#32 第36回二輪車安全運転神奈川県大会
1. 身の程知らず再び
2. 2年目の二俣川で

3. コースを読む!
4. 二俣川には魔物が棲む(かもしれない)
5. 不満足な結果と満足な結果
6. ひとつの終わり、ひとつの始まり
1. 身の程知らず再び

今年も二輪車安全運転大会の季節がやってきた。
考えてみると、いろいろあったせいで、2月の桶川以来、まともに練習していない。
大会1週間前に二俣川の講習会で、やっとカンを取り戻した程度である。
とはいうものの、昨年の初参加からして無謀だったんだから、引き続き無謀でいいか、と自分にしか通用しない理由で再参加することにした。
私がエントリーしたのは無差別級(排気量制限無し、但し女性のみ)、要するに女性クラスである。
これ、実は大失敗で、Bクラス(400cc超)に出るべきだったことが、当日判明する。

UP!

看板 なみいる強豪

2. 2年目の二俣川で

会場では、桃子さんや、以前府中の講習会で出会った「大杉正明(似の男性)」、昨年の大会にも来ていた女性など、見知った顔に出会えた。
とは言うものの、己のレベルを知っている私としては、スタート前はどうしても緊張して、和やかになりきれないところがある。
午前中の練習とコース説明の走行では、やっぱりへなちょこだった。
特に、これはマズイ!と思ったのはスラロームコースだった。
去年、コースを間違えたために走らせてもらえなかった課題である。
これは、クランク→クランク→S字→クランク→8の字(の一部)の順に通過していくもので、全体を見渡すと、これらの屈曲部?がパイロンスラロームにおけるパイロンの要素となっていて、コース全体が大きなスラロームになっている…ように私には見えた。
このクランクが私のネックで、ある程度の速度を出すことができず、エンストしそうになるのが怖くて、クラッチを切ってしまう。
クラッチ切っちゃったら、アクセル開けてバイクを起こすことができなくなるから、大変まずい。
この1年間に学んだことを頭の中でたぐり、教習所の卒業生向け無料レッスンの時に、気配りの先生が教えてくれた「片手慣熟走行」のことを思い出した。
片手で慣熟走行ができる、ということはつまり、クラッチは使わない、ということである。
マズイよ、自分〜、と思ってしまった。

昼休みは、ひとりで競技コース図とにらめっこである。
…だって、去年はコースを覚えられなくて、コース間違えて、それが原因で、技能走行の課題全部通らせてもらえなかったんだもの。
神奈川県大会名物「シウマイ弁当」を食べつつ、配布された競技コース図を眺めるが、イマイチしっくりこない。
実は、内容は去年とほとんど同じみたいなんだけど。

UP!

3. コースを読む!

不安な気持ちを膨らませつつ、開会式も終わっていよいよ競技が始まった。
Aクラス(51cc以上400cc以下)、Bクラス(400cc以上)、Cクラス(高校生)、女性クラスの順に競技は進む。
駐車場の屋根の上から、競技コースのほとんどが見渡せるようになっていて、競技前の選手や家族はそこから競技の様子をじっくり?見ることができる。
屋根の上を走り回って、コースを見ていると、図面だけでは今ひとつ覚えにくかったコースが、すっきり頭に入った気がした。
が、夫を置き去りにしてきたバチが当たったのか、出番を待っている間に体調が崩れてきた。
女性クラスは、スタートが最後なので、待ち時間が長いのだ。
曇ったり晴れたりの天気で気温は結構高く、暑気あたりなのか、かなりクラクラしてきて、スタートが比較的早い、Bクラス(400cc超)に出るべきだった〜!と激しく後悔した。

UP!

