2.4. 週末ごとの密かな楽しみ

最初の頃の緊張感、というより、人見知りに近い感覚が薄れてくると、教習が楽しくなってきた。この頃は、土日しか通えなかったので、週末が待ち遠しかった。

教習所では、技術的に苦手なところや下手なところも、怖いとか心配だとかいう気持ちも、何も隠す必要がないのが心地よかった。

普段の仕事では、「弱さ(弱点)」に関係することは、自分で計画的に解決しなければならない。あるいは、常に隠しておかなければならない。それはどんな職業でも役割でも、プロであれば当然負うべき責任なのだろうが、年中突っ張っているのはやっぱり辛い。教習所の中では、包み隠さず不恰好なまま、好きなバイクの練習ができることが、うれしかった。「開放感」とでも言うべき気分を味わっていたのだ。

今にして思えば、こういう心がけが、上達の遅さに拍車をかけていた感は否めない。必死の練習というより、お稽古お楽しみ段階である。上達が遅いくせに、教習が楽しいというのは、冷静に考えると問題がある。

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