けふの出来事




10月後半の日記


11/10/31(SUN)

 「黒い家」(貴志祐介/角川書店/¥1500)読破。11月13日に全国松竹系で公開される同名映画の原作。森田芳光監督ということで、つい購入。そして、サイコサスペンス小説を一気に読破。
 京都の保険会社に働く若槻は顧客の菰田重徳に呼び出され、彼の住む黒い家に行くと、そこで彼の妻幸子の息子、和也が首を吊って死んでいるのを見つけた。
 これが菰田による保険金殺人だと感じた若槻は、彼の身辺を調べる。そんな中、息子の生命保険金を請求しに毎日のように会社にやってくる菰田。しかし、事件は意外な方向に、そして、若槻の周り、恋人の恵にも魔の手が襲ってくる。
 この保険金殺人事件を軸にサイコパスなどの犯罪心理学のトピックも絡む。人類が種の保存法が少ない子どもを大切に育てるK戦略から、社会福祉の充実から(ほっといても社会が育ててくれるシステムが出来ている現代では)たくさんの子どもを産み後は放置(魚の数多い卵みたいに)のr戦略に変わってきている。そのためわが子すら愛せなくなっている、というような話まで出てくる。おそらく映画ではそういうところは端折って怖さを全面に押し出すんだろう。
 映画の知識はほとんどないが、出演者を見ると、その無気味な菰田夫婦を西村雅彦と大竹しのぶが演じるようだ。どう原作のイメージを偲ばせるのかが見物だ。(原作ではもっと年とっている設定)
 今開催中の東京国際映画祭で、この「黒い家」が先行上映するらしい。見に行きたい気もする。


back ground TV:「きょうの出来事」(日テレ)


11/10/27(WED)

 「本能」(椎名林檎/東芝EMI/¥1200)を発売日に池袋にて購入する。池袋西口にある「レコードのウエダ」という狭いレコード屋に行くと、「閉店セール 全品30%オフ」の文字が並んでいる。10月以降発売の新譜は10%オフ。再販制度どこ吹く風の革命児。というわけで¥1200が¥1080に。しかし、10月15日からスタートとは書いてあるが、店内のどこにもいつまでかが書いてない。とにかく、池袋西口まつやの横のレコード屋に急げ。こうしている間にも閉店しているかもしれない!
 さて、「本能」だが、3曲入りマキシシングル。「本能」「あおぞら」「輪廻ハイライト」。「本能」はいきなり大音響で始まる。目覚めの曲には心臓に悪そう。3曲目の「輪廻ハイライト」はサントリーカクテルバーのCMソング。歌詞カードには「愛に罵倒/夕日で皺/ツアー位逢わず/没頭左派」とあるけど全編英語。よくよく聞くとそう聞こえる。運悪く私にはイングリッシのヒアリング能力がもっとも欠如している英検2級なので、意味がよくわからないけど。うわっ、やられた!と思った。
 もうジャケットが看護婦姿の椎名が板ガラスを正拳突きで割る図。プロモビデオでも看護婦姿の椎名が板ガラスを前蹴り(ムエタイでいうところのディーポ)で割っている。もうわけがわからなくなっている。


back ground TV:「明石家マンション物語」(cx)


11/10/26(TUE)

 「ガメラ3 邪神覚醒」(金子修介監督)ビデオ屋で借りて見る。
 怪獣映画ってやつは、怪獣の戦闘シーン以外のドラマにどうリアリティをもたすかが重要だと考えるのだが、ガメラはその点でゴジラやらモスラより秀逸である。
 ゴジラは目の前にどこからともなく戦車がカタカタやってきてパンパン大砲を撃って、ゴジラになぎ倒される。モスラでは小さい双児が出てきたりする。怪獣自体が荒唐無稽なので、その他のリアリティを追求してもらいたい。
 ギャオスとガメラが戦い、渋谷は火の海に。ガメラに両親を殺されたため心底ガメラを憎む前田愛に、ギャオスの進化系イリスは融合しようとする。そしてイリスとガメラは嵐の中の京都駅で大戦争を繰り広げる。
 前作の「ガメラ2 レギオン襲来」は自衛隊対レギオンという図式でものすごくリアリティがあり、怪獣映画というより、戦争映画だった。それに比べると、奈良の田舎のほこらの中の伝説の石を動かしたためにイリスが復活するとか、ちょっと在り来たりな怪獣映画っぽい。そういうのはモスラにまかせておけばいい。
 しかし、渋谷の炎上シーンはすごい。ガメラの吐く火炎放射で渋谷の群集が次々と巻き上げられている。ハチ公も炎に包まれる。あれはびっくりした。あれだけでこの映画の7割は達せられている。また、余談だが伊集院光が逃げる人々を誘導する警官役で出ていた。これまたびっくり。


back ground TV:「対爆笑問題」(テレ東)


11/10/23(SAT)

