いよいよ卒検。普通二輪の検定員は、前日、自主練習を担当してくれたチャーリーだったが、私の受検する大型二輪の検定員は、それまで一度も見たことのない人だった。つまり、検定の時だけ出てくる「検定おやじ」ということになるのだが、おやじと言うにはまだ若い(私よりは年上だが)。
一般説明の後、シートの低い車両を使わせてもらえるよう依頼すべく、あの〜、と声をかけると、チャーリーがひとこと、「だーいじょーぶだから。」
・・・お見通しである。
この日の検定コースは、私の苦手な「コース1」だった。何度もシミュレーションしてきたとおり、規定演技のような手順で走り出した。検定員が追走し、採点(実質は減点)されていく・・・。
結果発表は、例によって教室で待ち、一人ずつ廊下に呼ばれて行われる。私の順番は、大型二輪受検者の中で最後だった。
なぜかとっても嬉しそうな検定員に名前を呼ばれ、おそるおそる廊下に出る。ほとんど階段の踊り場まで進んだ検定員が満面の笑みで、もっとこっちに来なさい、と手招きする。
他の人に聞かれるとマズい話?・・・また不合格?・・・とどきどきしてしまった。
「平均台で加速しちゃダメだよ。」
「あなた、ホントに左に寄らないね〜。」
とたくさん注意され、ダメだこりゃ、と思っていたら、
「合格です。70点。」←最低点である。
思わず、
「うそ?本当?本当はうそ?」
と聞いてしまう。
「ほんとうです。」