5.9.  卒検(3回目)

いよいよ卒検。普通二輪の検定員は、前日、自主練習を担当してくれたチャーリーだったが、私の受検する大型二輪の検定員は、それまで一度も見たことのない人だった。つまり、検定の時だけ出てくる「検定おやじ」ということになるのだが、おやじと言うにはまだ若い(私よりは年上だが)。

一般説明の後、シートの低い車両を使わせてもらえるよう依頼すべく、あの〜、と声をかけると、チャーリーがひとこと、「だーいじょーぶだから。」

・・・お見通しである。

この日の検定コースは、私の苦手な「コース1」だった。何度もシミュレーションしてきたとおり、規定演技のような手順で走り出した。検定員が追走し、採点(実質は減点)されていく・・・。

結果発表は、例によって教室で待ち、一人ずつ廊下に呼ばれて行われる。私の順番は、大型二輪受検者の中で最後だった。

なぜかとっても嬉しそうな検定員に名前を呼ばれ、おそるおそる廊下に出る。ほとんど階段の踊り場まで進んだ検定員が満面の笑みで、もっとこっちに来なさい、と手招きする。

他の人に聞かれるとマズい話?・・・また不合格?・・・とどきどきしてしまった。

「平均台で加速しちゃダメだよ。」

「あなた、ホントに左に寄らないね〜。」

とたくさん注意され、ダメだこりゃ、と思っていたら、

「合格です。70点。」←最低点である。

思わず、

「うそ?本当?本当はうそ?」

と聞いてしまう。

「ほんとうです。」

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