溝口駅前交番について

   溝口駅一前交番の改善要求についでは、議員当選直後から取組んできた懸案事項だった。現駅前交番が、溝口駅前再開発に伴って移設された時点から、私は大きな疑問を抱いていた。交番の屋根が、キラリデッキに近接していて、デッキに接続する事も可能なはずなのに、なぜ接続していないのか。交番に隣接する川崎市の公衆トイレがデッキにも接続しており、地上からもデッキ上からも利用できるのにもかかわらずだ。又、地上からもデッキ上からも、どこから見ても、それが、交番だとわかるような看板褐示が、なぜないのか?交番に行こうと思っても、駅前商店街方面からは、非常に遠回りをしなければならない。何故あんな場所にそもそも交番を設置したのか。デッキ上を歩けば歩く程、交番について考えれば考える程、どんどん警察に対する疑問は深まるばかりだった。

   当選直後、高津警察署を訪問し、数点改善要望事項を当時の署長に手渡した。その結果交番直近の信号に「溝口駅前交番」という小さな看板がついた。又、東急ストア側の交番の二階カベ部介にローマ字で小さく「KOBAN」と掲示された。そしてデッキ上の柱、階段部分に、駅前交番の表示布製看板が十枚程取りつけられた。この時点までに、高津警察署と度々やりとりがあったのだが、その対応の悪さ、感度の悪さには、全く驚いた。看板をつけるなら、節約と効率を考えて、効果的な場所に、効果的な看板をつけるのが当然であるはずだ。それが、前述の様に措摘されなければわからない様な看板ばかり。私は、県警本部の議会連絡官に協議先を変更し、引き続き改善を要求して激しいやりとりを繰り返していた。

   小川栄一と供に励行している朝夕の駅頭、街頭演説の中でも、駅前交番の改善要求をずっと操り返し訴えてきた。勿論地域の会合でもチャンスがあれば、訴え続けた結果、私の意見に地域のPTA協議会の方々が賛同して下さり、署名を集めて、陳情という形で神奈川県議会に要望書を提出する事になり、署名文書作成,陳情文書作成・議会への橋渡し、手続き全般に渡り、小川栄一と供に協力をした。そして、十二年の二月定例議会に「陳情」として提出が実現した訳だが、その前に高津警察署長が交代し、小川−県警本部−地元警察署の連携がスムーズにとれるようになった為に、実はほとんど現在の改善状況に近い計画ができあがっていた。が、県・市双方の予算計上が必要であったので、二方三千名にも及ぶ多数の住民の著名を集めた陳情が、改善にとって大きな後方支援となり、早期の改善の実現につながった事は事実であり、皆の力で街をよくしてゆける一つの大きなステップになったと思う。

   最後に、陳情の中にもある事だが、デッキ上からも交番に接続できる様に何故しなかったのか、この点について事実を述べておきたい。溝口駅前交番建設に当たり設計業者A氏は、デッキ上からの接続部分を含んだ建て方を警察の施設担当者に進言した。すると警察側は三階建ての予算はないので、二階建てにするよう求めた。A氏は、予算内でも、デッキから出入りできる工夫はできると主張したらしいが、警察は、デッキ上と地上部介と面方人員配置する人的余裕がないという理由で、A氏の進言は受け入れなかったらしい。いくらでも工夫の余地があったのにすべての可能性を却下し、その結果、あの非常識な交番ができあがった訳だが、今となってみれば、当時の警察の施設担当官の見識の無さ、情熱の無さ、判断力の無さが、すべての原因であり、あらゆる官の欠点が集約して露呈している事件だと、私は思う。13年度からは、神奈川県の警察官の増員が見込まれるし、県警退職者が、人員不足の交番に動務する交番相談員制度を採用する方法もあったし、人員不足の問題など、いくらでも後から対応可能であったのだから、建物だけでも、デッキからも往来可能に建てておいてくれたらと大いに梅やまれる所だ。今は定期的にデッキ上にJR改札口付近に臨時交番を設置し、多くの住民から喜ばれているが、これも私達の陳情交渉の中で、警察に強く要望した結果である。

   多くを述べたが、駅前交番改善の努力の中で、私も多くを学ばせてもらった。国・県・市ともに予算が困窮している中で、税金を効率よく、常に住民の為に便うという基本的なそして一番大事な姿勢が、行政側に欠けていることを思い知った。私は女性としての節約感覚を大いに生かして、この予算のない時にこそ活躍の場を求めたいと思つている。


小川久仁子
                平成十三年二月吉日

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