例会における私の提言により実現したものですが、全国的にも例を見ない画期的な規制緩和策だと、私は大変高く評価しております。

私がこの規制緩和策を提言するに至った背景には、川崎市全域で人口が急増し、人口増加率が過去6年間継続して全国1位であることが挙げられます。

特に私の住まう高津区は、川崎市の中でも有数の人口急増地域です。これは、東京都内に通勤しやすい、物価の面でも暮らしやすいという利点から、会社、工場、事業所の移転跡地に大規模マンションが林立しているからです。そして、そういうマンションには、比較的若い世代のご家庭が多くお住まいになっています。

その結果、小中学校の教室が足りない、幼稚園も保育所も足りないという状況が生まれております。

保育所の待機児童という言葉は以前からありましたが、川崎では「幼稚園浪人」という言葉さえ生まれたほどです。

 せっかく、わが町として神奈川県を選択してくださった若い世代の御両親に、子どもが保育所や幼稚園に入る段階でご苦労をかけるのは忍びない、県会議員として何とか現状を改善できないかという、強い思いを私は抱きました。

 保育所は一義的に市町村の仕事ですが、本県の幼稚園は92%が私立ですし、幼稚園児の97%は私立幼稚園に通園しております。

私立幼稚園の許認可権は県にありますから、県全体の私立幼稚園の状況を調査し、本県で平成15年度から行われている幼稚園就園児人口増加地域指定の効果を調べました。

この指定は、幼稚園に実際に通園している園児数−実員が、定員の110%を超え、なおかつその差が350人以上になっている市区を指定し、本県の幼稚園設置基準の範囲内で一幼稚園定員350人以下という上限を撤廃するという内容です。

この指定は、平成15年度指定当初、横浜市鶴見区・港北区・青葉区・都筑区、川崎市中原区・高津区・麻生区の7区でした。平成18年度には横浜市は同4区、川崎市は川崎区・幸区が追加指定され9区になり、川崎市では定員超過率が市全体で約120%、幸区単独では130%を超えてしまいました。

実際にこういう地域の幼稚園に行ってみますと、園舎や園庭に、子どもたちがひしめきあっているという状況であり、子どもたちの教育環境は非常に悪化していると感じました。    

こういう現状を改善し、なおかつ子どもたちが幼稚園に入りやすい状況にするためには、幼稚園が園地・園舎を拡大すれば解決するのですが、大都市横浜・川崎では地価が高く、私立幼稚園としては、マンション建設による一時的な人口増に対応して園地を購入するというリスクは冒せないという判断もあります。

本県の私立幼稚園に対する経常費補助金は、幼稚園児一人当たりの平均額では全国で最下位ではありますが、補助金の算定方式である標準的運営費方式により、教員数・児童数等を基にした50%の補助金が各私立幼稚園に毎年支出されています。

しかし、園地取得や園舎建設には補助金は支出されませんので、園地購入は経営者にとっては大きな負担なのです。とはいえ、子どもたちのことを考えると現状を放置することはできません。

そこで本県の幼稚園設置基準を緩和したらどうかと、私は県当局に提言したのです。

本県における幼稚園就園率は、3〜5歳児全体で、平成18年度が61.1%で前年比若干上昇気味であり、川崎市全体では同年で63.5%、幸区77.4%、高津区67.4%、5歳児に限れば、全体で72.6%、幸区84.7%、高津区77.5%と

幼稚園の需要の高さが窺えます。

私は、平成17年に構造改革特別区域制度、いわゆる特区制度を活用して本県に開設したシュタイナー学園を支援した経験があります。このシュタイナー学園は、全国で初めてNPO法人を改め、学校法人として開設した、教育内容も非常に特色のある学校です。

教育特区では学校が新設されやすいように、設置基準を緩和し、校舎・校庭の自己所有要件が撤廃されております。これを応用して、本県の幼稚園設置基準を緩和し、この特区と同様に、園地・園舎を借地・借家でも可能とすれば、幼稚園経営者のリスクが減り、人口急増地域の子どもたちが入園しやすくなるのではないか?と私は考え、平成18年6月に常任委員会で提言したところ、冒頭申し上げた既存の園地面積の二分の一までは借地でも園地が拡大できるという緩和策が同年11月1日に実現しました。その結果、幼稚園の定員超過率は微減しましたが、川崎市平均でまだ116%であり、幸区では133.39%とむしろ超過率は増加し、さらなる緩和策をどのように展開していくかは重要な視点であります。

