5.3.     補習

補習では、それまでに一度も当たったことのない指導員に教わった。きっちりチェックを入れられ、再度見極めをもらえるまで補習を受け続けるのかと思っていたが、そうではなかった。

「走っていてくださいね。私は、もう一人の人の見極め出さなきゃなりませんから。」

淡々としたもので、1時間かけて、苦手なところを自分なりに復習する。

やはりネックは平均台で、計ってもらったところ、何度やっても7〜8秒台止まりだった。波状路はコンスタントに5秒台。

急制動では、停止位置で見張り(?)をしていた明るい指導員が

「後ろブレーキが強すぎるっす。」

とアドバイスしてくれた。

平均台の終点近くの停止線に、普通二輪を指導中の班長が止まっていた。台上で時間を稼げない私は、追突するのが怖くて、走り出せなかった。でも、班長は訝しそうにこちらを見たまま、どうしても退いてくれない。あの〜、と声をかけて、やっと退いてもらった。

「つるばらさんは、次、いつ検定を受けるんですか。」

補習の指導員が柔らかな口調で尋ねる。え?補習が終わらないと、次の検定予約はできないんじゃないの?と思ったが、まだ予約していません、とだけ答えた。補習は1時間でいいのだった。

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