 「反日的日本人の思想」(谷沢永一/PHP文庫/¥800)読破。
 日本保守言論界の毒舌家こと谷沢永一先生が丸山眞夫や大江健三郎、久野収などのいわゆる進歩的文化人の巨匠たちをばっさばっさと斬りまくる。その本人の書いた文章を題材に、いかに親ソ連、親共産主義で日本人の誇りを失わせようとしていたかを検証する。
 日本の「進歩的文化人」は1932年国際共産党組織(コミンテルン)が出した「日本における情勢と日本共産党の任務についてのテーゼ」(通称32年テーゼ)のテクストを丸暗記してそれに基づいた理論を発表し続け、今に至っている、と喝破している。この32年テーゼは日本は強盗的帝国主義であり、封建的帝国主義で、前資本主義的な独占資本が半封建的に農民を搾取している、という内容。
 ここで12人の文化人の文章を引き合いに出しているのだが、そこに共通している谷沢氏が言いたいのは、彼等は日本をおとしめて、在日アメリカ軍を追い出して、さりとて日本に再軍備させずに、ソ連が占領させやすいようにしようとしている。革命など起こす気概も行動力もないこの進歩的文化人たちは、そうして社会主義政権の要職に就かんと目論んでいるのだ。と。
 それにしても、東大教授、最高裁長官を歴任した国際法学者、横田喜三郎。谷沢先生によれば、東京裁判の最中、この敗戦国を罰する法がないこの状況下で(人道に対する罪なんてわけわかんない罪とか)どうにか法的な理論構築をしようと、誰にも頼まれないのに立ち上がってしまったのが横田喜三郎である。
 「戦争犯罪の理論については、実質に重きをおかなくてはならない。形式にとらわれてはならぬ。」と厳密な形式的法理論や手続論によって社会生活が担保されている法治国家を全否定。法学者なのに。しかもその一番大切な「実質」というものは、「こんどの戦争で、日本は極端な侵略的戦争を行い、その戦争中において、また驚くべき暴虐行為を行った」ということでほとんど裏付け調査もしていない。東京裁判が侵略戦争って言ってんだから「実質」は侵略戦争なんだという論理。
 そして、「天皇制」と言う本で横田喜三郎は天皇廃止論を展開していたのに、のちのち最高裁長官になるとき天皇陛下から直々に辞令書を渡され、文化勲章まで受け取って自伝で「天皇陛下」とまで呼んでしまう。その転向については一言も触れていない。谷沢先生はその様子を年表にまでしてコテンバンにやっつける。
 谷沢先生はこの横田喜三郎の章に「反日的日本人の第1号・横田喜三郎への告発状 栄達のため、法の精神を蹂躙した男」と銘打っている。どの章にも「進歩的文化人の痲酔担当医」とか「金日成に無条件降伏の似非出版人」などのような表題がついており、谷沢先生の本を久しぶりに読んだけど、その言語感覚というかさすがである。その辺のギャグマンガより面白い本である。


back ground TV:「リングの魂」(テレ朝)


11/10/21(THU)

 JR東日本、山手線が終電間際に人身事故で止まるという、大騒ぎが起こる。
 渋谷で飲んでて改札の前にたまる人々。電車は来て、乗ったものの、新宿で「車間調整のためしばらく止まります。」でダラダラしやがる緑の電車。池袋に着いた時、東武東上線のホームには麗しき青い電車がいたのだが、東上線の改札に行ったら、無情にもシャッターが降りていた。
 JRの改札に戻り、駅員に詰め寄る乗客たち(6割8分は酔客)。「定期券持っているということは、JRと東武を乗り換えできるって契約だろう。契約違反だろ!」と怒り、「誰かが言わなきゃ駄目だから」とその後ぼそっと我々に話し掛けるおじさん。「申し訳ありませんじゃないだろう。早くタクシー券もってこいよ。」と声をあらげる男性。
 駅長が出てきて、タクシー券を配るので駅長室に来て下さいみたいなことを言う。東武ユーザーがわざわざ東口の駅長室まで出向いてみると、長蛇の列。流行っているラーメン屋状態。
 どうやら行き先ごとにタクシーに相乗りして行ってくれとJRサイド。またもやブーイング。あれだけ人身事故とか遅れが出るのに慣れているJRのあの的を得ない対応。終電過ぎて、1:00過ぎにそんなところに並んでる客の思いは「はやく家に帰りたいんだよ!」に決まっている。そこをスムースにやらないから不満が爆発するのだ。「この間は帰ったのが4時だよ。明日保証してくれるのかよ!!」怒り心頭の男性。「ああやってもたもたしてて、諦めて(自腹でタクシー代払って)帰るのを待ってんだよ。JRは。」とさっきのおじさん。ちょっとした貧民窟なら暴動が起こっている。
 タクシー代を立て替えられる人は用紙をもらって、それを後日駅長室にもっていけば代金を支払うシステムでその用紙をもらう。立て替えられない人は相乗り。
 その紙をもらって、タクシーで帰って帰宅が2時。

 次の日、その紙と領収書をもって、駅長室に行くと、定期のコピーを取られて、4500円を受け取る。無事債権を回収。それにしても、駅員、「電車遅れてすいませんでしたね。」の一言もなしかよ。ものすごいサービス業である。


back ground TV:「ジョビれば」(cx)


11/10/20(WED)