そして、平成19年3月28日付けで文部科学省から各都道府県知事あてに、国所管の大学等の校地及び校舎を民間等からの借用も可能とした旨の通知が出されました。またこの通知によれば学校法人等が経営する都道府県知事所管の私立学校の認可を行うに当たっては、校地及び校舎の自己所有要件の緩和など、より柔軟な取り扱いが可能とされています。

●そこで、お尋ねいたします。この通知の趣旨から見れば、現在の幼稚園園地1/2を借用可能とした現行の幼稚園設置基準を、昨年私が提言したとおり、さらに大きく緩和することが可能になりますが、知事のお考えを伺います。

●さらに、この通知によれば、都道府県知事が所管する学校法人による小学校、中学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校にも同様の自己所有要件緩和措置の取り扱いが可能であるとされていますが、幼稚園以外の他の校種についてはどのように考えるのか、

また、学校法人はその公共的な役割から、経営の安定性・継続性の確保が重要であり、校地・校舎、園地・園舎を借用により設置する場合には、経営の安定性・継続性を担保できる条件を他に課す必要があると考えますが、併せて、お伺いいたします。

 

次は、6月定例会におけるわが会派土井議員の代表質問に引き続き、認定こども園について伺います。

現在は本県では4園の認定こども園が認定され、当局の幼稚園・保育所に対するアンケートによると、2090園からの回答がよせられていますが、今年度以降、認定こども園の認定をめざしている幼稚園・保育所は70園になります。

その内訳では、幼・保連携型か、幼稚園型の認定こども園に限られており、この点が神奈川県の大きな特徴と言えます。本県では、先ほどの質問のように就園児人口増加地域があり、そういう地域では保育所待機児童数も当然非常に多くなっています。

他方、多くの地域で幼稚園が定員割れしていますが、そういう少子化傾向の地域であっても保育所の待機児童数は増加しています。

こういう事情から、まず保育に欠ける子ども達への対応が先であるという関係者の認識が保育所型の認定こども園の予定がないという結果をもたらしていると思われます。が、認定こども園制度は、国も示しているように、少子化により効率的な幼稚園教育が成立しなくなってしまった地域、または首都圏のように児童人口急増により待機児童数が多い地域で、有効な制度であります。

しかも、保育に欠けない子どもたちも受け入れる、また子育て支援機能を義務付けていると言う点が新しい視点であり、子育てに専念する若い世代のお母さんたちの悩みに対応できると期待できます。

先に述べたアンケートによる数字を地域別に見てみますと、横浜・川崎両市の幼稚園が認定を受けようとする割合が高くなっておりますし、既に認定を受けた4園の認定こども園のうち3園は横浜地域です。

横浜・川崎市では保育所に入所するには、母親の労働時間など多くの厳しい条件が課されており、保育に欠けるこどもと認められること自体がなかなか難しい現実があります。

こういう子どもたちの環境を考え、改善するために、認定こども園は役立つのではないかと思われます。が、全国的に認定こども園の認定があまり進んでいないのは、幼保一元化を目指していたにも関わらず、省庁の縦割りをそのまま制度に持ち込んでしまったために、制度自体が、認定を受けようとする事業者にとっても、利用しようとする県民側にとってもわかりにくいことが理由であろうと、私は考えています。

現在、認定子ども園は、幼・保連携型、幼稚園型、保育所型、地方裁量型の4類型、またその中でも、縦の連携、横の連携などがあり実際に非常にわかりにくい制度なのです。

当県の就園児人口増加地域において、当制度をうまく使っていくことは重要な政策であると私は考えています。

●そこでお尋ねいたします。認定こども園制度について、県当局も議会からの提言を受けて、わかりやすい説明をと努力されているのは理解できますが、もっと分かりやすく、もっと的を絞った説明が必要であると考えます。 特に就園児人口増加地域や、保育所待機児童数が多い地域の幼稚園などに的を絞って説明していくということも、本県の子どもたちの環境に合わせた制度活用方法の一つなのではないかと考えますが、知事のお考えをお聞かせください。