4. 二俣川には魔物が棲む(かもしれない)

走る前に体力消耗して、かなりぐったりした状態で出番が回ってくる。
私は女性クラスの第1走者…去年もそうだったなあ。
ここで私はすで二つもの失敗をしていた。
一つ目は、暖機が不十分だったこと。
その所為で、競技中は、エンジンが停止する度に(これもホントはダメなんだけど)、リスタートで焦ることになってしまうのだった。
二つ目は、スタート直前に、右ふくらはぎに違和感を感じたのだが、そのままスタートしてしまったこと。
この二つの失敗は、後で激しい自己嫌悪となって跳ね返ってくる。

初めて読む方のために、簡単に説明すると、競技は減点方式で行われる。
「指示違反」「コースアウト」「エンスト」などの失敗?ごとに決められた点数が減点され、減点の少ない方が良い成績となる。
つまり、0点が一番良いのだ。

コーナーリング
Aゾーンラインを踏んでしまったのと、基準タイム(今回は4秒)をオーバーしたのとでマイナス15点。
なんと、いきなり「マイナス最大点(40点)以外」である。
幸先良いような気がしたが、これはもちろん、気のせいだった。

ブロックスネーク
はっきり言って、捨てていたようなもの。
転倒だけはしたくないので、ダメだと思ったら、すぐに脱輪しようと決めていた。
この心がけの悪さで(?)、即脱輪、即終了!となってしまった。

応用千鳥走行
去年は、コースアウトを繰り返しながら、最後まで頑張った、懐かしの課題である。
この「応用」は、普通の千鳥(車体を傾けない)と違って、「傾斜しながら障害物を避けて通過する」のだ(と、教えてくれた方、ありがとうございます)。
低速で、先を見越しながら、慎重にバイクを進めていくうちに右足がケイレンし始めるような感覚に襲われた。
攣っちゃったのである。
痛みで脂汗がだらだらと流れてきた。
これはもうムリだと思い、近くにいた大会関係者に助けを求めた。
飛んでくる審判員。
コースを出て、バイクを支えてもらい、右足のストレッチをする。
でも…ホントにもう、できなかったんだろうか?
悪い成績を残したくなくて、この課題をリタイアする格好の言い訳にしようとしたのじゃないか?
自分に対する不信感が沸いてくるのを感じながら、次の課題であるブレーキングに進んだ。

ブレーキング
得意なはずのブレーキングで失敗してしまった。
足が攣ったら気持ちが動転しちゃったのか。
これって、事故を見たりした後、まともに走れなくなるタイプってことだろうか?
車輪ロックだか両足離れだが何だか、全然わからなかったが、最大減点の40点が付く。
千鳥をズルして途中でやめた報いを、自分で自分に与えてしまったかのよう。

レムニー(8の字)
ありえない、と巷でウワサの斜面上の8の字である。
何とか前半のS字(坂を上る方向)はできたが、坂の上で転回できない。
できません、と簡単にギブアップして、車体を押して坂を下りる。
移動しようとすると、今度はエンジンがかからない。
もう、情けなくて泣きたくなっていた。
こんな弱いあるじに運転される私のモンスター、かわいそうなバイクなのかもしれない。

ストレートブリッジ(一本橋)
これはもう、脱輪を避けるしかないと思った。
記録が悪くても仕方ない。
ムリせず、ととと、と通過する。
規定の15秒に全然足りない8秒で、35点のマイナスが付いた。

コンビネーションスラローム
普通のスラロームの後に、オフセットスラロームが続くもの。
カメの呪いを背負って、もたもたとパイロンを回り、基準タイムに全く届かず、減点40点である。

スラロームコース
今回、私にとって、一番重要な課題である。
基準タイムのことなど考えようもなく、とにかくコースを間違えず、転倒せずに走り抜きたかった。
クランククランクS字クランク8の字、と怪しいおまじないを唱えながらスタートした。
私にはきつい屈曲や転回を、精一杯のスピードで走る。
最後のクランクで、パイロンをひとつ、蹴り倒してしまった。
それでも、転倒はせず、ゴールする。
基準のタイム(43秒)を大幅に上回る1分38秒(ふざけるな、という感じである)、パイロンがどうのこうの言う以前の問題で、最大減点となってしまった。


法規履行走行
課題は3つ、「停止車両の側方通過」、「踏切の通過」、「信号機(赤点滅)のある交差点での右折」
ペーパードライバー教習の時、私の部下と同姓同名の若い指導員から受けた講義を思い出す。
これについては、別紙?「法規走行の回答例」というのを作ってみたので、ここでは省略。

ゴールでは、例によって?気のいい指導員が待ち構えていて、成績表を回収する。
あ、今年はマイナス40点ばっかりじゃないですね、と言われて、何となくうれしい自分はやっぱり情けない気がした。

UP!

