2. 第1段階

2.1. 事前審査

最初の技能教習に登場したのは、いかにもパワフルな雰囲気の女性指導員だった。思わずアルテミスというあだ名をつけてしまった。

二輪の教習といえば、最初はお約束の「車体引き起こし」と「8の字引き回し」である。センタースタンド掛けはなかった。神奈川県の運転免許試験場は事前審査としてセンタースタンド掛けを課していないので、教習所でもやらないのだろう。

私と一緒に教習を受けているのは、20代の若者。ほぼ難なくこなす。

私の方は、引き起こしでいきなり苦しんだ。中型のバイクの時は、バイクに体の側面を当てて立ち上がりながら起こすようにしてクリアしたのだが、大型だと重すぎてこの方法では上がらないのである。教習車はホンダのCB750で、乾燥重量は確か215kg。中型バイクは170kg前後だから、その差40kg強を、私はもてあましているわけだ。バイク側面に体の正面を向けて、ヒザついて立ち上がる時の力を使って・・・動かない〜。

「がんばって、がんばって、これができないと免許取れませんよ。」

アルテミスの励ましで、うんうんうなりながら何回もやっているうちに、何の偶然か、バイクが「ぬーっ」という感じで起きてくる。もうこのまま脳溢血起こしても仕方ないだろう、ぐらいの気持ちで力み続け、ようやく完了。ヒザが痛い。

こんなんで大型二輪免許取っていいのだろうか、とその時は私も思ったが、大丈夫、教習期間中に合計3回転倒したが、3回目には、目にも止まらぬ速さで(?)、ちゃんと起こせるようになっていた。

Previous Next

本文目次へ

 トップページへ戻る