社説(2003年7月18日)

ケイエスピー人事

松沢成文知事が人選に積極的に関与した県主導の第三セクター「ケイエスピー」(川崎市高津区)の社長人事の経緯を県議会側が問題視し、徹夜審議など異常続きの六月定例会で自民など野党勢力の追及の結果、疑惑を解明する地方自治法に基づく特別委員会(九八条委)の設置に発展しだ。

知事は新社長に推薦した人物を日本でも有数な人材」「余人をもっで替え難い」と絶賛、この人事を進めた背景を「投資事業組合の事業は矢敗」「先進性がなくなった」と従来の経営を酷評し、新社長に期待を寄せた。県と同じ筆頭株主の川崎市の阿部孝夫市長にも相談し、合意を得たとし、独断の人事ではないこどを強調した。

が、知事の政治団体が新社長に推薦した人物から政治献金とパーティー券購入で計五百三十二万円を受け取っていることが議会質疑で判明する一転、理路整然と見えた登用の理由も疑われだしだ。
県当局から詳細な説明を受け、知事はケイエスビーの経営を「先進的」と変更、投資事業の失敗は言い過ぎ」ど前言を翻し陳謝。

阿部市長も、新社長から過去に六十万円の献金を受けていることも分かり、献金と登用の関係は疑問が増す結果になった。

知事は「献金と推薦とは全く別間題」「法に抵触しでいないのに、献金した民間人が公職に就けないという主張は逆差別だ」と批判。献金を受けていたことを、あらかじめ公表しなかったことへの道義的な責任ですら認めなかった。

「今後も公的機関の人事では政治的支援者も対象にするのか」との記者団の質問に対して、「適材適所であり、私の献金者が対象になる、ならないは、ちよっとおかしな議論だ。(登用する人が)たまたま私に献金してくれた人かもしれない。法律上間題ないわけで、それ(登用)ができなけれぱ私の支援者がどんどん減っでしまいます」とも述べた。

法に抵触するかとは別に、知事自ら「トップマネジメソト」と称した今回の人事は、知事ポストに就くことで得る職務権限と献金との関連性を疑われても仕方がない。献金が少なくなる心配をすること自体に、「政治とカネ」のありようへの疎さ、市民感覚どの乖離(かいり)を感じざるを得ない。

松沢知事は券県議時代に首長の多選禁止の条例化を訴えた諭文を発表し、多選弊害の例示に「知事の個人的つながりが県庁内外に扶植され、人事が偏重し行政が側近政治化し、県政が私物化される危険がある」と指摘した。その通りで、知事と個人的つながりのある人物を登用対象にする場合、ほかに複数の対象者を入れ第三者が適任か判断するシズテムを構築するなど先にやるべきことがあったはずだ。「李下に冠を正さず」という。このような登用は道義的にも問題と言わざるを得ない。

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