 やってくれました。西村真悟防衛庁政務次官。週刊プレーボーイで大川総裁と対談して「日本が核武装しないのは強姦されても訴えない女みたいなもんや」みたいなことを言ったらしい。それで辞任。
 えらい野党は反発して、辻本清美社民党議員は謝罪要求書を提出。
 西村先生は当然、確信犯。小渕首相はびびって西村氏を首にして、核武装や安全保障論議を封殺してしまう結果に。残念。
 「強姦」という表現に「議員としての品位がかける」なんて言っている人たち(筑紫哲也等)がいるが、プレイボーイ誌上だし。議員の品位なんてない人いっぱいいるし。何人罷免しなければないことやら。
 今回の内閣で唯一適材適所!と思った政務次官だけに、残念。官房長官時代に教科書問題で朝日の誤報による中国・韓国の謝罪要求に簡単に屈した河野洋平こそ外相を辞めさせろと思う。
 また酔っぱらって朝生にでも出るのでしょうか。


back ground TV:「ニュースJAPAN」(cx)


11/10/19(TUE)

 「サイゾー」(11月号/インフォバーン/¥690)読み終わる。特集は「どてらい首領」。日本を牛耳るドンたちを総力取材。ちょっと笑ったのは「世紀末ニッポンのココロのドン  Jまごころ系をおさらいする」という1ページ記事。Jまごころ系と銘打ったまごころハガキやまごころ画集を描く作家たちの相関図。「Jまごころのマエストロ片岡鶴太郎」「GOD HAND 神の手を持つ男相田みつを」「Jまごころのアルチザン19そして326」とこんなにいるんだJまごころ系。と言った感じ。
 また、若手官僚の覆面座談会も面白かった。今の官僚は若いうちに国家的プロジェクトを動かせる快感が味わえるけど、年とってまでやるのは退屈らしい。昔みたいに70まで保障されるわけでもないので、ある程度の年齢になったら可能性を求めて外へ出ていく人が多いとのこと。こうして霞ヶ関の中に閉じこもらずに民間との交流が活発になるということだろう。社会のために働く意識はあるというが、それが国家ということでしょう。「国家」とか「愛国心」とかいう意識ではないですよ。という話にひっぱっていく司会の宮崎哲弥。
 連載も私の大好きなメディカルラボ・サイゾー「小泉今日子という病」。創刊からだんだん規模縮小しているのが気になるが、めちゃめちゃ面白い。
 コイズミは「外因性被扇動型脳炎」。虚業に従事する若い女性が罹病しやすい依存型疾病。規格外の発想や行動が周囲から過大評価を受けたことをきっかけに発病することが多い。という病気。自然体を装い始めるとやばいので皆さん気をつけましょう。
 インターネット株式とかの記事がやたらに多いのには疑問を感じるが、表紙のショルダーコピーに「エンタテインメント&ビジネス」とあるのは下っ端社員が会社で定期購読の稟議書を回せないからと、編集後記に書いてあって納得。


back ground TV:「スキヤキ!ロンドンブーツ大作戦」(テレ東)


11/10/17(SUN)

 ここ数日で読んだ本の数々。  「新ゴーマニズム宣言7」(小林よしのり/小学館/¥1100)は、もうしょうがないでしょ。買わなきゃ。サピオを愛読する者としては。
 「戦争論」の朝生の回から、「戦争論争戦」、「国家と戦争」の回までを収録。1回すでに雑誌で読んでいるけど。
 「『弱者』とはだれか」(小浜逸郎/PHP新書/¥657)。小浜先生が障害者や在日朝鮮人、女性など社会的弱者に対する差別や、マイノリティの問題、それについて我々が感じる「言いにくさ」「遠慮」の構造を解きあかす。
 乙武くんの「五体不満足」(読んでないけど)や以前、小林よしのりがゴー宣で書いていた「ウルトラ部落解放フェスティバル」を題材に、読みとく。つまり、差別する者とされる者の間の溝を消すとは、気にしなくなること。「障害が個性だ」と言うのは障害を気にすることの裏返し、ルサンチマンに過ぎない。そういうこと。
 「日本語七変化」(加藤主税/中央公論新社/¥1300)。この椙山女学園大学の教授だがもう文章がなんだかようわからん。中日新聞の連載だったらしいが、まるでこのホームページのように書きなぐっている感じ。英語圏より日本のあだ名はバリエーションに溢れてる。っていうことが書いてある章もある。だから?
 「この日本人に学びたい」(松尾スズキ/ロッキングオン/¥1400)。松尾スズキは劇団大人計画の主宰にして、文筆業もこなす。彼が様々な有名人について書いたかなりイカレたエッセイ。これは面白い。久しぶりに電車の中で吹いて笑ってしまった。
 「可愛かずみに学びたい」の章。可愛かずみは芸能界の中でも自殺がちょうどいいジャンルの人だという。あながち否定はできないが、言っていることはむちゃくちゃ。ただの暴言ではなく、なんとなく無意識下でわかる気がするところと表現の穿り加減がかなり私好み。
 ちょっとこの本はお薦め。


back ground TV:「ダウンタウンのガキの使いじゃあらへんで」(日テレ)



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