5. 不満足な結果と満足な結果

結局私は、道順を間違えず、全課題を通過できたのだった。
千鳥以降の自己嫌悪があるので、必ずしも満足というわけではないが、自分なりにひとつ、やり遂げることができた気がして、少しだけほっとした。

競技中、ある課題で、このバイクに乗ってどれくらいになりますか、と聞かれたのが一番悲しかった。
1年9か月です、と無感情に答えたが、普通、1年も乗っていたら、十分慣れてもっと乗りこなしているだろう。
聞いた相手をも困惑させる答えだと思う。
でも、本当は、もっと恥ずかしい事実…「免許取って20年、このバイクは4台目で一昨年の秋からです」ということを、堂々と答えられる勇気を持ちたい。
まあ、聞いた相手は、更に困惑するだろうけど。

「少しでもモンスターを乗りこなしたくて、こんなに努力しているじゃないか。1年前よりも、ずっと。辛くても我慢して磨き続けることが、心をこめるってことなんじゃないのか。」
昔読んだ少女マンガのセリフをリメイク?して自分を慰めてみた。
今年も成績はひどく、驚異のマイナス290点である。
いつになったら、このMonster 800S i.e.を、私の愛するバイクを、乗りこなし、能力を引き出せるようになるのか。
楽しみだけど、道が長すぎるような気もするのだった。

さて、気になる女性クラスの結果、1位と2位は昨年と同じだった。
この2位というのが桃子さん。
さすがの実力なのである。

UP!

6. ひとつの終わり、ひとつの始まり

底辺の戦い(自分との)を終えて帰宅すると、夫が電卓を手にして待ちかまえていた。
何点やった?というので、技能はトータルでマイナス290点、と自己申告すると、すかさず電卓を叩く。
「100点満点に換算すると9点やで。」
因みに、1位の人の点数を100点満点に換算すると81点である。
「この差をよく考えてみるんやな。」

そんな感じでいつも通りクール(というかシビア?)な夫だったが、来年は俺も出てみようかな、と言う。
夫の愛車BMWのR80GS Basicは、意外と技能競技に向いているかもしれない。
ところで、夫は講習会があまり好きじゃないと言うが、何故なのかよく聞いてみたら、1対1でみっちり教えてもらえないからだそうだ。
私だって、ホントはそれが一番いいけれど、集合教育?だって効果はある。
そういえば、桃子さんに教えてもらったのだが、全国大会に進む選手は、特練と言って、選手一人に対して指導員が3人位付いて、特訓してもらえるんだそうだ。
私もそんな風に、よってたかって教えられてみたい(3回目の卒業検定前夜に、似たようなことはあったかもしれないが、レベルが…)。
そんな風に集中的・徹底的に教えてもらうことができたら、私だって、モンスターを自由自在に操れるようになるかもしれない(それが特練の目的じゃないって!)。

ともあれ、夫が興味を持ってくれて、元気になってきてくれてよかったな、と思った。
今回の参加賞は傘で、何故か最近会社でもらった安全社長賞の賞品とそっくりだったので、夫に安全社長賞の賞品の方をあげた。
これでおソロの傘である(笑)。

そして…去年は大会の後、教習所に駆け戻った(泣きついた?)けど、もう、平気。
自分で自分をどう鍛えていけばいいのか、今はもう、わかる気がする。
白状すると、チャーリーや気配りの先生は恋しいけれど、これからは自分でしっかり頑張って、次に逢う時には(そんな日がくるのなら)、それなりの成果を上げていたい気がする…成果主義に毒されたサラリーウーマン?

というわけで、今回の教訓。
「先週気持ちよく復活したからと言って、それで成績が劇的に向上するほど、世の中甘くない」
マスター オブ モンスターへの道は険しく、長いのだった。

UP!

コーナーリング 応用千鳥走行

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