2.5. 二輪教習の女性たち

この教習所では、大型二輪の教習車の中で、34号車だけはシートを低くしてあった。背の低い女性教習生は、だいたいこの車両を使っていたので、たまには使いたい者同士がバッティングすることがあった。私もある時、他の女性と重なってしまった。
どっちが背低いかなあ、と見比べる指導員を尻目に、

「私、上げ底靴はいているから普通の車両でいいです。」


「私、だいぶ慣れてきたからもう大丈夫です。」

 と譲り合う。


どっちも譲ると言って聞かないので、結局指導員が、じゃあ、2段階の人は普通のに乗りましょう、と結論を出し、私は34号車に乗ることになった。

また、ある時、バイクを止めて指導員の説明を聞いていると、突然1台の中型バイクがスライディングしてきた。そのバイクは私の止めておいたCB750に突っ込み、転倒させてしまった。

あ然としていると、中型バイクから放り出された女性が、ごめんなさい、と言いながら倒れていた。指導員が飛んできて彼女の安否を確認した後、私に、大丈夫ですかっ!?と尋ねる。

いや、私はなんともないです、と答えると、私についていた指導員も、大丈夫、当たってない、と説明する。けがしていそうなのは、スライディングした方の女性だ。心配になり近づいてみると、軽い打撲程度のようだったので、お互い教習にもどった。倒れたCB750は、全力で起こそうとしてみたが、最後は指導員に手助けされてしまった。

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