1.2.     「教習所」のイメージ

教習所って、罵声の飛び交う怖い場所だというのが、大方のイメージではないだろうか。私も怒鳴られまくリ、怒られまくっていたような気がする。もっとも、基本的に教習所では無免許の人間ばかりが運転しているので、命がけの怒号が響き渡るのもムリはない。

私などは、運転するという行為に慣れるまで本当に時間がかかり、それまでしょっちゅう、バイクから投げ出されていた。そのたびにどやされたような記憶がある。危険だからどやされるのであるが。

夫が、2年程前に自分の通っていた教習所の教官の話をしてくれた。左折ぐらいで腰を入れるな!免許取りたないんか!?と、こんな調子だったらしい。関東の自動車学校なのに関西弁の教官なのか?と尋ねると、帰ってきた答えはこうだった。

「いや、関西弁に変換されて俺の記憶には残るんや。」

遠い記憶を辿ると、いいことも思い出された。とても厳しい先生がいたのだが、最後に素敵な言葉をくれたっけ。

「お前は、意外とスピード狂になるんじゃないのか。」

とぼけるような口調だった。どうにもこうにもノロく、それをいつも悩んでいる私に、そんな可能性ありそうもないに・・・。

「まだまだ走れないです。」

「走れるようになるさ。」

若い先生ではなかったが、朝、白いライディングウェアに身を固め、ホンダのシルクロードで走ってくる姿はとてもキマってた。あんな大人のライダーになりたいと思ったなあ。

行きますかね、教習所。

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