3.7. 気合を入れて走るのだ

水曜日。インターネットで、18:40からの教習を予約できたので、会社を17時前に抜け出した(私は非時間管理勤務、つまり、会社に何時間居なければならない、という決まりがないのである)。それよりも遅い時間帯は、夜をメインにした教習コースの人たちの優先予約が入っているのか、空きもキャンセルも全くなかった。18時頃教習所にたどり着く。教習所から借りたヘルメットの内装を汚さないよう、メイクを全部落とした。素顔の私、バイクのための私になった気がした。

いつも使っているシートの低い34号車ではなく、ノーマルの35号車を選んだ。今夜はしくじる気がしない、なんて思う。担当はカリスマ講師だった。もう一人の教習生がまだコースを覚えていないというので、私が先になってコースを走って行く。足着きの悪い車体も、ガスがあまり入っていないのか軽く、扱いが楽だった。教習車がまるで自分のバイクみたいに、体になじんだ。

コース走行の後、苦手分野の克服ということで、急制動の練習に入った。

「加速が遅れるんですよ。怠けないで加速して、早めに3速に入れて速度を安定させて。」

やってみる。オーバーランはしないので、自分ではまあまあかと思うが、標準レベルから行くと下の上ぐらいかもしれない。

それまでで、最も納得できる練習ができたと思った(実は、この日が教習期間中の自分のベストコンディションだったと今でも思っている)。でも、見極めは出ない。さすがカリスマ講師、チェックが厳しい。やはり気合いと腕は別問題なのだ。

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