そしてまた、県は総合計画や条例の中で、私立幼稚園には補助金や預かり保育の充実などを示し、保育所には待機児童数の解消に努めるなどとし、認定こども園制度は推進すると個別に示しています。

●幼児教育全体を見渡すという視点に立って、幼稚園はこれからどうしていくのか、保育所はどうするのか、認定こども園はどうするのか?という、それぞれの施設についての具体的な長期ビジョンはどこにも示されていません。

 県としてこういうビジョンをキチッと示していくことは重要だと考えますが、知事の考えを伺います。

 

次は接続期の学びについて伺います。

幼稚園・保育所から、小学校に進学する時期の課題について、特に伺いたいと思います。

私は地元の幼稚園・保育所・小学校は勿論のこと、県内各地の小学校・中学校・高等学校を公立・私立問わずに視察してきました。その数は8年間で延べ120校以上を数えるほどになりました。

こういう視察の体験の中で特に記憶に残るのは、小学校低学年の指導の難しさです。視察先の小学校内を歩きますと、授業中に廊下に転がっている子どもがいたり、勝手に図書室で本を読んでいる子がいたり、教室内を走り回っている子がいたりと、驚くことが大変多いこのごろです。

中・高等学校での授業中に寝たり、携帯電話を使っていたり、グループで授業ボイコットしたりという例とは異なる、教員の指導力だけではどうにもならない難しさをひしひしと感じてまいりました。

こういう小学校低学年での指導の困難さはここ10年ほど顕著になってきたものと、どの小学校を訪問しても耳にする事です。

これは神奈川県だけではなく全国的に見られる現象であり、これを解決するために、様々な研究や試みが行われています。

この試みの先駆者である神奈川県相模原市の富士見小学校では、報道によると5年前の開校直後からこの小1プロブレムに取り組んできており、子ども達の親や大学生達のボランティアにより、子ども達を教室内で見守り、整理整頓や着替えを手伝ったり、手をつないであげたり、トイレに一人で行けない子には付き添ってあげたりしているそうです。また、正式なクラス編成を入学1ケ月後にしなおし、各学級の子どもたちの組み合わせが平均化されるように工夫もして、学級崩壊を未然に防ぐ試みもされているようです。

このようにまるで幼児のような1年生が目立つようになったのは、核家族化・少子化と地域の教育力の低下で、人とかかわる体験の少ない子が増加しているためだとも言われており、現代の課題が子ども達の姿を借りて浮き彫りにされているような感じがいたします。

有識者によると「幼稚園と小学校の環境にはかなりの差があり、言葉だけでは子どもは動いてくれない、小学校は幼児教育のよい点を取り入れるべきだ、先生の意識改革が必要だ」とも提言しています。

この富士見小学校での試みは全国から注目され、各地からの視察も多いそうですし、富士見小学校方式のクラス編成を取り入れている小学校も増えていると聞いております。

また秦野市では、県教育委員会と市教育委員会の協力で文部科学省委嘱事業として、平成17・18年度にわたり就学前教育と小学校の連携に関する総合的調査研究を行ったと伺っています。

この研究事業に関しては報告書も提出されており、私もじっくりと読ませていただきました。

そこには幼稚園や保育所の子ども達が小学校のお兄さん、お姉さんたちと接し、子どもなりの刺激をお互いに受けあって、成長する様子が報告されています。

また親達も幼稚園や保育所の先生や保育士との関係と、小学校の先生との関係との格差、違いに冷たさや、戸惑いを感じているという報告もあります。こういう報告書から見ても、核家族で兄弟数が少ない現代では、幼児教育から小学校教育への接続期にはこれまでとは異なる学びのあり方が求められるべきだと考えます。

●そこで、当県では今後、この幼保・小の連携を通じた接続期の学びへの取り組みをどのように展開していくのか、教育長の考えを伺います。

 

また、さらに、この幼稚園・保育所と小学校の連携だけではなく、小学校から中学校への接続期、中学校から高等学校への接続期もスムーズに子ども達の学びをつなげていくことも重要です。必要な情報を共有しながら、学校間でしっかりとした連携を行い、子ども達への守りをつないでいくことが大切です。

先に述べた、小1プロブレムや小学校から中学校に進学する際の「中1ギャップ」といわれる不登校のきっかけになるような課題を解決するためにも、幼稚園・保育所と小学校、小学校と中学校の緊密な連携は必要不可欠であると考えます。そして、この連携を深める試みが進められていると承知もしております。

しかし、この異校種間連携を推進していくに当たって注意すべきは個人情報保護であります。私は地元小学校の視察を重ねるうちに大きな疑問を抱きました。

視察先の教員の中には、個人情報保護法に違反するような話をいとも簡単に私にする方もいましたし、また学校での情報収集や情報発信の方法にも個人情報保護の観点からは疑問を感じるような話も多々ありました。

そして、今でも日常的に、教員による生徒達の個人情報満載のパソコンを盗まれたとか、置き忘れたとか、喪失したという報道が連日流されています。

平成17年から全面施行された個人情報保護法に私は大きな関心がありましたので、学校視察していても気づくところが多くありました。

川崎市教育委員会に、直接この点についてわたしから申し出たところ、すぐに、学校における個人情報の取り扱いを検討するプロジェクトチームを立ち上げ、同年中に「川崎市立学校・幼稚園における保有個人情報の取り扱いに関するハンドブック」を制作しました。ここでは、具体的に、明確に個人情報の扱い方を示しています。同様のハンドブックは横須賀市でも制作していると伺っております     が、他の市町村ではまだまだそこまでにはいたっておりません。 

私はこの件について、同時期に県当局にも指摘致しました。本県でも川崎市と同様にプロジェクトチームを立ち上げ、方向性を探ってきたことは承知しておりますが、義務教育機関での個人情報保護は各市町村の定めによるとなっているため、県全体の足並みをそろえていくためには県教育委員会の大きな努力が必要だと思います。

●この問題に関して、県教育委員会では夏季期間中に、各市町村教育委員会と協議を重ね、幼児、児童・生徒の個人情報の取り扱いについて通知を出したと聞いておりますが、接続期の学びを充実させ、学校間連携を推進するにあたって、必要な個人情報を収集し、適切に扱うために、県教育委員会として今後どのような方針で臨むのかは非常に重要であると考えますが、教育長の見解を伺います。

また、接続期における個人情報の問題は、義務教育だけでなく、県立高校、県立の養護学校にも当てはまる問題ですので、これらの場合も併せてお伺いいたします。

 

 

最後に指導力不足教員への対応についてお尋ねいたします。

指導力不足教員に遭遇することは、子どもたちにとって大きな不幸であり、その子にとって生涯消えぬ心の傷となったり、場合によってはその後の人生さえ狂ってしまうことにもなりかねません。指導力不足教員についてはわが会派からも幾度となく教育現場からの一掃、研修の充実など求めてきたところでございます。

教育現場に足を運べば、一生懸命に児童生徒のために汗や涙を流して働いているすばらしい先生方にお会いできますが、一方、セクハラや、指導力欠如の教員や、そこまで行かなくても、やる気や情熱を失った教員が現場には多数存在しております。こういう最悪な指導力不足教員にどう対応してゆくのかは、非常に重要な課題であると私は思います。

本県では平成13年度から19年度に指導力不足教員と判定された教員は市町村立学校、県立学校合計で94名です。内、分限免職2名、退職46名、研修により判定解除された教員37名、計85名を差し引いた9名が現在指導力不足教員として研修を受けております。この中に本県のある市町に住む母親から私が陳情を受けた教員が含まれています。その教員によって、子どもたちが長期間に渡りどんなに苦しめられてきたか、涙ながらの訴えを伺ったのは2年前でした。一人の教員を不適格、指導力不足と判定するに当たっては、その教員自身の一生がかかっておりますので、公平な立場を取るために、私は慎重にこの事例には対応いたしました。被害にあった子どもたち自身やご両親の複数の確固たる証言があれば、しっかりと対応いたしますとそのお母様に約束したところ、A4サイズ原稿30枚以上に及ぶ複数の方による証言集が手元に届きました。それをじっくり読むと同時に、県教育委員会にも提出し、市町の教育委員会と協議していただくようにお願いいたしました。その結果、当教員は一定の処分を受けました。免職にはならなかったものの、監督不行き届きという事由により、勤務校の校長も処分された事実を見れば、申し立てた母親達の言い分が正しかったということは明白です。 

が、勇気をふるって証言された方々は、その教員が同じ学校にまた戻ってくるのではないか、証言したことで復讐されるのではないかという不安をお持ちでしたので、私は経緯を見守ってほしいと一生懸命にその方たちを説得して参りました。

ところが、本年の4月、当の教員が研修の一部として同校で現場研修を受けることになったのです。同校には、その教員から暴力をふるわれたり、授業を受けさせてもらえなかったり、理由もなく最低の成績をつけられたりと、苛め抜かれた子どもたちの兄弟たちがまだ在籍していましたので、その子どもたちが、恐怖心におびえ、混乱状態におちいってしまいました。早速私に現地から連絡がきましたので、県当局に事の経緯を問い合わせたところ、即刻、その教員は市町教育委員会にひきあげられました。

このことで、その教員によって、被害にあったご家庭は2度にわたり泣かされたことになってしまいました。なぜこのような事態を未然に防げなかったのか?これは県教育委員会の大きな過ちであったと、私は考えています。そもそもこの案件については、親も子どもたちも何年間も当該教員によるいじめを必死に耐え、学校に何度も助けを求め、他の教員にも何度もSOSを出したのにも係わらず、すべての学校関係者が知らぬふりをし続けてきたことに大きな原因があるのです。

このままでは、あまりにも子どもたちが可愛そうだと思う親心から、私に訴えがあり、県教育委員会に情報が伝わり、初めて事が動いたのです。

その後も、県所管の市町村立小中学校の教員については、市町村教育委員会に服務監督権限があり、日常的な指導はできないと県教育委員会は逃げ、市町村教育委員会は、県が免職しないものを、市町村では免職できないと、互いに責任を回避してきました。このような不幸な事例を2度と引き起こしてはいけません。

県教育委員会では、いじめやセクハラ対策に近年工夫をこらし、システム構築に努力をされてきたことは承知していますが、どんなに立派なシステムがあっても、それを運用するのは、教育現場です。父母の方々や生徒自身からSOS

が発信されていても、全く気づかない、もしくは気づいても無視するような体質では、全てが機能せず、無に等しい状況になってしまいます。教育現場においての正しい判断力の育成が重要であります。そしてまた、指導力不足、不適格教員は9人どころではなく、現在ももっと多数の指導力不足教員がいると、私は見ています。子どもたちが幸せな学校生活を送るために、指導力不足教員を教育現場から一掃する事は、何度もわれわれが指摘したように重要な命題であります。

●そこで教育長に伺います、このほど、教育公務員特例法の改正により、指導が不適切な教員の人事管理について法制化がなされ、平成20年度から施行されることとなりました。

この改正によれば、指導力不足教員の研修後の免職その他の必要な措置を、県の責任で講ずるということが明確に示されたようでありますが、改正法の施行にあたり、本県としてはどのような考え方で臨むのでしょうか?

施行までの手順及びスケジュールとを併せてお伺いいたします。

 

以上で、私の第1回目の質問を終わります。ご清聴、まことにありがとうございました。

 

知事・教育長答弁後  小川くにこ2回目の発言

私の質問の趣旨を理解していただき、ご答弁頂きありがとうございました。神奈川の0歳児から18歳までの150万人の子どもたちになりかわりお礼を申し上げます。

認定こども園、保育所、幼稚園に関しては、長期ビジョンが初めて示されましたが、本県の子育て支援推進条例にも、このビジョンは位置づけがありません。他に指針とか計画で位置づける考えはないのか?

ただ教育長の答弁には非常に不満です。個人情報保護の問題についてはまだしも、指導力不足教員に関しては、傷つけられた多くの子どもたち、苦しんできた多くの子どもたちに対する謝罪の言葉がどこにもなかった。どう考えているのか?



教育長からの謝罪の答弁後、小川くにこ3回目の発言

時間がありませんので、これで私の質問はおわります。